土地さえあれば誰でも始めることができる駐車場投資。
確かに手軽にはじめられるのが魅力ですが、駐車場経営といっても、いろんな運営スタイルがあります。
駐車場には大きく分けて月極駐車場と、コインパーキング(時間貸し)の二種類があります。
最近の都心部ではコインパーキングが増えてきた傾向にあります。
そのおかげで街に出かけた時に駐車場を探すのに苦労することがかなり減ってきて、ドライバーとしてはとても助かっているところです。
しかし逆を言えばコインパーキング業界は客の奪い合いになっていて、競争が激しくなっているということになります。
せっかく不動産投資としての駐車場経営を行うのであれば、儲からなければ意味がありません。
まずポイントは初期投資です。もし土地をこれから用意する場合は大きな投資となりますが、収益が期待できそうであればビジネスチャンスです。
今回は駐車場経営のシステムと、経営者が知っておくべき基礎知識のポイントをまとめてみました。
目次
1. 駐車場経営を始めるにあたって
駐車場経営を始めるには、まず土地の確保が必要になります。
既に土地を持っている場合と、これから土地を購入する場合があると思いますが、駐車場には向いている土地と、向いていない土地があることに注意して下さい。
もしこれから購入する場合は大きな投資となりますので、特に土地の選定を慎重に行いましょう。
駐車場経営は成功すれば不労所得が期待できます。ランニングコストもあまり大きくかかりません。軌道にのれば安定した収入につながるでしょう。
また既に土地を持っていれば、初期投資も比較的少なくて済むのが魅力です。
土地活用の中でも駐車場経営はローコストで始められるので、やり方によってはビジネスリスクが低くなりメリットとなります。
駐車場経営の中で「コインパーキング経営」という手もあります。コインパーキング経営関して詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
2. 駐車場経営をする土地を決める
駐車場経営を行うにあたって、どういった土地に投資したらいいのでしょうか?ここでは土地選びのポイントをまとめてみます。
2-1. 所有地の敷地条件で駐車場経営が可能かを調べる
道路の確認
土地に隣接する道路(接道)の有無を確認しましょう。全ての土地が道路に接しているわけではありません。
なかには他人の土地を通らなければ道に出られないような土地も存在するくらいです。こんな場合は絶対に駐車場を作れません。
接道の幅も重要です。自動車が余裕をもって出入りできる幅の道路であることが大切です。
平均的なコンパクトカーでも全幅2メートル弱、全長4メートル程度です。よって接道の幅員は最低でも4メートル以上あるのが理想的です。
敷地の形状を確認
基本的には駐車場利用のための敷地形状はどんな形でも可能です。建物を建てるわけではないので、だいたいの土地には対応できます。
しかし四角形以外の形状、例えば三角形の土地などは、駐車スペースが有効に設けられないので効率が悪くなります。
もう一つ大切なのは敷地の間口です。やはりゆとりをもった自動車の出入りを考えると、間口はある程度広いことが望ましいです。
高低差の確認
道路と土地の間に高低差がある場合は、勾配を付けるなどの工事が必要になります。
しかし、高低差が大きく急勾配となると、駐車場としては利用できません。どちらにせよ余分な初期投資費用が工事費として必要になってしまいます。
2-2. 土地の特性を理解して経営業態を考える
土地それぞれによって、経営スタイルが異なります。
月極駐車場向きの土地
月極駐車場は初期投資が最も低い経営スタイルです。月極駐車場に向いている土地は、
- 周辺にマンションやアパートが多い地域
- 土地の活用方法が決まっていない
- 土地が変形しているため、立体駐車場などが設置できない土地
- 初期費用のかからない土地活用をしたい
- 将来的には別の用途に変更したい
などの場合に適しています。
また、はじめは駐車場でスタートしたけど、途中でほかの土地活用をするといった場合、簡単に変更できるところが魅力です。
コインパーキング向けの土地
コインパーキングに向いている土地は、
- 繁華街など、好立地にある土地
- オフィス街にある土地
- 売り手が付かない都心の狭小土地
- 周辺の月極駐車場の賃料が高めな土地
などです。共通していえるのは、コインパーキングは人通りの多い街の中心地にある土地が向いているということです。月極駐車場と違って時間貸しなので、稼働率が収益を左右します。
よって中心部から離れた住宅エリアではなく、繁華街など駐車場の需要が高い土地が向いています。
立体駐車場向けの土地
立体駐車場には2種類あります。
一つはタワー式で繁華街でよく見かけるタイプです。もう一つは多段式といって、マンションの敷地内でよく見かけるパレット式の立体駐車場です。
ここではタワー式の立体駐車場を取り上げます。タワー式立体駐車場に向いているのは、
- 駅や繁華街などの中心街の土地
- 建築法で高さ制限の規制がない土地
- 立体駐車場設備が設置できるある程度の広さの土地
となります。立体駐車場はたくさんの車を収容できるので高い収益が期待できます。
敷地面積が狭く、上記の条件に合った土地なら立体駐車場をおすすめします。
2-3. 土地なしで駐車場経営を始める場合
土地を探す
もし土地を持っていない場合は、不動産屋などで土地を探してみましょう。
土地は購入するか、借りるかになります。土地の準備は一番費用がかかるので、投資に見合った利回りが期待できるかが重要なポイントです。
また駐車場ビジネスを行うには周辺地域の情報が必要になってくるので、自分の地元など土地勘のある場所で探すのがいいでしょう。
地主さんと連絡を取り承諾してもらう
不動産屋に土地を探しに行ってなかなかいい物件がない場合、土地の所有者である地主さんに直接交渉という手段もあります。
地主さんの中には空き地を放置して何の活用もしていない人がいらっしゃいます。そういった人に直接訪ねてみるという方法もあります。
はじめは地主さんも驚いて話を聞いてくれないかもしれません。しかしあなたの不動産投資への熱意が伝われば、もしかして土地を貸してくれるかもしれません。
3. 駐車場の需要と近隣の相場感を身につける
投資する土地が決まったら、周辺地域の駐車場情報を集める必要があります。たとえば、
- 周辺地域の駐車場の数
- 駐車場料金の相場
- 駐車場需要の状況
などの情報収集が必要です。こうした情報を簡単に調べられるサイトをご紹介します。
①パーキングポイント
日本全国の月極駐車場を検索できます。
現在38,584台の駐車場情報をもっています。(平成29年10月30日現在)住所やキーワードを入力するだけで、周辺地域の駐車場情報がわかります。
②駐マップ
こちらもパーキングポイントと同様、全国の月極駐車場を紹介しています。
現在28,885台の駐車場情報があります。(平成29年10月30日現在)
地域の駐車場相場との比較を表示しているので、とても分かりやすいサイトです。
3-1. 土地周辺の競合調査:稼働率
まず、駐車場経営を行おうとする土地周辺の駐車場の稼働率を調査しましょう。
月極駐車場であれば、不動産会社などの管理会社に空き状況を尋ねてみるのがいいでしょう。
月極駐車場は管理会社が土地に看板を設置しているので、どの会社が管理しているかすぐにわかることが多いです。
コインパーキングの場合は、24時間営業の中でどの時間帯がどれ位の稼働率であるかを自分の足で調べに行く必要があります。正確な稼働状況を把握するのは難しいかもしれませんが、概ねの様子を探ってみることはできるでしょう。
3-2. 料金相場の調査
駐車料金の相場は一般的にエリアごとで似た料金が設定されています。
余程、車が止めにくい難しい場所ということがなければ、月極駐車場もコインパーキングも似たような料金です。
また、月極駐車場の場合、屋根付き駐車場は、屋根のない駐車場より少し割高になる傾向があります。また、敷地の中で車が出しにくい場所は少し安くなるなど、多少の差はあるかもしれませんが、概ね一定しています。
3-3. 駐車場の形態の調査
駐車場の敷地の形状にはいろいろあります。平面駐車場の場合には、
- 砂利地のまま
- アスファルト舗装
- コンクリート舗装
などです。アスファルト舗装やコンクリート舗装は初期投資がかかります。
また将来的に駐車場を他の土地活用へ変更する場合には舗装を撤去しなければならないので、さらに費用がかかってしまいます。
砂利地の駐車場は、コストを抑えられますが、利用者にはあまり人気がありません。タイヤへの負荷が大きいので、高級車のオーナーは避ける傾向にあります。
また、駐車場需要が高い場合は立体駐車場も検討するべきです。
しかし、いずれにせよ周辺地域の需要がポイントになるので、しっかり調査を行いビジネス戦略をたてましょう。
4. 管理形態の決定
駐車場を管理するのに、いくつか方法があります。
どのスタイルを選ぶかによって、今後の収入に大きく差が出ます。これがいい!ということはありません。
それぞれの土地や周辺地域の状況から考えて、一番いい方法を選びましょう。そのためのポイントを簡単にご紹介します。
4-1. 月極駐車場
管理委託方式
駐車場の契約、駐車料金の集金などを管理会社に委託する方法です。
・メリット
面倒な事務手続きや敷地の管理など全てを任せられる
・デメリット
管理費を毎月払わなければならない(駐車料金の5%~10%程度)
一括借上げ方式
委託された管理会社は、駐車場の経営者に対して一括して借り上げます。
・メリット
毎月の収入が安定する
・デメリット
管理費が高い(駐車料金の15%~20%程度)
4-2. コインパーキング
土地賃貸方式
コインパーキング業者に土地を貸し出して、駐車場経営を自分の代わりにしてもらう方式です。
・メリット
初期投資がほとんどかからず、管理業務をしなくても毎月の収入が安定する
・デメリット
コインパーキングの収益が高くても、土地の賃料しかもらえない
自己経営方式
設置・運営・管理まで全部自分で行う。
・メリット
稼働率があがればその分収入が増える
・デメリット
稼働率が悪ければ収入が減る、又は赤字になる
5. 自己管理か管理・運営を委託するか
駐車場経営にあたり、どういう運営形態で進めていくのかはとても重要なポイントとなります。
ここは収入に直結するため、慎重な検討が必要です。
5-1. 管理・運営業者の選定
月極駐車場の委託
月極駐車場を運営する場合、不動産業者に委託するケースが多いです。
月極駐車場の場合、賃貸借契約書を作成したり、車検証を確認したり、事務手続きが必要になります。そういった手続きは、不動産会社が慣れています。
しかし、知っておくべきポイントは、駐車場はマンションを借りるときのような不動産賃貸借契約とは少し違います。マンション等の不動産に関する契約は宅建業法が適用され、宅建主任者が仲介します。
ところが、駐車場には駐車場法という別の法律が適用されるので、必ずしも宅建主任者の仲介が必要ではありません。つまり契約書の作成なども、やろうと思えば自分でできるのです。
ただ、不動産業者に委託するメリットとして、マンションを借りに来たお客さんが、同時に駐車場も借りるということが多いので、集客力を持っています。また、トラブル時には対応をしてくれるので、安心できます。
コインパーキングの場合
現在、コインパーキング業者はたくさんあります。
業者によって、得意エリアがあったり、経営スタイルが違います。また登録費用、オーナーへの支払い料金などの契約内容が大きく異なります。
よってコインパーキングは業者選びで収入に大きな差がでます。自分のニーズと地域の状況から総合的に判断して、自分に一番合った業者を選びましょう。
代表的な2社をご紹介します。
①パーク24
「Times」でお馴染みのコインパーキング。長い歴史があり業界ナンバーワンなので、とても安心できます。
②三井のリパーク
三井不動産グループの駐車場管理会社なので、信頼度と知名度は抜群です。24時間365日対応なので、トラブルにも安心です。
5-2. 自己管理の場合
駐車場経営の全てを自分で行い、運営していくという場合は、かなりの労力が必要になります。
また費用も全て自分で負担するので、初期投資とランニングコストがかかります。
さらに、駐車場経営がはじめての人は、駐車場法を確認しながら土地の選定・舗装・点検・清掃・料金の徴収・トラブル対応など、やることがたくさんあって負担がかなり大きいです。
よって専門知識がなく経験の乏しい方には向いていません。
6. 駐車場投資のポイントは運営スタイル!
数ある不動産投資の中でも、駐車場経営は簡単なように見えます。
しかし実際は知っておくべき運営スタイルのポイントがあります。そこを理解していないと、なかなか成功させることはできません。
ここ十年くらいの間で、コインパーキングなどの駐車場はとても増えてきましたが、簡単に儲かるというものではないのです。
とはいえ、駐車場経営は軌道に乗ればしっかり儲けられるビジネスです。
初期投資額も比較的少なく、その後は何もしなくても収入が入ってくるのでとても魅力があります。しかしその裏には、しっかりとした経営戦略がなければ成功に繋がらないのです。
繁華街にあるコインパーキングを見てください。たくさんある中で、お客さんが多い駐車場と、少ない駐車場があるのを見かけたことはありませんか。すぐ近くの駐車場でも、売り上げに差が出ているのが一目でわかるところがあります。
その差は何でしょうか。やはり成功している駐車場は、競合との差別化を図り、集客に対する戦略をしっかりともって運営しています。
一旦、駐車場経営をはじめると決めたら、周辺状況を入念に調査し、戦略を立てましょう。そして一人では難しいと判断したら、一緒に業務にあたってくれる業者に依頼しましょう。
たとえ費用がかかったとしても、大切なのは中長期的にみて収入を安定させることです。これが不労所得には大切なことです。
駐車場経営は不動産投資の一形態ですが、初心者でも取り組みやすいビジネスです。
もし興味が湧いたら、まずは自宅周辺のエリア調査を始めて駐車場投資への第一歩を踏み出してみませんか?
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