駐車場経営は、非居住用不動産の運用方法として今人気です。
建物を解体した後、収益が固定資産税・都市計画税より少し上回ればマイナスにならないため土地活用として有効な手段の投資方法となります。
投資家が駐車場経営を選ぶ理由は、次の3つです。
- 少子高齢化で収益用アパートの需要が以前より芳しくないこと
- 地価が上昇傾向にあるため売却した方が分割しやすい資産になること
- 大手駐車場サービスを利用すればメンテナンスを行わずに定期的に賃料が得られること
魅力的に感じますが、安易に「儲かるから」という理由だけで手を出せば失敗してしまいます。
今回は、駐車場経営を検討されている方に向け、実際の失敗事例から、対策方法を見出して行きましょう!
目次
1. 駐車場経営ならではのトラブルやリスクとは?
駐車場経営の失敗とは、大手の駐車場運営会社に管理を委託した際、競合する駐車場やコインパーキングに対抗するために値下げ合戦に巻き込まれてしまうことです。
他にも
- 前面道路が4m以下
- 一方通行
- 交通量が多く、駐車場に入りづらい
など、道路条件が悪いと業者から値下げの提案を飲まざるを得なくなります。
そうした土地は、本来は一戸建てや収益用アパートの方が向いているでしょう。
失敗した時期に起こりうるリスクは、駐車場事業は大手に依頼すると最初の提案賃料は高めに設定されることがあるということです。契約前に相場価格を見た上で今後金額調整を行う必要があると示唆され、駐車場経営がスタートします。
近くに繁華街やショッピング施設、宿泊施設など人の集まる施設がある場合、連動して顧客が見込めます。
しかし、住宅街にある土地の場合、個人で駐車場経営を行っても顧客から見つけてもらいづらく、大手の駐車場事業者に依頼をしても資産を寝かせてしまう…という残念な結果になります。
2. 実際の駐車場経営の失敗事例から対策方法を徹底解説
駐車場経営は大手駐車場事業者に依頼すると初期コストが「0(ゼロ)」からスタートできるため、アパート経営に比べ敷居が低く競争が激しい事業です。
比例して、失敗事例も多いです。
事例1 前面道路が一方通行で集客を失敗
相続をきっかけに、駐車場事業を始めた会社員Aさん(35歳)
不動産投資自体が初めてだったので、大手の駐車場事業に特化している不動産会社に管理を依頼しました。
しかし、対象の敷地は駐車が可能な台数は3台。前面道路が一方通行のため駐車場としては「不便な立地」でした。
そのため、手前の競合の駐車場に顧客を取られ集客に失敗します。
当初開始から半年で50万円の予定でしたが、結果は4割減の30万円。
今後、価格競争の突入を考えると心配でなりません。
対策:交通量・駐車場への入りやすさなどの情報収集を怠らない
こちらの例では付近の商店街と提携をすることで集客に成功。稼働率が8割まで上がりました。
安易な気持ちで駐車場事業を開始してしまったAさんが失敗してしまったポイントは事前情報の収集です。
あらかじめ、人通りや交通量を数値化し客観的に判断すべきでした。
事例2 駐車場運営は、管理が手間で失敗
一戸建てからマンションへ引っ越したBさん(40歳)
子どもが小学生のため、同じ学区内での移動でした。
将来、両親を呼び寄せるかもしれないという気持ちで一戸建てだった土地を更地にし、駐車場として管理することにしました。
住宅街なので、月極駐車場とし自営で管理を行い収益をあげようと目標をたてました。
しかし、初期コストを抑えるために砂利を敷いたことが失敗でした。
夏になると雑草が生い茂り、冬には雪かきが必要で、サラリーマンをしながら駐車場経営のために毎朝プライベートの時間を割くのは想像以上の負担でした。
対策:駐車場の管理委託をすることも検討しよう
ある程度顧客が見込めるようになったら、大手の駐車場事業のサービスを導入するといいでしょう。
月極契約と一部を時間貸しにして収益構造を変え、手間だった時間を解消できるよう提案してもらいましょう。
この事例の失敗は、手取りを多くしたい発想から「プライベートの時間」という資産を想像以上に削らざるえなくなったこと。
不動産投資は、いかにオーナーが動かずに収益をあげられるかという視点が大切になります。
事例3 価格競争に巻き込まれて失敗
相続で商業エリア近くの土地を得たCさん。
親の時代から駐車場として運用していたため、引き続き駐車場として運用しました。
しかし、商業エリアの一部に大型モールが建設され駐車場の需要がモールに取られてしまいました。
これがきっかけで、周辺の駐車場が価格競争を始めました。
結果、私の駐車場も当初の3割減で金額設定をすることとなり、価格競争の波に飲まれてしまって…これ以上下がってしまっては採算が取れないので駐車場経営を断念することになりました。
対策:周辺環境を常に確認して出口戦略を練る
大型モールの建設で環境が変わりました。
駐車場としての魅力が激減したため、失敗を認め経営を断念したことは良い判断でしょう。
環境変化が原因となった失敗事例です。
定期的に、役所へ行き周辺の建築申請届け出の確認を行うともっと早い段階で撤退を決断できます。
駐車場経営では出口の見極めのタイミングが非常に重要になります。
事例4 敷地内で交通事故。トラブル対応で失敗
自営で管理している駐車場の敷地内で利用者同士の交通事故が発生しました。
駐車場は私有地であるため保険適用がなく、オーナーであるDさんへ連絡が入りました。
ショックが大きいです…
事情聴取や弁護士のセッティングまで自費で行うことになり、肉体的にも精神的にも疲労が募りました。
対策:保険には必ず加入しよう
自営で行う場合、失敗に備え事業者用保険へ加入しておくといいでしょう。
手間はかかりますが、事業を法人化しておくと保険も多数の商品から選ぶことができます。
全てを自分自身で行わないほうがいいでしょう。特に不動産の場合、損害賠償額が大きくなる傾向があります。多少金額は負担しても、事業者用保険に加入しておきましょう。
3. 始める前に駐車場経営に向いている人の特徴を知ろう
そもそも、駐車場経営を始めるときに、このような人なら駐車場経営に向いている!という特徴をご説明します。
- アパートやマンション経営よりお金をかけたくない人
- 将来別の土地活用を考えている人(駐車場経営は建物の解体の手間などがないので転用しやすい)
- 再建築不可など、法律で建物は建築できない場所で土地活用を考えている人
- 相続税対策として短期間で不動産投資を考えている人
こういった人には駐車場経営は最適な土地活用方法と言えますが、逆に、長期間で安定した投資を考えている人には、駐車場経営よりもアパートやマンション経営の方が向いていると言えます。
4. おすすめ!駐車場経営セミナー・駐車場経営ブログ紹介
駐車場経営での失敗を防ぐコツとしてもう1つ。
セミナーに行ったりブログ・コラムで実体験を読んで知識を付けることです。おすすめのものをいくつかご紹介します。
事業主レポート:駐車場経営者が駐車場を手放した理由
https://www.kenbiya.com/column/hirota/10/?ac=UL
北関東でビル・駐車場投資などをしている広田健太郎さんの健美家コラムです。
国内最大手「パーク24」の土地活用セミナー
5. 失敗しない駐車場経営は、周辺環境の変化を見ること
駐車場経営は、周辺に点在する大手駐車場・コインパーキングと競合し、値下げ合戦を行うことになります。
失敗の多くは、価格競争が原因です。
設備のクオリティーを上げたとしても、料金を上げることはできません。
これまで述べてきたことからズバリ、駐車場経営で失敗を防ぐコツは以下の4点。
- 周辺環境や競合などの立地条件から駐車場経営向きの土地か、需要があるか調査する
- (管理委託する場合)会社を選定する
- 撤退するタイミングを見極める
- (自営で行う場合)保険には加入しておく
駐車場は「一時的に不動産を運用するため」に選ぶオーナーが多く、立地を選定しても常に競合が生まれやすい事業です。
そのため、環境の変化へ常にアンテナを張り決断することが求められます。
失敗を防ぐために撤退ラインを決めてから取り組むと、判断がスムーズでしょう。
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