不動産投資と一言にまとめることは簡単です。「不動産を買って収益を得る」。
その中でも自分で不動産を持つわけではないけど、不動産に投資する不動産投資信託・J-REIT(リート)というものがあります。
不動産投資信託ってどう利益を得るんだろう?と思う方いらっしゃると思います。
そんな人のために、不動産投資信託(J-REIT)を理解するために抑えておくべき項目をまとめました。
- 不動産投資信託とは?
- 仕組み
- メリット、注意点、リスク
- 将来性
などを、この記事で解説していきます。
不動産投資信託を始める前に知っておくべきポイントをまとめた記事です。是非読んでから始めてみてはいかがでしょうか。
目次
1. 不動産投資信託(J-REIT)とは
もともとアメリカで生まれた仕組みでReal Estate Investment Trust(不動産投資信託)の頭文字をとったものがREIT(リート)です。
日本ではJapanの頭文字を付けて「J-REIT」と呼ばれています。
不動産投資信託・不動産ファンド・J-REIT・不動産投信などさまざまな呼び方がありますが全て意味は同じ。
また、法律に基づき「不動産投資法人」と呼ばれる会社のような形態をとっています。
では、J-REITとはなんでしょうか?
投資家の皆様から集めた資金で不動産を購入し、そこから得られる賃料収入・売買益を投資家の皆様に分配する商品のことを言います。
不動産を投資対象にした金融商品という認識して頂ければ大丈夫です。
そのため、不動産に投資をしますが、法律上は投資信託(ファンド)の仲間になります。
現物を購入する訳ではないため、少額から始める事ができます。東京証券取引所に上場しており、2024年2月時点で58銘柄に上りました。
J-REITの保有物件
- マンション・アパート
- オフィスビル
- 住宅
- 商業施設
- ホテル
- 倉庫
- 介護施設
など、多方面にわたります。
2. 不動産投資信託(J-REIT)の基礎知識
不動産投資信託(J-REIT)を始めるにあたって、それに関わる専門用語の意味を理解しておく必要があります。最も基本的な2つを以下で説明します。
①J-REIT価格
不動産投資信託は「証券取引所」に上場しています。
基本的には一般企業の株式と同じで投資家の売買の状況によって価格が決まります。
②分配金
分配金とは、決算の時に投資家に支払われるお金のことです。(株式会社で言う、配当金と一緒です。)
ほとんどのJ-REITが年2回の決算を行っているので、運用が順調であれば年に2回の分配金を貰えます。
●通常の株式・有限会社など:会社の税制上所得に法人税がかかります。また、次の事業に向け「内部留保」もかかります。その残りを原資として、配当金が支払われます。
●不動産投資信託・J-REIT:収益の90%超を分配するなど、一定の条件に達した場合は実質的に法人税はかかりません。また「内部留保」もないので、収益をほぼ分配金として貰えます。
一般の株式よりも、投資家に分配金を支払いやすい金融商品が不動産投資信託・J-REITです。
3. J-REITの仕組みとは?
J-REITは、投資証券(株で言う株式証券と同じです。)を発行し、投資家はこれを購入するという仕組みです。
投資家から預かった資金で不動産などに投資をします。その購入した物件の家賃収入・売買収益を投資家に分配しています。
また、「金融機関から融資を受ける」「株式会社でいう社債に当たる投資法人債を発行する」ことで資金調達をすることもあります。
J-REITは、「役員会」が設置されています。それで意思決定をします。しかし、法律で運用などの実質的業務をすることが禁止されています。そのため、資産運用・資産保管・一般事務は各々の会社に委託しています。
また、役員の選任などをする「投資主総会」もあります。ここでは、投資家が意思を示すことができます。
上記の記載した、主に委託している関係会社の役割について以下で説明していきます。
①資産運用会社
資産運用会社とは、「物件の選定を行う」「どの様な条件で賃貸するのか」などの戦略決定。また、「物件価値を維持するため、修繕計画の立案して実行」「財務戦略を立案して必要資金調達」しています。
②資産保管会社
資産保管会社とは、「保有物件の資産管理」をしています。通常の場合、信託銀行が資産保険会社になります。
③事務委託会社
事務委託会社とは、「会計・納税・投資法人債に関する事務」などを行います。それぞれ業務別で各々会社が選ばれます。
4.不動産投資信託(J-REIT)の特徴を理解しよう!
不動産投資信託(J-REIT)をするにあたって抑えておくべき内容とは?以下にメリットと始めるにあたっての注意点とリスクをまとめました。
①メリット
- 少額で複数の不動産に分散投資ができる。
- ・賃料収入を主な収益としているので分配金が急激に変動しにくい。そのため分配金が安定している。
- ・税引き前利益の90%超を配当として支払うと法人税がかからない。
- ・証券取引所に上場しているので、株式のようにいつでも売買が可能。
→換金性・流動性の面では実物不動産にはない大きなメリットです。 - ・市場の透明性確保・投資家保護のため、投資法人・資産運用会社に関する情報や運用資産 の内容などについて、適時開示を行っています。
- ・REITを介して不動産に投資するので、不動産の目利きが必要ない。
→物件の目利きはプロがやってくれるので、一定の質が担保された不動産に投資できます。
②注意点
- ・実物の不動産投資のように借入れをして大きな収益を期待するような投資はできません。
- ・オーナーとして不動産経営の面白さを追及したいニーズには応えられない投資です。
- ・運用会社の信用リスクには十分注意が必要です。
- ・元本保証がされない。
③6つのリスク
(1)価格変動
証券市場に上場しているので、需給関係により価格が変動します。市場全体の影響を受けるので個々の業績に変動がなくても価格変動する場合があります。また、投資法人によっても価格変動の要因は違います。
決算時の分配「権利確定」「投資口の追加発行」「資産の取得・売却」「決算発表」「スポンサー交代」「合併」などで価格変動します。
(2)収益変動
投資家は分配金を貰う権利があります。しかし、それは確定されたものではありません。なぜなら、「災害での建物の毀損」「テナント退去・未納」「賃料の減額」「物件売却損」など経済情勢で収益の変動があるからです。また、増資をして利益が出ても1口あたりの分配金が減少する場合もあるので注意が必要です。
(3)金利変動
投資家からの資金の他に、金融機関から借り入れをして物件を得ます。金利上昇したら利息負担も増えます。そのため、収益が減ります。また、「分配金利回り」「債券市場とのリスクスプレッド」が減少した際も価格が下がる場合があります。
(4)運用体制
資産運用会社には、スポンサーによる「人員提供」「不動産開発」「不動産の管理」など設立後も運営に深く関わってきます。スポンサーとの利益相反しやすい仕組みです。そのため、投資法人は外部者を含めた「コンプライアンス部門の設置」「徹底した情報開示」をすることで、利益相反のリスクを回避する意向です。
(5)法制度変更のリスク
>REITに関わる法制度変更で新たな規制がかかった時、資産・投資元本の価値が変動する場合があります。
(6)倒産・上場廃止のリスク
REITにも倒産リスクがあります。「金融機関の融資環境の変化」「投資法人の収益低下でキャッシュフローの悪化」で、資金調達が出来ずに倒産するリスクがあります。もし、破綻になっても、不動産価値がなくなる訳ではありません。理論上では、精算時に不動産売却をすれば、投資資金が戻ってくる場合があります。また、証券取引所の上場廃止基準に該当した際も、上場廃止になるリスクがあります。
※「上場・増資の際に発行される目論見書」「決算毎に開示される報告書等」は、他のリスクの詳細が記載されています。投資する際は、よく読んでリスクを確認することが、とても大切です。
5.ETFとREITの違いとは?
「Exchange Traded Fund」の略称がETFです。日本では「上場投資信託」と言いわれています。これは、日経平均株価と連動しています。REITは不動産市場の影響を受けるのでここが2つの違いです。ではETFにはどのような特徴があるのか以下で説明していきます。
①ETFの特徴とは
ETF様々な株式を取り入れている商品なので、一社倒産しても投資資金がゼロになることはないほぼないです。では、REITとはどの様な違いがあるのでしょうか。以下にまとめました。
・信託報酬が投資信託よりもETFは安い。(近年、株式売買手数料は非常に安価な為)
→ETFは株式市場で売買されるので、販売会社の手数料は株式売買手数料となる。
・株式と同じ様な売買が可能なので市場が開いてる時間はいつでも売買可能です。
→投資信託、解約受付終了後に計算して、売買価格が決まります。(思ってたよりも高い価格購入。または安い価格で売却されてしまう場合があります。)
②REIT-ETFとは
ETFの種類の中にあるのが「REIT-ETF」です。REIT-ETFは、REIT指数に連動するETFのことです。REITで、どの銘柄を買えば良いのか分からない時に、東証REIT指数に連動するETFに投資すれば、上場しているREITにまとめて投資するのと同じ効果が得られます。どちらも東証REIT指数に連動しているので投資しているREITは同じです。要は、ほぼ同じ商品ということです。
では、どのような特徴があるのでしょうか?以下で説明していきます。
- ・分配の利回りが概ね2%台後半と比較的高い。
- ・分配金の分配回数が、ほとんどのETFが年に4回と多い。
- ・ほとんどのETFが2万円前後で取引ができます。
東京証券所で扱ってるものは全部で8銘柄あります。その中の6銘柄が東証REIT指数に連動しています。他の2銘柄は、海外のREIT指数に連動しています。つまり、東証取引所に上場しているJ-REITを取り入れ、東証REIT指数に連動した運用結果を目指す投資をREIT-ETFと言います。では、REIT-ETFのメリットとはなんでしょうか?以下に2つ書きました。
- ・投資リスクが低く破綻リスクはほぼゼロ。
- ・小口の株式で販売している
商品の特性を理解した上で始める事はとても大切です。上記を読み良い点悪い点を認識した上で自分の合ってるものを選ぶのがベストでしょう。
6.J-REITのおすすめランキングサイト
J-REITでどの銘柄が人気なのか?気になると思います。1位~58位までランキング形式になっているサイトを以下に貼っておきます。
ランキングへGO提供元:JAPAN-REIT.COM
7.J-REIT将来の見通しは?
不動産投資信託(J-REIT)の将来の見通しはどうなのか予想を見ていきましょう。
今後は、上値を探る展開が予想できます。なぜなら、東京都心オフィス市況の回復傾向が続いているからです。また、米国では追加利上げが予想されます。ただ、日銀の金融緩和で国内の長期金利は低位で推移が見込まれるので、下支えしそうです。相対的に高い分配利回りを見ている投資家の買いも期待できます。
他方では、英国総選挙・仏下院選挙が予定しています。
また、「北朝鮮が挑発的な行動を繰り返す」「トランプ政権とロシアとの不透明な関係の疑惑」に加えて「欧州の政局不安が広がる」ことで、内外の金融市場が不安定になる可能性があるので注意しましょう。
8.まとめ
不動産投資信託(J-REIT)について説明してきましたがいかがでしたでしょうか。
不動産に投資するので不動産投資と似ていますが、異なることということ。また、この不動産投資信託(J-REIT)の仕組み・メリット・リスクについて理解して頂けたのであれば、幸いです。
しっかりと不動産投資信託(J-REIT)を分かった上で始めてみてはいかがでしょうか。
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