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不動産購入後の確定申告のやり方|住宅ローン控除の利用条件と手続き方法を解説

不動産を売却して利益が出た場合には、確定申告をして所得税を支払わなければなりません。
また不動産を購入した場合でも、確定申告をした方が良いこともあります。
住宅ローンを組んで不動産を購入したときに要件を満たせば、納めた税金を還付してもらえる可能性があります。
この制度を住宅ローン控除といい、所得税から年末ローン残高の1%が控除されますが、利用するには確定申告を行わなければなりません。
この記事では住宅ローンを利用して不動産を購入した場合の、確定申告のやり方などについて解説しましょう。

不動産を購入した年の確定申告を行うまでの流れ

まず不動産を購入した年の確定申告を行う方法について説明します。

確定申告の申告方法

確定申告については、次の3つの方法があります。

1. 税務署に出向いて申告する
混んでいる場合には手続きに時間がかかりますが、わからない箇所は質問できるので初めて確定申告をする人には良いでしょう。
確定申告会場が開かれる場合には、そこでも相談および申告が可能。

2. 税務署に郵送して申告する
必要書類を郵送すれば混雑することはありませんが、郵送料がかかります。
質問や相談はできないので、何度も確定申告を経験している人向けの方法。
なお提出期限日は消印有効なので、郵便局の窓口で確認するようにしましょう。

3. e-Taxで申告する
自宅で居ながらにして24時間申告でき、添付も不要なので便利。
申告書を取り寄せる必要もなく、国税庁サイトからダウンロードできます。
なおe-Taxを利用するには、電子証明書とカードリーダーを用意する必要があります。

確定申告の期間

確定申告期間は、毎年 2月16日から3月15日までと決まっています。
土日祭日は原則的に休みですが、確定申告の期間は開いている税務署もあります。

確定申告を行う時の必要書類

確定申告に必要な書類は次のようなものがあります。

書類名 入手先 備考
確定申告書A 税務署またはダウンロード 税務署に出向くか郵送・国税庁サイトからダウンロードも可。
住宅借入金等特別控除額の計算明細書 同上 同上
本人確認書類(マイナンバーカードまたは住民票) 市町村の役場 住民票にはマイナンバーが記載されていること。夫婦とも控除を受けるときはそれぞれ必要。
源泉徴収票 勤務先 住宅を購入した年のもの。
住宅ローン年末残高証明書 金融機関 融資を受けた金融機関から送付されます。
建物と土地の売買契約書および請負契約書 不動産会社 契約をした際の書類。
建物と土地の登記事項証明書 法務局 購入した住宅を管轄する法務局。
その他の書類 不動産会社等 認定長期優良住宅や認定低炭素住宅・耐震基準を満たす中古住宅の確定申告の場合に証明する書類の写し。

確定申告書類の提出先

必要な書類がすべて揃ったら、まず住宅借入金等特別控除額の計算明細書を作成します。
これができたら次に確定申告書(A様式)を作成。
この2つの書類が完成したら、ほかの必要書類を添えて、住所を管轄する税務署に提出します。

不動産を購入した年の確定申告をした後の流れ

確定申告をした後は、どのような流れになるのか説明します。

税金の還付方法

確定申告をした後の税金の還付方法は、次のとおりです。

所得税

確定申告をした後1カ月からカ月半ほどで、指定し金融機関の口座に還付金が振り込まれます。
e-Taxを利用すれば、少し早く3週間程度で入金される場合もあります。

住民税

所得税で満額控除できなかった場合には、翌年度の住民税から控除されます。
住民税の場合には、確定申告をした情報が市町村で把握できるので申告をする必要はありません。

2年目以降は会社の年末調整を利用する

住宅ローン控除はサラリーマンも場合には、2年目以降の確定申告は不要です。
会社の年末調整で住宅ローン控除手続きができ、その際次の書類が必要。

必要書類 入手先 備考
住宅借入金等特別控除申告書 税務署 確定申告をした際に、2~10年分の書類が送られてきます。
住宅ローンの年末残高証明書 金融機関 借り入れしている金融機関から毎年贈られてきます。

不動産を購入した年に確定申告を忘れてしまった場合の対処方法

「忙しくて住宅を購入した年に確定申告を忘れてしまった」、という場合にはどうしたらよいでしょうか?

税の還付申請は5年間請求猶予期間がある

税金の還付の申告期限は、申告する年分の翌年1月1日から5年間と定められています。

忘れた場合でも必要書類を提出することで申請をすることが出来る

5年以内に住宅ローンの還付申告を行えば、還付を受けられます。
還付申請は、年月が経つにつれ忘れてしまうもの。
還付金額は大きなものなので、忘れずに申請しましょう。

住宅ローン控除を利用するための手続き方法

住宅ローン控除を受けるためにはどうしたらよいのか説明します。

住宅ローン控除を受けるための適用要件

住宅ローンの適用は、物件よって異なります。

新築マンションの条件

1. 新築または取得の日から6ヶ月以内に住むこと、および適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること。
2. 新築または取得をした住宅の床面積が50㎡以上、床面積の1/2以上の部分が自分の住むためのものであること。
3.特別控除を受ける年の所得金額が、3,000万円以下であること。
4.10年以上の住宅ローンがあること。

中古マンションの条件

新築マンションの条件のほかに、中古マンションの場合には条件1または条件2いずれかを満たさなければなりません。

条件1:構造上の耐久年数制限
1.鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造など耐火建築物の場合は、25年以内に建築された住宅であること。
2.木造建築など耐火建築物以外の場合は、20年以内に建築された住宅であること

条件2:一定の耐震基準を満たしていること
①耐震基準適合証明書を取得すること。
②耐震等級1以上の住宅性能評価書を取得すること。
③既存住宅売買瑕疵保険に加入すること。

条件1の耐久年数のどちらかに当てはまれば、条件2を満たす必要はありません。
条件1のどちらかに当てはまらない場合には、条件2のいずれかを満たさなければなりません。

増改築した場合の条件

増改築で住宅ローン控除を受けるためには、新築マンションの条件のほかに下記のうちのいずれかの条件に当てはまらなければなりません。

1.増築や改築・建築基準法に規定する大規模な修繕、または大規模の模様替えの工事であること。
2.区分所有建物では、床や階段・壁の過半についての修繕・模様替えの工事であること。
3.住宅のうち居室や調理室・浴室・便所・洗面所・納戸・玄関・廊下の一室の床または壁の全部についての修繕・模様替えの工事であること。
4.現行の耐震基準に適合させるための一定の修繕・模様替えの工事であること。
5.一定のバリアフリー改修工事であること。
6.一定の省エネ改修工事であること。
7.工事費用が100万円を超えていること。
8.中古マンションの条件2の一定の耐震基準を満たしていること。

住宅ローン控除関係書類の記載方法

確定申告する際に住宅借入金等特別控除額の計算明細書を作成し提出しなければなりませんが、その記入の仕方について順を追って説明します。
なおこの用紙は税務署または国税庁のホームページから入手できます。
1.住所及び氏名
共有者がいる場合には、その人も記載します。
2.新築又は購入した家屋等に係る事項
居住開始年月日は購入日でなく、実際に住み始めた日。
取得価格の額は売買契約書に記載されています。
総(床)面積は登記簿謄本に記載されています。
3.増改築等をした部分に係る事項
増改築でない場合には、記入不要。
4.家屋の取得対価の額又は増改築等の費用に額に課されるべき消費税額等に関する事項
税制改正により、特別特定取得に該当する場合には控除期間が13年まで延長(3年)、
該当するか否か等の情報が必要。
5.家屋や土地等の取得対価の額
共有の場合には、該当不動産の持ち分割合および金額を記載。
6.居住用部分の家屋又は土地等に係る住宅借入金等の年末残高
住宅借入金等の年末残高が金融機関から送付されますので、その金額を記載します。
7.特定の増改築等に係る事項
増改築がない場合には記入不要。
8.(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額
8%、10%両方ある場合には、別途10%部分を抜き出し計算する必要があります。
9.控除証明書の交付を要しない場合
「要しない」場合に、〇で囲います。

なお令和元年分の詳細な変更点については下記を参照ください。
http://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/191227/pdf/01.pdf

住宅ローン控除の控除期間と控除額

次に住宅控除できる期間と、控除可能な額について解説します。

住宅ローン控除期間

控除期間は10年間でしたが、税制改正に伴い消費税率10%が適用される売買では、減税期間が3年間延長され13年になります。
ただし3年間の延長期間に適用する場合は、居住開始が2023年12月31日までに入居しなければなりません。
また2024年1月1日以降は、従来の住宅ローン減税制度に戻ります。

住宅ローン控除額

10年間は年末の住宅ローン残高の1%、最大で年間40万円(認定住宅等は50万円)の減税。
したがって10年間では最大400万円が所得税から戻ってきます。
また所得税から控除しきれなかった部分については、住民税から課税所得金額の7%または136,500円のいずれか少ない金額が控除可能。
なお消費税10%で売買された住宅の11年目以降については、住宅ローン残高の1%または建物購入価格(一般住宅4,000万円、認定住宅等は5,000万円まで)の2%を3年で割った額の低い額が税額控除されます。

税制改革による住宅ローン控除を表にすると次のようになります。

現行 改正後
控除期間 10年 13年
消費税額 8% 10%

 

不動産を購入した際の住宅ローン控除額のシミュレーション

それでは実際に住宅ローン控除額は、どの程度になるかシミュレーションしてみましょう。

年収600万円のケース

次の条件と仮定します。
年収:600万円
課税所得額:260万円
所得税:16万円
住民税:27万円
借入金:3500万円
ローン金利:1.5%
借入期間:30年
初年度ローン残高:34,100万円

上記条件でシミュレーションすると
控除額上限:34,100万円×1%=約34万円
所得税控除額:16万円
住民税可能控除額:34万円-16万=18万
住民税からの控除可能額は課税所得金額の7%または136,500円のいずれか低い額
よって課税所得金額260万円×7%=182,000>136,500なので135,000が控除額
したがって13万円+135,000円の合計額=265,000円が控除されます。

なお、住宅ローン控除の計算ができるサイトは多くあるので利用すると便利です。

住宅ローン控除を使用するときの注意ポイント

住宅ローン控除を利用するときの注意点を説明します。

夫婦共有名義にする場合には将来設計を考慮する必要がある

住宅を夫婦共有にするメリットは、高額の住宅を購入できること・夫婦ともに住宅ローン控除を受けられること・売却時には夫婦ともに3,000万円特別控除が受けられるなどのメリットがあります。
しかし反面デメリットもあるので、よく将来の設計を考慮することが必要。

妻の収入減のリスク

出産や子育てで家庭に入った場合には収入が減ったり、なくなることも考えておかねばなりません。
そのような場合には、妻が住宅ローンを支払うことができなくなる恐れも。

離婚の際にはトラブルの恐れも

離婚の際には、財産分与やどちらが住み続けるのかなど揉め事になる恐れがあります。
また場合によっては、贈与税がかかることも。

相続が発生した時に問題が起こる恐れも

子供がいない場合には、配偶者の兄弟や・甥や姪まだも相続人になる可能性もあり、トラブルになる恐れも。

必要書類を早くに取得しないようにする

住民票及び登記事項確認書の有効期限はありませんが、最新のものを提出するよう求められます。
したがって、極力3カ月以内に発行したものを提出するようにしましょう。
確定申告の期間は、2月16日からなので、年が明けてからでも遅くはありません。

住宅ローン控除を利用するために確定申告を忘れないようにしよう

不動産の購入は、人生で一度あるかないかの大きな買い物です。
金融機関から借り入れして住宅を購入すれば、10年間にわたって1%戻ってくるのはとても大きなメリット。
サラリーマンは、2年目以降の住宅ローン控除は年末調整で簡単にできるので、忘れずに申請するようにしましょう。

なお住宅ローン控除についてわからない点疑問の点がある人は、MIRAIMOの「不動産投資勉強会」や「個別相談会」に相談することをおすすめします。

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