公的年金の問題など将来に不安を感じている人が少なくないといわれています。
しかし、今から貯蓄しても、余裕のある老後の暮らしができるだけの蓄えができるのでしょうか?
何か効率的な副業がないか、探している人が増えてきているようです。
そこで、現在注目されているのが不動産投資。
賃貸経営であれば、不労所得として家賃収入という安定した収益を老後も引き続き受け取ることができるでしょう。
しかし、不動産投資をするために必要な費用を押さえておかないと実践には移せません。
そこで、今回は不動産投資に必要な費用を「購入」「運営」「売却」「法人化」の4つの場面に分けて詳しく解説します。
不動産投資では、お金の収支を明確にすることがポイントになるでしょう。
したがって、キャッシュフローに強い人が成功する投資だといえるのです。
目次
1. 不動産投資の購入時に必要な費用
不動産投資では、投資対象として賃貸マンションやアパートなどの賃貸物件を購入しなければいけません。
そこで、物件購入のために、どれくらいの費用が必要になるのかをシミュレーションしてみましょう。
①物件購入代金
物件購入に必要な初期費用として、物件価格の8%程度は必要だと言われます。
たとえば、1,000万円の中古のワンルームを購入するのであれば、初期費用として用意しなければならない額は80万円くらいになるのです。
1,000万円の物件を金利2%程度で返済期間を35年として、フルローンで購入する場合の初期費用の内訳は以下の通りです。
数字は、あくまで一般的な目安になります。
1,000万円の中古のワンルームを購入する場合の初期費用の内訳 | |
仲介手数料 | 36万円 |
ローンの事務手数料 | 20万円 |
登記費用 | 20万円 |
印紙代 | 1.5万円 |
固定資産税・都市計画税 | 4.5万円 |
火災保険 | 1万円 |
合計 | 83万円 |
②仲介手数料
仲介を依頼すると、不動産業者に対して仲介手数料を支払う必要があります。
仲介手数料は、「媒介報酬」ともいわれ、法律により上限が設定されているのです。
したがって、物件の売買代金の額に応じて計算された額を超えて請求することはできません。
○仲介手数料の上限額の計算式
売買代金 | 仲介手数料の上限 |
200万円以下の場合 | 売却代金×5%(消費税を加算) |
200万円超400万円以下の場合 | 売却代金×4%+2万円(消費税を加算) |
400万円超の場合 | 売却代金×3%+6万円(消費税を加算) |
③ローンの事務手数料
不動産投資では、金融機関からの融資が欠かせないといわれます。
しかし、融資を受けるためには事務手数料を支払わなければいけません。
金融機関により事務手数料の額は異なり、2.16%と決められている「定率型」、約3~6万円と決められている「定額型」があります。
④登記費用
不動産を購入したときには、法務局で購入した物件の移転登記をしなければいけません。
売買により物件の権利が移ったことを記録しておくのです。
費用としては登記のための登録免許税と司法書士に支払う手数料になります。
登録免許税を支払って自分で登記することもできるのですが、司法書士に依頼するのが一般的です。
費用は登記の種類や不動産のある都道府県などの条件によって幅がありますが、例えば1,000万円の物件であれば20万円程度は用意しておく必要があります。
⑤税金・印紙代
固定資産税は、毎年1月1日時点の所有者に対して課税されます。
したがって、売主が全額支払うことになります。
しかし、売却後の税金まで支払う必要はないでしょう。
そこで、物件の引渡し以降の税金については、買主が日割り計算で売主に支払うのが一般的です。
印紙代とは、契約を結ぶときに契約書に貼付する印紙のことです。
印紙代の額は、契約金額に応じて定められています。
契約金額が1,000万円であれば、売買契約書に5,000円、金銭消費貸借契約書に1万円の収入印紙を貼付することになります。
初年度のみ不動産取得税も掛かる
不動産取得税は購入時には必要ありませんが、購入後3カ月~6カ月後に支払わなければいけません。
請求に慌てることがないように、あらかじめ用意しておきましょう。
不動産取得税の額は固定資産税評価額の4%になります。
⑥保険料
金融機関が融資するときには、購入する物件を担保にして抵当権を設定します。
したがって、万が一火災などで物件が焼失すると融資した額を回収することができないかもしれません。
そこで、ローン契約の際には、火災保険へ加入しなければならないのです。
火災保険料の額は保険会社により様々ですが、鉄筋コンクリートのマンションであれば年間1万円程度になるでしょう。
2. 不動産投資物件の運用中に必要な費用
不動産に投資するということは、賃貸物件を他人に貸して家賃収入を得るというのが一般的です。
したがって、長期に渡って賃貸物件を管理していかなければなりません。
そのためには運営費が必要になります。
①修繕費|リフォーム・リノベーション費用
賃貸物件は、時の経過とともに老朽化が進みます。
古びた物件では、入居希望者の賃貸需要を持たすことができないでしょう。
そこで、賃貸物件には定期的なメンテナンスが必要になります。
リフォームやリノベーションといった修繕費が必要になるのです。
一般的に、物件の価値を維持する修繕がリフォームで、物件の価値を向上させる修繕がリノベーションだといわれています。
経費にはどこまで計上できる?
原則として、必要な費用が20万円未満または修繕周期が3年以内であれば修繕費にできます。
それ以外の場合、通常の維持管理や原状回復のための修繕であれば修繕費、価値や耐久性を向上させる修繕であれば資本的支出として計上するのが一般的です。
修繕費であれば、その年の経費として一括で計上できます。
しかし、資本的支出であれば、資産計上してから償却期間にわけて減価償却することになるのです。
②管理費(管理会社に委託している場合)
賃貸管理をマンション管理会社などに委託している場合、管理委託費用を支払うことになります。
管理委託費用の額は管理会社により様々ですが、一般的には家賃収入の5%程度になるようです。
③固定資産税・都市計画税
固定資産税は土地・建物に対する市町村税で、1月1日時点の所有者に課税され、標準税率が1.4%です。
税率を掛ける固定資産税評価額は市町村の固定資産税台帳に記載され、土地は時価の6割~7割、建物は5割~7割が目安になります。
都市計画税は、都市計画区域内にある土地・建物に課税される市町村税で1月1日時点の所有者に課税されます。
税率は、最大で0.3%です。
④不動産取得に対する税金
不動産取得税は不動産を取得した人に対する都道府県税で、不動産を取得してから3~6カ月後に税金を支払うことになります。
ただし、固定資産税とは異なり、税金を支払うのは不動産を取得したときだけです。
不動産取得税の額は固定資産税評価額の4%になります。
3. 不動産の売却時に必要な費用
不動産投資では、出口戦略である売却までを通して投資計画を立てなければいけません。
なぜなら、運用で利益を上げても売却で失敗すれば元も子もないからです。
したがって、売却時に必要な費用も押えておく必要があります。
①測量費用
登記簿に記載されている公募による売買であれば測量費用を負担する必要はありません。
しかし、実測による売買をするのであれば測量費用を負担しなければならないのです。
費用の額は、30万円~50万円くらいになるでしょう。
②仲介手数料
一般的に物件を売却するときには、不動産会社に仲介を依頼します。
先ほども仲介手数料について記載しましたが、仲介手数料は売買代金により上限が定められているので、どこの不動産会社に依頼しても上限は変わりません。
しかし、定められているのは上限なので、仲介手数料に対して一定のサービスをしている不動産会社も存在します。
③ローン関連費用
売却する物件にローンの残債があれば、売却時に完済することになります。
残債のある物件を購入する人はいないからです。
そこで、金融機関に対して一括繰上返済の手数料を支払わなければいけません。
手数料の額は金融機関によって異なるのですが、1万円~3万円程度です。
インターネットを経由すれば5,000円程度になることもあるのでチェックしておきましょう。
④登記関連費用|免許税
不動産を購入するときに金融機関から融資を受けていれば、購入した物件に抵当権が設定されているはずです。
売却時には、設定された抵当権を抹消登記により消さなければいけません。
抹消登記の費用である登録免許税が必要になります。
抹消登記の登録免許税の額は、1不動産に付き1,000円です。
たとえば、一戸建てだと土地と建物で2,000円になります。
また、司法書士の手数料として1万円程度用意しておきましょう。
⑤そのほかの税金
不動産売却時に必要になる税金は、登録免許税だけではありません。
売買には契約書が必要になります。
また、物件を売却したことで利益が発生することもあるでしょう。それぞれのケースで課税されるのです。
印紙税
不動産売買の契約をするときには、印紙税を支払わなければいけません。
売買契約書に印紙を貼付して消印することで印紙税を支払うことになるのです。
税額は、文書の種類や契約の金額に応じて異なります。
たとえば、1,000万円を超え5,000万円以下であれば2万円、5,000万円を超え1億円以下であれば6万円です。
不動産譲渡所得税
不動産の売却により利益が生じれば翌年の確定申告で不動産譲渡所得税を申告納付しなければいけません。
税額の計算で使用される「課税譲渡所得」の計算は以下の通りです。
課税譲渡所得の計算 |
課税譲渡所得=売却価格-(取得費+諸経費)-特別控除額 |
課税譲渡所得に税率を掛けて税額を求めます。
税率は物件の所有期間により異なり、譲渡した年の1月1日に所有期間が5年以下で短期譲渡(所得税30%・住民税9%)、5年を超えていれば長期譲渡(所得税15%・住民税5%)です。
4. 不動産投資で法人化する際に必要になる費用
不動産投資では、所得が一定の額を超えると、法人化する人が少なくありません。
法人化により税金面などで有利になるという理由があるからです。
しかし、法人化するためには、どれくらいの費用が必要になるのでしょうか?
①自分で設立する場合
専門家でなくても法人化はできます。
そこで、投資家が専門家の手を借りずに自分自身で法人を設立する場合に必要な費用を紹介しましょう。
定款に関わる費用
法人化では、会社の法律といえる定款を作成しなければいけません。
法務局のホームページから、商業・法人登記の様式の設立を参考にするのがおすすめです。
株式会社を設立する際に公証役場で支払う費用としては、定款の頁数や通数により異なることもあるのですが、
- 定款認証手数料として5万円
- 定款謄本代として2,000円程度
- 定款印紙代として4万円
が必要です。
しかし、公的な認証サービスを利用していれば、オンライン申請からダウンロードすることで定款印紙代の4万円を節約することができます。
会社印作成
法人化する場合、最低でも法人印と銀行印の2本は必要になります。ネット通販を利用すれば5,000円程度で作成可能でしょう。
登録免許税
株式会社を設立するときには、法務局で法人登記をしなければいけません。
法人登記の費用としては、
- 登録免許税が15万円
- 登記事項証明書代が1通600円
- 印鑑証明代が1通450円
になります。
②専門家に依頼する場合
賃貸経営で忙しい中、定款の作成などの法人化の手続きは、手間や時間が掛かり面倒でしょう。
投資家自身で法人化することもできるのですが、やはり専門家に依頼するほうがスムーズに法人化を進めることができます。
報酬
法人化を依頼するのは、法人化のプロである司法書士になります。
司法書士に依頼した場合に必要になる費用は、司法書士により異なりますが、株式会社であれば報酬も含めて25万円~30万円は必要でしょう。
5. 費用を全て把握して健全な不動産投資を行おう!
購入・運営・売却と、それぞれの場面で掛かる費用は異なるため、前もって把握しておくことが円滑かつ健全な不動産投資には欠かせません。
不動産投資では、お金の出入り、つまり「キャッシュフロー」の把握が成功するためのポイントです。
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