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マンション購入時に必要になる修繕積立金とは?|相場や注意するべきポイントを紹介

マンションを購入して保有する場合、修繕積立金や管理費が必要になります。

どうしてもローン額などに気持ちが行きがちですが、修繕積立金はマンションの維持管理に欠かせない費用であると同時に、数年後に値上がりすることもあるため注意が必要なのです。

今回は、マンションの修繕積立金について詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

1. マンション購入で必要になる修繕積立金とは?

マンション購入で必要になる修繕積立金とは?

まずは、マンション購入で必要になる修繕積立金について理解しておきましょう。

マンションの修繕積立金とは

修繕積立金とは、建物の診断・修繕工事などに充てるために積み立てる費用です。

マンションの管理組合は、所有者から毎月決められた金額を徴収し、将来の修繕工事などに備えて積み立てしています。

修繕積立金の月額は、マンションの老朽化防止・維持の目的で管理組合が作成する「長期修繕計画」に基づいて定められており、マンションの戸数により変動するのが特徴です。

マンションは築年数の経過によって壁や屋根は老朽化し、エレベーターなどの機械設備も定期的なメンテナンスが必要になります。

修繕積立金は、長期間に渡るマンションの維持管理には欠かせないコストなのです。

修繕積立金と管理費の違い

管理費はマンション共用部分の日常的な維持管理に充てる費用です。

共用部分の清掃費用・水道光熱費・管理人の人件費などのほか、マンションの設備を点検する費用も含まれます。

修繕積立金は長期的な視野に基づいた計画的な修繕のため、管理費は日常的な管理や生活する上で欠かせない費用であると理解しておきましょう。

修繕積立金が必要になる理由

マンションの修繕工事は、長期的な周期で大規模に行われるため工事費用も大きくなります。

修繕工事の都度、区分所有者から集金するのは大きな負担になり、現実的に困難と言わざるを得ません。

そのため、資金が集まらず修繕工事ができない事態を回避すべく、将来必要になるであろう工事費用を見込んで計画的に積み立てる必要があるのです。

修繕積立金は値上がりする?

修繕積立金が新築当初安く設定されることにより、将来の工事費用が足りなくなると予想されると、値上がりする可能性があります。

実際、新築時の修繕積立金の設定額が低すぎたために、工事費が不足する事態に陥るケースもあるのです。

 

工事費が足りないからといって、大規模な修繕をせずに応急措置で済ませてしまうと、後々さらに大きな問題になる可能性があります。

また、修繕しないままの状態が続いて物件の評価が下がれば、入居者を集めることも売却することも難しくなるため値上がりは致し方ないところです。

2. マンションの修繕積立金の相場

マンションの修繕積立金の相場

この項目では、修繕積立金の相場や金額の決まり方についてご紹介します。

修繕積立金の決まり方

修繕積立金を決める際の目安になるのが、国土交通省が発表している「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」です。

国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」に基づいて長期修繕計画を作成している84のマンションの事例をまとめたもので、統計学的におよそこの範囲に収まる可能性が高いということを示しています。

修繕積立金の積み立て方法

では、実際の修繕積立金の積み立て方法を確認していきましょう。

均等積立方式

分譲時から計画期間中、一定額を積み立てる方式です。

将来に渡って安定的に修繕積立金を確保できます。

段階増額積立方式

当初の積み立て額を少なくして、積み立て額を段階的に引き上げていく方式です。

新築マンションは、購入時当初の月額負担を減らしたいこともあり、ほとんどのケースで段階増額積立方式を採用しています。

修繕積立金の相場

修繕積立金は、マンションによってそれぞれ異なります。

築年数から相場を見る方法と、戸数から見る方法があるので確認しておきましょう。

築年数からの相場

築年数が浅いほど修繕積立金が安くなると考える方もいるかもしれませんが、実際には違います。

国土交通省が発表している「平成25年度マンション総合調査結果」から相場を見てみましょう。

完成年次 築年数換算 平均修繕積立金(月額)
~平成元年 24年以上 12,226円
~平成6年 19~23年 11,618円
~平成11年 14~18年 12,402円
~平成16年 9~13年 10,359円
~平成21年 4~8年 11,031円
平成22年以降 3年以内 10,319円

出典:国土交通省

このように、築年数が多いほど安くなっているとは限らないのです。

不動産会社が、新築物件を売りたいがために当初の修繕積立金を安めに設定しておき、その後値上げすることもあるため注意しましょう。

物件購入後、数年経過した後に値上げする可能性を考慮しつつ、資金計画を立てる必要があるのです。

戸数からの相場

次に、戸数で見てみましょう。

同じく、「平成25年度マンション総合調査結果」から見ていきます。

総戸数(マンションの規模) 平均修繕積立金(月額)
31~50戸 11,203円
51~75戸 11,587円
76~100戸 12,273円
101~150戸 12,221円
151~200戸 12,192円
201~300戸 11,675円
301~500戸 12,018円
501戸~ 16,509円

出典:国土交通省

12,000円前後のマンションが多くを占めているのがわかります。

また、501戸以上のマンションでは急激に高くなっているのが特徴的です。

大規模マンションは、それ相応の充実した設備を導入していることもあるため、月額に差が出ていると考えてよいでしょう。

3. 修繕積立金はどのように使われる?

修繕積立金はどのように使われる?

修繕費は建物の外壁や屋上、エントランスといった共用部分などを修繕する大規模修繕工事費用として使われるほか、下記に挙げる費用などにも使用されます。

  • 給水設備
  • 排水設備
  • ガス設備
  • 空調設備
  • 電気設備
  • 通信設備
  • エレベーター
  • 立体駐車場
  • 外構

物件によって異なりますが、一般的にはおよそ10~15年のサイクルで行われます。

マンションの大規模修繕については以下の記事を参考にしてください。

関連記事マンションに大規模修繕が必要な理由とは?|工事までの流れや必要になる費用を解説

2023.09.29

4. 管理費・修繕積立金を支払うことによるメリット

管理費・修繕積立金を支払うことによるメリット

では、管理費・修繕積立金を支払うことにどんなメリットがあるのでしょうか。

共用施設が充実する

修繕積立金はマンションの資産価値向上のため、設備やリフォームに使用されるケースもあります。

例えば、

  • オートロックの設置
  • 宅配ボックスの設置
  • スロープや手すり設置などのバリアフリー工事
  • 太陽光発電システムの導入

これらの共用施設の充実により物件の価値が上がり、ひいては入居率の向上にも繋がるのです。

資産価値を保つことが出来る

建物の外観や設備に不具合があれば、その価値は目減りしてしまいます。

管理費や修繕積立金を支払うことにより、定期的にメンテナンスや大規模修繕工事が実施され、結果、資産価値を保つことになるのです。

また、共用部分であるエントランスや廊下に明かりが灯っているのも管理費を支払っているからとも言えますし、エレベーターや水槽設備なども修繕積立金や管理費でメンテナンスしているから使用できるとも言えます。

しっかりとメンテナンスの行き届いた物件であれば、売却時にも有利になりますし、入居率にも良い影響を与えるでしょう。

思わぬ出費を防ぐことが出来る

管理費、修繕積立金を支払っていれば、建物や設備が修理されるため安心できると共に思わぬ出費を防ぐことにも繋がります。

しっかりと管理費を支払い、修繕費を積み立てることにより、緊急な設備の不具合にも対応できるのです。

必要経費として計上することが出来る

管理費や修繕積立金は、確定申告時に必要経費として計上できます。

その分利益を圧縮できるため、税金対策になるのです。

5. マンション売却時には管理費・修繕積立金は返還される?

マンション売却時には管理費・修繕積立金は返還される?

マンションを売却した場合、それまで積み立てた管理費や修繕積立金はどうなるのでしょうか。

特に、新築で購入した後、ほどなくして売却した場合は気になるところです。確認しておきましょう。

修繕積立金は返還されない

結論から言えば、物件を売却する際に積み立てた修繕積立金は返還されません。

修繕積立金は、支払った段階で債権となり管理組合に移管されます。

新築物件を購入してから数年で売却したようなケースでは、大規模修繕は実施されていないでしょう。

しかし、修繕が実施されていないからとはいえ、管理費の返還を要求することはできません。

修繕積立金は購入者に引き継がれる

中古マンションを購入した場合、それまで前オーナーによって積み立てられていた修繕積立金は、次の所有者の権利として引き継がれます。

建物の修繕などが行われる場合、その引き継いだ修繕積立金から費用が支出されるのです。

6. マンション購入時の修繕積立金において注意するべきポイント

マンション購入時の修繕積立金において注意するべきポイント

マンションを購入する際、修繕積立金において注意すべきポイントを押さえておきましょう。

修繕積立金が不足しているときは増額・一時金を請求される

中古マンションを購入した際、修繕積立金が不足している場合は値上げされたり、一時金を徴収されたりするケースもあります。

売買契約を結ぶ際に重要事項説明をしっかり受けて、修繕積立金の滞納額を確認しておきましょう。

修繕積立金を計画通り積み立てているか

マンション売却の際に修繕積立金・管理費は返還されませんが、売却をする際のマンション価格は修繕積立金の残高も含めて決められています。

修繕積立金が計画通りに積み立てされているか、運用がきちんとなされているかをしっかりと確認しておきましょう。

滞納された修繕積立金は購入者に引き継がれる

修繕積立金は購入者に引き継がれますが、購入した物件の前オーナーが修繕積立金や管理費を滞納していた場合、その債務も引き継がれることも意味しています。

特に、競売にかけられている物件で多く、修繕積立金や管理費の滞納額も物件価格に織り込まれている可能性があることを覚えておきましょう。

7. 修繕積立金はマンションの資産価値を保つために必要な費用

修繕積立金は、マンションの価値を維持するためには欠かせない費用です。

ただし、修繕積立金が不足したり値上げしたりといった、リスクを考慮した上で不動産投資を行う必要があります。

また、中古マンションを購入する際には、修繕積立金の滞納額も要チェックです。

もし、修繕積立金も含めて不動産投資で困ったことがあれば、プロに相談するのがおすすめ。

MIRAIMOのオンライン無料相談窓口では、気軽にご相談いただけますので、ぜひご利用ください。

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