「老後資金がどのくらい必要か?」を具体的に把握している人はいるでしょうか。
もしかしたら、もうすぐ定年退職が見えてくる50代~60代の方はザックリ計算したことがあるかもしれません。
しかし、それより若い世代の方であれば、老後資金をシミュレーションすることは中々ないでしょう。
老後資金は自分が思っているよりも高額になるというケースは多いです。
そうなると、今の年収や預貯金だけでは足りない可能性があるので、資産を増やす必要があります。
しかし、資産を増やそうにも、具体的にどのくらいの金額が足りないのかを把握しないと、増やし方も分かりません。
今回は、そんな老後資金のシミュレーションについて詳しく解説していきます。
- この記事を読めば、一般的にはどのくらいのお金が老後に必要なのか?
- どのようにシミュレーションすれば良いのか?
- 老後資金を確保するためにどんな投資をすべきなのか?
が分かってくるでしょう。
目次
1. 【はじめに】老後の収支について考えよう
老後資金のシミュレーションをする前に、まずは老後の収支の目安を知っておきましょう。
老後の収入の目安は?|公的資金や退職金など
老後の収入に関しては、多くの人が以下のような項目になります。
- 年金収入
- 定年後の給与収入
- 資産運用などの雑収入(保険や株などが含まれます)
- 退職金
- これまでの貯蓄
仮に、定年後も嘱託などで働いている方は、その給与収入もあります。
定年後引退する人は、年金収入がメインになるでしょう。
後は、人によって金額が異なる退職金や貯蓄が老後の収入源になります。
老後の支出の目安は?|生活費や介護費用など
一方、老後の支出項目には以下が挙げられます。
- 生活費
- ライフイベントや突発的な支出
- 介護費用
- 葬儀費用
支出も人によって金額は異なりますが、生活費は一般的な夫婦で月に22万円~30万円ほど必要です。
ライフイベントや突発的な支出は、子供の結婚式や医療費などを含みます。
そして、介護費用は1人平均466万円、葬儀費用は1人平均200万円です。
まずは、上述した内容を元に老後の収支項目をイメージしましょう。
2. 老後資金はいくら必要?|状況別シミュレーション
では、次に老後資金はいくら必要か?という点を解説します。
まず、必要な資金の目安を解説したあとに、具体的な2つのケースでの必要資金を紹介していきます。
なおシミュレーションに関しては、「家計調査」をはじめとした以下の資料に記載されているデータを基にしています。
※家計調査 世帯属性別の家計収支(二人以上の世帯)
http://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/nen/pdf/gk02.pdf※生命保険文化センターの「平成28年度生活保障に関する調査」
http://www.jili.or.jp/research/report/pdf/h28hosho.pdf
必要な資金の目安はいくら?
人によって支出額は異なりますが、一般的に老後資金の目安は3,000万円だといわれています。
これは、年金以外に必要な資金で、年金ではまかないきれない分の金額を指します。
3,000万円という根拠は以下になります。
- 公的年金の平均額は1か月で19万円ほど
- 一般的な家計の支出は27万円ほど
- 上記不足分は月々8万円で年間96万円
上記のような計算になるので、老後期間20年だと想定して1,920万円、25年だと想定すると2,400万円の資金が必要です。
この金額に家のリフォームや自動車、医療費用などを加えると3,000万円ほど必要という計算になります。
年金額や貯金額、そして寿命によっても金額は変わりますが、目安として3,000万円という金額は頭に入れておきましょう。
夫婦2人暮らし|夫65歳以上妻60歳以上の無職世帯
では、次に夫婦2人暮らしで必要な老後資金を考えてみましょう。
上述した家計調査などの資料によると、老後に必要な夫婦2人の平均支出は毎月277,283円になります。
内訳は以下の通りです。
- 食料費用:75,244円
- 住居費用:16,330円
- 光熱費用:21,901円
- 家具や家事用品費用:10,802円
- 被服及び履物費用:9,754円
- 保健医療費用:14,936円
- 交通や通信費用:36,399円
- 教育費用:1,469円
- 教養娯楽費用:27,508円
- その他費用:62,940円
上記に示す住居費用が低い理由は、持ち家比率が高いからです。
仮に賃貸に住み続ける場合には、単純に家賃がかかるので、住居費用は数倍以上になるでしょう。
上記を元にシミュレーションすると、夫婦二人暮らしの平均的な老後の生活費は「277,283円(毎月の生活費)×25年(老後の期間)=83,184,900円」になります。
ゆとりのある生活を送りたい場合
前項では平均値を紹介しましたが、次にゆとりある生活を夫婦で送る場合を紹介します。
こちらも上述した資料を参考にすると、平均の支出が毎月35.4万円であることが分かります。内訳は以下の通りです。
- 食料費用:90,000円
- 住居費用:17,000円
- 光熱・水道費用:22,000円
- 家具・家事用品費用:10,000円
- 被服及び履物費用:20,000円
- 保健医療費用:15,000円
- 交通・通信費用:40,000円
- 教育費用:0円
- 教養娯楽費用:50,000円
- その他費用: 90,000円
老後の生活費合計 354,000円
上記のように、ゆとりある生活なので「教養娯楽」や「その他の消費支出」が高めに設定されています。
また、「食料」の項目も贅沢ができるように多少高額に設定しているという内訳です。
上記を基にシミュレーションすると、夫婦二人暮らしのゆとりある老後には「354,000円(毎月の生活費)×25年(老後の期間)=106,200,000円」が必要です。
独身|60歳以上の無職世帯
次に、独身の場合でシミュレーションをしてみましょう。
上述した資料によると、一人暮らしの支出は毎月15.8万円程度発生しています。内訳は以下の通りです。
- 食料費用:40,050円
- 住居費用:20,148円
- 光熱・水道費用:11,088円
- 家具・家事用品費用:5,316円
- 被服及び履物費用:5,293円
- 保健医療費用:6,632円
- 交通・通信費用:18,712円
- 教育費用:10円
- 教養娯楽費用:19,395円
- その他費用:32,109円
上記のように、夫婦2人のときより、それぞれの項目が半減に近い金額になっています。
上記を基にすると、一人暮らしの平均的な老後の生活費をシミュレーションは「158,753円(毎月の生活費)×25年(老後の期間)=47,625,900円」です。
ゆとりある生活を送りたい場合
次にゆとりある老後の生活を送るための生活費を算出します。
一人暮らしでゆとりのある生活に必要な資金は資料がなかったので、上述した「夫婦二人暮らしのゆとりある生活費」を参考にすると、月17.7万円必要です。
内訳は以下になります。
- 食料費用:45,000円
- 住居費用:20,000円
- 光熱・水道費用:15,000円
- 家具・家事用品費用:5,000円
- 被服及び履物費用:5,000円
- 保健医療費用:5,000円
- 交通・通信費用:19,000円
- 教育費用:0円
- 教養娯楽費用:30,000円
- その他費用:33,000円
上記を参考にすると、一人暮らしのゆとりある老後の生活費は「177,000円(毎月の生活費)×25年(老後の期間)=53,100,000円」になります。
3. 自分でもシミュレーションしてみよう|おすすめツールを紹介
前項で夫婦と独身の場合で、老後に必要な資金の例を紹介しました。次に、自分でもできるシミュレーション方法を紹介します。
Webでできる|老後資金シミュレーションサイト3選
Webでできるシミュレーションツールは以下です。
①JAバンク|老後資金シミュレーション
JAバンクのシミュレーションツールは公的年金や退職金などの収入、そして支出金額を入力して逆算するというシンプルなシミュレーションです。
そのため、特に自分の生活費は家計簿などで記録していないと、正確なシミュレーションはできません。
②ゆうちょ銀行|ライフプランシミュレーション
ゆうちょ銀行のシミュレーションは、自分の年齢や配偶者、子供の情報を記載します。
たとえば、今結婚していないくても「将来結婚したい」「将来子供が欲しい」という選択も可能です。
そして、マイホームやマイカー有無、自分の生活スタイルを選択すると結果が出るという仕組みです。
結果は、年齢別に「支出・収入・貯蓄額/負債額」がグラフとなっており、生涯収支がいくらなるか…つまり、このままだといくらお金が足りなくなるかという金額がでてきます。
③i保険|老後資金チェックシミュレーション
i保険のシミュレーションは、前項2つでいえば、どちらかというと「ゆうちょ銀行」のシミュレーションに近いです。
既婚・未婚や年金の加入状況、年収や生活費などを入力しますが、JAバンクほど細かくはありません。入力すれば以下の結果を見られます。
- 20年間で受け取る年金の合計額(65歳~85歳)
- 20年間に必要な費用の合計額(65歳~85歳)
- 年金でどこまでカバーできている?(85歳まで)
こちらも「ゆうちょ銀行」と同様、このままのペースで働くと、理想とどのくらい違うのか…いくら足りなくなるのかが分かります。
ダウンロードできる|老後資金シミュレーションシート2選
つづいて、ダウンロードできる以下2つのシミュレーションシートを紹介します。
自分でつくれるエクセル・ライフプラン表|エクセル・ライフプラン表(使用期限あり)
このシミュレーションは、サイトからエクセルをダウンロードして行うシミュレーションです。
簡単に説明すると、支出額と収入額をエクセルに打ち込むことで、自動計算で老後の必要な資金が計算されます。
こちらは、ある程度自分の支出を把握していないと、正確なデータは取れないでしょう。
FPウェブシュフ|ライフプラン表ひな形(エクセル)
FPウェブシュフも、前項とほぼ同じです。
エクセルが自動計算する仕組みですが、やはりある程度収支を把握していないと正確な収支計算はできません。
携帯でチェックできる|老後資金シミュレーションアプリ
次に携帯電話でチェックできる「あんしん老後の貯蓄計画プラン(iOS対応)」を紹介します。
あんしん老後の貯蓄計画プラン(iOS対応)
あんしん老後の貯蓄計画プランは、スマホからダウンロードするアプリです。
このアプリも上述したようなシミュレーションと似ており、自分の年齢や、年金の想定額、支出の想定額などを入力していくという流れです。
ただ、それぞれに「平均額」などの紹介があるので、家計簿などで記録を付けていない方もある程度精度の高いシミュレーションはできるでしょう。
4. 今のままでは不安…老後資産はどう増やす?
さて、ここまでで老後資金のシミュレーションを紹介したので、実際にシミュレーションしてみた方もいるでしょう。
その中には、今のままでは不安・・・という方もいるはずです。そんな方に向けて、資産を増やす方法を解説していきます。
①預貯金
預貯金は一番イメージしやすい「資産を増やす方法」でしょう。
増やすといっても、定期預金でさえ金利は0%台前半なので、どちらかという「資産を減らさない」という方がイメージに近いです。
ある程度収入があり、老後までの期間に定期的に貯金できるとしたら、預貯金という方法は最も無難な方法でしょう。
②投資
一方、預貯金では老後資金をつくるのは難しそうなのであれば、以下のような投資を検討しましょう。
- 個人向け国債
- 投資信託(インデックスタイプ)
- 不動産投資
上記は、比較的リスクの低い投資といえます。個人向け国債は、日本が財政破綻しない限り元本は保証されます。
ただ、利率が前項の預貯金並なので、こちらも「資産を減らさない」というイメージが近いでしょう。
投資信託はインデックスタイプであればリスクは小さいですし、不動産投資は毎月家賃収入という決まった収入を得ることができます。
リスクとリターンのバランスを考え、投資種類を検討しましょう。
5. 老後資産の準備は早く始めて損はなし|まずはシミュレーションしてみよう!
今まで老後のシミュレーションをしたことがある人はそう多くはないでしょう。
実際にシミュレーションをして「こんなに必要なのか!?」と驚いた方も多いと思います。
とにかく、まずはシミュレーションをして、どのくらいの金額が必要になるかのイメージを持っておくことが重要です。
その上で、投資をする必要があるのか、預貯金だけで何とかなるのかを考えるという流れです。
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