不動産投資に於いて節税は切実な問題です。
減価償却を活用する、法人化をして所得を分散する等の方法が一般的ですが、既にこういった手法はやりつくしてしまったという不動産投資家の方も多いと思います。
そこでお勧めしたいのが、「ふるさと納税」による不動産投資の節税対策です。
ふるさと納税には節税対策以外のメリットもあるため注目すべき手法です。
そこで今回は、ふるさと納税の仕組みや注意ポイントなどを解説します。
目次
1. そもそもふるさと納税って何?
ふるさと納税は簡単に言うと、今住んでいる自治体以外の自治体に寄附をすることによって、所得税や住民税が控除されるという仕組みです。
ふるさと納税はどんな制度?
ふるさと納税には、寄附金額に応じて税金の優遇措置が設けられています。
寄附金額から2,000円を差し引いた金額を最大として、住民税所得割の約20%を上限として所得税、住民税の控除の対象となります。
寄付金控除の計算は、「その年に支出した特定寄付金の合計額」または「その年の総所得金額の40%」のどちらか、低い金額から2,000円を差し引いた金額が「寄付金控除額」となります。
またふるさと納税は基本的に年内に何回でも行え、複数の自治体に寄付する事も可能です。
ふるさと納税をするとどんな得があるのか?
ふるさと納税の返礼品の話題は、ニュースなどでもよく目にします。納税額に応じて寄附した自治体の美味しい野菜や果物、肉などの名産品をもらえるという特典は、所得税や住民税の控除を受けられるだけではないお得感や楽しみとしてふるさと納税の魅力の一つと言えるでしょう。
また、行政のさまざまな補助金や助成金は所得に制限があったり、市町村民税の所得割額に応じてもらえる金額が変わることが多々あります。
「所得が多くてもらえない」、そんな時にはふるさと納税を利用するのも一つの手段です。
一つの例を挙げると、平成22年から開始された高等学校の無償化に伴い、高等学校等修学支援金制度というものが設けられました。
これは月額約1万円の支援金がもらえる制度ですが、市町村民税の所得割額による所得制限があり、30万4,200円以上(年収910万円程度)の世帯には支給されない事になっています。
夫婦が親権者の場合、2人の所得の合計額になります。
そこでふるさと納税をすることで住民税を下げれば支援金制度の条件を満たすことも可能になるのです。
2. 家賃収入がある場合のふるさと納税について
給与所得以外に家賃収入がある場合や、住宅ローン控除との併用など、ふるさと納税との関係性を見ていきましょう。
収入によってふるさと納税の上限額が変わる
年間にふるさと納税は何度でも行うことができますが、その金額には上限があります。所得や家族構成によって上限額は変わります。
例を挙げると、独身または子供がいない夫婦で年収400万円の場合、4万2千円が上限です。
夫婦と子供2人で年収1,000万円の場合は、14万4,000円が上限となります。
計算方法がわからない場合は、「総務省のふるさと納税サイト」に詳しい内容や上限の目安がわかる表が掲載されていますので参考にしてください。
不動産所得でふるさと納税の上限額は変わるのか?
不動産所得がある場合は、給与所得に加算してふるさと納税の上限額を増やすことが可能です。
給与所得、不動産所得にかかわらず、個人の所得総額でふるさと納税の上限は決まります。
ふるさと納税で不動産所得を節税する時の注意点
注意が必要な点は、不動産所得は不動産収入から経費を差し引いた金額ですが、最終的な所得金額は経営の状況で変わって来ます。
例えば、不動産収入200万円として経費が60万円、減価償却費30万円、申告で10万円控除を受けたとすれば、100万円の所得となります。
所得として加算できる金額は200万円ではなく最終的な所得の100万円となります。
ふるさと納税と住宅ローン控除の併用はできるのか?
結論から言うと住宅ローン控除とふるさと納税制度は併用が可能です。
住宅ローンの融資残高の1%相当が所得税、住民税から控除され、さらにふるさと納税を行えば、大きな節税効果が期待できます。
しかし、住宅ローン控除で所得税と住民税がすべて還付されるような場合は、ふるさと納税を行っても還付は受けられません。
ふるさと納税は、前年に納税した分から還付される仕組みになっています。
ふるさと納税は収入がある人の名義で行う
ふるさと納税の基本は、「納税した金額から還付される」仕組みです。
この点には注意が必要で、収入が全くゼロの専業主婦が自分名義でふるさと納税を行った場合、納税はしていないため還付はありません。
したがって、ふるさと納税をする際は所得税を払っている人の名義で寄附しましょう。
3. 不動産所得がある場合のふるさと納税の限度額について
前述したように、不動産所得分も加算ができるためふるさと納税の限度額が上がります。
詳しい限度額の計算方法についてお伝えします。
ふるさと納税限度額の計算方法
ふるさと納税の計算方法は所得総額のほか、家族構成、医療費控除、住宅ローン控除などによって異なります。次の計算式に当てはめて、算出ができます。
個人住民税所得割額 × 0.2 ÷ (0.9 - 所得税率 × 1.021)+ 2,000
個人住民税所得割額の算出方法は次の通りです。
(前年度の所得額 - 所得控除額) ×0.1- 税額控除額
計算に自身の無い場合は、税務署に問い合わせて確認することもできます。
自分で計算するより、ツールを利用するのがおすすめ
もっと気軽で簡単に算出する方法は、計算ツールを利用する事です。
インターネット上に計算ツールを公開している「ふるさとチョイス」というサイトの「ふるさと納税」還付控除限度額計算シュミレーション」などを使えば、簡単に限度額の概算がわかります。
4. 不動産投資家のふるさと納税による確定申告2つの注意ポイント
不動産投資家がふるさと納税を行い、確定申告をする場合に覚えておきたいポイントがあります。
ポイント1:返礼品は一時所得に該当する
ふるさと納税の寄附のお礼として送られてくる、自治体の特産品の果物や魚、肉などの返礼品を受け取った場合、それらの品々は「一時所得」に該当します。
また、一時所得は課税対象になる点を覚えておきましょう。
せっかく受け取った返礼品が課税対象になるのでは意味がないと思われるでしょう。
しかし、一時所得は特別控除額が50万円と設定されており、返礼品の金額がこの50万円を超えることはないのでご安心ください。
ポイント2:副業で投資をしている場合、会社にバレてしまう可能性がある
ふるさと納税をすれば、還付のために確定申告をしますが、この際気をつけたいのは住民税の減額についてです。
副業でそこそこの収入が得られていれば、必然的にふるさと納税の上限額も増えます。
ここで上限ぎりぎりまでふるさと納税をすると、住民税の控除額が多すぎて本業の経理などに不審がられてしまいます。
会社に隠して副業をしている場合には注意すべき点です。
ふるさと納税の控除は、本業もしくは副業のどちらかで全額控除される仕組みになっています。
所得の割合に応じて控除を分割するという事はできないのです。しかも市役所に連絡しておかない限り、本業から控除されることになっています。
副業から控除してもらうためには、ふるさと納税の控除額よりも普通徴収で支払う住民税が高くなければいけません。
また、副業分から控除されるように市役所などに連絡を忘れないようにしましょう。
5. ふるさと納税の2つの注意ポイント
ポイント1:自治体によって返礼品はさまざま
ふるさと納税の目的が節税対策より返礼品である場合は、自治体によって返礼品の種類も取り決めもさまざまですので、事前に確認をしておきましょう。
ある地方自治体では、特産品をもらえるのは市内在住者のみに限定されているところもあります。
ポイント2:クレジット払いは名義に注意
ふるさと納税にはクレジットカード決済が便利です。支払ったカードの名義人が控除対象になりますから、うっかり家族名義のカードなどで決済しないようにしましょう。
6. 不動産譲渡所得がある場合のふるさと納税の限度額
賃貸経営などの不動産所得は、給与所得や事業所得と同じ「所得」として「総合課税」の税額計算をしますが、譲渡所得の場合は税額計算が異なり「分離課税」となり、両方が混在するため計算方法は複雑になります。
譲渡所得があればふるさと納税の限度額が上がる可能性は高くなりますが、正確な金額は市役所などで確認をする方が確実です。
7. ふるさと納税、控除上限額を正確に抑えておこう
手軽にできる上に、美味しい返礼品ももらえるふるさと納税ですが、控除上限額を計算して寄附したつもりが、実際に確定申告をしてみると控除の上限をはるかに超えていた・・・などということに、ならないように、正確な上限額は抑えておく方が安全です。
超過分は結局自己負担になり、本当の寄附になってしまいますから。
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複雑な計算が必要になる場合もあるので、業者に相談するのは一つの手ですよ。