投資を行うにあたって勉強を始めると、色々と出てくる専門用語に頭を悩ませている人も多いのではないでしょうか。
投資の専門用語は、カタカタや英語が使われていることが多いので中々覚えられませんよね。
しかし、専門用語を知っているだけでは投資はできませんので、きちんと意味を理解して上手に活用することが重要です。
そんな投資の専門用語の中でもよく使われる、イールドレシオという言葉をご存知でしょうか。
あまり耳慣れない言葉かもしれませんが、投資において非常に役立つ指標。
このイールドレシオを活用することで、株式相場が割高で株式の購入が増えているのか、また反対に割安であれば債権の購入が増えているのかという株式相場の水準を予想することができるので、次の投資をどの市場で行うかの判断材料とすることが出来ます。
では、実際にはイールドレシオはどのように計算すればいいのでしょうか。
今回は、イールドレシオの見方や計算方法についてお話しします。
目次
1. イールドレシオって何?
イールドレシオは金融・証券市場で使われる用語で、イールドは「利回り」、レシオ「比率や割合」を意味しています。
投資を行う上で非常に重要な指標ですが、何の利回りや比率を比較してイールドレシオを算出しているのでしょうか?
ここではイールドレシオについて分かりやすく解説します。
イールドレシオとは?
イールドレシオとは、債権の長期金利の利回り(日本では10年国債利回り)を株式の利回り(株式益利回り)で割って計算した値のこと。
株式利回りと長期金利を比較して、現状の株式相場が割安か割高かを判断することが出来る指標です。
株式の利回りを基準とするので、単位は「倍」で表します。
債権の長期金利については、日本では10年国債利回りを使いますが、国によってそれぞれ基準にする債券利回りは変わります。
計算式は、
イールドレシオ=債券の利回り(10年国債利回り)÷株式の利回り(株式益利回り:1株当たり利益÷株価)
よく似た指標にイールドスプレッドがあります。
イールドレシオの見方について
債権は、株式と比べて安全な資産であると考えられており、債権と株式の利回りを比較してイールドレシオを計算することで現在の株価の水準を把握することができます。
では、イールドレシオはどのように見ればいいのでしょうか。
イールドレシオが高い場合は、株価が割高であると言え、低い場合は、株価が割安であると言えます。
イールドレシオでお金の流れが分かる
イールドレシオで株価が割高か割安かが分かれば、今後どの市場にお金が流れるのかが分かります。
例えば、イールドレシオが高く、株価が割高であるということはお金が株式市場に向かって流れているということが分かります。
逆にイールドレシオが低く、株価が割安であるということはお金が債券市場に向かって流れているということが分かります。
イールドレシオを理解できれば、お金の流れを把握することが出来るので、どの市場が有利かを検討しながら投資を進めることが出来ることになります。
イールドレシオが「高い」「低い」とは
イールドレシオの「高い」「低い」についてもう少し詳しく見ていきましょう。
イールドレシオが高い状態とは、株式は割高となり株式市場に投資が集中していることを表していますので、投資が株式やコモディティ・ハイイールド債・高金利通貨などのリスクの高い商品に投資が向かっており、高収益を得やすい相場状況と言えます。
しかし、株式相場が割高であるということは相場は過熱状態にあるとも言えるので、安全性の高い債券市場の方が有利になります。
逆に、イールドレシオが低い状態とは、株式相場は割安となり、株式市場は閑散した状態になり債券市場に投資が集中していることを表していますので、投資家がリスクを取りたくない状況にある、投資マインドが冷え込んでいる相場状況と言えます。
株式相場は割安感があるので、投資をするなら株式市場の方が有利になります。
2. イールドレシオを用いた場合の利回りについて
イールドレシオで使われる債権や株式の利回りはどれを使えばいいのでしょうか。
イールドレシオは、投資の判断に影響を与える数値なので曖昧なものでは信ぴょう性が薄れてしまいます。
一般的には、イールドレシオを計算する際には、債権の利回りは10年物国債利回り、株式の利回りは株式益利回りが使われます。
しかし、なぜ債権の利回りは10年物国債利回り、株式の利回りは株式益利回りが使われるのでしょうか。
債権の場合
債権は、投資の中ではリスクの低い商品の代表と言われています。
中でも10年物国債は、日本政府が国政で使うお金を集めるために発行する債権の期間が10年の国債。
国債は国が発行するので信頼度が高く、流通量も多いので、その流通利回りは長期金利の代表的な利回りと言えます
そのため、イールドレシオを計算する際の債権の利回りとして使われるのです。
株式の場合
株式の指標のひとつに株式益利回りがあります。
株式益利回りは、1株当たりの税引き利益を株価で割って計算され、現在の株価に対してどのくらいの利回りがあるかを見る指標です。それに対して、株式でよく使われる株価収益率(PER)は、株価を一株当たりの利益で割ったもので、一株当たりの利益が無い倍の価格になっているかを見る指標。
株価収益率(PER)では、債権の利回りと比較することが出来ないので、その逆数(1/PER)となっている株式益利回りが株式投資における利回りを表す指標となっています。
そのため、債権利回りと比較することが出来るので、株式の利回りの代表としてイールドレシオが使われています。
3. イールドスプレッドとイールドレシオの違いについて
イールドレシオと同じように債権と株式を比較する指標にイールドスプレッドがあります。
イールドスプレッドのイールドは「利回り」、スプレッドは「2つの通貨や商品の金利、価格の差」を意味します。
イールドレシオが、債権利回りを株価の利回りで割ることで株式市場が割安か、割高かを判断するのに対して、イールドスプレッドは、債券の利回りから株価の利回りを引くことでどちらが割安かを判断します。
どちらも債権市場と株式市場の割安か、割高かを比較することが出来る指標ですが、イールドスプレッドの場合は、利回りの差が小さいと株式市場が割安状態にあり、利回りの差が大きいと割高状態にあることがわかります。
利回りの差で比較するイールドスプレッドは、短期的な株式の割安感を判断するのに適しているのに対し、利回りの割合で比較するイールドレシオは長期的な株式の割安感を判断するのに適しています。
4. イールドレシオの注意ポイント
債券市場や株式市場の過熱感や閑散さ判断するのに有効な指標であるイールドレシオですが、どんな状況でも使える訳ではありません。
基準となる10年物の国債利回りや株式益利回りが急激に下落し、0に近い値やマイナスになってしまったり、大幅に上昇すると基準の数値として使えなくなってしまいます。
その場合、債権の利回りと株式の利回りを比べても意味がない数字になり、イールドレシオは指標として成り立たなくなってしまいます。
市場に急激な動きがある時は、イールドレシオは使えませんので注意が必要に。
5. イールドレシオを知る事でお金の流れを見る事が出来るようになる
投資を有利に進めるには、数多くある指標を読み解く力を身につける必要があります。
その中でも、債権を代表する利回りである10年物国債利回りを株式を代表する利回りである株式益利回りで割ることで、株式相場が割安か、割高かを見ることが出来るイールドレシオ。
このイールドレシオの見方がわかれば、お金が債券市場に流れているか、株式市場に流れているかといったお金の流れを見る事が出来るようになります。
債券市場、株式市場のどちらに投資すれば良いか、イールドレシオを活用して上手に資産運用してください。
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