あなたは、イールドスプレッドというものをご存知でしょうか?
投資を行う時に、意識するポイントの1つとして利回りというものが存在します。いざ投資をしようとしても、何がおすすめなのか迷ってしまうものですよね。
投資ができる金融商品は様々ある中で、どれが利回りの良いものか1つ1つ調べていくのは、なかなかに骨が折れます。
そこで登場するのがイールドスプレッドです。この指標を駆使することで、金融商品の利回りの差を一目で見抜くことのできる優れモノです。
投資を始めたばかりの人などには、あまり馴染みのない言葉かもしれません。ですが、これを知っていることで、投資効率を上げるチャンスに繋がるのでしっかりと覚えておきましょう。
目次
1. イールドスプレッドって何?
先ずはイールドスプレッドとは、何であるかをご紹介します。
イールドスプレッドとは、様々存在する金融商品同士の利回りの差を分析する指標のことを指します。
債券同士の利回りを債権の安全性や残存期間などで格付けしたもの、株式指数という配当の利回りや益回りと債券の利回りの差を比較することもできます。
配当の利回りは、現在の株価に対してどれくらいの利回りがあるのかを示す数値を表します。
益回りとは、PER(PriceEarningsRatio)という指数の逆数であり、割安度合いを示す値のことを指します。
PERとは、株価1株あたり、純利益が何倍の値段が付いているのかを見る投資尺度を指します。
各企業の現在の株価が割高、割安かを利益水準を元に判断する目安にもなります。
2. イールドスプレッドとイールドギャップの違いについて
イールドスプレッドと似た言葉で、イールドギャップというものが存在します。その2つの違いについて触れていきます。
イールドスプレッドとイールドギャップの違いとは?
イールドスプレッドは、基本的に債権と債券の利回りを比較する指標であるのに対して、
イールドギャップは、ローン金利の差と投資物件の利回りを指します。
投資物件の利回りには、実質利回りというものを使用します。
これは、マンション経営をすることで得られる家賃収入などの収益から、管理費や様々な経費を差し引いたものを物件価格に購入時の諸経費を足したもので割った数値のことを指します。
イールドスプレッドの計算式
イールドスプレッドの一般的な計算式は以下の通りになります。
イールドスプレッド=長期債券の利回り-株式の利回り
数値が小さくなるほど株式の相場の割安感が強くなり、債権投資より株式投資の有利となります。また数値が大きくなれば株式の相場の割高感が強くなるので、債券投資が有利であるということになります。
イールドギャップの計算式
イールドギャップの一般的な計算式は以下の通りになります。
イールドギャップ=実質利回り-借入金利
分かりやすく例を挙げます。利回りが7%期待できる2,000万円の不動産物件があるとします。
その不動産物件を金利2%の銀行から2,000万円借りた場合にいイ-ルドギャップは7%-2%=5%という計算になります。
イールドギャップについてより詳しく知りたい人は以下の記事を参考にしてみてください。
3. イールドスプレッドとイールドレシオの違いについて
イールドスプレッドやイールドギャップの他にも分析方法があります。
それが、イールドレシオという分析方法です。イールドレシオがどんな分析方法であるのか、また、イールドスプレッドとの違いを解説していきます。
イールドスプレッドは債券同士の差を計算するものだとご紹介しましたが、一方イールドレシオは債券と株式を比較するものであり、長期金利を株式益利回りで割ることで数値を出します。一般的な計算式は以下の通りになります。
イールドレシオ=長期債利回り÷株式益回り
こちらも具体例を挙げます。例えば、長期金利(10年物の債券)が利回り2%であり、4%の株式益利回りであった場合、イールドレシオは2÷4=0.5となります。
計算した数値が高ければ高いほどに株式の割高感が強くなり、低いと割安感が強くなります。
4. イールドスプレッドは不動産投資にどう関係するのか?
次に、不動産投資を元に考えた場合、イールドスプレッドがどう関わってくるのかを解説していきます。
不動産投資をする人のほとんどが借入をすることで投資用不動産を購入します。ここで重要になってくるのが利回りはもちろんのこと、借入金額との差になります。それがスプレッドなのです。
所有している物件の利回りが8%あった場合でも、借入の金利が6%であるならば、計算式に当てはめると、スプレッドは2%となります。仮にその物件の価格が上昇した場合に、利回りが下がってしまい、5%になってしまったと同時に、借入の金利も下がり2%までになっていれば、その時のスプレッドは3%に上昇するのです。
金額を当てはめて解説をすることでよりパーセントが上昇することの良さが分かります。借入の中でもフルローンという不動産を購入するときの資金を100%借入できる借入方法があります。
その場合、購入金額が5,000万円の物件を保有していて、その利回りが8%であるならば、その年の年間金利収入は400万円、5%であれば250万円を得ることができます。借入の金利が6%であるならば、利払いは300万円、2%であれば利払いは100万円になります。
差額は100万円から150万円に上昇します。スプレッドが2%より3%に上がった時の方が収益が大きくなったのが分かります。
5. 世界のイールドスプレッドの比較と推移について
イールドスプレッドを用いることで世界各国の株式と債券の利回り差を比較することができます。
イールドスプレッド比較
2024年2月現在の最も割安だという結果がでたスウェーデンでは、0.81%(10年国債利回り)-9.62%(益利回り)=-8.81%(イールドスプレッド)という数値が出ています。
その次にスペインが‐7.81%、オランダ‐6.10%、その次に日本の‐6.05%です。割安の上位にいる国は、日本やヨーロッパなどの低金利の国が多い結果になっています。
米ドルが基軸通貨にもなっているアメリカのイールドスプレッドは‐1.52%になっておりスプレッドの数値がプラスに転じるまではまだ余裕がありますが、年々割高傾向になっているようです。
新興国においては高金利の国が多いため、イールドスプレッドで見たときに割高になる傾向があります。
イールドスプレッド推移
次に日本のイールドスプレッドの推移について紹介します。
日本は2010年4月まで1株当たりの利益(EPS)がマイナスであったため、プラスになってからの情報になります。
イールドスプレッドが最も割安になったのが2016年1月頃の-7.52%です。最も割高になったのが、EPSがプラスに転じたタイミングの2010年5月の-2.01%です。
約8年間の平均値は-5.12%で、2024年3月時点では-6.28%という数値になっており、平均値と比較するとやや割安になっています。
また、先進国のイールドスプレッドの平均値を比較してみると、最も小さい数値であったのが香港で-6.10%、最も大きい数値であったのがオーストラリアで-1.94%のようです。
6. 投資をする上でイールドスプレッドは重要になってくる!
投資をする上で、イールドスプレッドという分析指標を参考にすることはとても重要になってきます。
不動産投資をするときに、その不動産の良し悪しを判断する1つの参考材料として、各物件の利回りと借入金利を参考にイールドスプレッドの数値が良い物件はどこであるのかを調べることができるからです。
実際のところ、不動産投資に伴うリスク面(空室リスク・金利上昇リスク・税金など)を考慮する必要もあります。
ですが、イールドスプレッドを駆使できれば、割安、割高を知ることができ、不動産投資には欠かせない判断材料になりますので、しっかりと押さえておきましょう。
不動産投資の利回りについては以下の記事を参考にしてみてください。
今ならMIRAIMOを友達追加いただいた方にもれなく、
オリジナルのe-book「中古マンション購入チェックリスト」をプレゼント!