DCF法とは何か?|不動産投資での考え方から計算方法までわかりやすく説明します

不動産投資において不動産を選ぶ際には、物件のグレード・立地・利回りなどが検討項目としてありますが、資産価値の評価を基準に考えるのもひとつの方法です。

不動産の資産価値を評価する方法は「原価法」「取引事例比較法」「収益還元法」の3つがあります。

その中でも収益還元法は、収益に着目をした評価方法で、1年といった短期間の収益を元に評価をする方法が「直接還元法」、長期間の収益を元に評価をする方法が「DCF法(ディスカウントキャッシュフロー法)」と言います。

 

DCF法は不動産だけでなく、企業の資産価値を評価する方法で、長期投資の効果を測るのに非常に有効な手段です。

昨今の不動産投資ブームの盛り上がりもあり、不動産投資家の間でも非常に注目されています。

最近では、不動産投資に力を入れている多くの金融機関で、融資審査に収益還元法の考え方を取り入れています。

今回は、収益還元法のひとつであるDCF法についてお話します。

収益還元法について詳しく知りたい人は以下の記事から読み進めてください。

関連記事収益還元法からわかる物件の実質の価値|適正価値から最適な判断を

2018.02.22

1. DCF法とは?|概要と不動産投資との関係

不動産投資では、短期で売買することもありますが、基本的に長期的に安定した収益を得ることを目的としています。

しかしその一方で、不動産を選ぶ際には、利回りを用いるなど短期的な指標を用いています。

収益還元法の中でも直接還元法は、単年度の収益を元に計算を行いますので、それでは、実際に不動産が将来的にどのくらいの収益を上げることができるのかはわかりません。

そこで、長期的な運用に対して評価をするのに有効なのがDCF法です。

DCF法の概要|キャッシュフローを割り引く方法

DCF法はディスカウントキャッシュフロー法と言い、読んで字のごとく、キャッシュフロー(収益)をディスカウント(=割引)する評価方法。

DCF法では、将来の収入を現在の価値に割り引いて計算を行います。

割引くと言ってもわかりにくいと思いますが、例えば、今持っている100万円は1年後の100万円と価値は同じではなく、例えば年利5%の運用が出来れば1年後には105万円になります。

そうなると、1年後の100万円は、年利5%で運用して100万円になったと考えると今の100万円よりも価値が低くなるので、現在の価値に合わせるには期待する利回り(今回は年利5%)分を割り引いて考える必要があります。

後で詳しく説明しますが、この期待する利回りのことを割引率と言います。

今回のケースでは、1年後の100万円を割引率5%で割り引いて計算すると、100万円÷(1+0.05)=95.23万円に。

2年目も収入が100万円だとすると、100万円÷(1+0.05)2=90.7万円。

このようにして、DCF法では、将来の収益を現在の価値に置き換えて計算することで、より正確な収益価格の評価を行います。

不動産投資との関係|収益還元法の1つ

不動産の評価方法には、「原価法」、「取引事例比較法」、「収益還元法」の3つがあります。

それぞれ評価方法は異なりますが、特に収益物件としての不動産を検討する際には収益還元法が有効と言われています。

収益還元法には直接還元法とDCF法があり、直接還元法は1年間の収益を元に評価し、DCF法は長期間の収益を元に評価するといった違いがあります。

DCF法は、本来企業価値の算定などに使われますが、長期的な運用を現在の価値に算定することができるので不動産投資とも相性の良いと言えます。

前提|不動産評価方法は3つある

不動産の評価方法には、評価するタイミングによっても不動産評価が変わってしまうので、「原価法」「取引事例比較法」「収益還元法」の3つを用いて評価を行います。

原価法は、現在と同じ物件を再度立て直した場合の再調達コストを算出し、減価修正を行って資産価格を求めます。

取引事例比較法は、対象となる不動産と近い条件の不動産の取引事例を多く集めて、それを元に様々な補正を行って比較評価を行います。

収益還元法については、次の項目で詳しく説明します。

直接還元法との違い|なぜDCF法は必要か

上述の通り、収益還元法には直接還元法とDCF法があります。

直接還元法では、1定年数(1年間)の純収益を元に還元利回りで割り引いて不動産の価値を求めます。

例えば、年間の収入が100万円で還元利回りが5%であれば、100万円÷0.05=不動産の価値は2000万円。

しかし、直接還元法は、その時点での収益価格は計算できますが、不動産投資において同じ状況が続くことはないので、将来家賃が下がったり、運営費が上がった場合には正確な評価をすることができません。

それを補うには、将来的に得られる利益と売却時の予想価格を設定した割引率で現在の価格に割り戻し、その合計額を収益価格とするDCF法が必要になります。

【用語】還元利回り

還元利回りとは、直接還元法で収益価格を現在価値に割り引くための根拠となる値でキャップレートとも言われています。

還元利回りの設定は、その不動産があるエリアの類似物件や取引事例の利回りを参考に算出したり、不動産会社がエリア毎に公表している利回りのデータ(キャップレート)を参考に行います。

この還元利回りの設定は非常に重要であり、数%違えば収益価格を大きく左右することに。

不動産会社が出しているキャップレートは1年前のデータを参考にしていることが多いので、現状の取引事例などを参考にしながら実勢価格(実際に市場で取引される価格)に近い還元利回りを設定する必要があります。

2. DCF法の計算式|不動産投資での考え方

それでは、不動産投資ではDCF法をどのように活用すればいいのでしょうか。

不動産投資では、保有期間の毎期のキャッシュフローがいくらあっても、最終的な利益は売却(=出口)しなければ確定しません。

いくらキャッシュフローを得ても、売却時に大きく価格が下がれば損をしてしまいます。

とは言え、数年後の売却を想定して物件を購入するのは難しく、空室リスクや家賃収入の下落リスクなど不確定な要因が多いのも事実。

しかし、DCF法を使えば、リスク要因を組み込むことができ、より現実に近いシミュレーションをすることができます。

収益価格=毎期の純収益の現在価値の合計+物件の売却予想価格の現在価値

DCF法では、「毎期の純収益の現在価値の合計」と「物件の売却予想価格の現在価値」を足した価格で収益価格を出します。

計算式は、次のようになります。

収益価格=a/(1+r) + a/(1+r)2 +・・・+a/(1+r)n + 物件の売却予想価格/(1+r)n

※aは単年度のキャッシュフロー(年度ごとに変わる)、rは割引率、nは保有期間を表しています。

DCF法で収益価格は、毎期の純収益と物件の売却予想価格を設定した割引率を使って現在価値に割り戻してその和で求めることができます。

毎期の純収益は、年間の家賃収入から管理費・修繕費、固定資産税などの運営費を引いた収益のこと。

この純収益をより正確にするために、空室率、家賃の下落、管理費・修繕費をいくらで設定するかが重要と言えます。

物件の売却予想価格も正確性が必要になるので、不動産業者などの専門家に意見を求めるなど信ぴょう性の高い価格を設定すると良いでしょう。

そして、最も重要なのは割引率の設定で、数パーセント違えば収益価格は大きく変わります。

DCF法では、自由に値を設定できるだけに、自分に都合の良い値を設定してしまうと正確な収益価格を算出することができないのでその点に十分注意が必要です。

割引率の考え方

DCF法では、毎期の純収益や物件の売却予想価格を現在価値に割り引いて算出しますが、この割引の根拠になるのが割引率。

割引率は、他の商品に投資した場合に得られる期待収益率と同じにすることで他の商品と比較にも使うことができます。

又、自身が投資する不動産に求める利回りを設定することで、対象不動産を収益価格と比較することができ、相場より高いか安いかを判断する材料に。

直接還元法では、還元利回りという言葉を使いましたが、DCF法で使う割引率とはどのような違いがあるのでしょうか。

還元利回りと割引率の違い

直接還元法では、現在価値に割り引く際に還元利回りという言葉を使いましたが、一般的なDCFの考え方でいうと割引率とほぼ同じ言葉。

しかし、不動産評価の場合は、用語として使い分けをしています。

鑑定評価をするにあたって、還元利回りとして使う場合は、将来起こると考えられるリスクを含んだ利回り、割引率として使う場合は、将来起こると考えられるリスク要因を含まない現在価値を求める際に使われる値として分類されます。

DCF法では、純収益を求める際に空室やコストをリスク要因として含むということで割引率にはリスク要因を含まないとしていますが、実際には100%リスクを反映することは難しく、割引率にも一定のリスクは含まれると言えます。

収益還元法では、還元利回り、割引率のどちらを使っても大きな違いはありませんが、直接還元法で使うのが還元利回り、DCF法で使うのが割引率と覚えておきましょう。

3. DCF法の計算方法|シミュレーション

では、実際にDCF法を使って収益価格を計算してみましょう。

収益価格は、先ほどご紹介した下記の式で計算できます。

収益価格=a/(1+r) + a/(1+r)2 +・・・+a/(1+r)n + 物件の売却予想価格/(1+r)n

※aは単年度のキャッシュフロー(年度ごとに変わる)、rは割引率、nは保有期間を表しています。

一棟アパートを3年間保有すると想定した場合

設定項目
アパートの戸数 10戸
年間の家賃収入 10戸×6万円×12か月=720万円
空室率+運営費 20%
投資期間 3年間
割引率 3%
物件売却予想価格 5,000万円

現在価値への割引を考慮しない場合、この物件の収益は、720万円×80%×3年間=1,728万円、現金で購入したとして5,000万円で売却できれば合計6,728万円。

しかし、DCF法では、それぞれの収益に対して現在価値への割引を行う必要があります。

毎期の純収益と物件の売却予想価格を割引率3%で現在価値に割り戻すと下記の表のようになります。

各年度の純収益 割引率3%(r)
1年目の純収益(a) 576万円÷1.03=559万円
2年目の純収益(a) 576万円÷1.03÷1.03=542万円
3年目の純収益(a)

+物件の売却予想価格

576万円÷1.03÷1.03÷1.03=527万円 + 5,000万円÷1.03÷1.03÷1.03=4,575万円

合計 5,102万円

収益価格は、1年目の純収益559万円+2年目の純収益542万円+3年目の純収益527万円+物件の売却予想価格4,575万円=6,203万円となります。

この物件を3%の利回り(=割引率)を期待して購入する場合、6,203万円以下で購入出来れば期待利回り以上の投資ができるということになります。

DCF法の注意点|数字は全て予測である

不動産の評価をより現実に近く、正確に行うことができるDCF法は非常に有効な手段ですが使用する際には注意が必要です。

DCF法で使用する毎期の純収益、物件の売却価格や割引率については、あくまですべて予測の数字。

そのため、DCF法の結果は100%正確とは言えず、それぞれの数値が少し変わるだけでも計算結果は大きく変わります。

特に割引率については、影響が大きく、他の投資や類似の取引事例を参考にして精度の高い数値にしなければいけません。

不動産投資でDCF法を使用する際には、その精度を上げるためにも、設定する数値をより現実に近いものに設定することが大事になります。

DCF法は長期投資の効果を測るには有効な手段!

不動産を評価する方法の中でも、長期投資の効果を測るにはDCF法は有効な手段。

それは、DCF法が毎期の純収益や物件の売却時予想価格を設定した割引率で現在価値に割り引いて不動産の収益価格を算出できるからです。

しかし、DCF法も100%正確とは言えません。

何故なら、DCF法では、設定する純収益や物件の売却時予想価格、割引率によって、結果が大きく変わってしまうからです。

特に割引率の設定は重要で、割引率が客観的に見て妥当な数字であればあるほど、より精度の高い収益価格を計算することが可能。

精度の高い収益価格を計算できれば、購入しようとしている不動産の価格が高いか、安いかを判断する材料にもなります。

不動産投資で成功するためにも、不動産の価値を見極める方法のひとつとして有効なDCF法を活用しましょう。

 

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