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分筆と分筆登記とは?流れや申請にかかる費用・必要な書類を分かりやすく解説!

分筆とは、不動産登記で使われる専門用語です。簡単にいうと、ひとつの土地をいくつかの土地に分けるという意味になります。

そして、どのように分けたのかを登記簿に記録することを分筆登記といいます。

土地を売買したり相続したりするときに、登記簿上の土地を分けておくことは大切なことです。

今回は、なぜ土地を分けるのか?また、土地を分けるために必要な手続きと、費用はどれくらいになるのかをご紹介します。

実は、分筆を知っているか知らないかで、得をしたり損をしたりするのです。

また、知らないでは、済まないときもあるので具体的に解説しましょう。ポイントは、土地を分けるときの流れを知ることなので参考にしてください。

Index

1. 分筆と分筆登記って何?

分筆や分筆登記がどういうものかを具体的に説明します。

イメージとしては、ひとつの土地に線を引いて複数の土地に分けることです。つまり、土地に境界線を設けるというような意味になります。

分筆と分筆登記とは?

登記簿上ひとつの土地を「一筆の土地」といいます。

その一筆の土地を複数の土地に分けることを「分筆」というのです。

分筆した結果は、登記簿上に残しておかないと取引のときなどに確認できないので、分けた土地に地番をつけて管理します。

たとえば、分筆前の地番が「10番」の土地を2つに分筆したのであれば、「10番‐1」と「10番‐2」というような新しい地番を付けて登記簿に記録します。この手続きを「分筆登記」というのです。

分割と分筆の違いとは?

分割と分筆の違いは、登記簿上の記録に残すかどうかです。

分割の場合、分筆と同じように土地を分けるのですが、分筆とは異なり登記簿に記録を残しません。

一般的に、分割とは建築基準法の建物と土地の関係を確認するために土地を分けることを指します。

広い土地に複数の建物を建てるようなときには、ひとつの建物ごとに建築基準法を満たす必要があります。

たとえば、土地の面積から建築可能な建物の大きさを求めなければならないので、あらかじめ分割して土地の面積を確定する必要があるのです。

2. 分筆は何故行うのか?

分筆を行う理由は、ひとつの土地を複数の土地に分けることで何らかのメリットがあるからです。

分筆を行う目的について

  1. 土地の一部を売却するときに、分筆により売却する土地と売却しない土地に分けることでスムーズに取引できます。
  2. 土地を相続するときに相続人の数に合わせて分筆すれば、相続人それぞれが単独で土地を相続することができます。
  3. 複数の所有者で土地を共有しているときに、所有者の数で分筆すれば、それぞれが単独で所有することができます。
  4. 融資を受けるときに、分筆により土地を分けておくと抵当権を設定する土地の範囲を限定できます。
  5. 土地を分筆することで、固定資産税を節税することができます。

3. 分筆の流れについて

実際に分筆をするときの流れを具体的にご紹介します。

①事前調査を行う

分筆をするには、分筆前の土地について調査することから始めます。

まず、分筆前の土地の記録がある法務局で、「公図(※1)」「地積測量図(※2)」「登記事項証明書(※3)」の交付を受けてください。

次に、法務局だけではなく役所で「確定測量図(区画整理図)(※4)」の交付を受けなければなりません。

参考
※1…公図とは、筆ごとの土地がその地域でどのように所在しているかを記載した地図です。

※2…地積測量図とは、測量結果の記載された地図です。

※3…登記事項証明書とは、登記簿謄本に記載されたデータを確認できる書面です。

※4…確定測量図(区画整理図)とは、区画整理事業を行った場合に作成される図面です。区画整理事業を市が管轄すれば市役所で、県が管轄すれば県庁で交付されます。

②土地の現在調査を行う

現在の土地について境界を確定しなければなりません。

測量については、専門知識が必要なので、素人では対応できません。

そこで、土地測量の専門家である土地家屋調査士に依頼して「境界確定測量」をしてください。

③分筆案を作成する

役所や隣地の所有者との立会いで必要になるのが「分筆案」です。具体的には、土地をどのように分筆するのかを記載した資料です。

あくまでも案なのでおおよその資料というイメージですが、作成には専門的な知識がないと立会いがスムーズに進まないので注意してください。

④役所の立ち合いを受ける

役所の立会いでは、事前調査の段階で交付された資料や分筆案を確認しながら進めます。

現地の状態や分筆に誤りがないかを調べるのです。

⑤隣地土地所有者に立ち合いしてもらい、分筆の同意をしてもらう

分筆する土地と接している隣地の所有者の立会いが必要です。境界線についての話なので、スムーズに進まないことも少なくありません。

相手を納得させるためには、確実な事前調査や必要な資料を集めておくことがポイントになります。

⑥境界標を設置する

立会いが済み同意を得ることができれば、地境杭や地境鋲といった境界標を設置します。

敷地の周囲を見渡してみると境界標と思われる杭や鋲が打たれていることに気づくはずです。

最近はGPS機能付きで、地震などのズレにも対応した境界標も利用されています。

⑦申請に必要な書類を作成する

分筆の準備が完了したら、申請に必要な書類を作成しましょう。

「分筆登記申請書(※5)」「地積測量図(※6)」「筆界確認書(※7)」です。

参考
※5…分筆登記申請書とは、分筆した内容を登記簿に記録するための申請書です。土地家屋調査士に依頼するようにしてください。シロートには厄介な手続きです。

※6…地積測量図とは、土地家屋調査士に依頼した境界確定測量の結果をもとにして作成した図面です。

※7…筆界確認書とは、「境界確認書」「境界の同意書」「境界の協定書」であり、立会いによる同意を確認するための書面です。同意の有無についてのトラブルを避けるために提出します。

⑧分筆登記の申請をする

分筆登記の提出書類が準備できれば、いよいよ分筆登記の申請になります。

申請が受理されると登記識別情報が交付されます。大切に保管してください。

4. 分筆登記の手続きに必要な書類や添付書類

分筆登記の手続きに必要な書類をまとめますと「分筆登記申請書」「地積測量図」「筆界確認書(境界確認書・境界の同意書・境界の協定書)」「委任状」です。

では、委任状について説明しましょう。

分筆登記は、土地家屋調査士に依頼するのが一般的です。土地家屋調査士を代理人として分筆を申請したことを証明するために委任状が必要になります。

委任状がないと、土地家屋調査士が分筆することはできません。

5. 分筆申請にかかる期間について

分筆申請に必要な期間は、境界確定測量が終わっていれば、おおよそ2週間程度でしょう。境界確定測量が終わっていなければ、さらに3カ月程度必要になります。

しかし、この期間はあくまで一般的なものなので参考程度にしてください。

6. 分筆にかかる費用について

分筆登記には、登録免許税という税金や土地家屋調査士に支払う報酬、その他の費用が必要です。

分筆登記の登録にかかる費用について

分筆登記の登録には、申請書や登録免許税が必要です。費用の額は、状況によりさまざまなのですが、宅地などであれば5万円程度が一般的でしょう。

土地の測量と境界標を設置にかかる費用について

土地の測量と境界標設置にかかる費用も状況によりさまざまなのですが、宅地であれば、境界確定測量が終わっていると15万円程度が一般的でしょう。

境界確定測量が終わっていないと、さらに15万円程度が必要になります。

土地家屋調査士に支払う報酬について

土地家屋調査士に支払う報酬は、土地の測量や境界標の設置費用に含まれるのが一般的でしょう。ただし、土地家屋調査士により異なるので確認が必要です。

7. 分筆登記をする時の注意点について

分筆登記をすると、土地の大きさや形の変更に伴って注意しなければならないことがあります。

たとえば、前面道路との関係で建築基準法の要件を満たさなければ新築ができなくなるかもしれません。また、場合によっては固定資産税が高くなることもあるのです。

8. 分筆した場合の住所と番地はどうなるのか?

分筆すると新しい地番が付されます。地番が変わるということは住所も変わるということでしょうか?

住所の変更の対応について

基本的に分筆登記の地番と住所の番地は同じではありません。したがって、必ず住所変更しなければならないとはされていないのです。

住所とは、道路や玄関の位置を基準にしているので、玄関の位置が変わらなければ基本的に住所を変更する必要はありません。

地番はどうやって決まるのか?

地番とは「親番」と「枝番」で構成されています。

たとえば、地番が「10番」の土地を分筆すると、親番である「10番」を基準にして枝番を付けます。2筆に分筆するのであれば、枝番を付けて「10番1」や「10番2」となるのです。

9. 抵当権の抹消と分筆後の売買はどうなるのか?

売却のために分筆しても、分筆前の土地に抵当権が設定されていれば、分筆後の土地にもそのまま設定されるのが原則です。

一般的に抵当権付の物件は売却できません。そこで、売却のためには、売りたい方の土地の抵当権を抹消しなければならないのです。

抵当権抹消はどうすればいいのか?

抵当権抹消登記とは、銀行などからお金を借りたときに不動産に設定された抵当権を消すことです。

借りたお金を返すと抵当権を消すことができます。しかし、抵当権抹消登記という手続きや費用が必要です。

分筆に伴う抵当権消滅承諾書とは?

分筆に伴う抵当権消滅承諾書とは、分筆するときにどちらか一方に設定されている抵当権を消滅させるための書面です。

分筆に伴う抵当権消滅承諾書であれば費用は必要ありませんが、抵当権者の承諾が必要なので返済状況などによっては必ずできるとは限りません。

10. 分筆をする事により固定資産税の節税になる

固定資産税は毎年支払わなければいけませんが、分筆により節税できるのであれば検討する価値があるでしょう。

固定資産税の評価額を下げる事ができる

固定資産税は、固定資産税評価額をもとに計算します。したがって、不動産の評価額を低くすることで固定資産税を下げることができるのです。

たとえば、道路に面している土地は評価額が高く、道路に面していない土地は評価額が低いので、道路から離れた土地を分筆により道路に面していない土地とすれば固定資産税を下げることができます。

使用してない土地に非課税の私道を通すと節税効果につながる

使用してない土地に私道を通すことで非課税にすることができます。

ただし、「公道に接している」「一定の道幅を確保している」「誰でも通行できる」などの条件を満たしていなければなりません。

更地による増税を注意する必要がある

分筆をすれば固定資産税が下がるとは限りません。逆に上る場合もあるので注意が必要です。

たとえば、住宅用地の場合、そもそも特例で固定資産税評価額が6分の1に下げられています。したがって、分筆後に住宅用地でなくなれば特例が適用されなくなるのです。

11. 土地を分筆して相続する時の注意点

相続するときの分筆について、注意しなければならないポイントをご紹介します。

分筆登記は、相続登記前でもできるのか?

分筆登記は、相続登記前でもできます。遺産分割協議書で「分筆した土地をそれぞれが取得する」としておけば、分筆前の土地の相続登記を共有名義でしなくてもかまわないのです。

分筆登記の後に、直接それぞれの取得する土地を相続登記できます。

遺産分割協議書には境界確定測量図面を添付する必要がある

遺産分割協議書には、境界確定測量図面を添付しなければなりません。土地について誰がどの場所を相続するのかを確定する必要があるからです。

したがって、境界確定測量完了後の信頼性のある図面が必要とされます。

分筆登記には時間がかかる

遺産分割協議で分筆登記をする場合には、一般的に「境界確定測量」「遺産分割協議」「分筆登記」の順になります。境界確定測量だけでも3カ月程度必要になるのが一般的です。

さらに、遺産分割協議で手間取ると相当な長期戦になるでしょう。

相続税申告期限としての10カ月では、それほど余裕があるとはいえません。相続が発生したら、早々に手続きを進めることをおすすめします。

12. 分筆には時間がかかるので、流れを良く把握した上で申請を行いましょう!

分筆登記とは、土地の記録を登記という重要なシステムに記録する作業です。

その後の土地売買の取引などで欠かすことのできない内容であるため、厳粛に行わなければならないので時間がかかります。

土地の現状調査することをはじめとして、さまざまな手間がかかります。

しかし、分筆は敷地を分ける境界線を確定する作業であることから、あらかじめ流れを把握して作業をしないと、周囲の土地所有者とのトラブルなどが発生しやすいので細心の注意が必要なのです。

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