2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震、2024年には大阪府北部地震と大きな地震が続きました。
大きな地震が起こると建物の倒壊が起こり、その度に自治体も耐震診断や耐震補強の重要性を訴えていますが、実際には耐震診断や耐震補強をせずに放置されている物件が数多く存在します。
特に、1981年5月31日以前に建築確認申請を行っていた旧耐震基準の物件は、それ以降に建てられた新耐震基準の建物と比べると倒壊リスクが大きく、耐震補強が必要な可能性が高いです。
しかし、実際にはご自身の物件が耐震診断や耐震補強をしているかどうかわからないという方も多いでしょう。
まずは、ご自身の物件が耐震診断や耐震補強をしているか確認を行い、耐震基準を満たしていないのであれば耐震改修工事を検討するべきです。
耐震診断や耐震補強には費用が掛かりますが、現在、自治体の耐震診断や耐震改修工事を促進する動きが高まっており、耐震工事に対して補助制度を実施している市町村もたくさんあります。
今回は、耐震工事について自治体の補助制度を上手に活用する方法についてお話しします。
目次
1. 自治体により耐震診断や耐震改修工事の補助制度が実施されている市町村がある
耐震診断や耐震改修工事をする場合、高額な調査費用や工事費用が掛かります。
地震などの災害で倒壊するリスクを考えるときちんと耐震改修工事をしておきたいところですが、お金がない場合は中々実施に踏み切ることができません。
しかし、自治体によっては耐震診断や耐震改修工事の補助制度を実施している市町村もあるので、上手に活用すれば費用をあまりかけずに調査や工事を行うことが可能です。
2. 耐震補強工事の前に耐震診断をしてみよう
耐震補強工事をする前に、まずは耐震診断を行う必要があります。
やはり、実際に調査してみると旧耐震基準の物件でも耐震基準を満たしているケースもあり、その場合は耐震改修工事をする必要はありません。
耐震診断をすることで、問題の有無、必要な工事の内容を調査し、ようやく耐震補強工事へ進むことができます。
旧耐震基準の1981年5月31日以前の物件は補強が必要になる可能性がある
1981年5月31日以前に建築確認を申請した物件は旧耐震基準になっており、現在の新耐震基準を満たしていないケースがほとんどです。
旧耐震基準は、簡単に言うと震度5程度の地震に対する耐震、新耐震基準は、震度6~7程度の地震に対する耐震と定義されており、基準とする地震の大きさに差があり、その耐震性能は大きく違います。
そのため、旧耐震基準で建てられた物件は、耐震補強が必要になる可能性が高いと言えます。
目安は「上部構造評価が1.0未満か、1.0以上か」となっており、1.0未満なら耐震補強をしなければなりません。
耐震診断に補助金がでる市町村もある
市町村によっては、耐震診断に補助金が出るケースも。
例えば、1981年5月31日以前に建築確認を申請した戸建て物件であれば、横浜市や神戸市、名古屋市だと無料で調査してくれたり、千葉市であれば3分の2(上限4万円)、さいたま市は無料(上限6.5万円)、大阪市は9割(上限4.5万円)など様々。
自治体によっては耐震診断の補助金を受けるにあたって、市民が所有している物件である、建築時期、建築年数、固定資産税に滞納がないなどの条件を満たす必要があります。
耐震診断を行う前に、まずは自分が所属する自治体でどうすれば補助金が出るのかについて確認が必要です。
3. 耐震改修の補助制度について
補助制度を上手に利用して耐震診断を行ったところ、現在の耐震基準に満たない場合は耐震改修工事を検討する必要があります。
そうは言っても耐震改修工事を行うには多額の費用が掛かるので、分譲マンションなど戸数の多い建物では手つかずのまま放置されているケースも多いのが現状。
しかし、各自治体も耐震基準に満たない建物を放置しておくことは倒壊のリスクが高くなると考えており、耐震改修工事に取り組みやすくするための補助制度を設けています。
評点の判定基準について
耐震診断では、建物の地盤や建物の強度などを評価して評点で表しますが、数値が低いほど倒壊のリスクは高まり、数値が高いほど安全度が高まります。
評定の判定基準については、下記の表の通りです。
0.7未満 | 0,7~1.0未満 | 1.0~1.5未満 | 1.5以上 |
倒壊する可能性が高い | 倒壊する可能性がある | 一応倒壊しない | 倒壊しない |
耐震診断で評点が1.0未満の場合は改修工事が必要になる
では、実際に耐震診断の結果が出た場合、改修工事が必要になる評点の基準はどのようになっているのでしょうか。
耐震改修工事が必要になる基準は、倒壊する可能性がある評点1.0未満。
倒壊する可能性が高いという0.7未満となれば改修工事を急ぐ必要がありますね。
4. 木造住宅の耐震改修の補助制度について
耐震診断というとマンションなどの鉄筋コンクリート造の建物を想像するかもしれませんが、木造住宅でも当然耐震基準を満たさなければいけません。
鉄筋コンクリートに比べると木造の方が倒壊のリスクは高くなるので、きちんと耐震診断を行い、耐震改修工事をしておきたいところです。
木造住宅でも耐震改修工事に対して補助金制度を設けている自治体がありますのでご紹介したいと思います。
木造住宅の耐震改修の補助金制度の例を紹介
全国1,600超ある市町村などの自治体の中で、木造住宅への耐震改修工事の補助金制度を行っている自治体は約8割。
補助金制度を受けるには、各自治体の担当者への事前相談をしておく必要があったり、事前に耐震診断を受けておくなど条件が定められているケースもありますので、補助金制度を利用する際には条件を確認しておく必要があります。
では、木造住宅の耐震改修の補助金制度の例をご紹介していきます。
大阪府茨木市
耐震改修工事については、課税所得金額が5,070,000円未満の場合は40万円、世帯の月額所得が214,000円以下の場合は60万円といずれの場合も、補助対象経費が補助金額以下の場合は、補助対象経費が補助金額となります。
東京都葛飾区
木造住宅耐震改修工事については、助成金の上限160万円。
大阪市
平成12年5月31日以前に建築された建物の耐震改修工事については、費用の2分の1(上限100万円)を助成してくれ、平成26年6月より上記に加えて、自己負担額によりますが20万円×戸/棟を併せて助成。
5. 補助金を貰うための条件と方法とは?
倒壊するリスクのある建物については、補助金をもらって早く耐震改修工事をしたいところ。
しかし、耐震改修工事の補助金を貰う為には、一定の条件を満たさなければいけませんし、交付されるための条件も満たす必要があります。
又、実際に補助金を貰う為の条件や交付の条件を満たしている場合、どのように申請すればよいのでしょうか。
補助金を貰う為の条件と方法についてお話しします。
補助金を貰うための条件について
補助金を貰う為の条件としては、大きく3つあります。
- 建築年月日が昭和56年5月31日までに建築確認を受けている
- 建物の構造が木造軸組工法、2階建て以下である
- 居住の為に使われており、空き家ではないこと
他にも各自治体によって、補助金を貰う為に必要な条件が追加されることがあります。
補助金が交付される条件とは
補助金が交付される条件としては、主に2つあります。
- 市町村が行っている耐震診断、あるいは自治体が指定する耐震診断をしている
- 自治体が決めている耐震診断の評点をクリアするための補強工事を行う
補助金を交付するための基準については各自治体によって異なりますので、自治体にきちんと確認した上で工事を行う必要があります。
補助金の申請方法は?
補助金を貰う為の条件や交付の条件が確認できれば、いよいよ申請ですが、申請の際に気を付けておくべき点が!
それは、補助金の申請の前に耐震補強計画の事前審査を受けなければいけません。
自治体もずさんな工事をされては意味がないので、補助金を申請する前にきちんと耐震補強計画の事前審査を行うわけです。
耐震補強計画を作る為には、まず耐震診断を行い、どういった補強が必要か確認し、工事業者に見積もりを取らなければいけません。
実際に補助金の申請が通った後は、耐震補強工事に対して自治体の中間検査、完了検査を受け、最終的には完了報告書を提出してようやく補助金が交付されるという流れになります。
6. 自治体で耐震補助金がでるかどうか確認した上で、上手に活用しよう!
地震大国の日本では、居住するための建物について耐震性を確認しておくことは非常に重要です。
でも、実際には自身の住んでいる建物が耐震基準を満たしているかどうか知らないケースがほとんど。
耐震基準を満たしていない建物は、大きな地震の際には倒壊するリスクが高まり、非常に危険だと言えます。
調査していない建物については、万が一に備えて耐震診断、耐震改修工事を行うべきですが、耐震診断や耐震改修工事には費用が掛かります。
費用が出せないので耐震診断や耐震改修工事が行えないとなると市民の安全が確保できないので、耐震補助金制度を導入している自治体が多くあります。
ご自身の地域の自治体で補助金制度があるかどうかを確認した上で、上手に活用して、耐震診断や耐震改修工事を行ってください。
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