不動産投資を考えるときに、投資先の会社経営が悪化していれば投資を見直すことがあります。
管理している会社が倒産してしまったら、資産管理がうまくいかなくなるリスクが大きいからです。
ですが、会社によっては悪化状況を隠している場合もあります。つまり、自分の力で企業の状況を見極めなくてはなりません。
そこで今回は、経営状況の把握がしやすいキャッシュフローの意味を理解して、適切な投資先を見つける指標になるポイントを解説していきます。
キャッシュフローを難しく考える必要はありません。「帳簿上の利益とキャッシュフローで表した金額の差がどれほどか」がポイントになります。
目次
1. 不動産投資においてのキャッシュフローって何?
一般的なキャッシュフローとは、現金のお金の流れを示したものになります。
これを理解することにより、お金の流れがわかり、資金繰りがうまくいっているのか等企業を評価する際に非常に役に立つ指標の1つです。
このキャッシュフローですが、不動産投資となると少し意味合いが違ってきます。現金(キャッシュ)の流れに着目するという点では一緒ですが、家賃から経費と返済を除いて残るお金の流れを指します。
2. 不動産投資のキャッシュフローの計算方法について
計算式は以下となります。通常、会社が求めるキャッシュフローと現金の流れが違うため、言葉も変わります。
不動産投資キャッシュフロー=家賃の総収入-経費-ローン返済額-税金
家賃の総収入
これは購入する物件のレントロールを見ることによって簡単にわかります。
ただそのままの金額で計算するのではなく、現在の相場に直して計算する必要がある場合もあります。
経費
経費とは、エレベーター費用や固都税、管理費等の建物を維持するために必要なお金のことを指します。
但しこれらの費用を正確に出すのは難しいので、概算で出すのが一般的です。実際の総額としては、20%~25%程度と考えておくと計算が簡単になります。
ローン返済額
こちらは計算が複雑なので、シミュレーターを用いたほうが簡単に算出することができます。
融資されている金額により、キャッシュフローの数値も変わります。
https://keisan.casio.jp/exec/system/1256183644
返済期間や返済額によって大きく異なってくるので、逐一確認をしておく必要性があります
税金
所得税・住民税がこれに該当します。各々の税額は利益に応じて増加する傾向があります。
また税率は人それぞれ違うため、自分にどれだけの税金がかかってくるかを把握しておくことも重要になってきます
3. 帳簿上の利益とキャッシュフローは何が違うのか?
健全な不動産経営を行う際には、キャッシュフローを把握する必要があります。
なぜなら、帳簿上の利益と実際に手元にある現金(キャッシュ)に誤差が出る恐れがあるからです。
要するに、帳簿上は黒字でも実際は資金繰りがうまくいっておらず、火の車ということもあるのです。
帳簿上の利益とキャッシュフローの違いとは?
帳簿上の利益がキャッシュフローと一致しない理由としては、現金支出を伴わない項目を経費と計上したり、現金支出があっても経費と計上しなかったりする場合があるからです。
この帳簿とキャッシュフローの相違を生む主な原因として、減価償却費、借入金利子が考えられます。
減価償却費とは?
減価償却費とは、不動産を購入した際その費用を一括で費用計上するのではなく、利用する年数に応じて1年ごとに費用を計上していく項目のことです。
そのため利益から差し引くことになるのですが、実際はキャッシュの差し引きは発生しません。
ではなぜ減価償却費を計上し利益を圧縮するのかというと、利益が出れば出るほど税金は高くなるからです。
その税金増加のリスクを減らすために、帳簿上では稼いでいないように見せているのです。この行動はキャッシュフローにとってもプラスの要因となります。
ただし不動産の中でも土地は減価償却が行えないのでご注意ください。
ローン返済額で経費にできるのは支払利息
毎月のローン返済額は、2種類で構成されています。
- 元金
- 支払利息
この2種類はどちらともキャッシュが出ていくものなのですが、元金に関しては経費として計上することができません。
つまり帳簿上では変化はないですが、現実のキャッシュとしてはマイナスとなってしまい、キャッシュフローにはマイナス要因となってしまうのです。
帳簿上の利益とキャッシュフローの計算式について
帳簿上の利益とキャッシュフローの関係をまとめると以下の計算式になります。
帳簿上の利益
総収入額 - 運営経費 - 減価償却費 - 借入金利子 - 所得税・住民税
キャッシュフロー
帳簿上の利益 + 減価償却費 - 元金返済
年数が経過すると返済も進みます。するとその分経費となる利息部分は減少し、元金分の費用が増加していきます。
しかし元金は経費として計上ができないため、所得税が上昇してしまうのです。
それに加えて減価償却の性質上、一定年数が経過すると計上できる金額が減少してしまうため、税金負担はさらに大きくなります。
このように元金が減価償却費を上回ってしまうことを「デットクロス」と呼び、不動産経営が危険な状態に入ったことを意味します。
4. 不動産投資においてキャッシュフローに大きな影響を与えるものは?
結論からいうと以下の2つです。
- 金利
- 融資年数
この2点に注目することで、あなたのキャッシュを多く残すことも可能です。
金利による影響について
金利は、少しの減少で返済額に大きく影響してきます。
不動産は1つが高額な分、金利が2~3%下がっただけで返済額は年間で100万円以上変化します。
初めから低金利というわけにもいかないとは思いますので、何年後に借り換えを行うのか、どこの金融機関に変更するのか等を計画的に決めておく必要があります。
融資年数による影響について
融資年数がキャッシュフローに与える影響は、長くするか短くするのかで変わってきます。
融資期間が長ければ長いほど、年間の返済額は減少しますが、借入期間が長くなってしまうので返済総額は増加してしまいます。
逆に、融資期間が短ければ短いほど返済総額は減少しますが、年間の返済額は増加します。
5. 不動産投資のキャッシュフローにおいて注意するポイント
キャッシュフローが大きいからといって、それに満足してしまうのは少し早計です。
不動産のキャッシュフローにおいては、あくまで概算で計算しているため100%正確だということではないのです。
物件購入後に度重なる修繕費用がかかってしまったり、近隣トラブルなどで空室率が増加してしまったりと何が起こるかわかりません。
かといってその全てを計算にいれようとすると、購入すればもしかしたら利益がでたかもしれない物件でも見送らなければならなくなります。
キャッシュフローだけで物件を判断するのではなく、キャッシュフローも加味しつつ総合的に判断した上で不動産購入を考えたほうが良いでしょう。
6. キャッシュフローをより多く残す方法はあるのか?
以上のことからキャッシュフローをより多く残す方法としては、下記の2点に注目していくことをおすすめします。
金利を少しでも低くする
いきなり低金利でローンを組むことはなかなか難しいです。
そのためその不動産をいつまで手元に置いておくのか、いつ他社で借り換えを行うのかを明確に決める必要性があります。
そうすることで年間で何百万単位のお金を節約することができ、また新たな不動産投資が行いやすくなるのです。
融資の期間を長くして年間の返済額を少なくする
融資期間の長短は人それぞれ見解が違いますが、キャッシュフローの観点からみると融資期間は長いほうが良いでしょう。
なぜならば、手元においておけるキャッシュが増加するからです。それにより突発的な出費やデッドクロスに対応しやすくなります。
さらに、そのキャッシュで新たな不動産購入にも踏み込みやすくなるのです。
確かに、支払総額は増加してしまいますが、そこは上記の金利面でカバーしていきましょう。投資初期は未曽有の事態に備えておくことをオススメします。
7. 不動産投資をする上でキャッシュフローは非常に重要!物件購入前に必ず計算しておこう!
不動産投資においてもそうですが、帳簿上では黒字なのに実際は赤字寸前ということがたくさんあります。
これを防ぐためにもキャッシュフローの観点は非常に重要となってきます。
ある1つの観点だけで見るのではなく、キャッシュフローも含めた全体的な観点で不動産を見極めていきましょう。
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