人と人との契約には必ずと言っていいほどトラブルが生じます。
その中でも、不動産購入において非常にトラブルになりやすい部分、それが「瑕疵担保責任」という項目です。
購入予定の不動産物件が通常の注意では気づけないような欠陥があった場合、売主が買主に責任を負うというものです。
マイホームを買ったのは良いが完成後に雨漏りや歪みといった欠陥付きの住宅であることに気づいた、というのでは購入した意味もありませんし、住むに値しません。
本来なら、欠陥があれば施工した建築業者に修繕を要求することができます。
しかし修繕を要求した時に、すでに会社が倒産していた場合はどうしたらよいのでしょうか?
購入時には存在していた会社が、瑕疵が見つかった途端連絡が取れなくなったら、あなたはどうしますか?
実はそのようなリスクを回避するための保険が存在します。今回は、瑕疵担保責任保険とは?というところから、保険の仕組み、加入の流れをご紹介します。
目次
1. 瑕疵担保責任の保険とは?
瑕疵担保責任保険とはどんな仕組みなのか?
そもそも、瑕疵担保責任保険とはどんなものなのでしょうか?冒頭でもお話しした通り、
瑕疵担保責任の保険とは、新築住宅に瑕疵があったとき、その購入者が少ない負担で瑕疵の修補が行えるよう、事業者に対して「保険への加入」、または「保証金の供託」にて、資力を確保するよう法律で義務付けられたものになります。
肝心の事業者が倒産してしまっていても、引き渡しから10年以内に瑕疵が見つかった時に、保険金や保証金で修理費用をカバーしてくれるというものです。
瑕疵担保責任の保険への加入の流れについて
瑕疵担保責任に関する保険への加入の流れは2種類あります。
注文住宅の場合
- 請負契約(保険内容書類の記載)
- 保険申し込み
- 建築物件着工
- 現場状況の確認
- 竣工
- 引き渡し(保険契約内容書類の交付)
分譲住宅の場合
- 保険申し込み
- 着工から竣工(保険内容書類の記載)
- 引き渡し(保険契約内容書類の交付)
事業者の倒産に備える「供託制度」とは?
瑕疵担保責任が義務付けられた際に、施工会社の財務状況によって対処できない場合があることを懸念し、「資力確保」が義務付けられました。
その確保の手段の1つが「供託制度」です。これは、施工会社自らが瑕疵担保責任に対応するもので、物件数に応じた保証金を法務局などの供託所に10年間預けることを指します。
2. 瑕疵担保責任保険は必要なのか?
瑕疵担保責任の範囲はどれくらい?
この瑕疵担保責任の範囲は、「雨漏り部分と基本構造部分」になります。
そのため、基本構造部に関係のない内外装のクロス剥がれや雨漏れによる家財への損害は範囲外となり、保証が受けられない場合もあります。
保険の適用について
不具合があったからといってすぐに認められるわけでなく、調査を行い、その不具合の原因が保険適用の対象内であることが認められなければなりません。
地盤沈下などによって建物が傾いたり、基礎にヒビが入ったりした場合は対象外となる場合もあります。
要するに、保険の適用範囲が限定されているということに注意をしなければなりません。
どこからどこまでが適用されるのかを事前に確認する必要性があります。
保険に入ると安心なのか?
そもそも、瑕疵担保責任上、保険に入るか、供託制度を利用するかどちらかを選択することが義務となっています。
大抵の場合は、保険を利用される方が多いのですが、先述した通り、保険の適用箇所は基本構造の部分ばかりです。
そこが欠陥しているということが分かった時、果たしてその箇所を直してまで住み続けたいと思うでしょうか?
購入金額を返して欲しいと思うこともあるはずです。こうなってしまうと裁判沙汰ですし、費用や時間も浪費してしまう恐れもあります。
保険に入っているから安心という絶対的安心は持たないようにしましょう。
知らない間に保険の支払い負担をしている場合もある
事業者には保証金の供託か保険への加入が義務付けられていますが、大抵の場合は、物件毎に保険加入をしているケースが多いです。
そしてその保険料を住宅価格や工事代金に組みこんで、販売している業者も多いです。
こういったリスクを減らすためにも、購入や取得時には、瑕疵担保責任の保険の有無やその支払いは誰が担当するのか等、取得前には必ず確認しておく必要があるでしょう。
3. 保険を請求するには?
保険法人へ保険金を請求する
事業者が倒産などの理由で連絡がつかない場合、保険付き住宅を保有している方は保険法人に対して瑕疵の補修費用などを直接請求することができます。
ここでいう保険法人とは、国土交通大臣から指定を受け、住宅の検査や保険引き受けを行う法人です。
保険金の請求について
取得住宅に瑕疵があり、事業者が倒産してしまっている場合は、書類に記載されてある保険法人に連絡しましょう。
瑕疵の度合いを調査し、保険が下りれば、その修繕に必要な費用を補ってもらえます。
4. 瑕疵保険の保険付き証明書ってどんなもの?
瑕疵保険の保険付き証明書とは、既存住宅売買瑕疵保険が締結されていることを証する書類です。
保険契約者からの申請に基づき、保険契約者を通じて住宅取得者(買主)に交付されます。また、この証明書は減税の申請にも必要になってくるため、大事に保管しておきましょう。
5. 住宅の瑕疵担保責任保険を取り扱う会社について
瑕疵担保責任保険を取り扱う会社は、主に5つありますので、以下にご紹介していきます。
- 住宅保証機構株式会社
- 株式会社住宅あんしん保証
- ハウスプラス住宅保証株式会社
- 株式会社日本住宅保証検査機構
- 株式会社ハウスジーメン
これらの保険法人は、国土交通大臣が指定する保険法人であり、保険料を支払うことで保険に入ることができます。
保険を受けるためには、保険法人に加入している施工会社に工事を依頼し、物件ごとに保険契約を結ぶ必要があるので注意しましょう。
こちらの保険法人は、建築中の現場を確認し、合格としたものだけに証書を発行するので第三者的目線も介入しており、安心感を持つことができます。
万が一、保険期間中に瑕疵があった場合は、施工会社が負担すべき補修費用の一部を保険法人が負担することになるので、施工主が中小企業であっても、ある程度信頼して頼むことができます。
また、保険法人によっては、保険料や保険内容の違いがあったり、中古住宅として売買する際に、保険を継続することが出来たりと多種多様なので、施工主がどの保険法人に属しているのかを調べた上で保険契約を結ぶのも良いでしょう。
6. 瑕疵担保責任の保険の加入状況について確認した上で、不動産の購入を検討しよう!
供託制度を選ぶよりも瑕疵担保責任保険に加入する人が多く存在します。
瑕疵担保責任保険を選ぶ際は、加入する保険がどういうものなのか、施工主がどの保険法人に属しているのか、その施工会社の実績は大丈夫なのか等、十分に調べた上で不動産購入をしましょう。
大きな金額が動く不動産購入だからこそ、安易な選択はできません。事前の情報を把握し、理解することでトラブルを防げます。
瑕疵補担保責任の全般知識については以下の記事を参考にしてください。