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つなぎ融資って何?仕組みや注意するポイントを解説!費用を少しでも抑えよう

あまり馴染みがないかもしれませんが、住宅購入時には「つなぎ融資」という融資があります。

つなぎ融資を利用するときは主に一戸建て購入時であり、その中でも注文住宅購入時に利用することが多いです。

 

ただ、つなぎ融資は住宅ローンなどの融資とは根本的に異なるので、金利や諸費用、借入時期などの条件も色々と違ってきます。

また、それらの「違い」は、利息金額などお金に関することでもあるので、つなぎ融資を利用する人は事前に知っておかなければいけません。

 

そこで今回は、つなぎ融資の仕組みや注意するポイントを解説するので、少しでも費用を抑えるための参考にしてください。

また、最後に「一戸建て購入」以外の用途である、マンション購入時のつなぎ融資についても解説しています。

目次

1. つなぎ融資って何?

まずはつなぎ融資の概要から解説します。つなぎ融資は不動産購入時も利用しますが、「つなぎ」と言う名の通り、住宅ローンなどの融資とは異なる性質を持ちます。

1-1. 住宅が完成するまでに利用できる融資

つなぎ融資は、住宅が完成する前に利用する融資になります。

原則、金融機関が不動産に関して融資するときは、建物が完成してからです。新築マンションも、建物が竣工(完成)してから、引渡しと同時に実行されます。そのため、逆にいうと建物が完成前には住宅ローンは利用できず、つなぎ融資を利用するしかないとも言えます。

そして、いざ住宅が完成すれば金利の低い住宅ローンを新たに組んで、つなぎ融資ごと返済します。

つまり、つなぎ融資は建物が完成して住宅ローンを借り入れるまでの数か月の期間だけ借り入れる、「つなぎ」のための融資ということです。

1-2. つなぎ融資はどんな時に必要になるのか?

そもそもなぜ建物完成前に融資が必要になるかというと、注文住宅の支払いフローが理由になります。

注文住宅とは、ハウスメーカーなどと一緒に自分で間取りや設備・仕様を考え、一戸建てを建築することです。

その注文住宅をハウスメーカーに依頼すると、その支払金額は完成前に一部請求されるので、つなぎ融資が必要になるというわけです。

「一部」とはいえ、着工時金や中間金などの費用が建物完成前に必要であれば、一千万円単位の費用になります。

その費用を手持ち金額で捻出できなければローンを組みたいところですが、上述したように建物完成前に金融機関は融資してくれません。

そのため、建物完成前に利用できる「つなぎ融資」を利用して、着工時金や中間金の支払いに充てるということです。

2. つなぎ融資の仕組みについて

次に、つなぎ融資の仕組みについて解説します。つなぎ融資の利用を検討しているならば、借入できる回数や金額、申し込みタイミングなどの仕組みを知っておきましょう。

2-1. 融資できる回数と借入できる金額とは?

つなぎ融資は、借入者が必要なタイミングに合わせて利用できます。

原則は、融資を受ける回数は土地代・着工金・中間金の3回までになりますが、注文住宅建築時はこの3回で十分でしょう。

また、借入可能な上限金額は、住宅ローン借入額の30%~40%ほどで、借入回数や上限金額は金融機関ごとの制約があるので注意しましょう。

2-2. 利息や手数料の目安について

つなぎ融資も、当然ながら利息や手数料が発生します。

金利は住宅ローンよりも高く、金融機関で異なりますが平均3%ほどです。

また、一般的には10万円前後の手数料・印紙代がかかります。本来は、金利の低い住宅ローンを最初から借り入れたいところですが、建物完成前なので仕方なく「つなぎ融資」を利用するという感覚です。

そもそも、なぜ建物完成前に住宅ローンを借りれらないかというと、建物に担保設定ができないからです。

住宅ローンの低金利は担保価値があるからこその金利であり、つなぎ融資は担保がないので住宅ローンより高金利になるというわけです。

2-3. つなぎ融資はどのタイミングで申し込みするのか?

つなぎ融資の申し込みは、原則住宅ローンの申し込みと一緒に行います。

つなぎ融資は、あくまで住宅ローンを借り入れるまでの「つなぎ」なので、つなぎ融資単体での申し込みはできません。

また、つなぎ融資はスタンダードな融資ではないので、取り扱っていない金融機関があったり、金融機関によってルールが異なったりするので気を付けましょう。

3. つなぎ融資で注意するポイントについて

さて、次につなぎ融資を利用するときに注意しておきたいポイントを解説します。金利や手数料、利息・自己資金の用意など、お金が絡んでくるポイントもあるので気を付けましょう。

3-1. つなぎ融資がない金融機関が多い

つなぎ融資を行っていない金融機関は多く、ネット銀行や新興銀行は実施していないケースが多いように見受けられます。

しかし、そのような金融機関は金利を低く設定している場合があるので、住宅ローンの借入時は候補に挙がることが多いです。

つなぎ融資を利用する場合は、まずはつなぎ融資を利用できるかどうかを確認し、その後に住宅ローン金利などの条件を確認した方が良いでしょう。

3-2. つなぎ融資は金利や手数料が割高

上述したように、つなぎ融資の金利と手数料は以下のように割高な設定です。

金融機関名 金利 手数料
楽天銀行 2.62% 10万円
ARUHIフラット 3.475% 10万円
みずほ銀行 3.675% 無料
イオン銀行 2.97% 10万円~(借入金額の1.08~1.62%)

特に、金利は住宅に関する融資としては高いです。住宅ローンが最も低い金利で0.5%である点と比べると、つなぎ融資の金利の高さが分かると思います。

また手数料として、融資金額によっては印紙代も追加されます。ただし、金利も手数料も時期によって変動しますので、借入時に再度確認しましょう。

3-3. つなぎ融資の利息の計算方法について

さて、そんな高金利のつなぎ融資ですが、実際にどのくらいの金額を支払うか、利息の計算方法を理解しておきましょう。計算式は以下になります。

融資金額×金利(3.2%)÷365日×融資期間

たとえば、以下のようなスケジュール・金額で、土地を購入して注文住宅を建築するときの利息を計算してみましょう。

  • 土地代:2,500万円
  • (60日後)着工時金:700万円
  • (60日後)中間金:700万円
  • (60日後)住宅完成(住宅ローン実行・つなぎ融資完済)

最初に土地を購入し、60日後に着工時金を支払い、その60日後に中間金を支払います。

さらに、その60日後に住宅が完成して住宅ローンが実行されるので、その住宅ローンで残金を支払い、つなぎ融資を完済するという流れです。

では、順を追って利息計算をしてみましょう。

まず、土地代に関しては「2,500万円×3.2%÷365日×180日=394,520円」が利息です。

着工時金は「700万円×3.2%÷365日×120日=73,643円」、中間金は「700万円×3.2%÷365日×60日=36,821円」となり、合計504,984円が利息になります。

上記のように、借入金額と借入期間が長いと土地の利息も大きくなるので、土地を元々所有している場合などは利息も大幅に減ります。また、工期が長引くほど借入期間が長くなり、利息も増えるという点は認識しておきましょう。

3-4. 自己資金を準備しておく必要がある

つなぎ融資の利息や事務手数料は「差し引き実行」されるケースが多いので、自己資金を用意しておかなければいけないケースもあります。仮に、上述した例で事務手数料が10万円かかると仮定します。

そうなると、土地代の融資は2,500万円なので通常であれば2,500万円が自分の口座に振り込まれますが、利息分の394,520円と事務手数料の10万円(合計494,520円)は既に差し引かれ、24,505,480円振り込まれるのが差し引き実行です。

これは、土地代だけでなく着工時金と中間金にも同じことが言えるので注意しましょう。また、この差し引き実行をする金融機関は多いので、借入時にきちんと確認することをおすすめします。10万円単位の自己資金が必要になるケースもあるので、手持ち金額がなくなってしまったら大変です。

3-5. 住宅ローンの融資や住宅の完成が遅れた場合について

つなぎ融資の手続きのときも審査が必要ですが、住宅ローンの融資のときにも再度審査が必要になります。審査は仮審査と本審査があり、その後金銭消費貸借契約(ローンの本契約)を結ぶという流れです。そのため、審査が遅れたり手続きにミスがあったりすると、住宅ローンの融資実行が建物完成に間に合わないということも稀にあります。

そのときのために、住宅を建築してくれるハウスメーカーなどに「住宅完成時の残金支払いは、住宅ローンの実行まで待っていただけますか?」と確認しておきましょう。原則は、住宅完成と融資実行(代金支払い)は同時になりますが、何かの事情で住宅ローンの融資実行が遅れたときのリスクヘッジです。

ただし、ハウスメーカーや工務店側は、ローンの融資実行まで待つ必要はなく、ローン融資と引き渡しは同時であることを主張しても問題はありません。そのため、残金支払いを待ってもらうことはイレギュラーであるという認識は持っておきましょう。100%自分の責任でローンが遅れないよう、ローン審査のスケジュールを早めておくなどの対策をしておいてください。

4. つなぎ融資の費用をすこしでも抑えるには?

上述したように、つなぎ融資は短期間であるものの利息額は安くありません。言うなれば、つなぎ融資の利息は無駄なお金なので、少しでも抑えたいものです。その方法を解説していきます。

4-1. 金利が安いつなぎ融資を選ぶ

まずは、当然ではありますが金利が低いつなぎ融資を選ぶことです。つなぎ融資の利息が高い最も大きな理由は「金利の高さ」なので、それを抑えることは一番効果があります。たとえば、上述した例では3.2%だった金利を2.5%で組んでみると以下の金額差があります。

・土地代:394,520円→308,219円(-86,300円)
・着工時金: 73,643円→57,534円(-16,108円)
・中間金:36,821円→28,797円(-8,053円)

このように、金利3.2%と2.5%のつなぎ融資の支払利息は、合計110,461円もの差になるのです。

4-2. 自己資金を活用して抑える

また、金利の次は「借入金額を減らす」ことで、利息金額を抑えることです。

特に、土地代は借入金も大きいですし、借入期間も長いので、自己資金を入れて土地を購入すると効果的です。

たとえば、上述した例で土地代2,500万円のところを700万円の自己資金を入れ、1,800万円の借り入れ(金利は3.2%で計算)で計算してみます。

土地代:394,520円→284,054円

このように、110,645円も利息額が下がるのです。

もちろん、自己資金を入れることにより手持ち金額は減るので、利息を支払うか手持ち金額を減らすかどちらが良いのかで判断しましょう。

4-3. 融資の期間を少しでも短くする

そして、融資期間を少しでも短くすることも効果的であり、融資期間を短くする方法は以下の2通りです。

  • 工期を縮める
  • 支払いタイミングを遅らせる

工期を縮めることができれば借入期間が短くなるので、期間が短くなった分だけ利息も減ります。

とはいえ、注文住宅をはじめ不動産の建築は割と工期ギリギリでスケジュールを組むので、ハウスメーカーや工務店が提示した工期を無理やり縮めるのは難しいです。

そのため、工法などによって工期を短期間にすることを売りにしているハウスメーカーや工務店を選ぶと良いでしょう。

上述した理由があるので、2つ目の「支払いタイミングを遅らせる」方が現実的でしょう。たとえば、着工時金は着工してから1カ月後、中間金は本来着工時金を支払って60日後のところを80日後などです。

この辺りはハウスメーカーや工務店との相談になりますが、ハウスメーカーや工務店側からしても支払いサイクルを遅らせると入金サイクルが遅れ、キャッシュフローが悪くなります。

そのため、支払いタイミングを遅らせるという方法も、簡単にできることではない点は認識しておきましょう。

5. つなぎ融資以外に方法はあるのか?

次に、つなぎ融資以外に注文住宅などを購入する方法を解説します。具体的には、以下の方法だとつなぎ融資を利用しなくても購入することが可能です。

  • ほかに所有している不動産を利用する
  • 分割融資土地先行融資を利用する
  • つなぎ融資不要の住宅ローンを組む

5-1. 他に不動産をもっていればすぐに融資が受けられる

たとえば、持ち家などを既に所有している場合などは、その不動産を担保にするという方法もあります。その不動産に担保価値があれば、つなぎ融資ではなく住宅ローンを借り入れできるかもしれません。そうなれば、高金利のつなぎ融資ではなく、はじめから低金利の住宅ローンを組むことで、利息額を減額できるというわけです。

5-2. 分割融資や土地先行融資をしてくれる金融機関を探す

金融機関によっては、土地購入費・着工時金・中間金を、「住宅ローン」として分割で融資してくれる金融機関もあります。

大抵の金融機関が「土地購入から1年以内の着工」などを条件にしていますが、分割でも住宅ローンの低金利で組めることはメリットがあります。ただ、分割なので毎回契約を交わす手間や、その際手数料には注意しましょう。

5-3. つなぎ融資不要の住宅ローンを組む

ERIソリューションという会社と金融機関が提携して提供する「すまいとマネープラン」というローンなら、つなぎ融資は不要で着工前に住宅ローンの借り入れができます。このローンが利用できれば、高金利のつなぎ融資を利用しないで済みます。

ただし、以下のようなデメリットもあるので注意しましょう。

  • 利用できる住宅ローン種類が少ない
  • ハウスメーカーや工務店との手続きが面倒
  • 手数料が高いケースが多い

特に、「利用できる住宅ローン種類が少ない」というのは大きなデメリットです。というのも、低金利の住宅ローンを借りられなければ、結局支払利息が増えてしまうからです。

そのため、「すまいとマネープラン」を利用するときには、ローン種類を選別し、つなぎ融資利用時と総支払額を比較してからにしましょう。

6. マンションの売却と買い替え時のつなぎ融資について

実は、一般的に言われる「つなぎ融資」には2種類あります。通常は、上述した注文住宅などを建築するために利用される「つなぎ融資」を指しますが、マンション売却&買い替え時のつなぎ融資もあります。

最後に、この「マンション売却&買い替え時のつなぎ融資」を解説するので、上述したつなぎ融資との違いを理解しておきましょう。

6-1. マンションの売却と買い替え時のつなぎ融資と注文住宅を建てる際のつなぎ融資は同じもの?

たとえば、以下のスケジュールでマンションの売却&買い替えをするとします。

  • マンションを1,500万円で売却できる予定
  • 完成済みの一戸建てを先に4,000万円で購入

このとき、マンションが1,500万円で売却できることを見越し、1,500万円のつなぎ融資を組んでおき、残りの2,500万円を住宅ローンで組みます。そして、マンションを売却した後に、その売却益でつなぎ融資1,500万円を返済するというわけです。

6-2. マンションのつなぎ融資は不動産会社への依存が高くなってしまう

このマンション売却&買い替えでつなぎ融資を利用するときは、以下の理由で不動産会社への依存度が高くなります。

  • 取扱金融機関が少ない
  • 金融機関の信頼
  • 買取保証

取扱金融機関が少ない

この融資はイレギュラーの融資ではあるので、取り扱っている不動産会社が少ないのです。不動産を購入するときは、不動産会社にあっせんしてもらうことが多いため、つなぎ融資が利用できるかは不動産会社が提携している金融機関次第になります。

金融機関の信頼

また、マンション売却&買い替えでつなぎ融資を利用するときは、売却と購入を担当する不動産会社が同じであることが一般的です。なぜなら、購入する側の住宅ローンは、そのマンションが所定の金額(上記の例では1,500万円)で売れることが前提だからです。

しかし、その金額は不動産会社が提示した査定額に過ぎず、その金額で売れるかどうかは分からないのです。そのため、融資する側の金融機関からすると、「売却担当の不動産会社のあっせん」でないと、信用度が低く審査に通りにくくなるというわけです。

買取保証

そしてこのつなぎ融資を利用するケースは、マンションの売却を依頼するとき「買取保証」を付けるのが一般的です。買取保証とは、「3カ月以内に売れなければ弊社(仲介会社)が○○万円で買取ります」などの保証のことです。この保証を付けないと、いつまで経ってもマンションを売却できず、つなぎ融資の融資期間を超えてしまう場合があるからです。

そのため、大抵の場合つなぎ融資をする側の金融機関が、買取保証を付けることを条件に融資実行をするという流れになります。

しかし、この買取保証は仲介会社がマンションを買い取って再販するので、相場価格の2割ほど下がった金額になります。つまり、マンションが一定期間売れずに買取となると、かなり低い金額になってしまうというわけです。

6-3. マンションのつなぎ融資のメリットやデメリットとは?

そんなマンションの売却&買い替え時のつなぎ融資のメリット・デメリットは以下の通りです。

メリット デメリット
売却する物件と購入する物件の引渡しを合わせる必要がない 融資期間が半年~1年
気に入った物件を先に購入可能 金利が高い
仮住まいがないので引越しが1回で余計な費用がかからない 取扱金融機関が少ない
不動産会社への依存度が高い
マンション売却が不確実である
売却できない場合は安い金額で買い取られる可能性がある

7. つなぎ融資によるローンの借入は金利や手数料が高くなる!費用を抑える方法を考えよう

このように、つなぎ融資は利息額が高くなり、手数料も無駄にかかってしまいます。

とはいえ、特に注文住宅を購入するときは、つなぎ融資を利用せざるを得ないこともあるでしょう。

そのときは、上述した「利息などの費用を抑える方法」を考え実行しましょう。少しでも金利・借入額を抑え、利息額を減らすことが重要です。

金利の低いつなぎ融資の銀行ランキングは以下の記事を参考にしてみてください。

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