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タワーマンションによる相続税の節税対策とは?|節税になる仕組みや注意点を解説!

「タワーマンション節税」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

そもそも、不動産は現金で持っているよりも節税効果があり、それは「市場にお金を回す」ことを促しているからです。

要は、「タンス預金をしているよりも、不動産を購入した方が税金はお得」という状態にすることにより、現金のまま保持し続ける状態を是正しているというわけです。

そんな不動産購入による節税の代表格がタワーマンション節税であり、相続財産が多い人はタワーマンション節税を利用している人も多いです。

しかし、このタワーマンション節税は、ルールが変わったことにより従来の効果が得られない可能性もあります。

そこで今回は、タワーマンション節税の概要説明から、ルール変更の概要まで詳しく解説していきます。

目次

1. タワーマンションによる相続税について

タワーマンションによる相続税の節税対策とは?|節税になる仕組みや注意点を解説!

まずは、そもそもタワーマンションにおける相続税のカラクリを解説します。このカラクリが、タワーマンションで相続税を節税できる仕組みとなります。

1-1. タワーマンション節税って何?

タワーマンション節税は、タワーマンションの不動産評価額の特徴を利用し、相続税評価額を下げて節税するという方法です。まず、前提として不動産は現金で持っているよりも7~8割程度まで評価額が下がります。また、マンションの土地は所有者全員で共有しているという扱いなので、タワーマンションのように戸数が多いマンションの方が、1人辺りが所有する土地は小さくなります。

そのため、1人当たりが支払う必要のある土地の相続税も低くなるということです。さらに、タワーマンションは人気のあるエリアに建築されていることが多く、比較的売却しやすいので買い手も見つかりやすいく流動性が高いです。そして、これが一番肝になりますが「建物の評価額は低層階でも高層階でも相続税評価額が変わらない」という点が、節税につながる最も大きな理由です。

1-2. マンションの相続税評価額を計算する方法について

さて、次は前項で解説した「建物の評価額は低層階でも高層階でも相続税評価額が変わらない」という点が、タワーマンション節税につながる理由を詳しく解説します。まず、マンションは土地部分と建物部分の2つの不動産があり、土地・建物それぞれの評価額を計算します。

上述の通り、土地は全体の評価額を出して、それを持ち分割合(部屋の広さの割合)に応じて案分するという仕組みです。また、建物部分も同じ仕組みで、1棟当たりの評価額を、持ち分割合に応じて案分します。つまり、タワーマンションの2階部分も40階部分も相続税評価額は同じなので、支払う相続税額も同じということです。

1-3. タワーマンションの高層階は相続税の評価額が低くなる

たとえば、平均坪単価330万円、40階建てのタワーマンションがあり、最下階と最上階には以下のような違いがあるとします。

  • 最下階:5,300万円(2階、80㎡、北向き)
  • 最上階:1億1,000万円(40階、80㎡、南向き、ルーフバルコニー付き)

上記のような違いは、タワーマンションならあり得る範囲です。マンションは階数によって眺望や陽当たり、そしてプレミアム感が異なるので、下層階と上層階の価格差が大きくなりがちです。しかしそれでも前項の通り、この最下階の部屋と最上階の部屋では、相続税評価額は変わりません。

たとえば、平均坪単価が330万円なので、80㎡の部屋の相続税評価額は「330万円×24.2坪(80㎡)×80%」とします。そうなると、6,388万円が相続税評価額です。つまり、最下階だと5,300万円が6,388万円の評価額なので、逆に評価額が上がってしまいます。

繰り返しますが、現金で持っているよりも不動産で持っている方が評価額が下がるのですが、タワーマンションではこのようなに不動産で持っている方が評価額が上がることも起こり得ます。一方、最上階は1億1,000万円が6,388万円なので、約42%も節税効果があるのです。これが、タワーマンション節税のカラクリになります。

1-4. タワーマンションによる節税が有効となる人はどんな人?

前項のような仕組みなので、タワーマンション節税は全てのタワーマンション所有者に有効というわけではありません。タワーマンション節税が有効になる人は、ある程度の資産を持っている人、具体的には相続材遺産が1憶5,000万円~5億円程度ある方が有効です。

というのも、このくらいの資産を持っている方は、タワーマンションを購入できるお金はあるものの、自分でマンションを建築して1棟経営するほどの資金はないからです。特に、1億5,000万円~5億円の資産内訳が、現金や金融資産(株など)の割合が多いほど有効的と言えるでしょう。

2. タワーマンションを購入するとなぜ節税になる?仕組みを徹底解説

さて、タワーマンションを購入すると相続税の節税になるという点が分かったところで、次は具体的に相続税を計算する方法を深掘りしていきます。

2-1. 土地と建物を評価する方法について

土地の建物の相続税の評価方法は、以下のように計算する基準が異なります。

  • 土地:路線価を利用して算出
  • 建物:固定資産税評価額を利用して算出

このように、土地と建物で二段階に分けて評価額を算出します。

そして、土地と建物それぞれで算出した評価額に、相続税率を掛けて既定の額を控除することで、相続税が算出されるという仕組みです。

2-2. 土地の評価する為の路線価って何?

路線価は国土交通省が毎年発表する価額であり、土地の周りの道路に価額を付けています。つまり、その土地の路線価を調べるためには、土地が面している道路の路線価をネットなどで調べ、広さに応じて路線価を掛けるという方法です。

ただ、複数の道路に面している場合や、角地だと補正があるなど、算出方法は複雑です。そのため、実際に路線価から土地の評価額を算出するときは、税理士などの専門家に依頼した方が良いです。自分でもできなくはないですが、あくまで参考程度にしておきましょう。

2-3. 建物を評価する為の固定資産税評価額って何?

固定資産税評価額とは、市町村が毎年算出する固定資産税を算出するための評価額です。固定資産税評価額は、市町村で管理する固定資産税台帳で確認することができますし、毎年6月頃送付される「固定資産税の納税通知書」にも記載されています。

固定資産税も前項の路線価も時価より低額の評価になるので、相続税評価額は現金で持っているよりも7~8割ほどまで下がるというわけです。

2-4. 不動産を人に貸し出しするとどうなるのか?

さらに、路線価も固定資産税評価額も、そのマンション(不動産)を人に貸すと更に評価額は下がります。一概には言えませんが、路線価は30%まで下がり(70%減)、固定資産税評価額は70%まで下がる(30%減)というのが一般的です。

2-5. タワーマンションを購入して贈与する仕組みを例で解説

タワーマンションによる相続税の節税対策とは?|節税になる仕組みや注意点を解説!

次に、以下の順番でタワーマンションを購入し贈与することで、相続税などが節税になる仕組みを解説します。

  • 父がお金を借りてマンションを購入
  • 父が会社を設立する
  • 4年目以降に息子へ株を譲渡
  • 不動産の売却

父がお金を借り手マンションを購入

まず、父が銀行から4億円借り入れて、10億円のタワーマンションを購入して貸します。

このとき、仮に10億円のタワーマンションの相続税評価額が約4億2,000万円まで下がったと仮定しましょう。

父が会社を設立する

その後、父が資本金6億円で会社を設立したとします。

さらに、父は4億円を借り入れて、資本金と合計10億円にて、先ほど個人で購入したタワーマンションを購入(個人名義から会社名義)します。

4年目以降に息子へ株を譲渡

そして、タワーマンションではなく、息子には会社の株を全て贈与します。

贈与するタイミングは、不動産が時価として評価されない4年目以降です。不動産の価値は年数によって下がるので、4年目には4億2,000万円の評価が4億円まで下がっていると仮定すると、「タワーマンションの価値4億円-借入金4億円=ゼロ」となるので、会社の株式評価額はゼロになるということです。

この時点で、父から息子に生前贈与すると息子が株主となるので、評価額ゼロ(贈与ゼロ)で株を息子に譲渡できます。

つまり、会社名義のタワーマンションも税金ゼロで息子に譲渡できたということです

不動産の売却

その後、会社名義でタワーマンションを10億円で売却できれば、借入の4億円を返済し、6億円の現金が手元に残るということです。

つまり、税金ゼロで6億円を生前贈与できたので、贈与税も相続税もかからず財産を譲渡したということになります。

3. タワーマンション節税による「租税回避行為」とは|ペナルティーになる可能性も?!

タワーマンションによる相続税の節税対策とは?|節税になる仕組みや注意点を解説!

タワーマンションを利用した節税は効果が大きいので、税務署から「租税回避行為」と見なされペナルティーになるケースがあります。

3-1. 租税回避行為って何?

租税回避行為とは、脱税まではいかないものの、節税とは認めることができない行為です。

言うなれば、「ルールに基づいているものの、さすがに度が過ぎた節税」と判断される行為になります。

脱税行為はペナルティおよび刑事告訴の危険性もありますが、租税回避行為は節税行為でもあるので判断が難しいのも事実です。

3-2. タワーマンション節税が否認される場合も出てきている

上述したように、タワーマンション節税は下層階と上層階の売買価格は異なるものの、相続税評価額は変わらないというカラクリを利用した節税です。これは、度が過ぎると租税回避行為に当たるため、税務署でNGになる事例も出てきています。

3-3. 租税回避行為として見られやすい行為とは?

租税回避行為と見なされやすいのは、過度な節税策や明らかに税金を安くしようとする行為です。

たとえば、被相続人が亡くなる直前にタワーマンションを購入していた場合などで、誰も居住していなかったりすると、明らかに「タワーマンション節税を利用するためにタワーマンションを購入した」と見なされることがあります。

この辺りは、「過度な」や「明らかな」など曖昧な表現からも分かるように、明確に定義が決められているわけではありません。

とはいえ、もし税務署から指摘が入れば、プロである税務職員には太刀打ちできないでしょう。そのため、相続税に強い税理士に依頼して、相続対策は行った方が良いです。

4. タワーマンションを節税する為に購入する時の注意ポイントとは?

タワーマンションによる相続税の節税対策とは?|節税になる仕組みや注意点を解説!

①タワーマンションの価格が下がりにくい物件を選ぶ

タワーマンション節税が成立する条件としては、そのタワーマンションの価値が下落しないという点があります。当然ながら、1億円で相続したタワーマンションが、突然6,000万円まで売却金額が下落してしまえば、相続税を節税できてもトータルはマイナスです。

現在の日本はオリンピック特需もあり、マンション価格はかつてないほど高騰している状態です。そして、日本はこれから人口減に向かっていくので、郊外はより価格下落のリスクが高いでしょう。とはいえ、関東や東海は以前から大地震の危険が予測されているので、ハザードマップ上で地震危険度が高いエリアは避けた方が無難です。

そして、東日本大震災で液状化などを経験しているので、湾岸沿いよりも内陸部の方が危険は少ないと判断できます。これらを総合的に考えると、東京でいえば新宿・品川・白金エリア、神川でいえば武蔵小杉付近は安心感があると言えるでしょう。

②出来る限り、高層階で南向きか南東角の部屋を選ぶと良い

タワーマンション節税の基本は、「同じ専有面積で出来るだけ価格(価値)の高い部屋を買う」という点です。そのため、マンションで最も価格が高い「高層階かつ南・南東向きの角部屋」を選ぶようにしましょう。そうすれば、売買価格は高いものの、相続税評価額は相対的に低くなります。

③出来る限り早めにマンションを購入しておく

次に、なるべく早くタワーマンションを購入するという点です。理由は、上述した租税回避行為と見なされないために、購入日と相続開始日を離しておくためです。明確な基準はないですが、目安としては相続開始から3年以上前に購入しておいた方が無難でしょう。

④相続した後はある程度期間をおいてから売却した方が良い

最後に、相続後は時間を空けてタワーマンションを売却するという点です。やはり、先ほどの例のように相続開始からすぐに売却すると「租税回避行為」になる可能性が高まります。これも明確に「○年後」という定義はありません。

ただ、相続税の税務調査は、相続より5年以内に行われるのが一般的です。その点を加味すると、相続発生から5年超の期間が経過したときに売却すると良いでしょう。

5. 2024年度以降の課税方法が変更され新築のタワーマンションの上層階は相続税が増税される

タワーマンションによる相続税の節税対策とは?|節税になる仕組みや注意点を解説!

ここまでタワーマンション節税を解説してきましたが、実は2024年以降はルールが変更され、上述したタワーマンション節税が有効でない可能性があります。そのため、タワーマンション節税を検討している人は、以下の変更点に注視しましょう。

2024年以降に引き渡される新築のタワマン上層階は相続税を増税

ルールが変更される理由は、言わずもがな「不公平」だからです。本来、相続税というのは「相続財産」の評価額によって納める税額が変わります。簡単にいうと、「金額の大きな財産を相続するほど、相続税もたくさん支払う」のが原則になります。

しかし、現在だとタワーマンションの上層階の評価額が「安く」評価され、下層階の評価額が「高く」評価されてしまうため、相続税評価額が不公平になり、納める税額も不公平になるという状態です。それを是正するため、本来の価値に合わせるように、高層階ほど相続税評価額が高くなる仕組みを導入します。

このルール変更によって、タワーマンション節税の「高層階は本来の価値は高いけど、相続税評価額は安くなる」という部分が解消するので、タワーマンション節税は成立しにくくなるということです。

6. タワーマンションによる相続税の対策には注意が必要になる!

このように、従来はタワーマンション節税の効果は大きかったです。しかし、ルールの改正により、マンションによってはタワーマンション節税が成立せず、タワーマンションを購入することが全く節税につながらないこともあります。この点は、タワーマンションの価値や市況によって大きく異なるので、一概には言えません。

そのため、節税のための不動産購入で「タワーマンション」を選ぶときは、しっかりと相続税に強い税理士などの専門家とも相談しながら判断した方が良いでしょう。タワーマンション購入時には初期費用もかかるので、下手に購入すると損してしまう可能性もあります。

 

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