ローンや奨学金など、お金を借りる時に必要な保証人ですが、アパートの賃貸契約でも保証人は必要。
基本的にはお金が払えなくなった時に保証するのが保証人の役割となっていて、借主と同様、厳しい審査をされる場合もあります。
そんな保証人ですが、みなさんは「保証人」と「連帯保証人」の違いはをご存知ですか?
似たようなものだと思っている人も多いかもしれませんが、全く別物なんですよ。
今回は「保証人」と「連帯保証人」の違いを確認し、どういう人が適任なのかも含めてご説明いたします。
またアパート契約における保証人に対する審査内容についてもまとめてみましたので、ご参考にして下さい。
目次
1. 連帯保証人制度とはどんな制度?
アパートの契約では、借主は連帯保証人を用意しなければなりません。これは家賃が払えなくなった時の備えで、家賃が滞納した時に、代わりに払うのが連帯保証人の役割。
大家としては家賃滞納は避けたいので、連帯保証人制度を利用し、家賃回収を確保しています。
2. 保証人と連帯保証人の3つの違いを知ろう!
「保証人」と「連帯保証人」は、共に保証人であることは変わりありませんが、民法ではその定めを次のように定義。主に3つの違いをご紹介します。
①連帯保証人は、家賃立て替え請求を拒否できない
借主がアパート家賃の支払いを延滞した時、連帯保証人は滞納家賃の立替を請求されます。
この時、「借主に請求してくれ」などと言って支払いを拒否することができません。
つまり借主が遅れた時点ですぐに弁済しなければならないのが連帯保証人の役割です。
②連帯保証人は、借主に財産があっても滞納家賃を立て替えなければならない
アパートの借主が家賃を滞納したとしても、預貯金などの財産があった場合、それを証明することができれば、保証人は滞納家賃の立て替えを拒否できます。
しかし連帯保証人は拒否できないので立て替えなければなりません。
③連帯保証人は複数いても、家賃を分割できない
たとえばアパートの賃貸借契約で保証人が2人いれば、それぞれが責任を追うため、例えば家賃10万円の延滞なら、それぞれが5万円の返済義務となります。
ところが連帯保証人の場合、たとえ複数いたとしても債務の分割ができないだめ、連帯保証人1人が家賃全額の返済を負うことになります。
このように、保証人より連帯保証人の方が責任が重くなっています。
3. 連帯保証人は何故必要なのか?
アパート契約の連帯保証人は、大家にとって家賃を回収するための保険のようなもの。
アパートで家賃滞納が起こると、次に夜逃げを心配しなければなりません。夜逃げされると、家賃回収は絶望的で、それに加えて残された家財道具の処分で大家は困ってしまいます。
そうしたことを防ぐために、連帯保証人を設けることにしています。連帯保証人は何かトラブルが起こった時に連絡先としても対応しなければならないもの。
連帯保証人はお勤めの人で、安定した収入があれば、大家としては安心ですね。
4. 賃貸物件の連帯保証人について
4-1. 連帯保証人には誰がなれるのか?
アパートの連帯保証人は、借主が家賃を延滞したときに立替を求められるため、ある程度支払い能力が必要に。
理想的なのはご両親。やはりご両親が一番責任感が強いので、連帯保証人として望ましいと言われています。しかしもしご両親が難しい場合は、兄弟姉妹などの親族がなるのがいいでしょう。
友達など他人でも構いませんが、もしご家族がいらっしゃるのに、あえて友達を連帯保証人にたてているというのは、何か訳があったり、大きなトラブルを抱えている人と見られる可能性もあるので、注意しましょう。
4-2. 連帯保証人は審査があるのか?
アパートの連帯保証人になるには、支払い能力があるかを見られます。不動産会社は金融機関ではないので、審査と言っても信用情報に問い合わせるといったことはありません。
入居申込書に書かれた内容から、いざという時に家賃の返済をしてもらえる財力があるかどうかをチェックされるのです。
連帯保証人に収入証明書の提出を求める場合は、あまりありませんが、高額物件などの契約で、さらに連帯保証人の収入に疑問を持たれた場合、提出を求められることもあります。
4-3. 賃貸契約時に連帯保証人が必要になる書類とは?
アパートの連帯保証人は、契約書に署名・捺印が必要になります。
そのため連帯保証人が不動産会社窓口に来られない場合は、契約書を一度持ち帰り、連帯保証人の所に行って署名・捺印をお願いすることに。
また提出書類は印鑑証明で、実印の捺印も必要です。収入証明書等は、提出を求められた場合のみ必要となります。
5. 親が連帯保証人になれない場合がある
連帯保証人には両親のどちらかがなるのが理想的だと説明しました。
しかし両親が高齢で年金暮らしの場合には、収入面での不安があるので、連帯保証人になれないケースも。連帯保証人に求められる収入は、特にいくらといった決まりがあるわけではありません。
しかしあまりにも収入が低い場合は、アパート家賃が安くても、連帯保証人になれない可能性もあります。
6. 連帯保証人になれる収入の基準一覧
年収 | 賃料の目安(上限) |
---|---|
200万円 | 約5.6万円 |
250万円 | 約6.9万円 |
300万円 | 約8.3万円 |
350万円 | 約9.7万円 |
400万円 | 約11.1万円 |
450万円 | 約12.5万円 |
500万円 | 約13.9万円 |
800万円 | 約22.2万円 |
1,000万円 | 約27.8万円 |
1,200万円 | 約33.3万円 |
1,500万円 | 約41.7万円 |
アパートの連帯保証人に求められる家賃の目安として、家賃が月収の3分の1におさまるかどうかがポイントに。
またその収入は、毎月定期的に入る収入でなければなりません。あまり不安定な職業の方であれば、連帯保証人にはなれないでしょう。
7. 条件を満たせない場合でも連帯保証人を立てられる場合がある
7-1. 連帯保証人を複数人たてる
アパートの連帯保証人に収入が少ないなど不安要素がある場合、連帯保証人を複数人たてることによって、弱さを補完することで問題がクリアされるケースもあります。
たとえば親を連帯保証人にしようとしたけれど、年金暮らしのため収入が低いと、もう一人定職に就いている友人を連帯保証人にたてることもあります。
こうした方法は不動産会社や大家が了承している場合で可能に。しかしなかにはNGのところもありますから、注意して下さい。
7-2. 緊急連絡人を用意する
アパートの契約で、連帯保証人とは別に緊急連絡人の用意をお願いすることがあります。
これはあくまで緊急時の連絡なので、保証人ではありません。よって延滞家賃の返済義務などはありません。
どういう時に連絡するかというと、たとえば借主と連絡が取れなくなったり、又は借主が事故などにあわれたり、何か不測の事態が発生した時にすぐ連絡が取れる人の連絡先を求めるというものです。
8. ルームシェアやシェアハウスなどの保証人は誰にすれば良い?
8-1. 入居者全員がそれぞれ連帯保証人を立てる方法
若い人を中心に人気のルームシェアやシェアハウスですが、それぞれで契約方式が違います。
たとえばルームシェアの場合は、複数人で一つの物件を借りるのですが、一人ずつ契約します。
そのためそれぞれ連帯保証人が必要に。
この場合、途中一人が退去してしまうと、家賃等に変更が生じるため、残りの住人が契約書を作り変える必要があります。この時に家賃1か月分の手数料がかかるかも。
またシェアハウスでは、入居者一人ずつが契約することになるため、それぞれ連帯保証人が必要になります。
シェアハウスでは、入居者それぞれの契約になるので、普通のアパートと同様の契約だと考えて下さい。シェアハウスの場合、ルームシェアのように誰かが退去しても関係ありません。
8-2. 入居者のうちの代表者1名が連帯保証人を立てる方法
ルームシェアの場合、代表者一人が契約者となり、その人だけが連帯保証人を用意して契約すればOKというところも。
つまり他の入居者は同居人として暮らすことになるわけで、家賃の支払い義務は、代表者が負うということに。アパートの契約と似ていますね。このケースでは大家の了解が必要になります。
シェアハウス経営についてはこちらの記事へ
9. 連帯保証人がいない場合にアパートを借りる方法
9-1. 家賃保証会社にお願いする
もし借主がアパートの家賃を延滞した場合、家賃保証会社に入っておけば大家は家賃をすぐ受け取れます。
家賃保証会社は連帯保証人と同じように家賃の立替を行ってくれるのですが、これは入居の際に借主が保証会社に保証料を支払うことで加入するもの。基本的に大家の保証料負担はありません。
9-2. クレジットカード払いができる物件を探す
最近はクレジットカードで家賃を払える物件が増えてきました。
通常クレジットカードでの代金受け取りには、手数料がかかるため、これまでアパート家賃などで利用されることはありませんでしたが、近年では不動産会社がカード決済のシステムを導入しているところも増えてきました。
しかしこの場合でも連帯保証人は必要になります。
10. 保証人と連帯保証人の違いを把握した上でお願いしよう!
このように、保証人と連帯保証人とでは、責任の範囲が異なるため、しっかり区別して利用しなければなりません。
お願いする方も、される方も、両者の違いをしっかり知っておかないと、後でトラブルになるかもしれませんね。
また今回ご紹介したように、アパートの保証人は誰でもなれるというわけではありません。両親や兄弟など、親族がなるのが望ましいのですが、収入面で条件をクリアできなければ、別の方法をとるか、あるいは別の人に頼まなければなりません。やり方はいろいろあるので、不動産会社と相談しながら進めていきましょう。
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