新しくアパートを借りる際に、入居審査や必要書類の準備でつまずいてしまうことも少なくありません。
不動産特有の契約方法や流れは、一般の人にとってはわかりにくいもの。
入居までに事前に必要な初期費用があったり、契約時に用意しなければならない書類もあります。
また、重要事項説明書の内容は事前にしっかり確認しておかないと後々トラブルの元にもなります。
今回は物件探し・契約・入居まで一通りの流れを、わかりやすく時系列でご説明します。
また、契約時に知らないと損する注意点も紹介しています。アパートを借りる時は一連の流れをしっかり把握して、スムーズに賃貸契約を済ませるようにしましょう。
1. アパート契約時の流れ
ここではアパート選びから契約、物件引き渡しまでの流れと、それぞれの場面でやるべきことを上の図の流れに沿って説明していきます。
①自分が希望とするアパートの条件を考える
物件探しの第一歩として、まず自分が希望するアパートの条件を具体的に考えてみましょう。
「駅チカで眺めが抜群でトイレ・バスはセパレートが希望!」など、人によって様々な希望があると思います。
次に紹介する3点は、実際に入居し生活していく上での快適さを左右する特に重要な項目です。
立地(駅徒歩や周辺施設)
物件選びの際、立地は特に重視すべきポイントです。実際住んでみたものの、立地条件の悪さで引っ越しを検討をする人も少なくありません。
例えば、職場や学校までのアクセスの良し悪しは、起床時間や帰宅後に自宅で過ごす時間も変わってくるので、自分のライフスタイルに大きな影響を及ぼします。
また、アパートの周辺や駅までの道のりに、スーパーやコンビニ、病院といった施設があるとより生活しやすくなります。
立地条件を考える際は、次のようなものを考慮しましょう。
- 最寄り駅まで徒歩でかかる時間
- 職場・学校までの交通アクセス
- 自分に必要な施設(スーパー、病院など)が周辺にあるか?
- 女性なら周辺環境の治安や夜の雰囲気
間取り
部屋の広さやキッチンの配置など、自分に最適な部屋の間取りを選ぶことも大切です。
リーズナブルな賃料で人気な1R(ワンルーム)ですが、料理をすることが多い場合は、匂いが部屋に充満し洋服につくことになります。
部屋の間取りは自分のライフスタイルと賃料とのバランスをみながら決めましょう。
間取り表記 | 仕様 |
1R | キッチンが部屋の中にある。賃料を抑えたい人におすすめ |
1K | キッチンと部屋が分かれており、キッチンが玄関から部屋までの廊下にあるタイプが多い。 |
1DK | ダイニングキッチン+部屋 6畳以上の広さがあるもの。 |
1LDK | ダイニングキッチン+リビング+部屋 リビングと寝室が独立していて、10畳以上の広さがあるもの。 |
部屋の数や広さに以外にも、収納スペースの有無やバス・トイレのタイプといった細かい部分の希望条件も、不動産会社に行く前に明確にしておきましょう。
賃料
一般的に理想の賃料の相場は月収の3割以下までと言われています。
収入に見合わない高額な賃料の物件だと、支払いが滞る確率も高くなるため入居審査に通りにくくなります。
一例として、年収250万円の人がアパートを借りる場合は、賃料は約6.2万円までに抑えるのが妥当です。
家賃は毎月の家計の収支でも特に高額な支払いです。収支と照らし合わせて、負担のない賃料に抑えるようにしましょう。
②気になった物件があるか問い合わせ・予約をする
賃貸物件検索サイトや賃貸情報誌で気になった物件が見つかったら、まずは不動産会社にメールで問い合わせてみましょう。
24時間以内に不動産会社からメール、もしくは電話で連絡がきます。
もし、急ぎで物件探しをしているのなら、電話で直接問い合わせることも可能です。
問い合わせた物件ですでに入居者が決まってしまった場合でも、希望する条件をメールや電話で伝えれば、サイトには掲載されていない物件や退去が決まったばかりの新着物件から探してくれることもあります。
物件を直接見たくなったら、不動産会社に来店予約を入れるのがオススメ。
予約なしで不動産会社に飛び込むことも可能ですが、予約をしておくと来店当日に営業担当者もスムーズに接客ができ、他の候補物件もピックアップするなど事前準備をしておいてくれます。
不動産会社訪問に特におすすめの日は平日です。物件を管理する管理会社は土日が休日の場合が多く、平日なら物件に関する質問にスピーディーに返答してくれたり、土日よりもお客さんが少ないため気に入った物件を早くにおさえることができます。
③不動産会社に足を運び、内見に行く
不動産会社を訪問したら、初めに希望条件や連絡先、職業などを把握するシートに記入をします。
収入や職業の欄も、後々入居審査に影響を与えるので正直に書きましょう。個人情報を記入することに抵抗のある人は、希望条件と名前、連絡先だけでも大丈夫です。
希望条件は厳しすぎてもぼんやりしすぎても、営業担当者は困ってしまいます。
条件を伝える場合、
- 譲れる部分
- できれば希望する部分
- 絶対に譲れない部分
と優先順位をつけた希望条件を伝えると、営業担当者もスムーズに物件候補を探すことができます。
不動産会社でいくつか気になる物件をピックアップしたら、続いて内見で実際に物件を確認します。
内見の時間帯は午前10時~午後6時までと限られている場合が多く、午前中から内見をしても一日で見れるのは5,6件が限度です。
たくさんの部屋が見たい場合や、昼と夜での日当たりや周辺の環境の違いを確認したい場合は、何日かに分けて内見に行くとよいでしょう。
内見で部屋の広さや眺望、水回り以外に、チェックしたいポイントを項目3で解説しています。
④入居申し込みをし、審査を受ける
内見で気に入った物件があれば、入居の申し込みをして貸主による入居審査を受けます。
まず、所定の申し込み書に氏名・勤務先・年収・勤続年数といった必要事項を記載します。
場合によっては連帯保証人の情報も記載する場合があるので、連帯保証人の住所や勤務先も事前にメモしておくとスムーズです。
入居審査で提出するもの
- 申込書
- 契約者本人の源泉徴収票や納税証明書(コピー可)
- 連帯保証人の源泉徴収票や納税証明書(コピー可)
- 申込金(1万円~家賃1カ月分)※最近は不要な場合も多い
貸主による入居審査では、次の項目を中心にチェックして契約者本人の支払い能力を判断します。
- 収入の安定性
- 職業
- 勤務形態
- 具体的な収入額
入居審査の期間はおよそ2~4日程度で、不動産会社を通して結果の連絡が入ります。
⑤重要事項説明を聞き、契約の手続きをする
入居審査に通れば、いよいよ契約の手続きに入ります。
貸主側と交わす賃貸借契約書の前に、不動産会社の宅建取引主任者から重要事項説明を受けます。
重要事項説明とは、物件を仲介をした不動産会社と借主との間で契約内容の確認のために行われる行為です。難しい不動産用語ばかりで読むのが面倒になってしまいますが、借主が契約内容を理解できずに契約し、後々思わぬ損害を被らないための大切な制度となっています。
契約内容の中で不明点があれば担当者に納得がいくまで確認しましょう。
重要事項説明書で、特に注意して確認するポイントは項目3-3で詳しく説明しています。
重要事項説明を受け契約内容に納得したら、賃貸借契約を交わします。この時点で、いくつかの書類と初期費用を用意しなければなりません。(項目2で契約時に必要な書類と初期費用を解説しています。)
⑥契約後の手続きと引き渡し
賃貸借契約の手続きを終えたら、物件の引き渡しになります。引き渡し前後にも諸々の手続きがあります。スムーズに引っ越しを行うためにも、計画的に進めていきましょう。
賃貸借契約後から入居後までに必要な手続き
- 引っ越しの見積もり・業者の手配
- 居住している部屋の片付け・荷造り
- インターネットの解約、契約
- 転出・転入届の提出
- 電気・ガス・水道の使用停止・開始手続き
- 印鑑証明、住民票、マイナンバーの住所変更手続き
- 携帯電話・運転免許証・銀行・クレジットカードの住所変更手続き
- 郵便物の転送届の提出
2. アパート契約時の必要書類一覧表
アパートの契約の時に必要な書類は次のようなものです。
契約金 | ※項目を参照 |
契約者の住民票・印鑑証明 | 区(市)役所に行って入手します。印鑑証明を取得していない人は、住んでいる自治体で実印登録を済ませておく必要があります。 |
契約者の実印 | 自治体で印鑑証明を得た印鑑。家賃を銀行から引き落とす場合は、通帳(口座番号)と口座印も必要です。 |
契約者の収入証明書 | 会社員なら源泉徴収票、フリーランスの場合は納税証明書になります。 |
連帯保証人に関する書類 | 連帯保証人の住民票・印鑑証明書・収入証明書が必要です。 |
契約時に必要になる費用にはどんなものがある?
アパートを借りるには、月々の家賃とは別に契約時に初期費用を払う必要があります。初期費用には次のようなものがあります。
・敷金
部屋を退去するときの原状回復費用に充てられる費用で、家賃1カ月分が目安となっています。基本的には、原状回復にかかった費用が差し引かれた金額が戻ってきます。
・礼金
大家さんに対するお礼として支払います。退去時の費用の返還はありません。
・前家賃
入居する月の家賃を前払いで支払います。月の途中から入居する場合は、日割り家賃が発生します。
・仲介手数料
物件の案内や契約手続きを行った不動産会社に支払う手数料です。一般的には契約した家賃の0.5カ月~1カ月分が目安です。
・火災保険料
火災保険には、大きく分けて二つあります。火災や漏水などによって部屋に損害を与えてしまった時、原状回復するための費用をまかなう「借家人賠償責任保険(特約)」と、火災や漏水などで自分の所有する家具や家電に損害があった場合や、現預金の盗難にあった場合に補償する「家財保険」です。1人暮らしで1.5万円、カップル・ファミリーで2万円が相場となっています。
・家賃保証料
万が一家賃が払えなくなった場合の保証に、家賃保証会社に支払うお金です。連帯保証人がいれば不要な場合もあります。家賃と共益費を合わせた0.5ヵ月分が相場です。
これ以外にも、鍵の交換費用や害虫駆除代などが発生する場合もあります。初期費用で分からない点がある場合は、不動産会社に確認しましょう。
3. アパート契約時の注意点
ここでは、知らなければ後々トラブルの元となりやすい、アパート契約時の注意するポイントをご紹介します。
3-1. 内見時に設備はよくチェックしておく
内見に行った時は、部屋の眺めや広さについつい目を奪われがちです。
しかし部屋の設備もしっかりチェックしておかなければ、引っ越し後に予想外の出費が発生したり不都合が生じます。設備をチェックするために、内見の際はメジャーを持っていくことをおすすめします。
設備では次のポイントを重点的にチェックしましょう。
・窓
カーテン購入の際に必要な窓のサイズ。窓の数とサイズ、カーテンレールは何連あるのかはチェックしておきましょう。
・エアコン、ガスコンロ、照明の有無
もし、これらの設備が無い場合は、自分で設置するか大家さんに設置してもらうかになります。退去時にその設備を置いていくことを前提に、大家さんが取り付けてくれる場合もあります。
・洗濯パン
洗濯機を設置するスペースである洗濯パン。ドラム式洗濯機は主流の洗濯パンのサイズでは設置が難しいケースもあります。設置予定の洗濯機が入るかどうかサイズをはかりましょう。
3-2. 保証人の条件を確認しておく
賃貸借契約の連帯保証人は、一般的に以下のような条件を満たした人が求められます。
- 契約者の親族(父母兄弟など)
- 家賃を滞納した場合、代わりに支払うことができる一定の収入がある
- 常時、連絡をとることができる
保証人の条件は管理会社によっては厳しい条件を設けている場合もあるので、契約前に不動産会社に確認してみましょう。
3-3. 重要事項説明書の「特約」は注意して見る
重要事項説明書では、特に注意してみるポイントが「特約」です。
一般的に、借主には退去時に部屋の原状回復が義務付けられていますが、これは借主の故意の過失や、普通の使い方では起きない損害があった場合にのみ復旧しなければならないということです。普通に使用して生じる汚れや経年劣化は、大家さんが負担をすることが原則になっています。
しかし、中には原則以上の負担を要求するケースも多く、「特約」にハウスクリーニング代やクロス張替え、畳表替えを原状回復費用として敷金から補填するなどの記載がされていることもあります。
この特約が自分で納得できる内容になっているかは必ず確認しましょう。
4. 流れを把握してスムーズに賃貸契約をしよう
賃貸契約は、書類の準備や手続きに思わぬ時間を取られてしまうものです。
書類の不備などで何回も不動産会社に通うことがないよう、契約までの流れや条件をしっかり把握しておきましょう。
また、賃貸物件の敷金や原状回復トラブルは、国民生活センターに毎年1万件以上相談が寄せられる非常に身近な問題でもあります。
アパートを契約する際は、設備や重要事項説明書、契約書の内容をしっかりチェックして不明点があれば解消し、未然にトラブルを防ぐことが大切です。
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