アパート経営をされている方々のほとんどは、管理会社へ物件管理を委託されているでしょう。
物件管理の細かい内容については管理会社によって異なりますが、多くの管理会社で導入されているのが「家賃保証」。
今回は、家賃保証の仕組みや内容、利用するメリット・デメリットについてご紹介します。
アパート経営を検討している方は特に必見です。
目次
1. アパート経営での家賃保証とは?
アパート経営での家賃保証とは、保証会社が入居者の連帯保証人代わりとなり、
万が一、入居者が家賃を滞納してしまった場合でも保証会社が家賃を立て替えてくれるというサービスのことです。
ここでは、アパート経営での家賃保証の仕組みなどについて解説します。
家賃保証契約の仕組み
保証会社と家賃保証契約を結ぶと、保証会社が入居者の連帯保証人の代わりとなります。
つまり家賃保証契約の仕組みとは、万が一入居者が滞納してしまったとしても、保証会社が代わりに家賃を立て替えてくれるというものです。
入居者が滞納した場合、保証会社が入居者へ滞納家賃を請求します。
家賃保証契約の内容によりますが、滞納が長期化すれば、最終的に明け渡し裁判などの手続きや費用を代行してくれることもあります。
また、家賃だけでなく退去後の修繕費用や更新料についても保証してもらえることも。
家賃保証契約はどの物件でも利用できる?
管理会社によって取り扱っている保証会社が異なりますので、どの物件でも自由に利用できるというわけではありません。
また、入居審査の仕組みは管理会社によって異なります。
管理会社によっては保証会社を利用せず、連帯保証人のみというところもあるからです。
複数の保証会社を取り扱っている管理会社は、物件によって使い分けていたり、保証料を提示して入居希望者に選んでもらったりしていることがあります。
保証会社によって審査基準や保証内容が異なりますので、管理会社と委託契約を結ぶ前にきちんと確認しておきましょう。
家賃保証契約で保証してくれること(やってくれること)・保証してくれないこと(やってくれてくれないこと)
家賃保証契約で保証してくれること・保証してくれないことの中で代表的なものをご紹介しましょう。
保証してくれること(やってくれること)
- 入居審査
- 家賃滞納の保証(期間は契約内容による)
- 明け渡し裁判手続き・費用の代行
- 原状回復費用の負担
- 更新料の立替
- 賃料回収の代行
など
保証してくれないこと(やってくれてくれないこと)
- 保証会社の入居審査を通していない入居者の家賃滞納への対応
- 空室賃料
- 敷金・礼金
- 仲介手数料
- 物件の工事費用
- 物件の清掃費用
など
上記はあくまで一例です。
保証の内容については、保証会社やプランによって大きく異なります。
詳細については個々の契約内容をきちんと確認しましょう。
家賃保証契約料の相場
家賃保証の契約手数料は通常、入居者の負担となっています。
保証会社やプランによって異なりますが、初期費用として月額賃料等の30~100%が相場です。
初期費用に加えて、月額賃料等の1~2%が毎月の手数料として発生するケースも。
更新手数料の有無も保証会社やプランによって異なり、
更新手数料がある場合は「月額賃料等の〇%」「1~2万円」などと設定されることが多くあります。
家賃保証契約の期間の多くは1年ですが、2年以上の場合も。
また、テナントの場合は更新手数料が月額賃料等の50~100%などと高額になるケースが。
2. 家賃保証とサブリース契約の違いと注意点
「家賃保証」という言葉には、家賃滞納リスクに備えて保証会社を利用するという意味での家賃保証と、
不動産会社と一括借り上げ契約を結んで空室リスクを保証してもらうという意味での家賃保証があります。
ここでは、家賃滞納リスクに備える家賃保証契約と一括借り上げ契約であるサブリース契約との違いについて解説しましょう。
家賃保証契約
家賃保証契約とは、先ほどから記載しているように「滞納者の家賃を保証する」という契約です。
入居者の連帯保証人の代わりとなり、家賃の滞納や更新料の滞納、原状回復費用の未払いなどの保証をするのです。
そのため、保証会社が入居審査を行います。
保証会社は入居者に家賃滞納をされたら保証しなければならないので、保証できる人物であるか入居時に審査するのです。
したがって、入居者の誰もいない空室の家賃は保証できません。
サブリース契約
サブリース契約とは、管理会社が賃貸物件を一括借り上げして家賃を保証する契約のことです。
オーナーの物件を管理会社が借りて、入居者へ転貸するという仕組み。
空室も含めて一括借り上げしてもらえるので、入居者がいてもいなくても家賃収入が得られるというメリットがあります。
しかし、サブリース契約の場合は満額の賃料が手元に入るわけではありません。
サブリース契約を結んだ管理会社への手数料を引いた金額が毎月入ってくることになります。
以上を総合すると、滞納者の家賃を保証するのが「家賃保証」、空室リスクを保証するのが「サブリース契約」ということです。
この2つは似ているようでまったく異なるものですから、よく覚えておきましょう。
3. 家賃保証契約を利用するメリット
家賃保証契約を利用するメリットには何があるでしょうか。
ここでは、家賃保証契約を利用するメリットについていくつかご紹介します。
家賃が確実に支払われる
家賃保証契約を結ぶと、入居者の家賃の回収を代行してもらえることが多いでしょう。
賃料の支払いを数日遅れるうっかり入居者や、督促されるまで支払わない入居者など、家賃の回収に手間のかかることがあります。
家賃保証契約を利用していれば、こうした入居者への督促などの対応を保証会社にしてもらえます。
リスク対策に追われることがなくなる
家賃保証契約を結ぶことで、家賃滞納へのリスク対策に追われることがなくなります。
家賃滞納リスク
不動産投資におけるリスクの1つとして、家賃滞納リスクが挙げられます。
オーナーにとって家賃滞納リスクは怖いものですよね。
入居者がいるのに家賃収入が入らないという状況に悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
家賃を滞納する理由は入居者によって様々ですが、滞納が長期化すると不動産投資の運営状況も悪化してしまいます。
最終的には明け渡し訴訟を起こすことになりますが、裁判の手続きや費用といった負担が圧し掛かります。
また、サラリーマンの副業として不動産投資を行っている方であれば、中々裁判に出る時間を作ることも難しいでしょう。
家賃滞納リスクに追われることがなくなるというのは大きなメリットといえます。
賃貸業務が軽減できる
アパート経営において、賃貸管理業務の内容は多岐に渡ります。
物件の修繕・共用部分の清掃・家賃の集金・滞納督促・退去後のクリーニングなど。
特に、家賃や更新料、退去後の修繕費用など、入居者からお金を回収するのは非常に手間がかかります。
家賃保証を利用することで、こうした煩わしい賃貸業務が軽減できるというメリットがあるのです。
4. 家賃保証契約を利用するデメリット
家賃保証契約を利用することにデメリットはあるのでしょうか。
ここでは、家賃保証契約を利用することによるデメリットについて解説します。
オーナー側で入居者を選ぶことが出来ない
家賃保証契約を結ぶと、入居審査は保証会社が行うことになります。
家賃保証できる入居者であるのかを判断するのは保証会社です。
入居審査に落ちてしまえば、保証会社の家賃保証は受けられません。
結果的に、オーナー側で入居者を選ぶことができないということになるのです。
ただし、保証会社の家賃保証を受けないのであれば、賃貸契約を結ぶことが可能です。
しかし保証会社の入居審査に落ちた時点で管理会社から物件管理を断られる可能性が高いので、この場合は自主管理というリスクを負うことも考えなければなりません。
不動産会社が選択した建物を建てる必要がある
不動産会社によって取り扱っている保証会社が異なります。
したがって、物件管理を委託した管理会社が扱う保証会社を利用することになります。
オーナー側で保証会社を選べるわけではありません。
また、家賃保証に加えてサブリース契約を提案している不動産会社が多くあります。
この場合、「空室も含めて一括借り上げするので、指定のメーカーで建築してください」というケースが多いです。
大手ハウスメーカーの中には、建築から入居、物件管理まですべて行っているところもあります。
こうしたケースだと、1つの会社にアパート経営をすべてお任せするということになるでしょう。
簡単に解約をすることが出来ない
管理会社によって取り扱っている保証会社が異なることは、先ほど記載した通りです。
しかし、管理会社が取り扱う保証会社を変更したとしても、既存の入居者の家賃保証は契約を交わした保証会社が行います。
既存の入居者の家賃保証を解約してしまうと、滞納リスクに備えることができません。
新しい保証会社にお願いする場合は改めて入居審査を行うことになりますが、新規よりも既存入居者の方が審査は厳しくなる傾向にあります。
したがって、家賃滞納リスクを考えれば簡単に解約することはできないでしょう。
必ずしも家賃保証をしてもらえるわけではない
基本的に、保証会社の入居審査が通らなければ家賃保証をしてもらえません。
ですから、100%必ずしも家賃保証をしてもらえるわけではないということです。
審査の基準は保証会社によって様々。
家賃の価格帯など物件の種類や保証会社によっては、審査を通過する入居者が少ないことがあります。
この場合は管理会社に審査の基準が緩い保証会社を利用できないかなどを相談してみましょう。
5. アパート経営での家賃保証契約で押さえておきたいリスク
家賃保証契約を結べばすべてが安心というわけではありません。
ここでは、アパート経営での家賃保証契約で押さえておきたいリスクについて解説しましょう。
数年ごとに家賃保証契約更新の審査がある
保証会社によっては、数年ごとに家賃保証契約更新の審査があります。
保証会社の審査基準に満たない入居者は家賃保証がされません。
この場合、家賃滞納リスクに備えることができないということになります。
家賃保証には期間が定められている
家賃滞納リスクに備える、保証会社と入居者が結ぶ家賃保証契約には期間が定められています。
多くは1年、もしくは2年となっていることが多く、期間が満了となると更新という手続きを取ることになります。
更新の際には、管理会社を通じて入居者と書類を交わします。
更新保証料が設定されていることがありますので、その場合は入居者へ請求することになります。
オーナー側で家賃設定が出来ない
不動産会社が一括借り上げするサブリース契約の場合は空室を含めた家賃の保証がされますが、オーナー側が自由に家賃の設定をできないというリスクがあります。
一括借り上げをする不動産会社側からすれば、入居者がいない部屋があると、その分資金回収ができません。
そのため、客付けが非常に大切になります。
高い入居率を維持するために、不動産会社から相場よりも低い家賃価格を設定されるというリスクがあるのです。
免責期間が定められている
不動産会社が一括借り上げをするサブリース契約の場合は、免責期間が定められていることが多くあります。
免責期間が定められているということは、入居者が退去してから一定期間は家賃の保証をしないということ。
入退去が短期間に行われると短い期間に複数回免責期間が生まれてしまい、家賃収入を得られない期間が長くなってしまいます。
家賃保証会社の経営に左右される
家賃滞納リスクに備えるための家賃保証会社。
しかし、家賃保証会社が倒産してしまうと、当然家賃保証はしてもらえません。
家賃保証会社の経営状況に左右されるというリスクはあるでしょう。
保証会社によって契約内容が異なる
保証会社によって、どこまで保証するのかなどの内容が異なります。
保証内容は手厚いけれど入居審査が厳しい保証会社や、入居審査は通過しやすいけれど最低限の保証内容という保証会社など様々。
同じ保証会社でも異なるプランを設けているところがあります。
契約内容については、きちんと確認しておきましょう
6. アパート経営での家賃保証契約で発生しやすいトラブル
アパート経営での家賃保証契約で発生しやすいトラブルの多くは、サブリース契約によるものです。
一括借り上げという仕組みは空室リスクに備えられるメリットがある一方で、不動産会社に有利な条件で契約されていることが多くあるのです。
ここでは、サブリース契約における代表的なトラブルについてご紹介しましょう。
家賃の減額によるトラブル
入居者が退去したあとの再募集で家賃の減額を通達されることがあります。
不動産会社側からすれば、空室の状態が長く続くと赤字になってしまうため、家賃を下げてでも客付けを優先したいという事情があるのです。
サブリース契約の内容には、入居者が決まらない場合に家賃を減額できる旨が記載されていることがあります。
家賃を減額されると、アパート経営の収支にも大きく響くでしょう。
最低保証賃料を設定するなど、契約を結ぶ前に内容を確認しておきましょう。
契約の解除によるトラブル
サブリース契約の内容には、解約に関する条文も入れられているでしょう。
不動産会社側から様々な事情により、契約に沿って解約となることがあります。
これまで空室リスクの保証があることを前提に収支計画を立てていた方は、今後のアパート経営について考え直さなければなりません。
あらかじめ無理のない計画を立てておきましょう。
不動産会社の経営破綻
サブリース契約を行っていた会社が銀行から融資を打ち切られて経営破綻した話は記憶に新しいのではないでしょうか。
経営が行き詰まると家賃保証を行っていてもオーナーに支払うことができなくなってしまいます。
この場合、空室率の高い物件は特に大きな影響を受けてしまうでしょう。
7. 家賃保証でトラブルに巻き込まれないようにするには
サブリース契約における家賃保証について、トラブルに巻き込まれないようにするにはどうしたら良いでしょうか。
対処法について解説していきます。
複数のサブリース会社を比較する
サブリース契約を検討するときは、複数の会社を比較し、信頼できる会社を選びましょう。
不動産会社によって得意分野が異なります。
入居客付けに強い会社、管理体制がしっかりしている会社など。
複数社を比較すると、自分が何を重視して計画を立てたいのかということが見えてくるでしょう。
契約書の内容を確認する
不動産会社の言いなりにならず、契約書の内容はきちんと自分で確認しましょう。
口頭では説明されていない、オーナー側に不利な条件があるかもしれないからです。
契約書の中身はボリュームがあるので内容を確認するのに時間がかかります。
すぐに署名・捺印をせず、時間をかけて内容を確認してください。
家賃保証の「セカンドオピニオン」を利用する
1つの会社のみとやり取りをしていると、どうしても情報が偏ってしまいます。
不動産会社の中には、適正よりも低い家賃の見直しを行うところがあるからです。
できれば、複数社の意見を聞いてから総合的に判断できると良いでしょう。
8. 家賃保証をしている会社を紹介|契約内容を確認しよう
それでは、サブリース契約を行う会社を3社ご紹介しましょう。
3社それぞれの特徴についてまとめました。
大和ハウスの家賃保証
大和ハウスの魅力は、土地活用の仕方が豊富であることでしょう。
アパート経営に限らず、テナント・高層マンション・施設・ホテルなど多岐に渡ります。
工業化建築であれば、最大40年の保証期間があるというのも魅力ですね。
初めて土地活用を行う人や、土地活用の内容を幅広く考えている人におすすめの会社だといえるでしょう。
積水ハウスの家賃保証
積水ハウスでは、建築した後のアフターサービスを充実させています。
専任のスタッフを配置し、建物の性能や品質を見守っています。
また、初期30年の保証制度を掲げており、保証終了後も独自の再保証制度を設けています。
大東建託の家賃保証
大東建託では、35年に渡る一括借り上げを行っています。
圧倒的な賃貸管理戸数や賃貸仲介件数というデータは、他社にはない大東建託ならではの強みでしょう。
長年の経験と培ったノウハウを享受したいという方には良いのではないでしょうか。
サブリース契約を検討する場合は、上記にも記載したように複数社の話を聞き、総合的に判断しましょう。
9. 家賃保証が本当に必要かどうかをしっかりチェックしよう
まずは「家賃保証」という言葉が、家賃滞納リスクに備える「家賃保証」であるのか、一括借り上げであるサブリース契約という意味での「家賃保証」であるかを確認しましょう。
その上で、家賃保証が本当に必要かどうかをしっかりチェックすることをおすすめします。
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