新聞やニュースでも見ない日はないと言ってもいい仮想通貨。
仮想通貨と言えば、2008年に初めて誕生した「ビットコイン(Bitcoin)」を想像する人も多いと思いますが、2024年3月末には約1,600種類の仮想通貨が存在しています。
2024年当初は1ビットコイン数万円だったものが、11月には200万円を越えるなど大きな話題にも。
仮想通貨は、日本では現状は投資商品と考えられていますが、送金コストや為替手数料が掛からない為、新たな決済資金として期待されています。
しかし、まだまだ仮想通貨について知らない人も多いはずです。
仮想通貨の信用は、参加者が相互で管理する為セキュリティが高いと言われているブロックチェーン技術。
最近では大手銀行が独自の仮想通貨の発行を計画したり、積水ハウスなどの大手の不動産関連企業も参入の意向を示すなど注目度は更に高まっています。
将来的に仮想通貨の需要が高まれば、銀行の決済機能は不要となる、ICOでの資金調達が可能など、銀行の経営に影響が出るのではと懸念も。
今回は、今も最も注目されている仮想通貨についてお話いたします。
目次
1. 仮想通貨について
通貨と言えば、日本では円、米国ではドルのことを言い、中央銀行が発行する「法定通貨」として国家の信用で成り立っています。
しかし仮想通貨にはそういった後ろ盾はなく、安全性の非常に高いと言われるブロックチェーン技術の信用で成り立っています。
仮想通貨の使用するメリットは多いですが、セキュリティ上の問題や詐欺などまだまだ改善しないといけない面があるのも事実。
そもそも仮想通貨とはどんな通貨なのでしょうか?
1-1. そもそも仮想通貨って何?
仮想通貨は、オンラインゲーム上で使われるゲーム内コインが進化したと言われており、ある一定のコミュニティ間で使用できるデジタル通貨のことを指します。
最初の仮想通貨は、2008年に発行された「ビットコイン(Bitcoin)」ですが、現在確認されている仮想通貨は約1,600種類。
仮想通貨にはメリットも多く、投機商品として、新たな決済手段として大きく期待されています。
国家の信用で成り立つ法定通貨と比べると信用面では不安が多いと思いますが、セキュリティが非常に高いブロックチェーン技術が使用されているので安全性は問題ないと言われています。
1-2. 仮想通貨のメリットとは?
仮想通貨には、大きく分けると投資商品としてのメリット、通貨としてのメリットがあります。
投資商品としてのメリットは、
- 株やFXと比べると値動きが大きいので短期間で多額の利益を得ることができる
- 24時間取引が可能
- 小額から取引ができる
通貨としてのメリットは、
- 海外送金の手数料が安い
- 他国間取引でも為替手数料が不要
日本では仮想通貨はほとんどが投資商品としてですが、今後は海外取引における決済手段として需要も増えると考えらえています。
1-3. 仮想通貨はビットコインだけじゃない!国内で購入できる仮想通貨について
世界では、約1,600種類の仮想通貨があると言われていますが、日本国内で購入できる仮想通貨についてはまだまだ少ないのが実情。
日本の仮想通貨取引所で上場している仮想通貨は、現在14種類。
人気の高い仮想通貨は、皆さんもご存知のビットコインはもちろん、イーサリアム、リップル、ビットコインキャッシュ、ライトコイン、ネムなどがあります。
1-4. 仮想通貨取引所へ日本円を振り込む時に手数料がかかる?
仮想通貨の売買取引を行うには、まず使用する仮想通貨取引所でアカウントを作成し、次にその取引所で取引するためのお金を振り込みます。
日本円の入金には、銀行振り込みとクイック入金があり、銀行振り込みの場合は、各金融機関で決められている振込手数料、クイック入金の場合は各取引所で決められた振込手数料が必要で、日本円を出金する場合も手数料が必要となります。
振込手数料、出金手数料が無料の仮想通貨取引所もありますので、取引できる通貨の種類や振込手数料の有無などを比較して検討しましょう。
2. 日本での仮想通貨の利用方法について
これまで日本では、仮想通貨は通貨としてではなく、投資を目的として取り扱われています。
しかし、仮想通貨は価格の値動きが大きいので消費者には危険な投機となっている点、コインチェックの不正引き出し事件を受けて、金融庁も立ち入り調査を行うなど規制強化が進むことに。
大手銀行でも仮想通貨に参入し独自の通貨発行に向けて動き出すなど、仮想通貨を取り巻く環境は大きく変わりつつあります。
2-1. 日本では仮想通貨は投資を目的とした商品になっている
仮想通貨は、決済手段のひとつとして着実に全世界で広がる一方、日本では取引の約95%が投資目的。
仮想通貨の中でも特に有名なビットコインは、発行された2007年は1ビットコイン0.07円が2024年には200万円を越えるなど、株式投資などと比較しても投資商品として大きな魅力があります。
この期間にビットコインに投資した多くの投資家は、1憶以上稼ぎ「億り人(おくりびと)」と呼ばれるなど大きな話題に。
現在でも仮想通貨は新たに開発されており、第二のビットコインを探してまだ値上がりしていない仮想通貨、「草コイン」に投資する人もまだまだ多いです。
2-2. 日本でもやっと仮想通貨に対して規制が入る
仮想通貨への投資に参入する人が増え、一瞬で30%~40%の大きな値動きをする投機性、コインチェックのネムという仮想通貨が580憶円不正に引き出された問題などを受け、金融庁も規制強化に乗り出しました。
金融庁は、登録申請中の「みなし業者」に対する登録審査の厳格化を進める一方、審査をパスした登録業者にも立ち入り検査を進めるなど規制強化を進める方針。
世界的にも、
- 金融市場の健全性を損なう
- 脱税の温床になる
- マネーロンダリングやテロ資金に利用される
などが懸念されており、仮想通貨を法定通貨に交換する業者への登録・免許制の導入や利用者の本人確認を義務付けるなどの規制を行う方向に進んでいます。
2-3. ブロックチェーンは銀行でも利用ができるのか?
ブロックチェーンの技術は、過去の取引をブロックとして管理し、参加者たちが相互に確認を行うことで成り立っています。
そのため、銀行の取引に利用することを考えると、預金や決済など個人情報を見られてしまう恐れが。
顧客も取引銀行以外の人に情報を見られる可能性があると嫌がる人も多いと考えられますので、銀行の取引においてはブロックチェーンを利用することは難しいでしょう。
2-4. 銀行も仮想通貨に参入?独自の通貨の発行に向けて動き出している
三菱UFJ銀行が、MUFGコインといった独自通貨の発行を発表するなど、メガバンクの仮想通貨参入への動きが活発化。
日本では全銀システムというリアルタイムに送金できる安全性の高いシステムを持っており、敢えて仮想通貨を持つ意味合いは少ないと言われています。
しかし、世界的なフィンテックの一環として最新の技術を使うことで企業イメージのアップ、株主対策を意識。
又、MUFGコインは、1MUFG=1円に固定する予定となっており、投資商品というよりは電子マネーと要素が強い。
3. 大手の不動産関連企業が仮想通貨事業へ参入の意向をしめしている
投資商品として注目の高い仮想通貨ですが、不動産業界でも仮想通貨事業げ参入の意向をしめす大手企業が増えています。
不動産業界では、物件の購入資金や家賃や共益費の支払いなど仮想通貨を使った独自のサービスの開発や仮想通貨で使われているブロックチェーン技術の不動産管理システムへの応用が検討も。
仮想通貨は、銀行などお金を取り扱う業種だけでなく、不動産業界にも大きな影響を与えています。
3-1. 不動産業界も仮想通貨に無関係ではいられない
まだまだ、仮想通貨を保有している人は少ないとは言え、今後新たな決済手段として利用の拡大は増えていくことが予想されます。
仮想通貨のビットコインは、通信販売や大手家電店や飲食店などの実店舗でも決済手段として利用が可能。
不動産業界においても、物件の購入資金や家賃や共益費の支払いなど仮想通貨の活用が期待されています。
不動産業界も仮想通貨と無関係ではいられない状況に。
3-2. 今後、益々不動産業界でも仮想通貨を独自に発行したり、導入したり会社が増えてくる
大手不動産会社シノケングループでは、シノケンコインという仮想通貨の開発を決定しており、家賃や光熱費などの共益費をシノケンコインやビットコインで決済できるようになります。
又、JITホールディングスは、日本だけでなく、海外においても、ビットコインなどの仮想通貨を使って物件を購入できるシステムを導入。
今後も、仮想通貨を決済手段として導入する不動産会社は増えていくでしょう。
3-3. 積水ハウスもブロックチェーン技術を管理システムとして採用する?
仮想通貨に使われているブロックチェーン技術は、参加者が相互で管理するのでセキュリティが高く、改ざんが難しいと言われています。
積水ハウスでは、このブロックチェーン技術を使い、同社が管理する賃貸物件の入居者の募集や顧客管理といった賃貸管理において不動産情報管理システムの導入に着手。
このシステムが導入されれば、賃貸管理の現場においても、これまでとは比較にならない業務の効率化が期待できます。
仮想通貨の不動産への活用法をより詳しく知りたい人は以下の記事をご覧ください。
4. 仮想通貨は銀行の経営を揺るがしかねない
これまでお金の送金や決済、融資などお金にまつわるそのすべてを担ってきたのは銀行。
その銀行が、仮想通貨の出現で業務のほとんどが必要なくなるのではとも言われています。
仮想通貨は、送金における手数料が安く、土日関係なく決済が可能。
融資においては、仮想通貨を使った資金調達方法であるICO(Initial Coin Offering)の利用が増加しており、スピードが必要なベンチャー企業には非常に適した方法と言えるでしょう。
しかし、一方で詐欺などの被害も多く、適切な規制や管理が必要だといった意見が多いのも事実です。
4-1. 現在注目されているICOとは?
これまで大きな資金を調達する場合、株式の発行や社債などがありましたが、費用や時間が掛かるだけでなく、小さな規模の会社だと資金の調達が難しいケースも。
最近では、インターネットを使ったクラウドファンディングのように、匿名の事業に対して不特定多数の投資家が出資する方法で資金を集めるベンチャー企業が増加。
ICO(Initial Coin Offering)は、仮想通貨を使った資金の調達方法で、企業は株式の代わりにトークンを発行し、投資家がトークンを仮想通貨で購入することで企業は資金を得ることができます。
このトークンは株式と似ていて、欲しい人が増えるとトークンの価格が上がり、投資家は売却して利益を得ることが可能。
4-2. ベンチャー企業が仮想通貨を利用して資金調達するケースが増えてきている
信用のないベンチャー企業が資金を調達するには、銀行と掛け合うか、ベンチャー企業専門の機関投資家であるVC(ベンチャーキャピタル)を活用するしかありませんでした。
しかし、仮想通貨が認知されるようになり、仮想通貨を使った資金調達方法であるICOのプラットフォームが確立され、ベンチャー企業の資金調達は容易になりました。
ベンチャー企業も現在は起業からサービス開始までのスピードが非常に速いことから従来型の資金調達では間に合わず、短期間で資金が調達できるICOを利用するケースが増えることに。
4-3. VCの担った投資のやり方は時代に合わない
これまでベンチャー企業専門の機関投資家であるVC(ベンチャーキャピタル)がベンチャー企業の資金調達の中心でした。
VCは、融資をするにあたり、ベンチャー企業を時間をかけて審査し、10億円単位の資金を投入して企業の育成を行うのがスタンダード。
ある程度の実績や規模のある企業でないと、いくらベンチャー企業と言えども融資は難しく、現在のような小規模でスピードの必要なベンチャー企業には、これまでのVCのやり方は合わなくなったと言えるでしょう。
4-4. 今後、適切な規制や管理をしないと色々と大変な影響が出てくる可能性がある
ベンチャー企業の救世主とも言えるICOですが、投資家も大きな利益が期待できる一方、詐欺や倒産などで大損する人も。
しかし、ICOの需要は今後も増えることが予想されており、更に色々と大きな問題が出る可能性が指摘されています。
ICOを有益なシステムとして活用するためには、今後適切な規制や管理を行うことが必要なのです。
5. 仮想通貨は銀行にとっては経営を揺るがしかねない存在だが、今後益々仮想通貨を利用する企業が増加していく
仮想通貨が、新しい決済手段として今後広がっていくのは止められないでしょう。
そうなると銀行にとっては経営を揺るがしかねない存在になりますので、生き残る為には新たなサービスの構築が必要です。
セキュリティの安全性や詐欺が横行するなど問題点も多い仮想通貨ですが、決済手段としてのメリットも多く、仮想通貨で使われるブロックチェーン技術も様々な応用が可能。
不動産業界をはじめとし、様々な分野で決済手段として、又新たなサービスとして仮想通貨を利用数企業が増えそうです。