不動産がもっと楽しくなるメディアMIRAIMO

民泊もコンビニでチェックインできる時代。更なる一手が求められる

新しい民泊の法律である、通称「民泊新法」に則って、いよいよ6月より民泊運営がスタートする。しかし、民泊新法は前途多難であると言われている。その最も大きな理由は「営業日数制限」だ。

民泊新法の規定によれば年間180日以上の営業はできないので、民泊で収益化できる可能性は大きく減少した。

 

さらに、自治体ごとに制限を加えることできるので、多くの自治体では「平日営業禁止」などの規制を強化している。その厳しい状況の中で「コンビニで民泊のチェックインができる」というニュースは一筋の光だろう。

しかし、まだまだ民泊についてのサービスは発展途上であり、更なる一手を投じる必要がある。

コンビニで民泊のチェックインができるように

セブンイレブン・ジャパンとJTBは、共同で全国のコンビニを民泊のチェックイン拠点として活用するサービスに乗り出す。

具体的には、コンビニ店内の専用端末をつかい、民泊宿泊者の本人確認をした後に、コンビニ内で鍵の受け渡しまで行うというサービスだ。

2023年度までに全国主要都市の1千店で展開する予定だ。専用機器でパスポート写真と本人の顔を認識し、JTBが運営する受付センターで内容を確認する。そして、本人確認をした上で端末の保管箱が開き鍵を受け取れるという仕組みだ。

つまり、民間事業者からすると、コンビニの保管庫に鍵を預けておくだけで良いので、鍵の受け渡しなどに時間を割く必要がないのだ。

宿泊した後の鍵の返還も、同じフローでコンビニの保管庫に預け入れるという流れだ。

コンビニで鍵の受け渡しができるメリットは大きい

コンビニで鍵の受け渡しができるメリットは以下の点だ。

  • 民泊運営の収益化
  • 手間の削減
  • 規約違反の防止

一般的に民泊物件の鍵の引渡しは「キーボックスで管理」か「民泊事業者に委託」の2つに分かれる。

たとえば、戸建てを民泊する場合やオートロックなしのマンションを民泊する場合には、扉付近にキーボックスを設置し、宿泊者に暗証番号を教えるという流れで鍵の授受を行う。

もしくは、民泊事業者に費用を支払い鍵の授受を委託するという方法だ。

 

しかし、民泊事業者も人を動かすコストがかかるため、ただでさえ営業日数に制限がある民泊の収益を圧迫する。

コンビニでも鍵の授受に関する費用はかかるが、人が介在しないため民泊事業者を利用するよりも低コストだろう。そのため、民泊の収益化につながる。そして、民泊事業者と宿泊者の両方の手間も省けるので、その点も民泊普及の後押しになりそうだ。

 

さらに、管理規約違反者の防止にもつながりそうだ。とういうのも、オートロックのマンションの場合には、住戸の扉まで入るのに鍵が必要だ。

そのため、マンションの柵などの「共用部分」にキーボックスを設置するなど、本来管理規約違反であることを行う物件が多い。

そうなると、民泊に関しての監視の目がより一層厳しくなるので、民泊に関する規制が厳しくなるなど、民泊運営に関してマイナスな面をもたらす可能性がある。

その点から、コンビニでの鍵の受け渡しは、このような管理規約違反などの不正も防止してくれるだろう。

更なるサービス向上が必要

このように、今回紹介したコンビニでの鍵の受け渡しに関するサービスは、民泊運営にとってはプラスになるだろう。

しかし、まだまだ課題が多いのも事実だ。まず、2023年に1千店を目標にしていると説明したが、全国には5.6万軒を超えるコンビニがある。つまり、コンビニの56軒に1軒しか、鍵の授受ができるサービスを展開していないということだ。

当然、民泊物件が多いエリアなどにはサービスを展開できる店の比率は多くなるだろう。そのため、民泊運営のしやすさに格差が生まれてしまい、エリアごとに民泊の普及度は変わってくる可能性がある。この点は、首都圏にサービスが集中すると考えられるので、更なる地域格差の助長につながってしまう。

また、このようなサービスだけでは、民泊運営者への追い風とは言い難い。

やはり、年間180日という限られや営業日数で黒字経営するとなると、更なるサービス向上は必須と言えるだろう。元々、民泊の法整備の背景には、2023年までに4,000万人の訪日観光客を呼び込みたいという背景がある。

そのためには、ホテル・旅館だけでとても足りず、民泊が受け皿とならなければいけないのだ。

その点も踏まえると、このようなサービスを全国的に広めていき、更なるサービス展開にも努めないといけない。そうしなければ、民泊経営は赤字になり、誰も民泊経営をしなくなってしまう。

その結果、訪日観光客の受け皿がなくなり、年間訪日観光客4,000万人という目標が未達になるという、日本にとって大きなマイナスが生じてしまうのだ。

民泊というのは、それだけ重要な国家命題であり、民泊のサービスは外部も巻き込んでどんどん実施しなければいけないのである。

関連記事2021年からの民泊ビジネスを決定する法律と3種類の投資スタイル

2024.04.10

参考:日本経済新聞 2024年4月18日「民泊、セブンでチェックイン JTBと1000店めざす 」

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2951642021042021MM8000/

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

ミライモの記事を毎日チェック!