相続税について相談したいとき、どこに相談に行けばよいのか悩みますよね。
特に不動産・預貯金・生命保険などいろいろな種類の財産がある場合、それぞれの手続き方法に戸惑うことも。
また相続人が複数いる場合、相続トラブルが起こる可能性もあります。できればスムーズにトラブルのないよう進めたいものですよね。
相続は専門家の意見やアドバイスを聞くと安心できます。
特に相続を受けると相続税を払わなければなりません。相続税は馴染みがない方が多く、実際どれくらいの税率で、どのように課税されるのか知らない人が多いはず。
今回は相続税を上手に節税するため、どの専門家へ相談すべきかご説明いたしますので、参考にしてみて下さい。
目次
1. 相続や相続税に関する相談先一覧表
相続に関することでわからないことがある場合、相談内容に応じて相談先が違います。
まず大きく分けて次の3つの相談先があるので、それぞれ応じてくれる相談内容が違います。
①専門家の事務所を訪ねる
相談先 | 相談内容 | 相談料 |
弁護士 | 遺産分割協議
相続放棄 相続トラブルなど |
30分5,000円~
※但し基準収入以下の場合は無料 |
税理士 | 相続税申告
相続税対策など |
30分0円~ |
司法書士 | 不動産登記
抵当権設定など |
30分0円~ |
上記の相談料は相場で、実際はそれぞれの事務所によっても設定料金が変わります。
また弁護士については公的扶助を利用して、一定基準を下回る収入の人が相談に訪れる場合、同一内容につき3回まで無料になることも。
②公的機関を訪ねる
どこの専門家の事務所に行けばいいか分からない人は、次の公的機関を訪ねる方法もあります。
相談先 | 相談内容 | 相談料 |
法テラス | 法律に関する相談 | 無料(但し収入などの利用条件あり) |
税務署 | 税金に関する相談 | 無料 |
商工会議所 | 相続全般に関する相談 | 無料 |
税務署と商工会議所は誰でも無料で相談できますが、法テラスは国の公的扶助に入り、収入や資産など条件を満たした人しか無料になりません。
その他、全国の弁護士会も無料相談を行っていることがあります。
③金融機関等を訪ねる
どれくらいの相続があるかのか、あるいはどういう手続きが必要かを確認したい場合は、銀行や保険会社などを訪ねてみましょう。
金融機関等 | 相談内容 | 相談料 |
銀行 | 預貯金
金融商品など |
一部有料 |
保険会社 | 生命保険(死亡保障など) | 無料 |
不動産会社 | 土地や建物 | 無料 |
被相続人が亡くなった後は、法定相続人による適切な手続きを行わなければ、資産を動かすことは一切できません。
まずは金融機関に相続方法を聞いてみましょう。
2. シーン別で見る相続税に関する相談先
2-1. 相続税申告・対策の相談は「税理士」
税理士は税金に関わるあらゆることの相談にのってもらえます。
相続税の申告・計算だけでなく、相続前であっても節税対策にも対応。
もし税理士の知り合いがいなくても、税理士会では無料相談を行っていることがあるので、そこで税理士に出会うことができます。
いずれにせよ税理士は無料相談に応じているところが多いので、気軽に相談してみてはいかがですか。
2-2. 相続トラブル・遺産分割協議・相続放棄など法律に関する相談は「弁護士」
相続でトラブルが発生したときの相談先は、弁護士が最強。
弁護士は遺産分割協議・相続放棄・相続税など、相続人の代理人となって手続きを進めることができます。弁護士以外の専門家では、こういった代理は認められていないため、頼りになります。
もし知り合いに弁護士がいない場合は、遺産相続を専門とする弁護士を探さなければなりません。
最近はインターネットで探すことができますし、無料相談をしているところで紹介を受けることもできます。
最近弁護士の数は増えていて、土日や夜間対応可能な弁護士が増加しています。
2-3. 不動産の相続登記の相談は「司法書士」
司法書士は不動産登記簿の所有権移転登記などの手続きを行ってくれます。そのため不動産の相続をする場合は、司法書士に依頼することに。
司法書士は遺言書などの相続にものってくれますが、法律や税金の専門家ではないので、相続税や相続トラブルに発展しそうな場合には、弁護士や税理士に相談しましょう。
3. 無料で相続に関する相談ができる場所は?
3-1. 税務署は主にどんな相談ができるのか?
税務署では税金についての相談ができるので、相続税に関して相談したいことがあれば、最寄りの税務署の相談窓口に電話か訪問で相談可能。
税務署での相談は平日のビジネスアワー(税務署によって異なり、午前8時半〜午後5時までというところが多い。)であればいつでも無料。
但し相談内容は一般的な内容に限られるので、複雑な相続であったり、節税に関する個別の質問には応じてもらえません。
3-2. 商工会議所は主にどんな相談ができるのか?
商工会議所では弁護士や税理士といった専門家による無料相談会を時々やっています。この時に相続税の相談もできます。
相談会を行う頻度は、各地域の商工会議所によって異なるので、ホームページなどで確認してみて下さい。
商工会議所は普段あまり馴染みがない所かもしれませんが、地域社会に貢献する活動を色々行っているので、意外と役立つ情報が得られます。
3-3. 法テラスは主にどんな相談ができるのか?
法テラスとは「日本司法支援センター」のことで、国の公的機関です。
法律に関するトラブルについて、広く弁護士を利用することを推進するために作られた制度。
収入が一定基準を下回る人には、無料相談や弁護士費用の立て替えまで行ってくれます。
相談方法は全国各地の法テラスセンターに出向き、弁護士の無料相談をしてもらう方法と、弁護士の個人事務所を直接訪れ、そこで法テラス制度を利用した公的扶助サービスで無料相談を受ける方法の2種類があります。
いずれも収入が低い人は無料になります。相続や相続税で弁護士に利用したい人は、法テラスが利用できるか確認しましょう。
4. 相続人が遺した遺産に関する相談場所は?
4-1. 銀行でできる相談内容
銀行では預貯金やローン商品など銀行業務に関わることを相談することができます。相続については被相続人の残した口座の払い戻しなどの手続き方法を教えてくれます。
また信託銀行では相続についての相談やサポートを行っています。
遺言書の作り方や相続税について詳しく説明してくれますが、相談料がかなり高額になることが多いので、料金を調べてから相談して下さい。
4-2. 不動産会社でできる相談内容
被相続人が土地や建物を所有していれば、不動産屋で相談にのってもらえます。
たとえば不動産の売却や賃貸経営について、プロのアドバイスが受けられます。知り合いに不動産屋がいなければ、地域力があり積極的に業務を行っている会社をネットで調べてみては?
但し相続税など不動産以外の内容は、不動産会社では対応外です。
弊社でも不動産の相続に関する相談を受け付けています。お気軽にご連絡ください。
ASIS株式会社
4-3. 生命保険会社でできる相談内容
死亡保険などの生命保険に加入していれば、生命保険会社に相続の方法を相談することができます。
また相続税を節税するために生命保険に入るケースも、保険会社や保険代理店が相談にのってくれ、いろいろな商品を比較してくれます。相談は無料です。
5. 総合的な相続税の相談場所はないのか?
5-1. ワンストップサービスがおすすめ
相続は相談内容によってそれぞれ相談先が違うので、一つ一つ回っていたら時間がかかって大変ですよね。そんな時は「ワンストップサービス」がおすすめ。
これは相談内容が多岐にわたっても、とりあえず全てをまとめて相談にのってくれる会社です。適切な相談先を教えてくれるので、相続や相続税でどうしたらよいのか分からなくて困っている方にはおすすめです。
5-2. 相談先にまず選ぶ場合は税理士がおすすめ
相続についてどの専門家を選ぶかで迷ったら、まずは税理士に相談することをおすすめします。
相続は税金と関わってくるため、税理士に相談しておいて損は少ないはず。弁護士は相談費用が高く、司法書士では不動産以外のことは専門外になってしまうので、税理士がベター。
相談費用も無料のところが多いので、気楽に相談できますし、相続税の節税も含めたトータルアドバイスが期待できます。
6. 税理士の報酬の相場
相続税などについて税理士に依頼した場合の報酬は、税理士事務所によって計算方法が異なります。
目安となるのは、財産総額に対して1%前後です。以下に税理士報酬の相場をまとめてみました。
財産総額 | 報酬 |
4,000万円 | 40万円前後 |
7000万円 | 50万円前後 |
1億円 | 70万円前後 |
2億円 | 100万円前後 |
5億円 | 150万円前後 |
10億円 | 200万円前後 |
あくまで目安なので、実際の報酬は税理士に相談してみて下さい。
7. 税理士に相談するのが向いてる人と向いていない人
7-1. どんな人が税理士に相談するといいのか?
税理士は税金の専門家として業務を行っているので、業務を依頼すると報酬が結構かかります。また相談も無料のところもありますが、
有料だと一回あたり5,000円位必要になることも。それでも税理士に相談するのが向いている方とは、以下のようなタイプの人です。
- 経済的に余裕のある人
- 忙しくて土日しか時間がとれない人
- 相続全般の相談を希望している人
- 節税対策の提案を希望している人
- 申告手続きなどを一任したい人
7-2. 税務署に相談するのが合ってる人はどんな人?
税務署は役所ではありますが、税金に関する一般的なことについて相談にのってくれます。税務署で相談するのが向いているのは次のようなタイプの人です。
- 相談費用をかけたくない
- 相続税について基礎知識のある人
- 税金について学びたい人
- 平日に時間がとれる人
8. 相続税についての相談は費用がかかる場合があるので調べてから相談しよう!
相続は大きなお金が動くことが多いので、専門家に依頼した時の報酬も大きくなりがち。
よって事前に調査しておく必要がありますね。報酬は専門家ごとに料金体系が異なり、また取扱い金額に応じても変わってきますが、一般的には弁護士の報酬が最も高いです。
しかしそれほど難しい相続でなければ、費用のお手頃な税理士に相談に行くことをおすすめします。