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アパート建設が急落!供給過剰で空室リスクが増大する?

参照記事:アパート建設熱、冷める 貸家着工6カ月連続減 ー日本経済新聞 2017/12/27 23:00
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25177210X21C17A2EA2000/

アパート建設着工戸数の減少が止まりません。2023年11月の貸家着工戸数は6か月連続マイナスで前年同月比2.9%減。
2015年以来続いてきたプラス記録はマイナスへと転換。

これにより新設住宅建設着工戸数も5カ月連続マイナスへと追随する形となり、今後住宅建設全体の低迷がしばらく継続すると見られています。

2015年から2024年前半まで好調を続けたアパート建設

そもそも2015年からアパート建設着工数が好調だった理由に、相続税改正が挙がります。2015年より相続税の基礎控除が4割減、さらに取得価格が2億円超なら税率が引き上げへと変更されました。
これにより多くの土地相続対象者が更地の上に建物を建て、相続税評価額を下げることで節税対策をしてきたわけです。

また金融機関による過剰な融資も背景に。昨今のマイナス金利から金融機関はアパートローンを積極的に行ってきました。
中小企業に貸し出すより、土地を担保にできるアパート経営に融資をした方がリスクが低いからです。

金融機関の競争も激化し、特に融資先が少ない地方銀行はアパートローンに集中し審査を甘くし、地方のアパート建設を支えてきたことも、アパート建設の後押しとなりました。

マイナス基調に転じた背景とは?

こうしたアパート建設も2024年前半にはピークを迎え、それ以降は節税対策が一段落したこともあり、建設戸数が減少へと転じています。
2015年から始まったアパート建設ラッシュは、相続税対策や低金利が理由で、実際の需給を無視して進められてきたので、建設増は一時的なものとなりました。新築アパートが増えても中古アパートの解体が増えないので、市場はすでに供給過剰です。

具体的にアパート建設着工が減少した原因を挙げると、

  • 相続税対策が一巡した
  • 建設資材の高騰
  • サブリース問題

などが考えられます。

特にサブリース問題は深刻です。サブリース契約とは業者による家賃の一括借り上げ。アパート経営初心者にとって「30年家賃保証」といったキャッチフレーズは、心強くとても魅力的なもの。ところが家賃保証は景気状況により見直しがあるところが盲点で、こうしたリスクが契約時に十分説明されていないことによるトラブルが増えています。

またアパート建設戸数減少の原因はこれだけではありません。オーナーの心理的要因もあり、空室リスクへの不安からアパート経営の動機づけを低下させてしまっていることも考えられます。

そもそも「空き家問題」は人口減少が進む中でずっと懸念されてきました。アパートの作りすぎはリスクをさらに加速させたので、減少へと転じたことは当然と言えば当然です。
しかし今後さらに建設戸数が減少し続けたところで、空き家リスクが改善されるとは考えにくいでしょう。入居の需要増が見込めなければ空き家率はさらに上昇する可能性があります。

地方のアパート経営は特に要注意!

今後のアパート経営では、アパートの立地や住環境が非常に重要になってきます。

特に空き家問題は都市部より地方が深刻です。
物件によっては賃貸家賃が大きく下がり、利回り低下は避けられないかもしれません。
今回の統計で、山口県の建設着工戸数が62%減と最大の下げ幅となっていて、こうしたリスクが顕著になりました。

地方では田畑にアパートを建てることが多く、そうなるとどうしても立地条件が悪くなることが多いのです。
都市部に比べて人口が少ない上に人口減少率も増加しているので、空室率の高さは避けられない状況に。
最悪、アパートを新築しても誰も入居しないまま空き家になるといったことも。こうした悪条件でアパート経営をスタートするというのは、本来であれば魅力的なビジネスではありません。

相続税対策で借金までして、結局は節税額以上のマイナスを作ることになるのは本末転倒。それに加えてサブリース問題で業者とのトラブル発生となれば、精神的ストレスがかかってしまいます。これからアパート経営をスタートしようという方は、地方はもちろんですが都市部でもアパートの立地条件と周辺物件の調査を行い、しっかり現状を把握し検討して下さい

今後のアパート経営と賃貸市場の行方

人口減少が進む以上、賃貸の空室率は確実に上がっていきます。立地条件や環境が良いなど、メリットの多い物件でなければ生き残るのは難しくなるでしょう。
またアパート経営においては不動産業、建設業、サブリース業、銀行など様々な人が関わり、いろいろな人の意見が入り乱れることも。
そんな時に大家はしっかり判断できる知識と情報を持っておく必要があります。

今後こうしたアパートの空き家問題は、不動産業界全体の問題となっていくでしょう。
今マンション価格は絶好調で、不動産バブル到来とも言われています。
しかしこうしたアパート経営の不安を考えると、マンションの好調も限定的かもしれません。賃貸オーナーは不動産市況全体の動向を見ながら自分の財産を守り、経営に行き詰らないアパート経営をしていく経営手腕が問われるでしょう。

参照記事:アパート建設熱、冷める 貸家着工6カ月連続減 ー日本経済新聞 2017/12/27 23:00
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO25177210X21C17A2EA2000/

 

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