閉鎖的な不動産業界に、「テクノロジー」という新しい風が吹き始めています。
その名は不動産テック。
「VR」・「AR」・「IoT」 など注目度が高いテクノロジーや、
「クラウドファンディング」や「マッチングシステム」など、不動産と親和性が高いシステムがサービスがリリースされています。
これまで、業務の大半を人海戦術で行っていた不動産業界の仕事。
これらの生産性を上げるためにテクノロジーを使い、色々なサービスが展開されることが予想されます。
私たちの身近な「住まい」という空間に、どんなテクノロジーが入ってくるのでしょうか。
不動産テックには、スマートフォンを中心に暮らす私たちのような若い世代と、まだまだサポートが必要な高齢世帯まで多くの人に受け入れられるサービスが求められています 。
今回は、この「不動産テック」について紹介します。
目次
1. 不動産テックとは?
不動産テックとは、不動産とテクノロジーを掛け合わせた言葉です。
IoTが製造業へ影響を与えたように 、システム化やデータを用いて、これまでの不動産取引の既存のあり方を見直す取り組みが始まります。
不動産テックは始まったばかりです。金融のフィンテックに比べると、斬新性や革新性というものはまだ見受けられません。
その理由は、次のことが挙げられます。
- 日本の不動産市場が世界でも稀に見る不透明性を持っていること。
- 商習慣が独特で変化を異様に嫌う土壌であること。
こうしたことから、現在日本の不動産テックは各分野で進化しており、全貌はこれから明らかになっていくでしょう。
1-1. 不動産カオスマップ カテゴリー紹介
不動産カオスマップのカテゴリーには
- VR
- IoT
- 物件情報・メディア
- ローン・保証
- シェアリングエコノミー
- クラウドファンディング
- マッチング
- 価格可視化
- 査定業務支援、不動産情報
の9つがあります。
資本金の総額をカテゴリー別にみると「シェアリングエコノミー」・「マッチング」に続いて、「IoT」と「価格査定」が同着になっています。
「物件情報・メディア」もこれに続きますが、シェアリングやマッチングに比べると資本金の総額としては低い傾向になっています。
資本金の中央値としては「IoT」が1位、「クラウドファンディング」や「シェアリングエコノミー」が3位です。
シェアリングエコノミーが資本金総額や資本金中央値の両方にランクインする理由は、個人や法人も参加がしやすいこと。
また、「Airbnb」のように、既にサービスが普及しているものなどがあることが挙げられます。
1-2. カオスマップ総評
カオスマップを見ていると、馴染みのある SUMMOやホームズなど「物件情報・メディア」も並ぶ中、
これまでエッジがたった不動産愛好家に指示をされていた「リノベる」や、
時間貸しが可能な「スペースマーケット」など『あったら面白いよね』という不動産サービスが参入しています。
現在のカオスマップには、注目企業は多いです。
一方、業界全体を変えるような大きなサービスは見当たりません。
類似したサービスが合併したり提携したりすることで、これまで不動産業界が人海戦術で行っていたことや、隠れていたニーズを掘り出し、より不動産の取引がスムーズになっていくでしょう。
2. 最先端を走る不動産テックを有する企業5選|カオスマップから厳選
不動産業界を牽引する不動産テック企業。これらの中から、注目したい一の企業をピックアップしました。
2-1. シェアリングエコノミー “スペースマーケット”
関東や関西をはじめとし、会議場やデザイナーズ物件を『時間貸し』をし、サークルや個人事業主の打ち合わせルームとして利用が可能なサービスです。
これまで、不動産を借りる際は必ず不動産会社を通していました。
このスペースマーケットでは、サイトにアクセスを押しクリックをするだけで全国どこでも好きな空間を予約することができます。
市や県を超えたタウンミーティングや、趣味の仲間同士の情報交換の場として使用することが可能です。
公式ホームページ”スペースマーケット“
2-2. 業務支援”スマート内覧”
希望の賃貸物件を、仲介業者の同伴なしに内見ができるインターネットのサービスです。
待ち合わせ時間や物件のセレクトを自分自身で行えるため、好きな日に好きな時間に見に行くことができます。
公式ホームページ”スマート内覧“
2-3. マッチング”リノベる”
不動産のリノベーション会社とリノベーションを希望するユーザーをマッチングする「リノベる」。
リノベーションが注目された頃からリノベーション事業者とユーザーをつなぐサイトとして定評がありました。
20代後半から30代、40代前半という不動産購入に対して柔軟なマインドを持つ層をターゲットにしているリノベる。
既存ユーザーとの相性も良く、不動産テックとして評価されているのでしょう。
公式ホームページ”リノべる“
2-4. クラウドファディング”クラウドリアリティ”
不動産に特化したクラウドファンディングです。
まちづくりを行うための店舗づくりや改装費などをクラウドファンディングを通じて、資金援助を得ることができます。
地域創生などと相性が良く、期待されるサービスです。
公式ホームページ”クラウドリアリティ“
2-5. 物件情報・メディア”SUUMO”
不動産情報誌として定評がある SUUMO。
今回不動産テック企業としてあげた理由は、その情報量の充実性です。
今後ビッグデータを活用した情報サービスが見込まれます。
その時、リクルートのSUUMOなら安定したサービスを供給できること。
また、時代に応じたフレキシブルなサービスを展開することが期待されています。
公式ホームページ”suumo“
3. 不動産テックの将来性|大手企業も動き出す市場規模の拡大
不動産テックは、スタートアップばかりだけではありません。大手も不動産テックに乗り出しています。
3-1. 大手企業提携例|三菱地所
2017年8月三菱地所が01boosterと協力をしてスタートアップ企業を全国から募集しました。
今後、アクセラシードプログラムを通じて不動産テック企業と提携または支援をしていく予定です。
大手不動産会社の中では、いち早く不動産テックに乗り出した三菱地所。これからのまちづくりも変わっていくかもしれませんね。
3-2. 不動産テックの危うさ
不動産テックは国内のサービスを見る限り、勢いがあるとは言えない状況です。
「AR」「VR」「IoT」など、製造業や情報通信産業の中ではかなり注目度が高いサービスも参入しています。
しかし、人間のライフスタイルを変えたり、直感的に「面白い!」と思うサービスは生まれていません。
不動産というのは、情報合戦です。そのため、多くの情報を取り扱い、それをユーザーに提供するというサービスを考えがちです。
しかし、他社データを提供するサービスはデータ元のサービスが情報提供しないという対応を取った場合、一気にシステムが成立しなくなってしまいます。
不動産テックが、一概に情報量だけで勝負するというのは危ない見方でしょう。
また、日本国内もアメリカやヨーロッパに比べると、インフラに関するシステム化が遅れています。
ヨーロッパやアメリカでは、多民族国家であったり国境を越えれば異文化であるという地理的特異性を活かし、国を挙げて道路や都市などにインターネットのシステムを導入しデータ化する作業が進められています。
そのためアメリカやヨーロッパの不動産テックは、ライフライフスタイル自体を変化させるダイナミックさを感じることができます。
革新的なものを生み出すためには、アメリカや海外またイスラエルなどICT 企業が急成長している国のサービスを見比べながら、国内のサービスにこだわらず選んでいく姿勢が大切になるでしょう。
4. 事例が増えて行く不動産テックに今後も着目するべき
日本の不動産業界は、他の業界に比べ異様に変化を嫌う業界です。それは「信頼を守る」という行為から生まれていた良い反発でした。
しかし、「ブロックチェーン」をはじめとし、人間ではなくても信頼性が担保できるシステムが開発されています。
今後は不動産業界も大きな変化を求められることでしょう。
金融業界と違うのは、不動産は8割は個人の方が判断をする商品です。
そのため、複雑で専門性が高い金融に比べると、分かりやすさや手に取りやすさが注目されるという側面があります。
ビッグデータやロボティクスも含め、不動産テックが進んでいくことに期待をしたいですね。
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