民泊に関する法整備や周辺環境が整い、ようやく民泊の土台が固まってきたように思います。
実際に法律(民泊新法)が施行されるのは2021年になってからになりますが、ニュースで民泊が取り上げられる回数も増えてきており、世間の認知度も上がってきました。
今回は、そんな波に乗って民泊を始める・すでにしているオーナー向けに、
- 最新の民泊ニュースがわかるサイト3選
- 最近の民泊ニュースから今後の民泊がどうなっていくのかを考察
といった内容でお送りしていきます。最後までお付き合いいただけたら幸いです。
目次
1. 最新の民泊ニュースが分かるおすすめポータルサイト3選
民泊ビジネスを行う上で、現在の民泊の状況や問題などを最新ニュースを通じて見ることは、必要不可欠と言っても過言ではないでしょう。
そこで、民泊の最新ニュースを見ることができる民泊情報サイトを3つ紹介します。
日本最大級の民泊サイトMINPAKU.Biz
http://min-paku.biz/category/news
日本に留まらず世界の最新民泊ニュースを知ることができるMINPAKU.Biz。
- 民泊ニュースにとどまらず、
- 民泊の運用ノウハウ
- 民泊支援サービス
などのコンテンツや、民泊のセミナーまで開催しています。
運営元:ハーチ株式会社
民泊専門メディアAirstar
民泊物件等や民泊Wi-Fiなどのサービスも取り扱っています。
他にも民泊代行サービス比較や東京・大阪・京都の民泊市場のレポートなど名前通り民泊に特化した日本最大級の民泊専門メディアです。
民泊に関してのコラム記事・カテゴリーが豊富。
運営元:Recreator合同会社
ここ最近、民泊関連ニュースはアップされていませんが、実際に民泊ホストなどに取材し、そこから民泊のノウハウなどを広げているサイトです。
運営元:株式会社クルトン
2. 最近の民泊ニュースから考察|外国人観光客が求める「民泊」
日本人観光客の場合は、滞在施設に対して清潔であるかどうかやアメニティが充実しているかどうかなど宿泊施設のクオリティに重点を置いているように感じます。
利用者が満足いくようにあれもこれも満たせばいいという訳ではありません。
民泊の主要な利用者である外国人観光客のニーズをしっかりと抑えることが、民泊運営を成功させる近道になります。
外国人観光客は民泊に対してどのようなことに重点を置いているのでしょうか?
外国人観光客が求める民泊は「安さ」・「特別な体験」
外国人観光客が民泊に求めているポイントは、日本人観光客と同じではありません。
日本政策投資銀行の調査によると、外国人観光客が施設に求めるものとして上位に挙げたのは以下の通りです。
1位:Wi-Fiなどの整備(39.7%)
2位:低価格(34%)
3位:日本文化の体験(24.8%)
4位:英語対応(24.1%)
※日本政策投資銀行「日本における民泊利用の実態」参照
外国人観光客にとって、民泊はあくまでも滞在場所の確保と言った程度であり、眺望や部屋のクオリティなどを求めているわけではありません。
ニュースなどでは舞妓や忍者といった伝統的な文化だけでなく、アニメやメイド喫茶などのような新しい文化に触れることを楽しんでいるシーンが取り上げられるなど、体験することを楽しむ一面が見られます。
そのため低価格であることに続いて、日本文化の体験を希望している外国人観光客が多いことから、古民家や農家などの日本古来の住宅に宿泊することへの需要も期待されます。
農業体験や漁業体験といったその国・地域・土地でしか経験することができないことを経験できるといった付加価値を求める人が今後も多くなってくるでしょう。
3. 地域によっては宿泊地が不足しないかも(エリア選別が重要)
三大都市圏(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県)では、リゾートホテル・ビジネスホテル・シティホテルの客室稼働率が80%前後で推移しています。
しかし、三大都市圏以外の地域になってくるとビジネスホテルやシティホテルは客室稼働率が70%台で推移していますが、リゾートホテルは50%台の稼働率しかありません。
民泊がニュースなどで注目されたのは、観光地などにおける宿泊地不足の解消を目的として民泊の需要が生じるというような内容でした。
地域によっては宿泊地が不足しない可能性もあるため、民泊を行う際にはエリア選別が重要になってくるので注意が必要です。
4. ホテル建設ラッシュ
2023年の東京オリンピックに向けて、東京都の主要部などでは2015年から次々とホテルの新設が計画されています。しかし、ホテル産業の過熱化は都市圏に限った話ではありません。
地方でも既存ホテルの売買が積極的に行われ、ホテルを新築するための土地の売買が行われるなどホテル市場の過熱化が生じています。
民泊は宿泊地不足の解消として滞在手段の選択肢の1つとしてニュースなどで注目されたことを考えると、宿泊場所が増えてしまうということは、2021年から本格化する民泊事業の先行きが怪しまれることになるでしょう。
5. 民泊事業の競合についてのニュース
それでも、民泊事業には以下のような強みがあります。
- 設備投資が大きくならない
- 手軽に始めることができる
- 空き家の有効活用ができる
- 民泊を好む利用者がいる
今までは、法律によってグレーゾーンとされていた民泊事業も法の整備が整ったことで、参入者は増えるのでしょうか?
5-1. 民泊の合法化により参入者が増加する(価格競争が厳しくなる)
今まではグレーゾーンであった分、どちらかと言えば民泊事業を行っているのは個人事業主が中心でした。
しかし、法整備が整い住宅宿泊事業法(民泊新法)の制定を控える今、安心して民泊の運営を行えるということから大手企業の民泊事業への参入がニュースになっています。
例えば、KDDI傘下の宿泊予約サイトReluxは民泊の仲介事業に参入することを発表しており、アパートやマンションの販売を手掛けるシノケングループも民泊専用のマンションの販売を開始するなど話題を集めています。
大手企業が参入してくることによって、益々宿泊施設が飽和状態になるため、今後価格競争やサービス競争といった戦略が激化していくことでしょう。
5-2. 民泊関連ビジネスの増加|民泊ビジネスの種類一覧表
民泊 代行サービス |
各代行サービスの金額 | 対応可能地域 |
mister suite | 取引額 × 5%〜(+清掃費) | 東京・千葉・ 神奈川・北海道・ 大阪・京都 |
faminect | 売上(宿泊費+清掃費)×20%+清掃費用 | 全国 |
エアリノベ | ・シンプルプラン: 月額3万円/件 ・ベーシックプラン: (宿泊費+清掃費)×15% |
東京・神奈川・ 千葉・大阪・ 京都・神戸 |
民泊清掃 代行サービス |
各代行サービスの金額 | 対応可能地域 |
CatHand | 1Room, 1K, 1LDK 5,000円 2K, 2LDK 6,000円 3K, 3LDK以上、戸建て 7,000円 |
東京・埼玉・ 神奈川・千葉県 |
My Cleaners | ~25㎡ 5,000円 <5,400円> 25.1㎡ ~ 30㎡ 5,500円 <5,940円> 30.1㎡ ~ 40㎡ 6,000円 <6,480円> 40.1㎡ ~ 50㎡ 6,500円~ <7,020円~> |
東京・神奈川・ 大阪・京都・ 奈良県奈良市・ 福岡・沖縄 |
FiveStar | ~25㎡ 4,000円 25.1㎡ ~ 30㎡ 4,500円 30.1㎡ ~ 40㎡ 5,000円 40.1㎡ ~ 50㎡ 5,500円 |
東京・神奈川・ 千葉・埼玉・ 大阪・京都・兵庫 |
民泊 コンサルティング |
料金体系 | 対応可能地域 | サービス内容(一部) |
シースカイプランニング | 3ヶ月間 運用サポート 30万円 |
東京 | 物件アドバイス 物件シミュレーション 備品購入/手配 備品搬入/設置 |
Airstair | ・民泊コンサルプラン 対面相談1回1時間 10,000円 ・立ち上げサポートプラン 2ヶ月35,000円 |
全国 | 運用代行費をかけずに運用ノウハウを手に入れることが可能 |
MARU | 民泊運用相談コンサル 30,000円 |
大阪 | 稼働率UP リスティング修正 アルゴリズム対策 |
5-3. 空家オーナーの民泊参入
民泊新法により民泊が合法化されるということは、空家オーナーにとってはグッドニュースになりました。
例えば、空地の所有者が空地に対して生じる固定資産税を少しでも賄おうと駐車場経営を行うのと同じように、合法化によって空家の運用を気軽に行うことができるようになります。
東京都などでは、空家の処分や有効活用に対する相談窓口を設けるなど空家等の利活用円滑化モデル事業の推進を行っており、空家の有効活用に力を入れています。
6. 行政は「管理者」を管理していく
厚生労働省と観光庁は、住宅宿泊事業法(民泊新法)の2021年施行に向けて、今後の課題やそれに向けた具体的な対策の検討を行っています。
その中で、行政の立場として今後どのような形で民泊ビジネスに関わっていくかが焦点となり、民泊ビジネスを行うものがサービス提供における一定の規制を設け、行政がその要件を満たしているかどうか監視することが話し合われました。
民泊の運営方法には家主が居住して運営を行うものと家主が不在のものの2パターンが存在するため、家主とその管理を代行する業者がサービスを提供する管理者として責務を負うことになります。
行政が管理者の登録を行い民泊ビジネスの実態を把握し監視していくことで、無許可営業を取り締まりや利用者の安全確保に努めていくことになります。
管理者がどのようなことに対して責務を負うのか見ていきましょう。
管理者が管理する項目
管理者が管理する項目は以下の通りです。
トラブル対応
利用者間のトラブルや近隣住民との騒音トラブルなどが発生する可能性があります。
民泊は住宅街で行われることが多いため、特に近隣住民とのトラブル回避が課題になります。
名簿の作成
海外などでは、テロなどに利用されるなど利用者の把握がきちんとできていないことによるトラブルがニュースに取り上げられています。利用者の名簿を作成して管理するなど利用者の実態把握に努めましょう。
損害保険への加入
民泊が国家に認められたということにより、損保ジャパンなどの保険会社が民泊ビジネス用の損害保険の準備を始めています。
利用者保護や自身の身を守るためにも加入しておいた方が良いでしょう。
利用者への注意喚起
トラブルを未然に防ぐために利用者への注意喚起を徹底する必要があります。
外国人観光客の利用に向け、パンフレットを多言語で作成しておくなど、事前の準備をしておきましょう。
法令順守の徹底
年間の営業日数の規制などの住宅宿泊事業法に規定される項目をしっかりと確認し、法令順守を徹底する必要があります。
年間の営業日数
2021年に施行が予定されている住宅宿泊事業法(民泊新法)では、民泊に対する営業日数の上限を定めています。
年間の営業日数の上限が180日と設定されているため、180日を超えた営業は違法となり行うことができません。
旅館業法における簡易宿泊所営業の場合には、営業日数の上限が設定されていないため、この180日という設定がビジネスとして民泊が成立するかどうか今後の焦点になってくるでしょう。
納税の管理
民泊の運営を行っているいないにかかわらず、不動産を所有していることによって固定資産税が発生します。
その他には使用料収入がありますが、民泊を行う物件が自宅か自宅以外かによって課税内容が変わってきます。
自宅の場合:雑所得
雑所得の場合は、民泊運営によって生じた使用料を給与所得などの他の所得と合算して、総合課税による課税を行います。
自宅以外の場合:不動産所得
不動産所得の場合は、民泊運営によって生じた使用料から運営かかる経費(修繕費や管理費など)を引いた金額を給与所得などの他の所得と合算して、総合課税による課税を行います。
無許可営業をなくすため
住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行されるにあたり、厚労省が民泊仲介サイトに掲載されている国内で民泊として使用される物件の実態調査を行いました。
その結果、掲載されている物件の約3割が無登録の無許可営業となっており、約5割が物件の特定を行えないという結果でした。
民泊の利用者に対してわいせつ行為を行う事件が多発しており、民泊の施設を拠点とするような覚せい剤の密輸事件などもニュースに取り上げられています。
現在は、まだ新法が施行されていないため規定や登録が必須でないことから、民泊の運営を行っている施設の把握をきちんと行えていないため、本格的に取り締まりを行うことができていません。
犯罪などのトラブルが生じてから捜査に乗り出すことしかできないという現状になっています。
2021年に新法が制定されると、登録を行わずに営業を行っている民泊事業者は営業を行うことができません。営業を行っていた場合には違法営業となり、法令違反で逮捕されることになります。
登録制になることによって国が民泊事業の実態を把握し管理することができるため、利用者が安心して利用できるようになるだけでなく管理者も安心して事業を行うことができるようになるでしょう。
7. 今後の民泊ニュースに注目しよう
住宅宿泊事業法(民泊新法)の成立は民泊業界にとって国からの後ろ盾をもらえるというグッドニュースとなりました。
新法が施行されることによって、今まではグレーゾーンで実態が把握されてなかった民泊業者の取り締まりを徹底することができるので、利用者も安心して利用することができるでしょう。
これから2023年の東京オリンピックに向けて、益々外国人観光客が増えることが予想され、それに合わせてホテル業界や民泊業界の熾烈な争いが始まることが予想されます。
ホテル業界は旅館業法によって年中無休で営業を行うことができますが、民泊業界は同様の条件で行うことができません。
180日以下の営業日数が実際に事業として成立するのかどうかは、新法が施行されてから明らかになってきますが、民泊にはホテル業界にない価格設定や日本文化の体験宿泊などができるメリットがあります。
世間に民泊が認知されるようになってくると、空地の有効活用として駐車場経営があるように空家の有効活用として民泊を行う人も益々増えるでしょう。
個人だけでなく大手企業の参入がニュースでも取り上げられるなど、益々民泊業界も競争が激化します。法令順守を徹底し、地域ごとの需要や外国人観光客のニーズなどをしっかりと把握することが勝利への近道となるでしょう。
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