金融機関にお金を預けてもほとんど利息がつかないような世の中、余裕資金を不動産に投資したいと考えている人も多いのではないでしょうか?
不動産投資は、株やFXなどと比べると比較的リスクは低いと言いますが、失敗したときのことを考えると二の足を踏んでしまう人も。
不動産投資で失敗する人はそれぞれ理由があり、過去の失敗事例を知れば不動産投資も決して怖くはありません。
この記事では、不動産投資での失敗事例と同じような失敗を防ぐための回避策について解説しましょう。
目次
1. 不動産投資の失敗例を知ることで成功につながる
不動産投資での失敗はいくつかのパターンがあり、それを知ることにより成功への道が開けます。
つまり、不動産投資の失敗事例を読み解くことで同じような失敗を防ぐことができるのです。
まず初めに、不動産投資の失敗はどのような状況を言うのか解説します。
2. 不動産投資の失敗=赤字とは必ずしも言えない
不動産投資で赤字となっていても、それが失敗であるとは必ずしも言えません。
はじめに不動産投資での失敗は、どのようなことを言うのか説明しましょう。
そもそも不動産投資の失敗の定義とは
不動産投資で利益を得る方法には、インカムゲインとキャピタルゲインがあります。
インカムゲインは毎月の家賃収入であり、キャピタルゲインは所有している不動産を売却した際に得られる売却益。
インカムゲインで利益を得ていても、最後のキャピタルゲインで赤字では成功であったとは言えません。
逆に家賃収入で赤字になっても、物件を売却した時にトータルで黒字になれば成功。
すなわち不動産投資での失敗の定義は、「売却したときに不動産投資が赤字であったこと!」です。
運用中が赤字だから失敗とは限らない
毎月得られる家賃収入から、金融機関へのローンの返済および諸経費を引いた手元に残る資金の流れを「キャッシュフロー」と言います。
すなわちキャッシュフローは「今自由に使えるお金がいくらあるか」ということですが、これが赤字でも必ずしも不動産投資が失敗とは言い切れません。
金融機関への返済によりローン残高が減ればやがて黒字化し、最終の売却の段階になって不動産投資で利益を得られれば成功と言えます。
したがって運用中の不動産経営が赤字であると言っても、失敗とは限りません。
3. 不動産投資でよくある失敗事例と回避策
それではここで不動産投資のよくある失敗事例と、その回避策について解説をしましょう。
大学や企業など1社に依存した経営による失敗
Aさんは東京の郊外にある大学の学生を相手に、賃貸マンションを経営していました。
3月に学生が卒業しても、新入生が入居し空室を埋めるために苦労することはありませんでした。
ところが大学が都心にキャンパスを移転する計画が持ち上がり、学生は退去し空室が埋まらない事態に!
大学や企業1社だけに依存した経営は危険です。
不特定多数の人が住まいを求めるようなアクセス・周辺環境共に良い場所で不動産投資をするようにしましょう。
利回りだけを見て物件を購入することによる失敗例
サラリーマンのBさんは利回りが良いという理由で、埼玉県の郊外の駅からバスで15分ほどのところに投資マンションを購入。
表面利回りが7%もあるということで購入するも、入居希望者は現れません。
やむなく家賃を下げた結果ようやく部屋は埋まりましたが、銀行ローンの支払いが足りず給料で補てんすることに。
利回りだけを見て物件を購入するのはリスク大。
郊外の物件よりも多少利回りは低くても人が集まる都会で物件を購入すべきです。
入居者がなかなか決まらない失敗事例
Cさんは都会であれば入居者は現れるだろうと、賑やかな交通量の多いところにファミリー向けの広い間取りのマンションを購入。
しかし、騒音がうるさく治安も良くないのでファミリー層からは敬遠され空室はなかなか埋まりません。
仕方なく家賃を下げて単身者に貸すも、結局利益が出ずマンションを手放さざるを得ないことに。
物件を良く確認せず安さにつられて購入したことによる失敗事例
Dさんはインターネットで、これは掘り出し物と思う投資物件が売り出されているのを知り、物件を見ず急ぎ購入しました。
しかし購入した後に現地を訪れると、日当たりは悪い・1階にはカラオケボックス・裏には飲み屋街が。
そのため入居者が現れても直ぐに引越し、空室が長く続く状態に。
修繕費用等を考えずに物件を購入したことによる失敗事例
Eさんは築年数30年のマンションを購入し、目に見える部分だけリフォームして賃貸に出しました。
しかし、まず排水管がつまり次には給湯設備が壊れ、修繕費が大きくかかることに。
安いからと言ってよく確認しないで古いマンションを購入すると、安物買いの銭失いのもと。
古いマンションは見た目は新しくても、内部は経年劣化しているのでよく調査しなければなりません。
計画も立てずに不動産投資を始めたことによる失敗事例
不動産屋から良い物件が出たとの話に、Fさんは飛びついて購入。
しかし入居者が勤めていた会社が倒産し、家賃を滞納されてしまいます。
貯金のほとんどを頭金に投入したため、キャッシュフローが回らなくなり、せっかく手に入れたマンションを手放さなければならないことに。
いくら良い物件が出たからと言って、やみくもに購入してはいけません。
不動産投資も経営なので、事業計画をきちんと立てて始めるようにしましょう。
不動産会社の言われるままに物件を購入したことによる失敗事例
お買い得部件を探していたGさんは、不動産会社からめったに手に入らない物件と強く勧められ購入。
ほかの人に先を越されてはと思い不動産会社の言うがままに購入しましたが、近くに新築物件が建ち空室が続くことに。
不動産会社は情報を知っていても販売に不利なことは口を閉ざしがちです。
不動産会社の言葉をうのみにしないで良く調べて購入することが重要。
節税のためだけに不動産投資を始めたことによる失敗事例
給与収入の多いHさんは、不動産投資が節税になるということを聞き物件を購入。
不動産投資で会計上の赤字を出し、給与と損益を通算することにより大きな節税効果ができるはずと。
しかし、思ってもみなかったマンションの修繕費用がかさみ、実際の赤字が発生することに。
節税を狙って不動産投資をしていても儲けることはできません。
不動産投資で利益を得るように計画しましょう。
物件の選び方を間違えたことによる失敗事例
Iさんは、余裕資金で不動産経営したいと考え郊外に一棟アパートを購入。
物件はバスで15分かかりますが、価格が安かったのできっとうまくいくと安易に考えていました。
しかし入居者を募集しても、人は集まらず家賃をどんどん安くしなければならない羽目に。
不動産投資をする場合に最も重視すべきは物件の選定。
多少利回りが悪くても、都会の交通の便利なエリアに的を絞って物件を探しましょう。
4. 不動産投資で失敗しやすい3つの原因
ここまで不動産投資に失敗した事例を説明してきましたが、その原因は何なのでしょうか?
3つの原因を挙げて説明しましょう。
①不動産に係る情報収集の甘さ
失敗事例の多くは、投資物件について十分な情報を把握していないこと。
物件に関わる情報や周辺の環境などを収集しておかないと、優良物件と思っていてもとんでもないものを掴んでしまうことになりかねません。
特にネット検索は居ながらにして情報を得られるので便利ですが、情報量の不足や正確性に欠ける場合も。
直接不動産会社を訪れたり役所に聞いてみたり実際に現地を訪れるなどして、情報源を多く持つようにしましょう。
②投資をする上で必要となる知識がない
不動産投資をする上で、不動産に関する法律・制度・税制・お金についての知識は不可欠。
知識がないと単に不動産投資に失敗するだけでなく、法律違反を犯したりペナルティを取られることも。
知識を得る手段としては、インターネット・書籍・セミナーなどがありますが、書籍による情報は古い場合があるので注意しなければなりません。
また、身近な知識だけでなく、グローバルな問題も不動産経営に大きな影響を与えます。
したがって政治情勢や経済情勢・景気動向・人口の増減・金利の動向・原油価格などについても知識を得ておくことが必要。
③無計画で不動産投資を始める
不動産投資を始めるときに、作成しなければならないのが投資計画。
事業を興す場合に、事業計画を作らずに始める人はいません。
不動産経営も一つの事業。
始める際には投資計画を作り、利益が出るかどうかシミュレーションする必要があります。
自己資金必要額・金融機関からの融資額・ローンの返済計画・資金計画などを策定し最終的な出口戦略まで計画しておかねばなりません。
きちんと計画と作っておかないと、キャッシュフローが回らず黒字倒産したり、家賃収入は黒字であったが物件売却時に赤字になってしまったということも。
5. 不動産投資に失敗しやすい人の共通点
それではどのような人が不動産投資で失敗しやすいのでしょうか。
例を挙げて説明しましょう。
不動産投資の知識を得ず、管理会社に任せきりにする人
不動産会社は不動産を仲介することで利益を得ているので、物件の良い面を誇張し取引を成立しようとします。
そこで不動産投資をしようとする人は、不動産投資に対する知識を十分に持ち、自分の目で判断することが必要。
ルーティンの管理・運営は不動産管理会社に任せても、賃貸契約や補修などの重要な場面では自分で判断することが求められます。
さもないと、とんでもない人を入居させたり、莫大な修繕費がかかってしまったということに。
計画も立てずに不動産投資を始める人
前項でも述べた通り、不動産投資は事業なので事業計画は必要不可欠!
きちんと計画を立てておかないと、家賃滞納が起きたり空室が発生したり修理が発生したりすると現金が不足することも起こり得ます。
キャッシュフローがうまく回らなくなると、たとえ黒字が出ていても金融機関への返済ができなくなることも。
不測の事態にも対処できるよう余裕資金を持つなど、きちんと計画を立てておかねばなりません。
営業マンの言われるがままに投資を始める人
不動産会社は、仲介料を得ることで会社は成り立っています。
そのため営業マンは、物件の良いところを強調し購入を勧めることもありがち。
したがって営業マンの言うことを鵜呑みにしてしまうと、後悔する事態にもなりかねません。
不動産投資を始める人は、まず物件を見る目を養っておくこと、次に不動産投資に必要な情報や知識を吸収することが必要。
インターネットで多数の物件を見ること、書籍やセミナーに出席し能力を高め自分自身で判断する力をつけるようにしましょう。
表利回り等、良い面だけを見て投資を始める人
表面利回りは、物件に対してどれ位の家賃収入が得られるかという指標。
この指標は経費を考慮しないので、儲かると思いがち。
利回りを計算するときには、コストを加味した実質利回りで見るようにしましょう。
また一般的に、都会より地方の物件の方が利回りが良くなります。
しかし想定利回りが良いと言っても、それは予定通りの家賃収入があっての話。
空室を埋めるために家賃を下げれば、当然利回りは下がります。
想定利回りに惑わされず、入居者が見つかりやすいエリアで物件を探すようにしましょう。
不動産投資に短期的なリターンを求めている人
不動産投資は、一般的には長期にわたって物件を保有し家賃収入を得、最終的には売却してトータル利益の確保を目指します。
売買を繰り返し短期的な利益を求める方法もありますが、大きなリスクが。
短期的売買をする条件は、まず格安に物件を購入すること、その物件にリフォームを加え利益を得て売りぬく方法です。
しかし不動産売買には、仲介手数料や不動産投資税・登記費用など多額な費用が必要なので、短期売買は大変に難しい方法。
不動産投資初心者は、良い物件を購入し着実に家賃収入を得る方法が無難と言えるでしょう。
人とのつながりを大事にしない人
不動産投資で必要なものは、情報・知識であるということは既に述べた通りです。
情報や知識は書籍・インターネット・新聞などから得ることはできます。
しかし最も重要なのは生の情報・新しい知識、これらのものは人とのつながりによって、得られるもの。
不動産業者との付き合いも大事ですが、特に必要なのは同業の大家仲間です。
相談する相手がいないと自分で判断しなければなりませんし、判断できない時には管理会社に丸投げせざるを得ないことも。
経験豊富な先輩の大家であれば、悩んだ時には相談ができますしアドバイスを得ることも可能です。
他にも異業種の人と知り合いであれば、思わぬ良い情報を得ることができるかもしれません。
不動産投資で得た収益をすぐに使ってしまう人
不動産投資で利益を得ても、すぐに使って余裕資金を持たないのはよくある失敗のパターンのひとつ。
不動産投資と言うものは、他の投資と比べるとリスクは比較的少ないと言いますが皆無ではありません。
余裕資金を持っていないと、不測の事態が発生した場合には、キャッシュフローが回らなくなり銀行への返済が滞ることも。
しかし余裕資金を持っていれば、空室が発生したり家賃滞納があっても慌てることはありません。
また家賃収入を貯金していけば、ローンの繰り上げ返済に回すことができるし、次の投資の原資とにすることも可能に。
不動産投資が経営であることを把握していない人
不動産投資は不動産経営と同意語。
したがって不動産投資を始める際には長期計画が必要ですし、投資を始めたら中期・短期の計画も。
事業計画に狂いが生じた場合には、計画を修正し着地点を見つけなければなりません。
また経営をするためには、アンテナを張り巡らし、新しい情報や知識を得ることも必要です。
6. 不動産投資の失敗事例を知って、成功に活かそう!
不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンと言います。
株やFXのようにリスクは高くありませんが、油断していると元も子もなくすことに。
失敗事例を把握し、不動産投資の基本を守れば道はおのずと開かれるでしょう。
不動産投資のより詳細な失敗しないための対策法は以下の記事を参考にしてください。
なお、不動産投資でお悩みの方やご質問のある方は、MIRAIMOの不動産投資勉強会・個別相談会へ問い合わせをするのが解決の早道です。