建物を建てる時には、建築確認や完了検査という手続きが必要なのはご存知でしょうか?
建物とは、人が暮らしたり仕事をしたりする場所のため、まず安全であることが前提になります。
そこで、人が安心して活動できる最低限の基準を守らせるための仕組みが建築確認・完了検査でです。
たとえば、木造の高層ビルでは怖くて利用することができないでしょう。
また、建ぺい率や容積率に制限がなければ、家と家の間が数十センチしかないなど、込み合って余裕のない街並みになるかもしれません。
安心で暮らしやすい物件を施工するためには一定の決まりが必要になるのです。
実は、これらの制度が不動産投資でも重要な役割を持ちます。
賃貸物件の投資運用で売却や金融機関からの融資は欠かせません。
取引を有利に進めるためには、物件が一定の基準に合格した施工がされていることを証明する書面が必要になります。
今回は、物件の合法性をどのように確認し、どのように検査するのか、また不動産投資で何が重要になるのかを解説しましょう。
古い物件だと、これらの書面がないケースも少なくありません。後々の運用を考えると注意しなければいけないポイントです。
目次
1. 建築確認と完了検査とは|制度と流れ
投資用のアパートなど、物件を施工する時には、施工計画の確認や検査を済ませなければいけません。
ところで、これらの確認や検査は、どのような流れになるのかご存知ですか?そこで、実際に物件を施工するまでの流れを解説しましょう。
建築確認・完了検査とはどんな制度
建築確認
建築確認とは、施工計画作成時に必要なもので、物件を施工する時に計画が適正かどうかを行政が確認する手続き。
施工計画が法令に適合しているかどうかを判断し、適合していれば建築確認番号が付与されます。
完了検査
完了検査とは、物件が法令等に適合しているかどうかをチェックする仕組みです。
工事完了日から4日以内に建築主事に申し出なければならないとされています。
申し出があれば7日以内に物件を検査しなければいけません。
どちらの制度もオーナーとして賃貸物件を所有するためには大切な仕組みになります。
建築確認から完了検査までの流れ
一連の流れとしては、建築主が工事に着工する前に建築主事に対して建築確認申請書を提出。
これから工事をスタートする物件が法令等に適合しているかどうかを行政の専門家に判断してもらうのです。
専門的な目線で、建築確認申請書が提出された物件が法令等に適合しているかどうかを審査。
計画が適法であれば建築確認通知書が建築主に送付されます。通知書が送付されないと工事を始めることができません。
物件が完成すれば、建築確認でチェックを受けた計画通り施工されているかどうかを完了検査としてチェックするのです。
建築確認の流れ |
|
建築確認・完了検査の申請は誰が行う?
建築確認・完了検査の申請は施主である建築主が義務を負います。
しかし、実務的には設計事務所や施工会社が施主の名前で申請するのです。
建築確認を申請しなかったらどうなる?
建築基準法では、法令の規定などに基づく許可や条件に違反していれば、
「建築主・請負人・現場管理者・敷地所有者に対し施工停止または猶予期間を設けて除去・移転・改築・使用禁止その他違反是正のために必要な措置を命ずることができる」とされています。
法律では、安全に住むことができる最低限の基準を設けているのです。
したがって、命令に違反すれば懲役や罰金が課せられることもあるので、申請しないわけにはいかないでしょう。
建築確認・完了検査ではどんなチェックを行う?
チェックする内容は、建物や地盤が法令等に適合しているかどうかの審査です。
例えば、
- 建ぺい率や容積率が適法か
- 斜線制限が守られているか
- 居室に採光が確保されているか
など、様々な項目が審査されます。
定められた項目をチェックして、それぞれ一定の基準を満たしているかどうかを調べるのです。
制度に関わる2つの書類
これら制度には2つの書類が欠かせません。
確認の証として建築確認証、検査の証として検査済証がポイントです。
どちらの書面も合格したことを証明するために交付されます。
建築確認証(確認済証)
建築確認証とは、建築確認により申請された施工計画が法令等に適合していれば建築主事から交付されます。
交付を受けることで、初めて計画した工事をスタートすることができるのです。
検査済証
工事が完成すれば建築主は完了検査を申請しなければいけません。
そして、建築主事は申請を受理した日から7日以内に検査を行わなければならないとされています。
検査に合格すれば、建築主に検査済証が交付されるのです。
2. 不動産投資において建築確認証や検査済証はナゼ重要なのか
不動産投資においてもポイントとされる2つの書面。なぜ、これらの書面が必要なのかを説明しましょう。
建築確認証がない場合に考えられること
不動産投資において、建築確認証はとても重要になります。
なぜなら、建築確認証が交付されていなければ、工事をスタートすることができないからです。
紛失したのでなければ法令違反になるでしょう。
申請をせずに工事を行った理由は、確認を受ければ法令違反のため希望の物件が建てられなかったからかもしれません。
また、急いでいて確認を受ける余裕がなかったということも考えられます。
いずれにしても、申請することなく工事をスタートした物件であれば、法令に違反する可能性が高いのです。
検査済証がない場合に考えられること
建築確認は申請していても、工事完了後に完了検査を受けていない場合も考えられます。
たとえば、実際の施工が申請していた通りの施工でなければ検査済証の交付を受けることができません。
そのために、完了検査を受けることができなかったと考えられます。
完了検査を受けることも法令で定められているので、合格を証明する検査済証の交付を受けていなければ法令違反になるでしょう。
不動産投資で考えられるダメージとは?
不動産投資において建築確認証や検査済証がなければ、どのようなダメージがあるのかを考えてみましょう。
不動産投資では、売却や金融機関からの融資が運用のポイント。 その、売却や融資を受ける時にダメージがあるのです。
売却で不利になる
不動産を売却する時には、不動産会社により物件が違法建築物でないかどうかを調査されることがあります。
調査では建築確認番号と取得年月日を確認。そして、確認済証により申請通りに施工されたことが証明されます。
したがって、これらの書面がなければ、物件の信用度が低くなり売却に不利に働くケースがあるのです。
融資が受けられないことがある
最近は国や自治体によって違法建築物の取り締まりを強化する傾向にあります。
金融機関に対しても検査済証などのない物件への融資を控えるように要請するなど、完了検査の必要性を強めているのです。
したがって、施工が合法であることを証明する書面がなければ、中古物件を購入する時に融資の審査を通り難くなるというダメージが考えられます。
検査済証がない場合はどうする?
検査済証がないと売却や融資でダメージを受けるかもしれません。
ところが、再発行はできないのです。しかし、管轄の役所で複写を取ることは可能。
また、再発行はできなくても、検査済証に代わる証書を発行する役所もあるのです。
そもそも申請をしないで施工した物件であればともかく、書面の紛失や中古物件の購入のため書面の有無を見落としたのであれば対策はあります。
3. 不動産売買の時には建築確認証と検査済証を必ずチェックしよう!
不動産を売買する時には建築確認証と検査済証を必ずチェックして下さい。
古い物件などでは、これらの書面がないケースが少なくありません。
しかし、現実問題として、売却や融資で不利益を被る可能性があるので注意が必要でしょう。
不動産の売買においての疑問や不安点などがあれば、無料オンライン相談窓口を設けています。
投資では、プロに相談することが効率的であり、効果的でもあるのです。まずは、LINEで、お気軽にお問い合わせください。