不動産投資において重要なものの1つとして「権利書」が挙げられます。
みなさんは不動産の権利書がどういったものかご存知ですか?
不動産における権利書は、所有者の確認や登記において非常に重要な役割を果たしています。
そこで今回は、不動産投資における権利書をテーマとして権利書がどういったものであり、権利書が重要な理由とは何かを解説していきます。
目次
1. 不動産投資における権利書とは?
不動産投資における権利書とは「土地または建物の権利を確認できる書類」のこと。
権利書(権利証)は現在では暗号化され、「登記識別情報」として作成されています。
土地・建物の売買契約を結ぶと、抵当権設定登記や所有権移転登記のために必ず登場するものです。
ここでは、不動産投資における権利書とは何か解説しましょう。
権利証(権利書)→登記識別情報通知書へ
権利証は、「登記済」という押印がされている書面。
法務局で登録されている登記番号や受付年月日も記載されています。
現在では法改正が行われ、権利書が廃止され、暗号化された登記識別情報通知書へと変わりました。
これは法務局へのオンライン申請を可能にするために行われた改正。
権利書が廃止されたからといって、従来の紙でできた権利書が使用できなくなったわけではありません。
権利書も以前と同じように、登記申請に利用されています。
登記識別情報通知書とは?
従来の紙に記載された権利書に代わって、登記識別情報を書面化したものを「登記識別情報通知書」といいます。
登記識別情報はアルファベットと数字から成り立つ12桁で表されています。
登記識別情報は登記名義人を識別している大切な情報ですか、書面に表示される登記識別情報は、特殊なシールが貼られて見えないようなっています。
シールは1度剥がすと2度と貼れないようになっていて、登記名義人以外は見られないよう工夫がされています。
ですから、不動産売買契約が無事終了し、登記識別情報通知書が手元に届いたら厳重に保管しましょう。
詳細は法務局の「登記識別情報通知書」を参考にしてください。
2. 不動産の売買で権利書が重要な2つの理由
それでは、不動産の売買において権利書が重要な理由とは何でしょうか。
ここでは、権利書が重要な理由を大きく2つに分けて解説します。
不動産売買で権利書が必要になるタイミングは?
不動産投資において、権利書はいつ登場するものでしょうか。
このことを考えるためには、まず権利書がどういった性質のものであるかを知る必要があります。
1つは、本人確認のため。
一般的には、決済の前もしくは当日に司法書士と本人確認を行います。
契約対象の土地・建物の登記名義人であることを確認するために必要。
もう1つは、登記をするため。
銀行で抵当権設定登記を行ったり、決済時に所有権移転登記を行ったりするために必要となります。
通常の契約で権利書が必要になるタイミングは、上記の2点です。
それでは、この2点それぞれについて解説しましょう。
①所有者の確認をするため
不動産売買契約を行う際には、必ず対象の土地・建物の所有者であるかの本人確認を行います。
所有者ではない第三者を売主だと誤認して売買を行ってしまったら、大変なことになってしまうからです。
しかし、登記をすること自体は義務ではないため、法務局で備え付けられている登記簿上の所有者と現在の所有者が異なっていることがあります。
例えば、相続で所有者が変更となったというケース。
登記簿上は亡くなった前所有者のままということも珍しくありません。
この場合は、きちんと相続登記を行ってから不動産売買契約や決済を行います。
②移転登記をするため
売買契約が完了した後、金融機関などでローンを組む場合は抵当権設定登記を行うことがあります。
この場合は、ローンを組む金融機関などへ権利書を渡すことになります。
また、所有権移転登記の際には司法書士へ依頼することが一般的。
所有権移転登記を司法書士へ依頼すると、必要とされる書類の中に「権利書」があるはずです。
他には、司法書士への委任状、印鑑証明書、固定資産税評価証明書、登記簿上の住所と現住所が異なる場合には住民票が求められることがあります。
3. 権利書を紛失してしまった場合
不動産投資における権利書は、土地・建物の所有者の確認や所有権移転登記において必要であり、大変重要なものであることは解説した通りです。
それでは、万が一権利書を紛失してしまった場合はどうしたら良いのでしょうか。
権利書を紛失してしまった場合の対処法について解説します。
不正登記防止申出の申告をする
権利書の悪用を防止するために、「不正登記防止申出」という制度があります。
不正登記防止申出の申請から3ヶ月以内に権利の移転登記がされようとした場合、法務局から申請者へ連絡がいくようになっています。
この制度を利用すること、登記名義人になりすまし、権利書を悪用しようとする人を阻止することができるのです。
事前通知制度を利用する
もう1つは、「事前通知制度」を利用する方法です。
権利書を紛失したまま、法務局へ登記申請を行います。
すると、法務局から登記名義人に対して「所有権移転登記が行われていますが、本人でしょうか?」といった内容の通知が届きます。
届いた通知に実印を押して返送することで本人確認がされたこととなり、登記申請に入れるという仕組みです。
事前通知制度を利用する場合、郵送でのやり取りが発生しますので通常の登記申請より時間がかかったり、返送を行わなかった場合に移転登記ができなくなったりする可能性があります。
ですから、権利書を紛失した場合は司法書士による本人確認書類の作成が一般的な対処法です。
権利書の再発行はできない
権利書や登記識別情報を紛失してしまった場合、再発行はできません。
しかし、登記申請の必要がある場合は、代替手段を取ることが可能です。
権利書がない場合は売買はできない?
権利書の再発行はできませんが、権利書がなくても不動産売買を行うことは可能です。
上記で解説した通り、権利書の主な役割は本人確認と登記です。
権利書がない場合の代表的な対処法は、司法書士が本人確認書類を作成すること。
司法書士という専門家が責任を持って発行する、権利書に代わる「登記名義人本人であることの証明書」です。
この書類があることで、権利書がなくても移転登記を行うことができるようになります。
4. スムーズな売却のために! 権利書でチェックすべきポイント
不動産投資において、スムーズな取引を行うためにも権利書をチェックしておきましょう。
ここでは、不動産売却をスムーズに行うために、権利書でチェックすべきポイントについて解説します。
①地目
地目を確認しておきましょう。
現況は宅地となっていても、地目上は「田」のままということがあります。
地目によっては農地転用許可などが必要となる場合があります。
その他、一部を公衆用道路として市町村に寄付したのに名義変更がされてないなどのケースがあります。
心当たりのある人は確認してみると良いでしょう。
②所有者
所有権移転登記は義務ではないため、所有者の名義と実際が異なることがあります。
所有者の名義は必ず確認しておきましょう。
名義人の変更登記が必要な場合
名義人の住所と現住所が異なる場合、住所変更登記が必要となります。
また、相続が発生したが登記をせず現在の名義人が異なる場合、遡って相続登記を行う必要があります。
所有権移転登記が必要な場合
土地・建物を買主へ売渡す場合、買主へ所有権移転登記を行います。
名義人が従前の売主のままなど、名義人が売主でなかった場合は移転登記ができませんので、実態に即すために売主への所有権移転登記が必要になるでしょう。
③登記内容|抵当権など
住宅ローンやアパートローンなど、土地・建物を抵当に入れて融資を受けることがほとんどでしょう。
その際、金融機関などによる抵当権の設定登記が行われます。
この項目には、金融機関などの抵当権者の名前や金額が記されています。
抵当権抹消登記が必要な場合
住宅ローンなどの残債がある場合、抵当権が設定されていることでしょう。
不動産を売却する際には、多くの場合で抵当権抹消登記が必要に。
抵当権が設定されたまま買主へ売却されたとしても、売主が返済を滞ってしまうと抵当権が設定された土地・建物が競売にかけられてしまう恐れがあります。
こうしたリスクがあるため、通常の不動産売買契約では抵当権抹消登記が必要となるのです。
5. 権利書は不動産売買に欠かせない重要書類!
権利書は不動産投資において非常に重要な書類です。
権利書の役割をしっかりと理解して、大切に保管しておきましょう。
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