不動産投資が大きなブームになってからずいぶんと長い時を経ましたが、いまだにブームの中にあると言えます。
人気があるあまり価格が高騰しているといった指摘もあながち間違いではないでしょう。
しかし、実際のところ価格が高騰しているエリアは限定されています。
その点を見誤ると大きく損をする可能性も。
また、昨年は不動産関連の会社や金融機関に不祥事が続発しました。
かねてから行政は融資のあり方に警鐘を鳴らしていたのですが、それが形に現れたといえるでしょう。
そのため、融資を受けられる条件が厳しくなった一面もあります。
そこからは今後選ぶべき物件がどういったものかが浮かび上がってくることでしょう。
これらのことを総合し、今回は2024年現在から見た不動産投資の将来性とこれから選ぶべき物件について考えてみたいと思います。
目次
1. 不動産投資の将来性を考える①|市場の現況と見通し
不動産の価格は高騰を続けているとまことしやかに囁かれています。
しかし、本当のところはどうなのかよく分かっていない人が多いのではないでしょうか。
確かに不動産の市場はいまだ衰えることなく賑わいを見せていますから、それに伴って価格が上昇していると見る向きもあるでしょう。
また、価格の高騰といっても実際に価格が上がっているのはごく一部のエリアだけだったりもします。
ここでは、現在の市場の状況を俯瞰して捉え、不動産投資の将来性について考えてみたいと思います。
現在は不動産投資バブル?
『不動産価格が高騰している』という論調がちらほらと見受けられることから、現在の不動産投資はバブルの状態にあると考えている人も多いかと思われます。
仮にそうだとすると、バブルはいずれ弾ける可能性があるのですから、今から不動産投資に手を出すのは危険だと感じる人が出てくるのも無理はないでしょう。
しかし実際のところ、不動産投資バブルは本当に起こっているのでしょうか?
何の裏付けもなく感覚的にそうだと信じ込まされているだけかも知れません。
土地価格の推移データをもとにして、現在の不動産投資の状況を考えてみましょう。
東京オリンピック特需で商業地は高値が続く
全国主要都市の商業地に話を限定してその「最高」価格の推移を見てみると、東京23区の価格だけ飛びぬけて高い価格になっていることが分かります。
これは2023年に東京オリンピックが控えているため、その経済効果を見込んで商業地の価値が高くなっているためと考えられるでしょう。
それを証拠に、東京23区以外の商業地では緩やかな上昇カーブを描いているだけにとどまっており、バブル全盛の平成初期の頃から比べても価格は抑えられたままです。
住宅地は商業地に比べて堅調に推移
次に見るのは、主な都市における住宅地の「平均」価格の推移。
こちらは全国的にほぼ横ばいの状態で、東京23区だけ微増の傾向にあるのです。
商業地に見られたような高騰ぶりは住宅地には見受けられません。
もっとも東京23区に限っていえば、バブル期以降に土地価格が高騰した平成20年の水準にまで迫っています。
しかし、ここで強調しておきたいのは、平成初期のバブル期における価格には到底届いていないということです。
このデータをどのように捉えるかは意見の分かれるところと言えるでしょう。
将来的な不安要素はある?
少子高齢化によって人口減少を迎えるといった問題から、不動産の供給が過剰となり、そこに需要が追い付かないため不動産価格が下落するという未来を描く人は多いかと思われます。
しかし実際のところを見てみると、人口流入によりさらなる需要が見込めるエリアが存在するのです。
そのような地域では、今後も堅調に価格が推移していくことでしょう。
逆に人口が流出していく地域は、土地があっても住み手がいなくなることを意味するため、先に挙げた通り厳しい状況に置かれる可能性が高くなります。
ここでは、不動産価格が暴落すると言われている「2024年問題」「2024年問題」について、その実際のところを見ていきましょう。
2024年問題
国立社会保障・人口問題研究所が2013年に推計した「日本の世帯数の将来推移(全国推計)」に、世帯総数は2024年をピークに減少に転じるとあります。
これにより、住宅が過剰供給になり価格が暴落するというのが「2024年問題」です。
しかし2024年に新たな推計が発表され、世帯数増加のピークは2023年まで延びる結果が出ました。
そのことから、2024年に世帯数減少は起こらないことがハッキリしたため、この問題は回避されたのです。
参考:国立社会保障・人口問題研究所 「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」の公表-2013年(平成25年)1月推計- http://www.ipss.go.jp/pp-ajsetai/j/HPRJ2013/yoshi_20130115ss.pdf
2024年問題
1988年に農地法が改正され「生産緑地」の指定が始まり、この指定を受けた土地は固定資産税などの税金を大幅に減免できたり相続税納税の猶予がもらえる制度を使えます。
ただし、この指定を受けると30年間の営農義務を負うため、その土地を他の用途で使用することは許されていません。
この指定を受けた土地が2024年には30年を迎えるというのが「2024年問題」です。
営農義務から外れた土地が一斉に売り出され、アパート・マンションが建築されて供給過多になることから、地価が暴落するという見立てでしょう。
しかし、相続税の納税を猶予する制度を利用する条件は終身営農(三大都市圏の場合)なので、買い取りの申し出がそこまで膨れ上がらず、そのような問題は起きないと推測できます。
2. 不動産投資の将来性を考える②|融資の現況と見通し
不動産投資のブームは益々盛り上がりを見せています。
ゼロ金利政策に後押しされて、銀行も積極的に融資に乗り出してきました。
しかし2024年現在において、金融機関からの融資は引き締めの方向に向かっていると言えます。
ただし、自己資産や実績のある人はその限りではなく、今後も融資を受けられることでしょう。
これまで以上に現場での調査もしっかりと行われるようになっており、融資を申し込んでからそれが通るまでの期間もこれまでより長く掛かっています。
不動産融資が厳しくなったと言われる理由を挙げるとともに、今後の見通しについて述べていきましょう。
ナゼ? 融資が厳しくなっている理由
2024年は不動産投資関連の事件・不祥事が次々と起こり、社会問題化しました。
そのため、行政も介入して融資のあり方を改める方向に動いています。
それまでの不動産融資が調べられる過程で、ずさんな管理や融資が行われていることが明らかになったことは、記憶に新しいでしょう。
そのため、これまでの条件では受けることのできていた融資が下りなくなっている現状があります。
特に新規に不動産投資への参入を考えていた人は、厳しい状況に置かれているといえるでしょう。
今後もずっと厳しい状況は続く?
現在地方の銀行や信用金庫などは、貸し出し競争激化による利回りの低下やマイナス金利政策の導入による、国債での運用益減少など収益的に厳しい状況にあります。
そのような状況下にあって、個人向け不動産投資資金は魅力的な存在として捉えられていることでしょう。
以前のような融資基準に戻ることはないにせよ、マーケットとして有望視していることは間違いありません。
つまり、これまでの実績があり債務超過でない場合は、融資が下りる可能性は今までとあまり変わりがないという見立てもできるでしょう。
3. 3つの視点から考えるこれから選ぶべき「将来性がある物件」とは?
相変わらず不動産投資の市場は活況の状態にあることは先に述べた通りです。
また、そのような状況にも関わらず金融機関の融資は引き締めの状態にあることを見てきました。
これらのことから導き出せる答えは「将来性がある物件」を手に入れるということに尽きるでしょう。
それでは果たして「将来性のある物件」とは、具体的にどのようなものなのでしょうか。
この項では3つの視点から不動産投資を見ることで、これから選ぶべき物件とはどういったものなのかを考えてみたいと思います。
①収益の面から考える
よく「節税対策になるから」といった理由で、不動産投資を考えている人を見かけることが。
しかし、不動産投資はあくまでも家賃によって収益を上げていくために存在しています。
そのため、その原則に従って収益性の良い物件を選ぶことが大切と言えるでしょう。
どのような不動産投資をすれば、収益を挙げられるのでしょうか。
ターゲットを絞り込んだ物件選定を
どのようなターゲットに物件を売り込むかによって、入手すべき物件が変わってきます。
- 単身者向けならば1R~1LDK、
- ファミリー向けなら分譲マンション・分譲一戸建て・賃貸一戸建て・二世帯住宅
などといった具合に、買い手・借り手を想定した物件を選定しましょう。
利回りは実質利回りをチェック
利回りは「表面利回り」ではなく「実質利回り」で考えるようにしましょう。
表面利回りとは、年間の家賃収入の総額を物件価格で割り戻した数字。
それに対して実質利回りというのは、年間の家賃収入から諸経費を差し引き、物件購入にかかった金額の総計で割った数字。
不動産業者が利回りという時には、表面利回りを用いています。そのため、実質利回りは自身で算出する必要があることを覚えておきましょう。
そうすることで、自身の具体的な手取りがいくらになるのかが明確になります。
②将来性の面から考える
不動産投資は長期間に渡って家賃収入を得ることにより、自己資産を増やすことのできる投資といえるでしょう。
物件を選ぶ際にはその将来性を見極め、より長く賃貸収入が得られるものを選び出さなければなりません。
少子高齢化社会を迎える日本において、市場のニーズも徐々に変化していくものと思われます。
その変化に適応できる物件を選ぶようにしましょう。
少子化対策|よりコンパクトな間取りへ
仮にファミリー向け物件の入手を考えているとしましょう。
現在は少子化にあるため、特別に広い居住空間は入居者も求めていません。
ニーズに合致しない物件を手に入れることは、不動産投資に失敗することを意味します。
コンパクトな間取りでも住みやすい物件が好まれているのです。
そのため、近くに商業施設や小・中学校があったり治安のよいエリアを選ぶことの方が重要になると覚えておきましょう。
高齢化対策|バリアフリーなど設備に注目
介護サービスなどを受けながら高齢者が単身で生活することも、今では当たり前になっています。
そのような人に「住みやすい」と感じてもらうためには、バリアフリーなどの設備面を充実させる必要があるでしょう。
③融資の面から考える
これまでは、物件によっては自己資金がゼロでも金融機関が融資していた事例も多数ありましたが、今ではそのような融資を受けることは難しくなっています。
これは自己資金へのチェックが以前にも増して厳しく行われるためです。
「物件取得価格の2割以上の自己資金を持っていること」といった具合に条件付けがされます。
そのため、自己資金に見合ったレベルまで融資額を下げる必要があります。
その条件の範囲内で好物件を見極めなくてはなりません。
築浅物件を選ぶ
築浅物件を選ぶようにすると、大規模な修繕費などが購入直後にいきなり掛かってくるといった問題を回避できます。
そのことが積極的に黒字を作ることになるでしょう。
そのようにして決算書の利益を多くし税額を増やすことにより、銀行からの融資が受けやすくなります。
返済比率をチェックする
返済比率は家賃収入からローン返済に充てる割合のことですが、賃貸経営の安全性を示す指標になり得ます。
返済比率が高いと手残りのキャッシュフローが出てきません。
そのため、最低でも50%以上にはならないように気を付けましょう。
理想を言うならば、返済比率は30%程度に抑えておくことが大切です。
4. 将来性を見据えた物件で安定した収益を上げよう
以上、不動産投資の将来性について多角的な視点から見てきました。
不動産投資はいまだにブームの真っただ中にあります。
そのため価格が高騰しているという意見も見られるのですが、それは特定のエリアに限られていることは先に述べた通りです。
また、金融機関からの融資は引き締めの状態にありますが、自己資産や実績を積んでさえいればこれまで通りの融資を受けられることでしょう。
そして何より大切なことは、物件選びに当たってその将来性をしっかりと考えることです。
収益がしっかりと上がることで豊かな資産形成を実現してくれます。
これらのことを踏まえれば、不動産投資をいたずらに不安視することは無くなるでしょう。
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