不動産投資が成功したと判断するのはいつでしょうか。
- 家賃が安定して入ってくるとき?
- 高い家賃で貸すことができたとき?
満室経営でキャッシュが余ったとき「この投資は成功だった!」と興奮してしまいますが、それは早合点かもしれません。
持ち続けることが基本だった不動産投資の世界が、ここ最近変わり始めました。
毎月の家賃だけではなく出口戦略までしっかり計算して、最終利益を確定させ売り抜けること。それが大切だといわれ始めたのです。
20年、30年という時間軸で経営する不動産投資。出口戦略まで計算するのは至難の業です。
しかし、出口戦略をまったく考えず、利回りだけを見て物件を購入してしまうと、売却の際にこれまでの利益がすべて吹き飛んでしまうこともあるのです。
ここでは、ワンルームマンションの出口戦略の考え方を実例シュミレーションで説明します。
目次
1. ワンルームマンション投資にも出口戦略は必要!
家賃が入ってくるうちは、なかなか売る気にはなれないかもしれません。
しかし、ワンルームマンション投資にこそ、出口戦略が必要なのです。
ワンルームマンションは、単身者、特に若い人が住むことが多いため、新しくきれいなマンションを好む傾向があります。
今、キャッシュが回っていたとしても、10年後20年後はどうでしょう。
今と同じように入居者はその部屋を選んでくれるでしょうか。
目先の利益にとらわれず将来を見越し、今から売る計画、つまり出口戦略を練る必要があるのです。
ワンルームマンションでも長期保有にはリスクがある
ワンルームマンションを長期保有するリスクを考えてみましょう。
- 家賃下落リスク
- 空室が長く続くリスク
- 管理費や修繕積立金が上がるリスク
- マンションがスラム化するリスク
- 経年劣化により、修繕などの費用がかかるリスク
長期保有をすると、上記のようなリスクが時間が経つごとに高くなります。
また、ワンルームマンションいわゆる区分所有は、部屋である空間を所有しているので、土地が残るわけではありません。
ローンを払い終わったら資産になると思いきや、そこまでの資産価値は見込めないのが現状です。
満室であっても売却を考えるべき?
売却するとき、満室の場合は空室と比べて高く売れる傾向があります。
購入する立場から考えると当然ですよね。
入居者がいると、新たに営業をする必要もなくそのまま収入につながりますし、リフォーム費用などのお金をかける必要もありません。
年々高くなっていくリスクを考えると、ある程度家賃が回収できたら、満室のときこそ売却を考えるべきです。
2. 売り時はいつ? 家賃はいくら? 出口戦略をシミュレーションしてみよう
では、実際に出口戦略を考えてみましょう。
インカムゲイン(家賃収入)とキャピタルゲイン(売却益)の合計が、購入価格を上回ったときに初めて投資が成功したといえます。
そのためには、利益が出るか損をするかの境目である損益分岐点を超えることが必要です。
購入資金を回収し、物件が利益を生み出す時期。ワンルームマンションを売るタイミングはそのときです。
修繕費などの費用が掛かる前に、売却価格が大幅に下がってしまう前に、出口(売却)を考えましょう。
シミュレーションの数字は、説明のために簡略化しています。
実際は必要経費やローン金利などを複合的に判断し緻密な出口戦略を練る必要があります。
①価格2,000万円で購入した新築ワンルームマンションを家賃8万円で貸す場合
投資用に購入したワンルームマンションが、何年後にいくらで売れば利益が出るのか、具体的にシミュレーションします。
まずは新築マンションから見てみましょう。
新築マンションを2,000万円で購入し家賃8万円(空室率5%)で貸した場合、6年後に1,500万円で売却できたら、この投資は成功です!
②価格1,000万円で購入した中古ワンルームマンションを家賃7万円で貸す場合
平均空室率は築年数が経っているので20%とします。
年間想定家賃収入は約67万円〈7万円×12ヶ月×80%〉です。この物件を850万円(15%下落)で売却すると仮定します。
売却損益は、850万円-1,000万円=▲150万円。
損益分岐点を超えるためには、インカムゲイン(家賃収入)が150万円以上必要です。
150万円÷67万円=2.2388…。
この条件の場合、約3年で損益分岐点を超えることになります。
築10年の中古マンションを1,000万円で購入し家賃7万円(空室率20%)で貸した場合、3年後に850万円で売却できたら、この投資は成功です!
③価格3,000万円で購入した新築ワンルームマンションを5年後に売りたい場合の家賃
売りたい時期が決まっている場合、家賃はいくらに設定したら利益が出るのかを具体的にシミュレーションします。
5年で売却するので750万円÷5年×1.05=約158万円(年間家賃)。
つまり、月額家賃は約13万2,000円〈158万円÷12ヶ月〉(利回り5.28%)以上であれば5年で損益分岐点を超えることになります。
3,000万円の新築マンションを5年後2,250万円で売る場合、家賃は13万2,000円(利回り5.28%)以上に設定できれば、この投資は成功します!
3. 出口戦略を練るのにおすすめな本を紹介!
インターネットは、疑問点を解決したり最新情報を知りたいときには重宝します。
しかし出口戦略のような緻密な計算が必要な分野については、専門家が書いた本を手元に置いて何度も読み返すことが必要です。
ここでは、出口戦略に特化したおすすめの本を3冊紹介します。
『不動産投資は出口戦略が9割 住宅コンサルタントが語る、不動産投資で着実に儲けるためのガイドライン』寺岡 孝
出口戦略だけでなく、不動産投資をする際に気を付けるべき内容が書かれた本です。
購入から出口戦略まで、自分で決断する大切さやリスクを背負う覚悟について説明しており、初心者は一度目を通しておくと良いでしょう。
投資家や不動産業者ではなく不動産コンサルタントのため、全体を俯瞰的に見ておりリスクをできるだけ減らすための知識を授けてくれる一冊です。
住宅コンサルタントが教える、不動産投資で着実に儲けるためのガイドライン
またサラリーマン・独身女性・医師が陥ってしまった代表的な失敗事例パターン7つを公開
副業で不動産投資をはじめたい初心者には必読の一冊!
引用元:amazon内容紹介(抜粋)
『誰も書かなかった不動産投資の出口戦略・組合せ戦略 詳細解説版』猪俣 淳
私も持っていますが、一度読むだけでは内容を把握することができないほど、細部にわたり記述がありますので非常に勉強になりました。
数字による解説が多いため難しく感じますが、投資家として知っておくべき内容ばかりなので、ぜひ一読することをおすすめします。
サラリーマン投資家やアパート・マンションの大家さん向けに、投資の効率性や安全性の判断を身につけてもらうための投資分析のしかたや、 キャッシュフローを助けるポートフォリオ戦略を伝授する。 多角的な視点での物件の分析手法は、不動産投資に関連する各種資格を多く保持する著者ならでは。
引用元:amazon内容紹介(抜粋)
『不動産投資の嘘』大村 昌慶
題名こそ衝撃的ですが、書かれている内容は不動産投資にまつわるノウハウをポジティブに書いた本です。
購入から出口戦略、再投資までに注意が必要なことを、不動産業者および投資家である著者の目線で解説しています。
投資は、ノウハウだけでは成功できず、本人の人柄や信頼できる人々に助けてもらうことが大切であると書いていることが、個人的に共感しました。
不動産投資業界は「嘘」で塗り固められている。
融資、立地、税金対策、出口戦略……知らないでは済まされない
“アパート・マンション経営の真実”を大暴露!
本書では、長年不動産業界に身をおき、自身も投資家として活躍する著者に、その“嘘”を暴いてもらう。
引用元:amazon内容紹介(抜粋)
4. 出口戦略を立てて不動産投資を成功させよう!
出口戦略まで正確に計算できていれば、大きく失敗することはありません。
私も出口戦略を非常に重要視しており、気になる物件を見つけたら、5年後10年後には最低いくらで売れるのかという試算を出すことから始めます。
家賃や利回りも大事ですが「それを買うことによっていくら利益を生み出すことができるのか?」ということを基準に投資物件を決めています。
利益目標を立てれば、「Aマンションは長期保有、B店舗は短期決戦」など、物件ごとにスタイルの違う投資ができるのです。
複数所有の場合は特に必要となりますので、出口戦略は購入前から考えておきましょう。
とはいっても、投資家がひとりですべてを網羅することは不可能です。
不動産投資にはたくさんの知識が必要なので、投資家本人は広く浅い知識を持ち、足りない部分をプロに補ってもらうという考え方をする方が結果的にうまくいきます。
こちらMIRAIMOの運営元である株式会社スマミンには、購入から出口戦略まで、総合的にお手伝いできるプロが揃っております。
もし、今、不動産投資において、知りたいことやわからないこと、悩んでいることがありましたら、株式会社スマミンにご相談ください。
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