数ある不動産投資の中でも、リスクが低く、比較的始めやすいのが区分マンション投資。
一棟アパートやマンションの場合だと購入するための費用も数千万単位で必要ですが、区分マンションの場合は100万円程度の自己資金があれば購入が可能です。
そして、区分マンション投資の良いところは、物件の数も多く、場所も選びやすい点。
賃貸需要をきちんと見極めてターゲットさえ間違えないようにすれば、空室期間も短くなり、空室リスクも抑えることが出来ます。
しかし、区分マンション投資の場合は、最初は1戸からのスタートになりますので、万が一空室になってしまうと収入はゼロとなり、ローンの返済に困ってしまうことも。
やはり、区分マンション投資も投資ですから多くのリスクが存在します。
では、区分マンション投資で成功している人はどういった点に気をつけているのでしょうか。
今回は、区分マンション投資の魅力やリスクをご紹介します。
目次
1. 区分マンション投資ってどんな投資法?
区分マンション投資とは、デベロッパーが建設する新築マンションや市場に流通している中古マンションを購入し、賃貸して入居者から家賃収入を得るという投資方法です。
初期費用が少なくて済み、ある程度良い立地の物件を購入することが出来るので、リスクの低い初心者向けの不動産投資。
以前は中々融資してくれる金融機関がありませんでしたが、昨今の不動産ブームもあり、融資してくれる金融機関は徐々に増えているので区分マンション投資を始めやすい環境になっていると言えます。
2. 区分マンション投資の魅力とは?
初心者向けの不動産投資と言われる区分マンション投資ですが、実際にはどういった魅力があるのでしょうか。
区分マンション投資には、購入コストが低い、売却しやすい、建物の管理は管理組合がしてくれるなど、多くの魅力的な点があります。
ここでは、区分マンション投資の魅力についてもう少し詳しくお話していきます。
管理が比較的楽
区分マンションの建物の管理については、基本的に管理組合が自主管理をするか、マンション管理会社などに委託して行っているので、共用部の清掃やクレーム対応などについては自分で対応する必要がありません。
又、部屋についても費用は掛かりますが、賃貸管理会社に任せてしまえば、設備の故障などがあっても管理会社と費用面の打合せくらいでほとんど手間は掛かりません。
共用施設等の修繕費がかからない
区分マンションの共用施設等の修繕については、管理組合に管理費や修繕積立金を払っているので、個人で負担することはありません。
日常的な軽微な故障であれば管理費、多額の費用が掛かるトラブルや計画的に行われる大規模修繕については修繕積立金を使って修繕を行います。
物件数が多い
区分マンションは、1棟当たりの戸数が数十戸~300戸と多く、ポータルサイトで比較しても戸建やアパートと比べて非常に物件数が多いです。
㎡数の小さいワンルームから大きなファミリータイプなど種類も豊富なので、そのエリアではどういったタイプが人気なのか、賃貸需要を把握した上で物件を選ばないと失敗してしまうことになりますので注意してください。
投資にかかる費用が低いのでリスクも低い
区分マンションの場合は、単身者向けのワンルームなら東京都内でも1,000万円もあれば購入が可能です。
現金で購入する場合はある程度大きな資金も必要ですが、融資を利用すれば頭金1割程度なので諸経費と合わせても200万円程度、フルローンなら100万もあれば物件を購入できます。
頭金1割で融資期間も30年など長期間組むことが出来れば、毎月の返済は5万円も掛からないので万が一空室になっても給料で補填することが出来る範囲。
一棟アパートやマンションであれば、頭金や融資金額は区分マンションの10倍以上となることも多いですが、区分マンションであれば、投資にかかる費用が低いのでリスクも低く抑えることが可能です。
流動性がある
一棟アパートやマンションであれば、物件の価格は数千万円~数億円と高額になりますので、中々買い手を見つけるのが難しく、現金化するのに長期間かかるケースも多いです。
しかし、区分マンションの場合は、物件価格は数百万円と手ごろな価格帯の為、買い手が多いので現金化しやすく、流動性がある資産と言えます。
違う区分マンションに投資する事でリスクを分散できる
ここ数年、地震や台風、水害など自然災害が多く、不動産投資においてもリスク分散が必要だと考える人が増えています。
一棟アパートやマンションの場合、一か所に多くの部屋を持つことになりますので、万が一災害などの被害にあってしまうとすべてが無くなってしまうことも。
その点、区分マンションだと少額の資金で購入できるので、違うエリアに投資する事で地理的なリスクを分散することが容易です。
3. 区分マンション投資によるデメリットとは?
区分マンション投資は、分散投資が出来る、少ない費用で投資が出来るなど、メリットが非常に多い不動産投資。
しかし、区分マンション投資もやはり投資ですからメリットだけでなく、デメリットも当然あります。
デメリットを理解した上で投資しないと結果として投資に失敗してしまうケースも。
では、区分マンション投資にはどういったデメリットがあるのでしょうか。
資産の価値は低くなる
区分マンションの良いところは、好立地物件を購入しやすく、空室リスクを抑えつつ、賃料もある程度キープできる点。
しかし、土地に関しては、敷地権として持ち分がある程度でほとんど無いと言っていいでしょう。
ここ数年は特に都心部では地価が大きく上がったこともあり、戸建てなど土地を持っていた場合は資産の価値が大きく上昇しました。
区分マンションも同様に価格は上昇しましたが、土地の持ち分がほとんどないので、戸建てなど土地を持っていた場合と比べると資産価値の上昇の恩恵が少なく、相対的に見ると資産の価値は低くなったと言えます。
金融機関からの融資が受けにくい
最近では、区分マンションに融資してくれる金融機関は増えましたが、一棟アパートやマンションに比べると金融機関からの融資は受けにくい状況と言えます。
やはり、銀行としては、大きな物件で高額な融資をするのも区分マンションに融資するのも審査の手間はそう変わらないので出来れば高額な融資をしたいというのが本音。
そのため、区分マンションに融資をしてくれる金融機関でも、一棟アパートやマンションと比較すると金利が高い、融資金額が抑えられるケースも多いです。
投資場所の環境の変化によって賃貸需要も変わる恐れがある
これは一棟アパートやマンションでも言えることですが、区分マンションでも投資場所の環境の変化によって賃貸需要が変わる恐れがあります。
最近では、人口の減少に伴って大学が都心部へ移転したり、国内工場の閉鎖などが増えています。
万が一、そういった事態が起こると賃貸需要は大きく減り、賃貸経営に大きな打撃になることも。
管理費や修繕積立金がかかってしまう
区分マンションの場合は、管理組合が日常的な共用部分の清掃や十数年に一度の大規模修繕工事を行っています。
そのため、所有者は管理組合に対して、日常的に掛かる費用に使うお金として管理費、大規模修繕工事や大きな費用の掛かる工事の費用を修繕積立金として毎月支払わないといけません。
戸建てや一棟アパートの場合は、必要なだけ個人で負担すれば良いので、管理費や修繕積立金は余分に支払う必要はありません。
管理費や修繕積立金は、マンションの戸数や築年数などによっても違いがあり、ワンルームマンションの場合は合計で1万円前後のところが多いです。
利回りが低いので儲けにくい
利回りとは、年間の家賃収入を物件価格で割って計算しますが、一般的にはこれを表面利回りと言います。
表面利回りの段階では、経費は含まれていません。
それでは実際の収益が分かりにくいため、年間の家賃からきちんと掛かる経費を引き、購入に掛かった費用を加えた実質利回りで計算する必要があります。
区分マンションの場合は管理費・修繕積立金の経費率が高い為、戸建てや一棟アパートと比べるとどうしても利回りが低いので儲けにくくなってしまいます。
最近では、区分マンションの価格も高騰しており、更に利回りは低下傾向に。
空室が出ると収入が0になってしまう
一棟アパートを購入すると一度に6戸~10戸程度の部屋を取得出来ます。
しかし、区分マンションの場合は、投資は一戸単位なので空室が出れば収入が0になってしまいます。
収入が入らなければ銀行の返済も出来なくなってしまうので、物件を売却したり、最悪の場合は自己破産しないといけないことに。
退去による修繕費(クリーニング代)
これは他の投資でも同じですが、入居者が退去すると原状回復工事やハウスクリーニングを行わないといけません。
最近ではハウスクリーニング代については入居者から徴収するケースも多くなっていますが、入居期間が長い場合だと、ワンルームでも原状回復に30万円程度、ファミリーなら100万円以上掛かるケースも。
そのため、月々入ってくる家賃については使わずに、原状回復費用や急な修理などの為に貯めておく必要があります。
4. 投資用の区分マンションを選ぶ4つのポイント
不動産投資で成功するためには、良い物件を選ぶ必要があります。
良い物件とは、簡単に言うときちんと収益を上げられる物件のこと。
やはり、初心者のうちは物件の見方もわからず、どの程度利回りがあれば良いのかなどわからないことも多く、どの物件が良いのか判断が難しいと思います。
ここでは、投資用の区分マンションを選ぶ4つのポイントについてお話しします。
①実質利回り10%の物件を選ぶ
区分マンションを選ぶ際には、実質利回りで10%以上の物件を選ぶのが理想です。
しかし、現状は物件価格が高騰しており、実質利回りで10%超える物件を探すのは非常に難しい状況。
利回りが高い=リスクが高いとなるので、いくら利回りが高いからと言って地方の駅から徒歩20分の場所にあるような区分のワンルームを買ってしまうと空室に悩まされること。
そうなると、いくら利回りは高くても収入を得られないということになり、そもそも賃貸経営が成り立ちません。
利回り10%以上を目指しつつ、空室が少ない、稼働率の高い物件を選ぶことが重要です。
②銀行からお金を借りるには物件の担保力が必要
銀行は、融資を行う際に物件の評価を行い、その物件にどの程度の担保力があるかを算出します。
やはり、東京都23区内の物件であれば人気も高く、物件の担保評価も高くなりますが、人気のないエリアの物件であれば、当然物件の担保評価は低くなってしまいます。
そのため、銀行からお金を借りるには、物件の担保力のある都心部の物件を選ぶ方が有利と言えます。
③購入物件の空室率や周囲の環境
不動産投資におけるリスクと言えば、一番大きなものがやはり空室リスク。
そのため、購入物件のあるエリアの空室率や周囲の環境をきちんと調査し、どういった賃貸ニーズがあるかを把握しておく必要があります。
空室率については、不動産ポータルサイトでその周辺の空室率を簡単に調べることが出来ます。
ただ、エリアによっては実情と異なっている場合もあるので、購入する物件の周辺の不動産会社やポータルサイトの募集状況などを見て同じタイプの部屋の募集がどの程度あるのか、実際に周辺の同じタイプの物件を見て空室状況を確認するなどして調査した方が良いでしょう。
次に、周囲の環境についてですが、購入する物件のタイプによって求められる環境は異なります。
例えば、ワンルームであれば、駅徒歩10分圏内、近所にコンビニがあるといった項目が重要ですが、ファミリータイプの場合は、市役所などの公共施設や総合病院の有無、ショッピングセンターや公園、駐車場スペースがあるかといった項目が重要に。
そのため、購入する物件のタイプに合わせて、周囲の環境を調査する必要があります。
そのエリアのニーズに合った物件を選ぶことで空室リスクを抑えることが出来るのです。
④区分マンションで儲けを出すには安い物件を購入する必要がある
利回りの低い区分マンションで儲けを出そうと思うと、どれだけ安い価格で物件を購入できるかが重要なポイントになります。
しかし、安い物件の情報を入手するのは非常に難しいのが実情。
そのため、安い物件の情報を入手する為に、不動産のポータルサイトをマメにチェックして値付けを間違えている物件を探したり、良い情報の入ってくる不動産業者と仲良くするなどして常にアンテナを張り巡らせる必要があります。
5. 区分マンション投資で成功する人と失敗する人の違いとは?
リスクが低いと言われる区分マンション投資ですが、やはり成功する人と失敗する人がいます。
区分マンション投資では、最初の段階で失敗してしまうとリカバリーに時間が掛かってしまうので儲けるどころではありません。
では、どうすれば区分マンション投資で成功することが出来るのでしょうか。
次は、区分マンション投資で成功する人と失敗する人の違いについてお話しします。
区分マンション投資で成功できる人
区分マンション投資で成功するためには、最低限の知識を身に付けることとパートナー選びが重要です。
どんな投資でもそうですが、区分マンション投資においても、物件の選び方や融資についてなど最低限の知識を身に付けておく必要があります。
区分マンション投資で成功している人は、本を読んだり、セミナーに参加してきちんと勉強しているのです。
そうは言っても、最初は経験がなく、机上の勉強だけではどう判断していいかわからないことだらけ。
勉強以上に重要なのが、不動産会社など相談できるパートナー選びです。
パートナー選びに失敗してしまうと儲からないような物件を紹介されたり、購入後ケアしてもらえないなど、結果遠回りをしてしまうことに。
信頼できるパートナーを見つけ、受けたアドバイスを素直に実践できる人が区分マンション投資で成功できる人と言えます。
区分マンション投資で失敗する人
逆に、区分マンション投資で失敗する人は、何も勉強せずに良いか悪いかわからない不動産会社の話を信頼して鵜呑みにしてしまう人が多いです。
偶然、最初にパートナーに選んだ不動産会社が良ければ成功するかもしれませんが、多くの不動産会社は、自社の利益を優先に考えているので売って終わりがほとんど。
購入後に、賃貸経営が上手くいかなくても、買うと判断したのはご自身ですよねと言われるのがオチです。
まずは、最低でも区分マンション投資に関する本を数冊読み、評判の良いセミナーに参加するなどして勉強し、信頼できる不動産会社を探すことから始めましょう。
6. 区分マンション投資のシミュレーション方法
区分マンション投資で失敗しないためには、きちんとシミュレーションを行うことが重要です。
シミュレーションとは、区分マンション投資を行うにあたって、年間の家賃収入、経費を割り出し、実際にどの程度キャッシュが残るかを算出することを言います。
購入前にシミュレーションすることで、運営後の計画も立てやすく、失敗するリスクを抑えることも。
区分マンション投資におけるシミュレーションの重要性と方法についてお話します。
不動産投資をするにあたりシミュレーションは重要になる
区分マンション投資だけでなく、不動産投資をするにあたってはシミュレーションが重要です。
やはり、区分マンション投資で失敗する人の多くは、表面利回りだけで物件を選んでしまい、実際には管理費・修繕積立金や固定資産税といった運営費やローン返済を考えると手残りがほとんどない、最悪の場合は赤字になって手出しになったというケース。
購入前にきちんとシミュレーションしておけば結果はある程度予想できたことで、その際に買わないという選択も出来たわけです。
又、賃貸経営をしていると入退去がありますので、シミュレーション上でも空室リスクを盛り込むとより実際の運営に近いシミュレーションを行うことが出来ます。
不動産投資においては、物件の収益予想をきちんとシミュレーションした上で購入することが非常に重要になります。
区分マンション投資のシミュレーション例
では、実際に区分マンション投資のシミュレーションを行ってみましょう。
例えば、物件のシミュレーションをする場合、下記の項目の金額が必要になります。
購入時の費用
- 仲介手数料
- 印紙代
- 司法書士に支払う報酬・登記費用
- 不動産取得税
- 火災保険
- 金融機関の融資手数料
運営中の費用
- 年間の賃料
- 管理費・修繕積立金
- 固定資産税
- 賃貸管理会社の費用
融資条件
- 金利
- 期間
- 融資金額
今回のシミュレーションでは、細かい数値は使いませんが、実際に掛かる費用をきちんと計算することでより正確なシミュレーションが出来ます。
では、物件価格1,000万円、表面利回り10%の区分マンションでシミュレーションしてみましょう。
シミュレーションの条件
- 購入時の費用 100万円
- 年間運営費用 20万円
- 年間家賃 表面利回り10%なので100万円
- 融資条件 金利3% 期間25年 融資金額900万円
まずは、年間の収支(キャッシュフロー)を下記の計算式を使って計算します。
年間家賃-運営費-ローン返済額=キャッシュフロー
100万円-20万円-51万円=39万円
しかし、賃貸経営では入退去は付き物なので、空室率をきちんと繁栄させる方がより実践的です。
空室率は、都心部など立地の良いところであれば5%程度、地方だと7%~15%程度で検討する必要があります。
では、この物件が都心部にあるという設定で空室率を5%でシミュレーションすると、年間100万円×5%=5万円を引くこととなり、キャッシュフローは34万円となります。
キャッシュフローが34万円あれば、安全な投資が出来そうだという予測を立てることが出来ます。
次に、表面利回りでは10%の物件ですが、本来の収益性を見るために、実際に運営費や購入諸経費を考慮した実質利回りで計算する必要があります。
実質利回りの計算式は下記の通りとなります。
実質利回り=(年間家賃-運営費-空室率)÷(物件価格+購入諸経費)×100
同様の条件で計算すると、実質利回りは、75万円÷1,100万円×100=6.82%
表面利回りは10%ですが、実質利回りでは6.82%と大きく下がってしまいました。
ただ、実質利回りでこのくらい確保出来ていれば運営的には問題はありませんが、地方だと表面利回り15%でも管理費・修繕積立金が高い、空室率15%と考えると実質利回りは大幅に減少することに。
物件を購入する前には、きちんとシミュレーションを行い、実質利回りで物件を見ることが重要です。
7. 区分マンション投資に興味があるならセミナーを活用しよう
区分マンション投資は、他の不動産投資と比べると収益性は低いですが、その分リスクも低く、初心者向けの投資と言えます。
そして、区分マンションには、戸建てや一棟アパートと比べると、好立地の物件が買える、少額で始めることが出来る、流動性が高いので売却が容易などたくさんのメリットがあります。
しかし、いくらメリットがたくさんあると言っても、100万円~200万円のまとまった資金を使うことになるので、初めてだと中々購入に踏み切れない方も多いのではないでしょうか。
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