若いころからコツコツ保険料を支払い、老後に受け取ることができる年金。
毎月なんとなく支払ってはいるものの、将来的にいくらもらえるのかをキチンと把握している人は意外と少ないのではないでしょうか。
そこで今回は、老後に年金はいくらもらえるのかを詳しくご紹介します。
目次
1. 年金がいくらもらえるのか不安…|国民年金と厚生年金を計算してみよう!
年金制度には、「国民年金」と「厚生年金」、さらには「企業年金」や「確定拠出年金」など、さまざまな種類があります。
今回はその中でも「国民年金」と「厚生年金」を取り上げ、その支給額について詳しく見ていきましょう。
2. 【2024年】国民年金はいくらもらえる?
20歳以上のすべての日本国民が加入する、もっとも基礎的な年金である「国民年金」。
定額で払い続けた国民年金は、一体どのタイミングで、そしていくらになって私たちの手元に返ってくるのでしょうか。
計算する前に|受給対象者をチェック
国民年金は、保険料納付済期間と保険料免除期間などを合算した資格期間が10年以上の国民に対して支給されます。
受給がはじまるのは基本的に65歳からですが、希望すれば受給開始時期を早めることも可能。
ただしその場合は受給額が減るため要注意です。反対に66歳~70歳までの間であれば受給開始時期を遅らせることもでき、その場合は受給額が増えます。
【2024年】国民年金の平均受給額
2024年現在、国民年金の平均受給額は55,464円。この金額は、直近6年間ではもっとも高い支給額です。
ただし受給額は毎年推移していくため、その都度チェックするようにしてください。
受給額の計算式
国民年金は個人の所得にかかわらず、あくまで保険料納付済期間によって受給額が決まります。
受給額の算出には、おもに次の計算式を用います。
つまり、20歳から40年間(480ヶ月)保険料を納付しつづけた場合、国民年金の満額である779,300円を受け取ることができるということです。
受給額を計算してみよう!
それでは次の条件のとき、受給額はいくらになるでしょうか。上の計算式を用いてシミュレーションしてみましょう。
- 国民年金保険料を25年間(300ヶ月)支払った
- 受給開始年齢は68歳
779,300円×300ヶ月/480
=487,062円
68歳からの受給は増額率43%なので、受給額は696,499円となります。
【注意】自営業者や学生が保険料免除を利用した時の計算式
自営業者や学生が保険料免除を利用した場合には、次の計算式を使います。
77万9300円×保険料納付済月数+(保険料免除月数×反映割合)/480
つまり、免除や半額納付などがある場合にはそれも受給額に影響してくるということ。具体的な反映割合は下記の通りです。
- 全額免除 50%
- 4分の1納付 62.5%
- 半額納付 75%
- 4分の3納付 87.5%
3. 【2024年】厚生年金はいくらもらえる?
民間企業に勤めるサラリーマンや公務員が加入する「厚生年金」。
厚生年金は、定額である国民年金に対して、給与や賞与などの「平均報酬額」によって保険料や年金の受給額が変わってくるのが大きな特徴です。
また、厚生年金は、国民年金に上乗せされる形で支払われます。
厚生年金の受給対象者は?
厚生年金の受給対象者は次の通りです。
- 老齢基礎年金の受給資格を満たしている
- 厚生年金の被保険者期間が1年以上ある
- 65歳に達している(※60歳以上であれば特別支給の「高齢厚生年金」の対象)
【2024年】厚生年金の平均受給額
2024年現在、厚生年金の平均受給額は147,927円。
2011年の152,396円にはまだまだ及びませんが、回復傾向にあることは確かです。
ただし、男性の平均が166,863円であるのに対して女性の平均は102,708円と、男女差がかなり顕著です。
さらに給与や賞与などの平均報酬額によって保険料が変わる厚生年金は、個人によって受給額が大きく変動します。
そのため厚生年金の受給額を知りたいときには、その時の平均受給額だけでなくご自身の支給見込み額をしっかり確認することが大切です。
厚生年金の計算は複雑|まずは早見表でチェックしよう!
厚生年金の計算は非常に複雑です。
平均給与と加入期間に応じた受給額を示す早見表がありますので、まずは日本年金機構のホームページで早見表をチェックしてみましょう。
①平成15年3月まで
平成15年3月までの報酬比例年金額は、月の平均給与のみで計算します。(平均標準報酬月額)
②平成15年4月以降
平成15年4月以降の報酬比例年金額は、給与と賞与を合わせた額の平均で計算します。(平均標準月額)
受給額の計算に必要なものは3つ
厚生年金受給額を求める計算式は次のようになっています。
報酬比例年金額+経過的加算+加給年金額=厚生年金受給額
さて、「報酬比例年金額」「経過的加算」「加給年金額」という難しい単語が出てきました。それぞれについて見ていきましょう。
①報酬比例年金額
「報酬比例年金額」とは、給与や賞与を合わせた報酬額の平均に加入期間をかけたものを指します。
なお、平成15年3月以前は給与のみだったので、それよりも前から厚生年金に加入している方は、それらを分けて合算する必要があります。
②経過的加算
国民年金の支払いが20歳~60歳の40年間と決まっているのに対して、厚生年金は中学卒業時~70歳までの間で加入することが可能です。
20歳未満と60歳を超えた部分の厚生年金加入分を加算することを、「経過的加算」といいます。
ただし、上限は480ヶ月となっており国民年金と同様です。40年を超えて払い続ければその分多くもらえるというわけではありませんのでご注意ください。
③加給年金額
「加給年金額」とは、いわゆる家族手当のことを指し、次の条件を満たすときに支給される年金です。
- 厚生年金の加入期間が20年以上ある
- 被保険者が65歳になっている
- 配偶者が65歳未満である、または18歳以下の子どもがいる
4. 受給の目安額はねんきん定期便でチェックできる!
もっとも簡単に厚生年金の受給額を知る方法として、「ねんきん定期便」があります。
誕生月に日本年金機構から自宅に送付されるねんきん定期便のハガキまたは封筒をご覧になったことがある方も多いのではないでしょうか。
なんとなく見て捨ててしまうという方もいるかもしれませんが、そこには将来受け取れる年金の受給見込み額が記載されています。
ねんきん定期便でチェックするポイント3つ
ねんきん定期便の内容がいまいち分からず、読む気になれない…
そんな方に、ここからは必ずチェックすべきポイントを3つご紹介します。次にねんきん定期便が届いたときにはぜひ確認してみてください。
①加入期間
まずは、年金の加入期間です。下記の基準に対して自分が今どれくらいの位置にいるかをチェックしましょう。
- 全体で10年(年金がもらえる基準)
- 全体で25年(遺族年金が出る基準)
- 厚生年金だけで20年(加給年金や振替加算がつく基準)
- 1種類の厚生年金だけで44年(長期加入者の特例に該当する基準)
②支給開始年齢
50歳以上の方は、自分が年金を受給できるのがいつからなのかを見ておきましょう。
例えば民間企業から公務員へ転職した人などは、支給開始年齢が複数ある場合があるので注意が必要です。
③年金額
最後に、もっとも気になる年金額です。
会社員として長く働いていた場合は老齢厚生年金の金額に、また専業主婦(夫)の期間が長い場合は老齢基礎年金の金額に注目してください。
ネットで確認することもできる
年金の見込み額を確認できるのはねんきん定期便だけではありません。
50歳を超えると、ネット上でも将来の受給見込み額を確認することができます。
ねんきんネット
ねんきんネットでは、下記の情報をネット上で確認することができます。
- ご自身の年金記録
- 将来の年金受給見込み額
- 電子版「ねんきん定期便」
- 日本年金機構から郵送された各種通知書
利用には「年金手帳」「年金証書」に記載された「基礎年金番号」をもとにした登録が必要です。
また、ねんきん定期便などに記載されている「アクセスキー」がある場合はそちらもご用意ください。
5. 年金だけでは不安…自分に合った資産運用方法を見つけよう!
日本では高齢化が進み寿命が伸び続けています。
年金は老後の生活を支えるお金ですが、それだけでは不安という方も少なくないでしょう。
投資や株など、貯蓄の方法はさまざまです。
老後の資産形成の手段としてASISセミナーでは、ご自身に最適な不動産投資の方法を提案していますので、ぜひそちらもご活用ください。
「老後はこれで安心!」という心の余裕を持ちながら、今を全力で楽しむことができたらステキですね。