不動産投資で「札幌」といえば「高利回り」で収益を上げやすいエリアとしてのイメージが強いのではないでしょうか?しかし、過熱する不動産投資ブームの影響を受け、札幌の物件価格も引きずられるように高騰しています。その結果、札幌の不動産投資物件利回りは低下してきています。
もしこれから札幌での不動産投資を考える場合、まだ札幌は不動産投資先として有力なのか?雪国札幌の地域性を理解しながら今後の展望まで、不動産投資先としての札幌を検証していきます。
1, 意外と知らない?札幌ってこんなところ
不動産投資を始めるなら、まず投資先エリアの特性を知る必要があります。
何も知らなければ、物件の適正価格やエリア特有の事案を知ることはできません。
ましてや、回避できるリスクを知らず知らずのうちに背負ってしまうこともあります。ですので、最低限次の項目は理解しましょう。
1-1, 札幌市の人口は全国何位?
札幌市は北海道の道庁所在地。政令指定都市になっています。人口は19,620,464人(平成29年6月1日現在)となっています。人口は東京特別区・横浜市・大阪市・名古屋市に次ぐ全国5位の市です。また北海道全体の人口の約36%が札幌市に集中しています。
札幌市は下記の10地区で構成されています。
- 中央区
- 北区
- 東区
- 白石区
- 豊平区
- 南区
- 西区
- 厚別区
- 手稲区
- 清田区
各区の人口を比較してみます。
人口は「北区」・「東区」・「西区」・「中央区」・「白石区」の順で推移しているのがわかります。
1-2, 札幌市の広さはどのくらい?
札幌市の広さ(面積)は1,121 km² 数字では広さが分かりにくいかと思いますが、東京23区の広さ(面積)が619 km²ですので、札幌市の広さはなんと東京23区の約1.8倍です。札幌市の広大さがうかがえますね。
各区の札幌市における面積を比較してみましょう。
南区が圧倒的な広さを有しています。しかし、人口は札幌市内で8番目です。南区は札幌市内でも山間僻地を多く抱えているのということが敷地が広大な理由です。
1-3, 札幌市の交通機関
札幌市で利用できる交通機関一覧
種類 | 路線名 |
JR | 函館本線・千歳線・学園都市線(快速を使い、空港や小樽、岩見沢・ニセコなど別の市まで移動することが可能) |
地下鉄 | 南北線・東西線・東豊線(さっぽろ駅は2路線、大通り駅は3路線が乗り入れている) |
市電(路面電車) | 一条線・山鼻西線・山鼻線・都心線(市内を循環している。札幌駅やすすきのエリアに停留所あり) |
バス | 札幌駅には36の停留所があり、新千歳空港や函館、阿寒湖温泉まで幅広く運行している。 |
札幌は雪国ですので、冬の時期は雪の影響を受ける交通機関は遅延・渋滞に巻き込まれます。
ですので、通勤や通学をする方には雪の影響を受けない地下鉄の駅を利用できるエリアが人気です。
因みに3路線合わせた地下鉄の駅数は49駅です。
1-4, 札幌の有名観光地
大通公園
札幌都心の中心を東西に(全長1.5km)伸びている大通公園。毎年200万人以上の来園がある、「札幌雪まつり」の会場として知られています。
白い恋人パーク
北海道の定番土産である白い恋人。そのテーマパークには「お菓子作り体験工房」があり、オリジナルの白い恋人を作ることができます。ここだけの特別スィーツメニューもあるので、外国人観光客にも人気が高いです。体験とお土産が一度に手に入るところも人気の理由です。
さっぽろ羊ヶ丘展望台
札幌市にありながら、自然を満喫できる「羊ヶ丘展望台」羊たちが草を食べている光景は、北海道らしい自然を感じられる光景です。夏はラベンダー畑が広がり、冬はスノーパークが開設されるので一年を通して楽しめます。
また敷地内には有名な「クラーク像」があり、同じポーズで写真を撮ればSNS映えすること間違いなし。
札幌市時計台
札幌市時計台は木造二階建ての建築物。オフィスビルに囲まれているので、存在感は思ったよりないかもしれません。しかし、今でも1時間ごとに鳴る鐘の音は札幌市民に長く親しまれ、一度は聞いてみたい素敵な音色です。
1-5, 外国人観光客推移
上記の表でも分かるように、北海道は外国人観光客が増加しています。
「アジア圏」からの観光客が増加している
特に「中国」「台湾」からの観光客が多いです。また「タイ」「マレーシア」といった東南アジアからも人気が高いです。
理由の一つとしては、新千歳空港のアクセスが良いことが上げられます。
2012年に「新千歳-バンコク間の直行便」が開通しました。
そして2013年に「タイ」「マレーシア」を含む東南アジア5ヶ国に関して、短期滞在の場合はビザが免除されるようになり、ますます北海道が身近になりました。
「オーストラリア」からの観光客は「ニセコ」に夢中
いままで、ヨーロッパで楽しんでいたウインタースポーツを、時差が少なく(2時間)、移動時間・航空費ともに安い、そしてパウダースノーの雪質に魅了され北海道でバカンスを過ごす方が増えているのです。
「ニセコ」にはすでに200人以上の固定外国人居住者がいます。また、冬の時期だけでなく夏のアウトドアスポーツを楽しむために訪れる外国人観光客も増加傾向です。
1-6, 札幌人気エリアの家賃相場
札幌で人気のあるエリアの特徴としては、「利便性の良さ」があげられます。
東京で積雪が少しあると交通機関がマヒするように、雪国北海道といえど、毎日の大雪では通常時と同様に運行することは難しいです。そこで、雪の影響を受けない「地下鉄沿線」に人気が集まります。
「中央区」は利便性が抜群
「中央区」の中でも、住みたいエリアとして人気があるのは「円山公園駅(札幌市営地下鉄東西線)」付近となっています。
「中央区」の大通り沿いにはオフィスも多く、働く場所が集中しています。
人気エリアですので、家賃・駐車場などが札幌市内では割高です。
ですが、投資先として考えた時、人気のある利便性の良いエリアとは総じて賃貸需要が多い傾向にあります。
購入金額に見合った収益が得られるのであれば、「中央区」に投資したいところです。
ですので、今回は「中央区」の家賃相場を掲載します。
間取り | 中央区の家賃相場 | 札幌市の平均家賃相場 |
ワンルーム | 3.6万円 | 3.43万円 |
1K/1DK | 4.3万円 | 3.87万円 |
1LDK/2K/2DK | 5.5万円 | 4.66万円 |
2LDK/3K/3DK | 7.5万円 | 6.02万円 |
3LDK/4K~ | 9.9万円 | 7.57万円 |
中央区の家賃相場は、札幌市の平均家賃相場にくらべ、約+1.05万円高いことがわかります。
札幌市の平均所得は約306万円ですので、家賃を抑え、生活水準を上げて生活したいという意向が強くあるのかもしれません。
2, 不動産投資先として札幌の現状を知る
札幌市の現状を踏まえたうえで、不動産投資という観点から、札幌市は魅力的なエリアなのか。ということを検証していきます。札幌市で不動産投資をした場合気を付けたいポイントもあわせて紹介します。
2-1, 札幌市の投資物件を探すなら
都内から札幌への不動産投資を考えている場合は、何度も現地へ行くのは難しいでしょう。インターネットを使い条件の合う物件があるかどうか目星をつけておきましょう。
おすすめサイトリンク
・House Town(ハウスタウン)
http://www.fudosan-k.com/invest/
北海道最大級の不動産住宅情報サイトです。地域密着型のサイトです。
・健美家
https://www.kenbiya.com/hokkaido/
現在北海道の収益物件が893件登録されています。北海道以外のエリアも検索できますので、比較しながら検討することができます。(会員限定公開物件あり)
・楽待
http://www.rakumachi.jp/syuuekibukken/hokkaido/
戸建ての掘り出し物件も掲載されています。物件数が多いので、ある程度条件を絞って検索してみてください。
2-2, 札幌市で不動産投資をするメリット
都内に比べるとまだ高利回り
数年前まで札幌市は利回りの高い物件が多く、収益を見込める不動産投資先でした。しかし不動産投資ブームの影響を受けて現在は利回りが低い傾向が続いています。
といっても、都心の利回りに比べればまだまだ高いです。(都心平均6%程度)
札幌市には16%という利回りの物件も売りに出されていますので、成功すれば大きな利益を出すことも可能です。
札幌市というブランドを生かした不動産投資ができる
観光客の推移表で確認した通り、日本の中でも北海道は外国人観光客の人気が高いです。今後も誘致活動は活発になると予測されます。他県に比べ「民泊」の需要が高い可能性があります。
また、観光地として栄えることで、そこには従業員が必要になります。観光地で働く人の賃貸需要も生まれてきます。
2-3, 気を付けたい2つのリスク
雪国特有の費用がかかる
雪国と雪かきは切っても切り離せない関係です。
賃貸住宅はオーナーが管理会社と契約をして物件を管理してももらうことが一般的です。
札幌では雪かきが管理契約内容に含まれるケースが多いですが、管理会社や物件によって雪かきの範囲が違います。
管理費を多く支払わないと住民が満足する除雪ができない場合もあります。そのような場合は管理委託料金が高くなります。
また、冬の寒さにより水道管が凍ってしまったり、外にある設備が壊れやすくなる。ということもあります。
そして、室内のヒーターが故障した場合は、早急に直さなければ室内であってもかなり寒いので住民を困らせてしまいます。
このように、札幌での不動産投資は管理費・突然の修繕費がかかってしまうリスクが他の地域より高くなります。
急な修繕費用に対応できるように、ある程度の自己資金を用意しておきましょう。また、最低でも利回り10%以上はある物件を選ぶことで、家賃収入から捻出できる管理委託料を増やすこともできるでしょう。
地方の特徴、入居者募集広告費が高い
都内の入居者募集広告は家賃の1か月分が相場です。しかし地方の賃貸需要が高い激戦区では、数か月分の広告費を支払わなければ、入居者が決まらないというケースがあります。
人気エリアは特に賃貸激戦区になりがちですので、入居者募集にはある程度のコストがかかる覚悟をしておいたほうが良いでしょう。
また、管理会社が入居者付けをしている場合は、担当者と良好な関係を築いておくことも、重要です。
あなたの物件を優先してお客様に勧めてもらえるよう関係地を作っておきましょう。
もし、札幌エリアから自宅が離れていて投資先に選んだ場合は、特に良好な管理会社との関係を築けるようにしましょう。空室に対する対策に積極的でエリアの知識がある管理会社を選ぶことが大切です。
2-4, 入居者別目線でエリアを選ぶことが大切
不動産投資をするにあたって、家賃収入からローン返済することを考えると、ある程度の家賃収入が望めるエリアに投資することが重要になります。そして、「賃貸需要がある場所=入居者がいる場所」を選びましょう。
入居者別おすすめエリアをまとめました。
- オフィスが多い「中央区」は単身者を狙える!
- 学校施設が多いのは「北区」周辺!(北海道大学以外にも複数の学校が北区にある)
- ファミリーは「北区」「東区」「西区」で広さと家賃を考える!(家賃が安く広い間取りも多い)
- 民泊なら外国人観光客目線で利便性と間取りで考える(空港からの距離・複数で宿泊できる間取り)
これ以外にも、あなたの条件に合う物件が見つかった場合は、その周辺環境を必ず確認しましょう。
生活環境が整っていない場所では、いくら利回りが高くても入居者が入りません。
2-5, 今後どうなっていくのか?押さえたい2つのポイント
北海道新幹線で生まれる雇用に期待
いま新函館北斗駅まで開通している北海道新幹線ですが今後札幌まで延伸する予定となっています。
札幌市は新幹線延伸で約7000人の雇用が生まれると試算しています。不動産投資において新駅開設や再開発はエリアの地価上昇や、住環境の向上につながるケースが多く、今後札幌市で不動産投資をする大きなメリットとなります。
札幌は充実した生活環境と自然の両方が手に入る場所
札幌市は今、利回りが低下し、思うように収益を出せる物件が少ない状況です。しかし、札幌は北海道の中心エリアです。多くの会社があり、道の中心である札幌は人口が減少したとしても、賃貸需要が急激に下がることは少ないでしょう。
また、北海道全体を通して、自然にあふれ海の幸に恵まれている環境が魅力的です。東京では手に入れることができない、北海道ならではのメリットと言えます。
3, 札幌での不動産投資は今後に期待
札幌は少し前まで高利回りで収益を出しやすいエリアとして人気がありました。
しかし、昨今の不動産投資ブームを受け、都内と近しい利回りになっているのが現状です。(需要と供給のバランスにより物件価格が高騰している)
それにより、高利回りならカバーできていた、雪国特有の高額な修繕費、地方特有の広告費を収益でカバーしにくくなっています。ですので、今はあまりお勧めできる投資先ではないようです。
ですが、今後新幹線が札幌まで延伸され、活気づくこと、新たな雇用が生まれるなど、発展が期待できるエリアです。北海道新幹線開通が札幌まで延伸するのは、まだ10年以上先の話ですが、その前に物件を所有し、時期を狙って売却することで、売却益を得ることもできるかもしれません。
今後の可能性を秘めた札幌での不動産投資、様子を見ながら検討してみてください。
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