貸し剥がしとは?貸し渋りとの違いや貸し剥がしへの対策方法を解説

リーマンショック後、しばらくは「貸し渋り」というコトバをよく耳にしました。お金を借りることができずに倒産した会社も少なくありません。

運転資金を借りられないのは、会社にとって厳しい状況だといえます。

景気が悪くなると、それに伴って経営状態が悪くなる会社が多くなります。

そこで必要になるのが金融機関に運転資金を融資してもらうことです。ところが、その運転資金を融資してもらえないとなると会社が傾くのも無理はありません。

 

ところで、「貸し剥がし」というコトバを知っていますか?

金融機関で使われる専門用語です。低金利時代になり金融機関が収益をあげにくい時代などに、見受けられる金融手法です。

しかし、法律や契約に基づいた手法ではありません。

今回は貸し剥がしとは何か?また貸し剥がしに遭わないための対策法をご紹介します。

1. 貸し剥がしって何?

貸し剥がしとは、聞き覚えのないコトバではないですか?では、その意味についてご紹介しましょう。

貸し剥がしとは?

貸し剥がしとは、いったん融資したお金をローンの返済期限前なのに全額返済させることです。

融資を受けている会社からすると「急に返せといわれても困る」でしょう。しかし、現実におこなわれるケースがあります。

貸し渋りとはどう違うのか?

貸し渋りについてはご存知の人も多いでしょう。銀行ローンなどの融資を初めからおこなわないことです。

なので、貸し剥がしとは全く意味が違います。

やはり、金融機関も返すあてのない会社に融資することはありません。リーマンショック後には貸し渋りの傾向が強まりました。

2. 貸し剥がしが起きる理由と流れについて

なぜ、いったん融資したお金を返済させるのでしょうか?また、本来返済期限前であれば、返済する必要はないはずです。

大口の取引先や親会社の経営が傾いた時に貸し剥がしが起きる

返済期間の途中で返すようにいわれるのは、大口の取引先等の経営状態が悪くなった時が多いです。

つまり、融資した会社に影響を与える会社が傾くということは、融資先もいずれ影響を受けると考えるのでしょう。

経営が危うくなる前に銀行側が回収する

経営状態に不安があれば早めに回収するに限ります。経営が傾きかけたときであれば、まだまだお金もあるでしょう。

先が危ないのであれば、お金のあるうちに返してもらおうという考え方です。

本来返済を期日通りにしている場合は貸し剥がしに答えなくてもよい

融資とは契約にもとづいて決済されるので、返済期間が定められていればあえて金融機関の要求に応える必要はありません。

法律でも期限までは返さなくても良いと定められています。金融機関の勝手な都合に合わせることはないのです。

貸し剥がしで倒産した事例も多数ある

実際のところ、金融機関の要求に応じて倒産した事例もあります。お金を返せと要求されるのは経営状態があまりよくない会社が多いので、経営が傾きかけたときに返済分としてお金が出て行くのですから堪ったものではありません。

3. 新しいタイプの貸し剥がしと流れについて

一度はOKした融資を契約期間の途中で急に返済させるという酷い金融手法なので、最近はそれほど見かけません。しかし、新しいタイプが登場してきました。

マイナス金利により銀行の収益が下がってきている

マイナス金利により金融機関の収益が悪化しているので、貸し剥がしを収益の回復手段としているのです。

融資すると、そのうちの一定額を「貸倒引当金繰入」という費用で帳面に付けます。あらかじめ、貸倒れになりそうな額を想定しておくのです。

費用は収益を圧迫するので、貸し剥がしにより「貸倒引当金戻入」という収益として帳面に付けます。

費用が収益に変わるので帳面上の収益を増やすためには、貸し剥がしが利用しやすいのです。

経営が厳しい要注意先に債権を貸し剥がす

経営が厳しくて気をつけなければならない会社には、費用である貸倒引当金繰入の額も多いのが一般的でしょう。

なぜなら、経営が厳しければ貸し倒れになる可能性が高いからです。したがって、貸し剥がしをしたときに収益となる貸倒引当金戻入の額も多くなります。

貸倒引当金を取り崩すとその分だけ収益になる

帳面上の仕訳を記載します。なお、「借方」「貸方」については意味がありません。単なる記号のようなものです。

借方 貸方
貸倒引当金繰入(費用)…○○円 貸倒引当金(負債)…○○円
貸倒引当金(負債の減少)…○○円 貸倒引当金戻入(収益)…○○円

専門的な内容になりますが、「貸倒引当金繰入」として費用を使うと「貸倒引当金」という負債になります。そして、貸し剥がしにより「貸倒引当金」という負債がなくなれば、「貸倒引当金戻入」とう収益になるという意味の仕訳です。

4. 銀行はどのようにして貸し剥がしにくるのか

法律に基づいた金融手法ではないので、金融機関の都合によるところが多いのです。

金融機関が貸し剥がしを要求する会社とは、経営が芳しくないところが主になります。

いったい、どのように要求してくるのでしょうか?

貸し剥がしは何度もしつこく訪ねてくる

スタンスは「お願い」です。本来決められた期間でローンを組んでいるので、強制できるものではないからです。

貸し渋りであれば金融機関が一方的に判断できるのですが、貸し剥がしは借り手が同意しないとできません。何度もしつこく低姿勢でお願いされることになります。

5. 貸し剥がしへの対策方法5選

貸し剥がしを実行されると会社も危機的な局面を迎えることになります。

そのため、何らかの対策を講じる必要があるでしょう。

金融機関のいうことに応じていても特別優遇されることもありません。担当が替わればそれまでなのです。

①取引先や親会社の動向を銀行よりも早く知っておく

取引先等の動向には注意しておきましょう。少なくとも金融機関よりは早く情報を得ておくことがポイントです。

取引先等が危ないと思えば、金融機関の知らない間に新たな融資を受けておくこともできるでしょう。

②銀行と普段から仲良くしておく

やはり、金融機関と仲良くしておくのは大切なことです。担当者を大事にしておけば、いざというときに動いてくれることもあるでしょう。

特に、地域に密着した信金や信組であればフットワークが良いというメリットがあります。

③金融円滑化を盾にして金融庁へ相談する

金融庁の取組みとして、金融円滑化法により金融機関は円滑な資金供給や貸付条件の変更に努めなければならないとされています。

不合理な貸し剥がしや貸し渋りはできません。金融円滑化法を盾にして金融庁に相談するのも有効でしょう。

④貸し渋りと貸し剥がしホットラインに相談を持ち掛ける

金融庁が設置している相談窓口である「貸し渋り・貸し剥がしホットライン」を利用できます。

内容によっては、金融庁が金融機関などに対応してくれるケースもあります。まずは、アクセスしてみてください。

詳しくは、ココをクリック

⑤長く付き合う事ができる銀行を選ぶようにする

金融機関選びの段階から注意してください。長く付き合うことのできる金融機関を選ぶことがポイントになります。

大きなメガバンクよりも、地域に密着した信金や信組のほうが付き合いやすいといわれます。

6. 不動産投資家が注意すべき貸し剥がしについて

不動産投資家であっても貸し剥がしに遭う可能性はあります。特に注意しておきたいポイントについてご紹介しましょう。

貸し剥がしの構図を知っておく

貸し剥がしは、借り手が有利といえます。金融機関は借り手が法律や契約で守られている期限を放棄するようにお願いする立場だからです。

したがって、金融機関の一方的な要望に応える必要はありません。

本当に怖いのは期限の利益の喪失である

借り手は法律や契約で期限の利益が与えられていますが、期限の利益を喪失することがあります。

たとえば、返済が滞ったときや契約書に虚偽の記載があれば期限の利益を失います。また、破産手続や民事再生手続きなどが開始された場合も期限の利益を失うのです。

不動産投資をする上で注意しておきたいポイントは?

不動産投資をする上で注意しなければならないのは、期限の利益を失わないようにすることです。そのためには、月々の返済期日を守ることです。

「1回程度なら…」と油断してはいけません。一度でも滞れば期限の利益を失う要件に該当するのです。

7. 普段からできる貸し剥がしへの対策を実践しよう

対策としては、普段からできる範囲でおこなえば十分です。

まずは、金融機関選びから始めましょう。長い付き合いができそうな地域に根付いた金融機関を選ぶところからスタートしてください。

そして、融資を受けたら返済期日には必ず入金することが重要です。

金融の世界では、うっかり入金を忘れたりすると命取りになることもあります。

大切なのは期限の利益を失うようなミスをしないということなのです。

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