今回は、資産運用の投資先を決める上では欠かせない「インフレ」「デフレ」について徹底解説していきます。
この記事を読むことで、インフレ時に最適な資産運用方法、デフレ時にピッタリの資産運用方法が見つかるでしょう。
インフレやデフレという言葉は専門的で分かりにくいですが、とても簡単な表現と言葉を使って説明しているので、誰でも理解することができます。
インフレとデフレという言葉は対極の意味を持つので、一方をしっかりと覚えてしまえば、もう一方の意味も即座に理解できるでしょう。
現在の日本はインフレなのか、それともデフレなのか?
現在の日本における最適な資産運用は何なのか?
ここから先は上記の観点からオススメの資産運用方法を詳しく解説していきます。
目次
1. インフレとは?|意味と仕組み
ここではインフレについて、その意味や仕組みについて解説していきます。
インフレとは|物価上昇と社会経済の関係
インフレは「インフレーション」を略した言葉で、物の需要が高まると生じるお金の価値上昇のことです。
たくさんの人が商品を欲しがると当然ですが市場の物が少なくなります。
その結果、物の価値が上がりそれに対するお金の価値が下がります。
このお金の価値が下がることを「インフレ」、物の価値が上がることを「物価上昇」と言います。
【2024年】世界インフレ率ランキング|日本は174位
2024年の世界インフレ率ランキングでは日本は174位にランクしています。
世界190ヶ国の中でこれだけ下位にいるということは、それだけ物価上昇率が低い(インフレ率が低い)ということです。
日本の2024年時点のインフレ率は0.468%。ということは、2016年に比べて物の価値が0.468%だけ上がったと言えます。
なぜインフレが起きるのか?|インフレが起きる仕組み
インフレが起きる理由は物に対する需要が供給を上回るからです。
供給とは物が市場に出回っている量を表し、その出回っている量よりも物を欲しいと思う人が増えるほど物はなくなっていきますよね。
物を販売する人からすると、欲しいという人が多ければ特に安売りする必要もありません。
市場から物が無くなっていくほど希少性が高まるので、皆は少し高いお金を払ってでも手に入れようとするからです。
すると物の価値(価格)は上昇します。
消費者は、これから物の価格が上がっていくと分かれば、今のうち(価格が安いうち)に買っておこうとします。
すると更に需要が高まり、物の価値が上がっていくのです。
つまり昨日100円で購入できた商品が、今日は120円払わないと購入できないという状況に陥ります。
このように物の価値が高まるほど、どんどんお金の価値は下がっていきます。これがインフレが起こる仕組みです。
ハイパーインフレとは|異常な物価上昇
ハイパーインフレは、物の価値が上昇し、通貨価値が低下するという状態が急激かつ急速に起こることを指します。一種の異常状態です。
一般的にはインフレは緩やかに進展し、1年間に1~3%の間で推移します。
しかし、ハイパーインフレが起きてしまうと、一気に100%や200%という勢いで物価上昇が起き社会に大きな悪影響を及ぼしてしまうのです。
【2018年】ベネズエラの例
たとえば、南米ベネズエラの通貨価値は全く安定しないことで有名です。
2018年7月に国際通貨基金(IMF)が出した試算によると、2018年にベネズエラのインフレ率は100万%に達するといいます。
100万%と言えば1万倍です。
つまり、2018年6月に売っていた1円の物が、2018年12月になると1万円になっているかもしれない、ということです。
現在もベネズエラ政府は原油価格の急落による財政悪化で紙幣を印刷し続けており(更にインフレになります)、いつこの問題が解決されるか全く予想がつきません。
日本でもハイパーインフレは起きる?
日本でも大量の紙幣を刷って市場に流す動きが見られました。
そう、2013年から始まった日本銀行の異次元緩和です。
物価安定目標の2%を達成するという名目で始まった施策ですが、一部の人はこの異次元緩和で日本もハイパーインフレに陥るとも言います。
しかし、日本とベネズエラの現在の市場環境はあまりにも違いがありすぎるので、日本では極端な物価上昇は起こりづらいでしょう。
これだけ成長発展した日本の中では既に物が溢れ、工場や企業などの生産環境も熟成しています。
ハイパーインフレが起こる原因は、戦争や天変地異が起きた時に発生する極度の「物不足」です。
戦後の日本では過去にハイパーインフレを起こした事例こそあれ、現在の日本は過度な「物余り」の状態で、逆にデフレの方を心配する方が自然でしょう。
スタグフレーションとは|物不足のインフレ
スタグフレーションとは、景気停滞を意味する「スタグネーション」と「インフレーション」を組み合わせた言葉で、景気が後退していく中でインフレが並行して進行することをいいます。
一般的に景気後退局面はデフレ進行時に起こりやすいですが、原油価格が高騰したり、原材料や素材系の価格が上昇することで不景気でも物の値段があがることがあります。
【1970年代】オイルショック
世界的なスタグフレーションが起きたのは1973年と1979年に起きたオイルショックです。
1970年代に石油価格が高騰し、世界では工業生産の停滞や生産縮小の波が拡大し失業者が世の中に溢れる事態に陥りました。
物が作れないので市場への供給量は減り、物に対する需要は高まるものの失業者が多いので経済は停滞しています。
このオイルショックの影響を受けた世界景気こそスタグフレーションの代表例といって良いでしょう。
インフレを解消する方法はある?
インフレを解消するには、国が財政政策と金融政策でお金の流通量をコントロールすることが重要です。
財政政策では増税を行ったり社会保障給付を減らすことで、国民は手取りが減るので節約しようとします。
するとお金の価値が上がって、反対に物の価値が下がるのです。
また、金融政策では紙幣を刷る量を減らしお金が市場に出回る量を少なくすることで価値を下げます。
この場合もお金とは反対に物の価値が上がっていきます。
2. デフレとは?|意味と仕組み
インフレについて解説した後は、今度はその逆のデフレ(デフレーション)について紹介していきましょう。
デフレとは何か、デフレはなぜ起こるのか詳しく説明します。
デフレとは|物価下落と社会経済の関係
デフレはインフレの反対、つまり物の価値が下がってお金の価値が高まることです。
需給関係でいえば、物に対する需要が低くなるほど、物に対するお金の価値が上昇します。
物の価格が下がることを「物価下落」、お金の価値が上昇することを「デフレ」と表現します。
【2018年】日本はデフレ経済から脱却できるか?
日本は長きに渡るデフレに見舞われ、経済活動や企業活動の縮小が起こりました。
そこで、2013年から日本銀行による大規模な金融緩和を行っています。
簡単に言えば、市場に出回るお金の量を増やし、お金の価値を下げることで物の価値を高めようとしているのです。
こうした試みは既にアメリカが実証済みで大規模な金融緩和をQE1、QE2などと呼びデフレ脱却を目指しました。
しかし、米労働市場は完全雇用に近づく恩恵を受けたものの、賃金上昇率は2.5%程度の上昇率(緩和前は3~4%)、インフレ率は1.4%(目標は2.0%)と期待以上の効果を上げることができませんでした。
日本でも既に金融緩和による副作用(金融業界の収益悪化、不動産市場のバブルなど)が懸念されており、体力的にも資金的にも限界との声も出始めています。
なぜデフレが起きるのか?|デフレの仕組み
デフレは物に対する需要よりも供給量が多いために起こります。
せっかく大量に作った物でも、消費者のほとんどが要らない物なら商品は売れません。
しかし、企業やお店は商品が売れないと商売が成り立たなくなるので、今度は値下げをしてでも売ろうとします。
すると物の値段が下がる一方で、お金の価値が高まっていくのです。
たとえば、昨日100円で売っていた商品が全く売れず、今日は80円に値下げされた状態で売っていました。
昨日より今日の方が同じ商品を安く買えるので、物に対するお金の価値が高まったと言えるでしょう。
デフレスパイラルとは|デフレの悪循環
デフレは、「商品を売りたくても売れない企業が値下げをすることで起こる」と紹介しました。
しかし、たとえ商品価格が下がっても必ず売れるわけではありませんし、売れたとしても利潤(売上から費用を引いた利益)は低くなります。
企業の利益が低くなると損をするのは従業員です。
今までよりも給料が低くなったり、ボーナスがストップしたり、最悪の場合はリストラで首を切られるかもしれません。
すると、そうした従業員はお金がないので節約しようと更に物を買わなくなります。
物を買う人が少なくなれば、企業は更に値下げをして物を売ろうとしますが、たとえ売れたとしても利益が小さくなります。
この繰り返しが「デフレスパイラル」と呼ばれます。
物の価値が下がり続けるとお金の価値も高まりますが、結局は物やサービスの販売不振に繋がり経済活動の停滞、国力の低下など悪循環にはまってしまうのです。
【1990年以降】日本の例
日本は1997年にマイナス0.7%、1998年にマイナス1.9%という2年連続のマイナス経済成長を記録しました。
これは「平成不況」とも呼ばれ、主な原因は消費税率5%への引き上げや、銀行の不良債権問題、貸し渋りなどが大きな影響を与えています。
このあおりを受け、金融機関を中心に破たんする企業が増え、従業員のカット、リストラが進み国内市場はデフレスパイラルの波に飲み込まれました。
2018年未だにデフレの後遺症は解消されていません。
デフレを解消する方法はある?|人のマインドが鍵
デフレを解消するための鍵は消費者のマインド(心理状態)にあります。
消費者の心理としては、「明日もまた物の値段が下がる」と思えば誰もお金を出して物を買おうとしません。
するとデフレが発生し、経済が低迷すればデフレスパイラルに陥ってしまいます。
そこで、現在日本でも行われている大規模な金融緩和を行うことで、市場にお金を大量に流通させます。
すると、通貨価値が下がる=物の価値が上がる、ということが起きます。
その結果、「今日100円で買っていた物が明日には110円になるかもしれない」という消費者心理に変化し、「できるだけ安く買う」ために物の需要が高まっていくのです。
一方、それでも日本の物価上昇率は思うように上がらず、目標の物価上昇率2%には到底達しない予想が過半を占めます。
デフレは根が深いこともあり、金融緩和だけでなく経済の構造改革や意識改革など根本的な政策実現が必要と言われています。
3. インフレとデフレのメリット・デメリット
インフレもデフレも、どちらか一方が良く、どちらか一方が悪いということはありません。
インフレにもデフレにも一長一短があります。
ここでは、インフレのメリット・デメリット、デフレのメリット・デメリットを解説していきます。
インフレのメリット・デメリット
インフレのメリット
- 給料アップが実現しやすい
- 資産価値が上昇しやすい
- 就職希望者に有利(就職しやすい)
インフレのデメリット
- 物の値段が高くなり損をした気分になりやすい
- 普通預金や定期預金でも資産が減るリスクが高い
デフレのメリット・デメリット
デフレのメリット
- 物の値段が下がり得した気分になりやすい
デフレのデメリット
- 給料が上がりにくい
- 離職のリスクが高まる
- 就職希望者に不利(就職しにくい)
インフレとデフレはどちらがいい?|インフレが望ましい理由
インフレとデフレを比べた場合、デフレよりもインフレの方が好ましいと言えるでしょう。
これはインフレが優れているからというわけではなく、単にデフレと比較して「マシ」だとういうだけです。
デフレは一度陥ると深くまで根をはってなかなか解消することができません。
デフレが蔓延してしまうと長期的な経済停滞を招き、国力が根本から衰退してしまうのです。
もちろん、経済活動の停滞は社会にも暗い雰囲気をもたらし、個々の働く意欲や向上心にも強い影響を与えます。
こうしたデフレの悪影響を考えた上で、インフレの方がまだ対処しやすいと言えるでしょう。
4. インフレ・デフレと資産運用|何に投資するのが得?
インフレやデフレは資産運用を行う上でも重要な要素の1つです。
ここでは、インフレ時に有効な資産運用、デフレ時に有効な資産運用をそれぞれ解説していきます。
金利とインフレ・デフレの関係
金利は国や中央銀行の金融政策によって決まる事情から、インフレやデフレ時の金利の動きを掴んでおくことをオススメします。
基本的にデフレ時には金利はどんどん下がります。
金融政策によって金利を下げ、企業にもっとお金を借りてもらって設備投資してもらうことが重要だからです。
金利が下がることで企業や個人がお金を借りやすくなり、設備投資や自己投資などでお金を使ってもらうことでデフレを解消しようとします。
反対にインフレ時には国や中央銀行は金利を上げます。現在のアメリカがそうです。
アメリカではこれまで大規模な金融緩和を行って金利を下げてきました。
しかし、金融緩和を行う事でお金の価値が下がり、物価はどんどん上昇していくので、物価を調整するためにどこかで緩和をストップし、反対に金融規制を強化しなければなりません。
そのため、インフレ時には金利を上げることで消費を抑えようとするのです。
インフレ対策に有効な資産運用|株式・不動産投資
インフレ時は放っておくとどんどんお金の価値が下がっていきます。
そのため、普通預金や定期預金であっても、現金であってもお金を持っていると損失が膨らんでいくのです。
たとえば、昨日100円で買えた商品が今日は110円でしか買えない場合は、昨日よりも今日の方が10%通貨価値が下がっています。
そこで、現金から物に資産を移すことでインフレ対策になります。
株式や不動産、投資信託の他、現金でも価値の高い(金利の高い)外貨預金に交換しておくなどの方法があります。
ハイパーインフレ対策に有効な資産運用|金やダイヤ・外貨
万が一日本でハイパーインフレが起きた場合には、日本円を外貨に交換したり、金やダイヤを買うなどの対策がとれるでしょう。
特に「無国籍通貨」とも呼ばれる金やダイヤは、ハイパーインフレになるほど需要が高まり価値が上昇します。
デフレ対策に有効な資産運用|債券や金・現金
デフレはインフレ時とは違い現金の価値がどんどん上昇していきます。
より少ないお金でたくさんの物を買える状態なので、基本的には現金を持っているだけでデフレ対策となります。
ただし、日本のような長期デフレが蔓延すると金利は0%近辺に吸い付いたまま動きません。
つまり普通預金や定期預金では資産価値はほとんど変動しないのです。
そのため、少しでも利息の付く国債や社債などの債券、また金などもオススメでしょう。
5. インフレ・デフレで経済が見える|資産運用は経済情勢を見極めよう
ここまでインフレ、デフレを詳しく解説しながら、各情勢下における資産運用の対策方法を紹介してきました。
現在はデフレ進行中の日本でも、この先はいつインフレになるかも分からず、適切な資産運用方法はその時の経済情勢を見極めて決めていく必要があります。
日本は長らく事実上のゼロ金利状態が続いているので、デフレ下ではありながら現預金で資産運用するのはお勧めできません。
少しでもリターンを狙うなら、不動産投資などを考えてみても良いでしょう。
インフレ・デフレ時の買い時など弊社の不動産投資コンサルタントがお答えします。
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