今新しい形態の賃貸住宅、シェアハウスの人気が高まっていますが、今までにない形態の分譲住宅、「コーポラティブハウス」にも注目が集まっています。
人気のテレビドラマでコーポラティブハウスが取り上げられたことから、自分らしい個性を住宅に求める若い世代を中心に知名度が上がって来ました。
コーポラティブハウスとはどのような仕組みなのか?収益物件としての可能性があるのか?など、コーポラティブハウスの基本情報をお伝えしていきます。
目次
1. コーポラティブハウスとは何か?|成り立ちと定義
まだまだ一般には浸透していないコーポラティブハウスですが、その発祥や仕組みについて説明していきましょう。
コーポラティブ=「共同の」「組合の」
「共同の」「組合の」という意味を持つ「コーポラティブ」(Cooperative)。
この意味の通りコーポラティブハウスは、住宅を建てたい友人や仲間が集まり組合を結成し、組合主導で建てられる集合住宅です。
海外では一般的に「Building co-operatives」(ビルディング・コーポラティブス・共同で建てた家)と呼ばれていて、「コーポラティブハウス」という名称は和製英語として作られた言葉です。
コーポラティブハウスの魅力は、共同で建てることでコストを抑えながらも、自分達の個性やライフスタイルに合わせた住宅建設が可能な点にあります。
海外|発祥はイギリス
コーポラティブハウスの発祥は古く、18世紀のイギリス・スコットランドと言われています。
その後北欧・ドイツ・アメリカ・カナダにも広がりました。
既に欧米では、コーポラティブハウスはポピュラーなスタイルとして浸透していてノルウェーのオスロ市では、コーポラティブハウスが全住宅の4割を占めているほどです。
日本での定義|住宅の共同購入
日本におけるコーポラティブハウスの定義は下記のように定められています。
コーポラティブハウスの定義は、旧建築省の定義では「自ら居住するための住宅を建設しようとする者が、組合を結成し、共同して、事業計画を定め、土地の取得、建物の設計、工事発注、その他の業務を行い、住宅を取得し管理をしていく方式
基本的には、コーポラティブハウスは「住宅の共同購入」ですが、一般の一戸建ての注文住宅と同じようなニュアンスで、「集合住宅も買うものではなく、自分達でつくるもの」というい概念が基本になっているのです。
2. 事業の主導方法は2通り|企業か組合か
コーポラティブハウスの建設の方法には2種類あり、「企業主導型」と「組合主導型」に大別されます。それぞれの特徴やメリットを見ていきましょう。
企業主導型|自由度は低いがスムーズに進む
企業主導型は、コーポラティブハウス事業を企画運営している企業が、土地の選択からコーポラティブハウスの企画立案をおこない購入希望者を募る方法です。
日本国内のコーポラティブハウスのほとんどは、企業主導型で建設されています。
土地や建物の構造、価格などは企業サイドで決められるため、竣工までのペースはスムーズに進む傾向にありますが、自由度は狭まります。
組合主導型|自由度は高いが進みにくい
組合主導型は、友人や仲間などで組合を作り、プロジェクトを進めて行く方法で、コーポラティブハウスの本来のスタイルです。
共同で土地を選び購入し、設計事務所や建設会社と建設を進めていきます。土地の取得や建物の設計プランなど、全て自由に決める事ができます。
ただその分、プロジェクトを進めるには組合員同士での確認や設計や施工業者との打ち合わせも多く、時間は必要になります。
企業が絡まないため広告宣伝費がかからず、余分なコストを省くことができます。その分、施工費に充てることが可能になります。
3. コーポラティブハウスのメリット・デメリット
日本国内ではまだ事例がそれほど多くないコーポラティブハウス。メリットとデメリットを知っておくことが大切です。
コーポラティブハウスのメリット3つ
自由度が高く、オリジナリティーのある住まいが実現ができるコーポラティブハウスですが、事業に係る費用の面でもメリットがあります。
①自由度|高い
コーポラティブハウスの一番のメリットと言えるのは、「自由度の高さ」でしょう。
基本的には自由設計で戸建ての注文住宅のように、設計士やコーディネーターと一緒に、唯一無二の空間を作ることができるのです。
②事業費|合理的・公明性確保
コーポラティブハウスは、分譲マンションのようにデベロッパー主導ではないため、土地の取得費用・建築工事費用・設計費用・企画・調査・予備費に至るまでの必要経費が、すべて「ガラス張り」の状態になります。
分譲マンションのように、高額なモデルルーム費用や広告宣伝費も必要ありません。中間経費のコストがかからず合理的な事業費といえるでしょう。
その分住宅の建築に費用を充て、納得のいく住まいづくりを目指せます。
③コミュニティ|良好な関係を築きやすい
一般のマンションなどの共同住宅では、同じ建物内に居住する住人同士でも、階が違うと顔もわからない事が多いと思います。
しかし、コーポラティブハウスでは、企業指導の場合でも完成前から居住者のルールづくりなど、顔を合わせて協議する組合総会などがあり、入居者同士に自然な交流が生まれます。
入居時には顔見知りになった状態で生活がスタートするため、居住者間に安心感が生まれ、コミュニケーションが取りやすく、居住後の管理も円滑に進めやすいのがメリットの一つです。
コーポラティブハウスのデメリット3つ
コーポラティブハウスのデメリットは、時間と手間、計画の流動性という点にあります。
①日数|総意をまとめる時間と手間
組合を結成して運営していくには組合員での協議を重ねるため、完成までの時間がかかります。
具体的には、外観・共用部分の意見の合意や居住ルールの協議。
さらに設計士や施工業者と各自の住戸内の打合せなどになります。組合に加入してから竣工・引渡しまでは、概ね2年程度、長いときには数年かかるケースもあるようです。
コーポラティブハウスの場合、こだわりの住まいを作る明確な目的感を持っていないと、途中で挫折する事になりかねません。
②不確実性|状況によっては頓挫することも
住宅の完成までに手間も時間もかかるだけに、計画の途中で考え方の相違が起こる可能性もあります。
組合員が途中で脱退することがあれば、資金的な問題が発生するため工期が延びたり、引き渡しの日程が変更になる事も想定しておく必要があります。
最悪のケースでは計画が頓挫することもあるのです。入居の時期など、確定的なスケジュールを求める場合には、コーポラティブハウスではなく分譲マンションをおすすめします。
③売却|万人受けしない間取りは売りにくい
コーポラティブハウスの売却は、分譲マンションとは違い売却の難易度は高くなります。
理由としては、居住者のこだわりを重視している間取りや内装であることが多く、ほかの人には使いにくい場合があります。
また、建設中から出来上がった人間関係の中に、途中から入ることを敬遠する人は少なくありません。また、管理や維持の面でも管理会社の運営ではないため手間もかかります。
4. コーポラティブハウスは不動産投資に不向き?
コーポラティブハウスは多くのメリットもありますが、一般的な視点で見ると「個性の強い物件」ではあります。個性が強い=転売しにくい、という評価は避けられませんが、不動産投資物件としての利用価値はあるのでしょうか?
取引事例はまだ少ない
中古のコーポラティブハウスは物件自体がまだ少なく、過去の取引事例も多くありません。
そのため、不動産業者が売却価格の設定をする際にも、同等の比較物件がないため価格設定が難しく、一般的な分譲マンションより査定額は低くなりがちといわれています。
不動産会社選びが重要
コーポラティブハウスの売却は、不動産業者の選択次第で変わると言っても過言ではないでしょう。物件の「売り方」が重要になるからです。
デメリットの払拭や、メリットを最大限に活かす訴求をしてくれる業者を選びましょう。基本的には、コーポラティブハウスの売却実績がある業者を探すことをおすすめします。
こだわりがマッチすれば高く売れることも
個性やクセの強い間取りや内装になりがちなコーポラティブハウスも、そのこだわりがマッチする人に当たれば、近隣のマンション相場をよりも高額で売却できるケースもあるようです。
コーポラティブハウスはマンションよりも戸建て感が強い物件も多く、何といっても凝ったお洒落な作りの物件が多いのも見逃せない点です。
同じエリアで戸建てが欲しいけれど予算が厳しい、デザイナーズマンションは高くて買えない・・そのようなニーズの検討者を見つけることができれば、売却は成功するでしょう。
実際にコーポラティブハウスの中古物件だけをターゲットに、何年も探している人もいるのです。
5. コーポラティブハウスは発展途中|今後の動向に注目しよう!
投資物件としては、まだまだ未知数の部分が多いコーポラティブハウスですが、注意しておきたい点に触れておきます。
一般的なマンションに比べ世帯数が少なく小規模なコーポラティブハウスは、スペース効率の観点から、駅が近い利便の良い場所に建てられている物件は多くはありません。
したがって、転売価値や賃貸収益を見込めるコーポラティブハウスを求めるのは難しいのが現状です。
しかし、まだまだ発展途上のコーポラティブハウス。今後どのようなビジネス展開がされて行くのか、動向に注目していきましょう。
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