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2022年問題が不動産投資に及ぼす影響とは?|2つの前提から対策を練る

一般の人にはあまり知られていない2022年問題(別名2023年問題)は、首都圏の不動産業者や不動産投資家の間では、眼前に迫る切実な問題として危惧されています。

2022年問題とは平たく言えば、日本の世帯数減少・不動産物件の供給過剰により、現在の不動産バブルが崩壊し、「不動産の価値が暴落」する事態になるということです。

今まで保ってきた資産価値は下落し、資産価値が下がらないといわれてきた東京23区の不動産といえども例外ではなくなるのです。

2022年問題の概要をはじめ、どのような影響が波及していくのか、また2022年問題の波にのまれないための対策について解説していきます。

1. 2022年問題とは何か|概要と原因

まずはじめに、2022年問題とは一体どのような事なのか、2022年問題の概要や引き金となる原因についてご説明していきましょう。

概要|世帯総数がピークアウト

まず、2022年問題の根本原因になってくるのが、将来的な人口と世帯の減少です。

国立社会保障・人口問題研究所が、2010年(平成22年)の国税調査を基に、公表した「日本の世帯数の将来推計」によると、2022年をピークに日本の世帯総数は減少していくのです。

2010年の5,184万世帯から増加し、2022年に5,307万世帯に達しピークを迎えますが、2022年を境に減少を続け、2035年には4,956万世帯に減少するという推計がはじき出されました。

人口と世帯数が減少すれば、住宅の需要が減り、マンションや戸建て住宅は売れなくなり、賃貸の入居率にも影響が生じる事が予測されます。

原因|出生率の低下と平均世帯人員の減少

長期的な日本の人口の推移を見ると、明治時代後半から100年かけて増えてきた人口が今後100年で逆戻りし、過去に例を見ない人口減少が予測されています。

原因は若年層の減少や出生率の低下といわれており、1970年代から1980年代にかけて出生率が大きく減少し、2011年には過去最低の出生数に落ち込みました。

同時に世帯構成にも変化が現れ、2035年までには「単身」「夫婦のみ」「ひとり親と子」などの割合が増加します。高齢化も顕著になり、65歳以上の高齢世帯の割合は全体の40.8%を占めるようになるのです。

住宅購入のターゲットであるファミリー層が減少し、不動産に大きな影響を与える可能性があります。

2. 2022年問題が不動産投資へ与える影響

2022年問題によって不動産が受ける影響とは、どのようなケースが予測されているのでしょうか。

①世帯数減少|物件が売れなくなる

前述したように世帯数が減り世帯構成の人数も減少すれば、ファミリー向けのマンションや戸建て住宅の需要は明らかに激減するでしょう。現在すでに供給過多といわれているマンションの多くが、売れ残ってしまう可能性があります。

②分譲マンション|供給過剰に

現在2023年の東京オリンピックを目指して、東京都内を中心に異常とも思える数の新築マンションが分譲されています。

オリンピック予定地の湾岸エリアだけではなく、東京23区のマンションは外国人投資家から評価が高く高額でも売れてきました。

売れればさらに分譲が続きます。しかし、「作れば売れる時代」はそう長くは続きません。既に不動産バブルの崩壊がいつ始まってもおかしくないと警鐘を鳴らす専門家もいます。

過剰に分譲されたマンションが売れ残れば、価格の下落が始まります。新築マンションの価格が下がれば、必然的に中古物件の価格も下げざるを得なくなります。マンションの売却を考えている場合は、早めの決断が賢明かもしれません。

③外国人投資家|税率低下を機に手放す

東京オリンピックの開催が決定した2013年~2014年に、外国人投資家が東京都内の新築マンションを爆買いしました。しかし、オリンピックの終了と共に売却をする可能性があります。

購入から5年以内に売却をすると、課せられる譲渡所得税と住民税を合わせた税率は売却益の約40%ですが、5年経過後は約20%程度に下がるのです。

つまり、2018年~2022年頃には外国人投資家が売却しやすい状況になり、大量の中古マンションが市場に溢れるのではないか、という見方があります。

そうなれば、東京都内のマンション価格は下落します。これが2022年問題で憂慮されている一つなのです。

④既存マンション|老化・空き室増加

高齢化の進む中、大きな課題になってくるのが既存マンションの老朽化と、住民の高齢化です。

住民の高齢化が進めば、管理組合の機能が低下しマンションの老朽化も進むでしょう。

年金生活で管理費や修繕積立金を払えなくなる事例も増えているようです。

高齢でマンションでの生活が難しくなり退去する住民が増えれば空室も増加し、マンションの維持管理に必要な修繕積立金も不足していきます。

そうなるとマンションの老朽化は進み、資産価値が下がり売却もままならない状況に陥ります。2022年問題は高齢化問題と密接なのです。

⑤既存戸建て|空き家増加

近年大きく問題視されているのが、空き家問題です。

総務省の住宅・土地統計調査によれば、賃貸用・売却用の住宅を除いた空き家の総数はこの20年で2.1倍に増加しており、全国の空き家率は13.5%にものぼります。

東京の空き家率は11.1%と決して低い数字ではありません。

相続する人がいない持ち主不明の空き家が増えていて、老朽化で倒壊の危険性がある建物も少なくありません。

場所によっては不法投棄のゴミ溜めになってしまうなど、景観の悪さや治安の点でも、何らかの対策を急がなければならない2022年問題の一つです。

間接的な懸念2つ

直接的な2022年問題ではありませんが、2022年問題に関係する要素が大きい問題が2つあります。

失業者の増加|東京オリンピック終了後

東京オリンピックの開催に伴い、建設業やサービス業などを中心に81万人の人材ニーズがあるといわれています。

しかし、このような雇用は一過性のものであり、オリンピックが終われば、大量の失業者が生まれると懸念されているのです。

仕事や収入が無ければ住宅の購入はもちろん、マイホームを手放す人が出る可能性も考えられます。

金利の上昇|日銀の金融緩和

日本銀行が2016年に金融緩和を導入し、マイナス金利により住宅ローンが借りやすくなりました。

これにより不動産購入のハードルが下がり、若年層でもマイホームを持つ人が増えました。しかし、マイナス金利の影響で銀行の収益自体は悪化しているのが実情です。

東京オリンピックで景気が回復すれば、金利が上昇する可能性は高いでしょう。

金利上昇が起これば不動産が売れにくくなり、過剰に作られた住宅は溢れたままになってしまうのです。

3. 2022年問題を乗り越えるには?|2つの前提から対策を練る

近い将来起こり得る、不動産投資家にとっての危機的状況をどのように乗り越えれば良いのでしょうか。その対策について見ていきましょう。

【前提1】全ての不動産価格が下落するわけではない

不動産価格が暴落するとはいっても、全ての不動産が当てはまるわけではありません。

そのエリアや時代のニーズに合致した不動産であれば、価値が下がりにくいものです。

投資家としては、将来的にも価格が下がらない、もしくは現状維持ができる物件を見極めることが肝要になってきます。

エリアによる需要の差が開く

不動産の価格が下落・・という響きにマイナスイメージを持ってしまいがちですが、基本的に「便利な場所」の住まいの需要はなくなりません。

2022年問題で不動産価格や家賃相場が下がった場合、郊外から都内中心部に人の流れが移行する可能性もあります。

物件の立地選びは入念に

2022年問題を考えたとき、投資物件の基本である「物件の立地」の選択はさらにシビアに考える必要があります。

アクセスの良い物件・生活利便の高い物件とそうではない物件とで、今まで以上に明暗が分かれる可能性があります。

駅からバス便、などという立地は価格下落対象エリアと考えた方がいいでしょう。

【前提2】超高齢化・少子化社会へ突入する

日本の全人口のうち高齢者(65歳以上)の割合が21%を超えると「超高齢社会」と呼ばれますが、我が国では1970年代には7%を超え、2010年の時点で高齢者の割合は21%を突破し、既に超高齢社会に突入しています。

このスピードは他の先進諸国と比べ異例といわれています。

こうした状況下では高齢者にターゲットを絞った不動産活用が賢明です。

バリアフリー住宅は狙い目

このような社会的状況の中で注目されるのが、高齢者に特化した住宅です。

介護施設だけではなく、一般の住宅でも広く浸透しはじめた「バリアフリー化」。普及率が高い設備は手すりで、住宅の40%以上に設置されています。

今後はアパートやマンションなどの賃貸物件もエレベーターやエントランスに車椅子でも動きやすいスペースの確保、スロープの設置が必要になってくるでしょう。

浴室やトイレなどにも高齢者向けの設備を導入する事が空室防止対策、2022年問題対策になるのではないでしょうか。

物件をシニア向けに転用する

2022年問題を回避するべく、既に高齢者向け不動産ビジネスに乗り出している業者も少なくありません。

マンションの空室を活用して高齢者向けに転用するほか、戸建て住宅をホームシェアに活用するなど、空き家対策も兼ねた不動産ビジネスを展開しています。

核家族・少人数用の物件を選ぶ

この先少子化が進み、核家族や単身者などの小規模世帯が増加するとなれば、従来のファミリー層が求めていた「広い住宅」や「部屋数の多い住宅」のニーズは少なくなるでしょう。

投資の対象物件もコンパクトな単身者向けワンルームマンションや、夫婦だけの世帯向けの1LDK~2LDKマンションなどに切り替えた方が、安定的な入居率を得る可能性が高くなります。

4. 2022年問題は乗り越えられる!対策は早急に入念に

来る2022年問題に備えた対策は、早急に行う必要があります。

現在所有している投資物件は2022年問題を乗り越えられるか、先々の需要を分析し冷静かつ客観的に判断する必要があります。

現状維持なのか、売却なのか、転用なのか入念に見極めをしていきましょう。

また、投資物件の購入についてはポジティブな見解の専門家も多く、都心部の不動産が下落する=「安く仕入れるチャンス」とも言われています。

いずれにしても、2022年問題という言葉に惑わされず、慎重かつ的確な物件選びをしていきましょう。

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