不動産投資に利息の話は欠かせません。たとえば、不動産投資ローンを利用するときには、誰もが少しでも金利の安い金融商品を探すでしょう。
しかし、利息が安い商品が見つかったからと言って、それですべてが解決するのではありません。
同じ利息でも返済方法の違いにより初期費用の額や返済総額に違いがでるのです。
不動産投資をするためには、最低限知っていなければならない利息の知識があります。
不動産投資とは、家賃収入などの収益とローンの返済額などの出費との差額を利益とするのです。
ローンの返済額のポイントである利息について知らなければ、利益を得ることは難しいでしょう。
なぜなら、利息を少なくした分利益が多くなるといえるからです。今回は、利息のなかでも特に重要な「単利」と「複利」について、その特徴や違いをご紹介します。
目次
1. 単利と複利|意味と違い
お金を預けるときや借りるときの利息計算の仕方である単利と複利とは、どのような違いがあるのかをご紹介しましょう。
実際に計算したシミュレーションで確認すると、単利より複利のほうが利息が多くなります。
単利とは|意味とシミュレーション
単利とは、利息計算のときに年利を掛ける元本の額が一定です。年利の額が同じであれば毎年受け取る利息の額も同じになります。
単利の計算方法
単利の計算式 |
元本×(利回り(%)÷100×期間+1) |
単利のシミュレーション
たとえば、100万円を1%の単利で5年間預けると次のようなシミュレーションになります。
単利の場合、2年目以降も利息分である1万円が毎年加算されるので、5年後の利息は利息1万円の5年分で5万円です。
単利のシミュレーション |
1年目…100万円×(1(%)÷100×1年+1)=101万円 |
2年目…100万円×(1(%)÷100×2年+1)=102万円 |
3年目…100万円×(1(%)÷100×3年+1)=103万円 |
4年目…100万円×(1(%)÷100×4年+1)=104万円 |
5年目…100万円×(1(%)÷100×5年+1)=105万円 |
複利とは|意味とシミュレーション
複利とは利息計算のとき、元本に発生した利息を元本に加えます。2年目以降毎年元金が増えるので、受け取る利息も増えるのです。
複利効果|72の法則
元本が2倍になる年利と年数について求めることのできる計算式を72の法則といいます。
72の法則の計算式 |
年利×年数=72(定数) |
たとえば、年利が4%で元本が2倍になる年数を求めるときは、「72÷年利=年数」と式を変形します。計算すると「72÷4=18」となり、18年で元本が2倍になると分かります。
10年で元本が2倍になる年利を求めるときは、「72÷年数=年利」と式を変形します。計算すると「72÷10=7.2」となり、年利が7.2%であれば元本が2倍になると分かります。
複利の計算方法
複利の計算式 |
元本×(利回り(%)÷100+1)期間 |
複利のシミュレーション
たとえば、100万円を1%の複利で5年間預けると次のようなシミュレーションになります。
複利の場合、2年目以降は、前年の元本に利息を加えた額を新しい元本として利息計算します。元本自体が増えるので、5年後の利息は単利より多い5.10万円になるのです。
複利のシミュレーション |
1年目…100万円×(1(%)÷100+1)1年=101万円 |
2年目…101万円×(1(%)÷100+1)2年=102.01万円 |
3年目…102.01万円×(1(%)÷100+1)3年=103.03万円 |
4年目…103.03万円×(1(%)÷100+1)4年=104.06万円 |
5年目…104.06万円×(1(%)÷100+1)5年=105.10万円 |
2. 不動産投資ローンの金利は複利
不動産投資ローンは、複利で計算されます。不動産投資以外のローンも複利で計算されるのが一般的です。
つまり、年数が長いほど利息の割合が増えます。「複利のシミュレーション」でも期間が長いほど利息が増えています。
【注意】複利=年数が増えるほど利子が増える
不動産投資ローンが複利で計算されるということは、借り入れの年数が増えれば増えるほど、多くの利息を支払わなければならないということになります。たとえば、借り入れた金額が同じでも返済期間が20年よりも30年のほうが支払う利息の合計額は増えるのです。
返済方法は2通り|元利均等・元金均等
不動産投資ローンの借り入れをすれば、毎月元金と利息を返済することになります。その返済方法には、元利均等と元金均等の2通りがあるのです。
元利均等の特徴・メリット
元利均等の特徴は、元金と利息を合計した返済額が毎月同じになる返済方法です。
借り入れた元金に借入期間の利息の合計額を加えた額を返済期間の月数で割り、毎月の返済額が同じになるようにします。
毎月の返済額は同じですが、元金と利息の割合が変わります。返済初期は利息の割合が多く、返済終期は元金の割合が多い仕組です。返済額の合計が10万円だとすると、たとえば初期は8万円が利息で2万円が元金、終期は2万円が利息で8万円が元金になるのです。
元利均等のメリットとしては、毎月同額の支払額になるため返済計画が建てやすいところでしょう。毎月決まった額なので、あらかじめ支払の準備をすることができます。また、元金均等に比べると返済初期の支払額が少なくなります。
元金均等の特徴・メリット
元金均等の特徴は、毎月返済する元金の額を同じにして、利息と共に支払う返済方法です。元利均等に比べて元金の減りが早いので、元金にかかる利息の減りも早くなり返済するたびに返済残高が少なくなります。
たとえば、毎月5万円の元金を返済するのであれば、返済初期は利息が5万円で合計10万円の支払になるとしましょう。元金が早く減るので、利息の額が5万円から、4万円、3万円と少なくなっていくのです。
元金均等のメリットは、元金を早く返済することができるので、元金にかかる利息が少なくなり元利均等に比べて返済総額が少なくなることです。また、毎月の支払額が徐々に少なくなるので返済が楽になります。
不動産投資初心者には元利均等返済がおすすめ
不動産投資には、物件管理等さまざまな初期費用が必要なので、返済初期の支払額の少ない元利均等返済がおすすめです。
不動産投資になれていないと思わぬ費用が発生することがあるので、返済初期の支払額が多い元金均等ではリスクを負う可能性が高くなります。
元利均等の場合、支払総額では元金均等を上回るのですが、初期費用が少ないというメリットを活かし余裕がでれば元金を減らすこともできます。
毎月の返済額を抑え、かつ元金を減らす時期を選べるというメリットがあるのです。
3. 不動産投資ローンを利用するコツ①|繰り上げ返済
不動産投資ローンを利用するときには、繰上げ返済をすることで元金を減らし利息の合計支払額を少なくすることができます。お金に余裕があるときに借り入れた元金の一部をまとめて返済してしまうのです。
繰り上げ返済をしなかった場合
下記のような不動産投資ローンを利用していたとしましょう。
不動産投資ローン(借入残高2,500万円、年利2.0%、借入期間20年) | |
毎月の返済額 | 126,471円 |
繰り上げ返済をした場合
借入残高2,500万円のうち100万円を「返済額軽減型」で繰上げ返済した場合
不動産投資ローン(借入残高2,400万円、年利2.0%、返済期間20年) | |
毎月の返済額 | 121,412円 |
なお、借入残高2,500万円のうち100万円を「返済期間短縮型」で繰上げ返済すれば、毎月の返済額は変わりませんが、20年の返済期間が19年に短縮されます。
4. 不動産投資ローンを利用するコツ②|自己資金
不動産投資ローンを利用するときには、自己資金が豊富であれば月々の返済が容易になるのは当然のことです。なぜなら、自己資金で元金を減らすことができるからです。
元金が減れば支払わなければならない利息も少なくなります。
自己資金とは、万が一のトラブルに備えて残しておきたいところです。
しかし、不動産投資ローンのように複利により長期間利息を支払うよりも自己資金で元金を減らすほうが返済に余裕ができるのであれば検討の余地があるでしょう。
5. 複利の特性を踏まえて無理のない不動産投資を!
複利による計算では、利息がポイントです。不動産投資ローンの計算でも同じように返済の負担の多くを利息が占めています。
利息を少なくするためには、「元金を少なく」「年利を低く」「借入期間を短く」することです。
複利の特性を踏まえると、不動産投資ローンの利息負担を避ける方向にカジを切ることが賢明です。
購入時に頭金を多めに準備したり、早めに繰上げ返済をしたりして元金を減らすことが利息についてのリスク対策といえるでしょう。
不動産投資ローンについて詳しくは以下の記事を参考にしてみてください。
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