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バリュー投資とは何か?|不動産投資に活かすコツ5つを大公開

株式投資に「バリュー投資」という手法があります。

この投資方法は世界中に知られており、長期的に資産を形成するための王道の投資法と言えるでしょう。

このバリュー投資の考え方は株式投資だけでなくあらゆる投資に応用でき、それは不動産投資も例外ではありません。

しかし、バリュー投資は知っていても、「バリュー投資=株式投資」と思っている人が多いです。

そこで今回は、バリュー投資を不動産投資に活かすコツを、5つの要素に分けて解説します。

まずは、バリュー投資の概要や実例を解説し、その後にその要素をどのように不動産投資に取り入れるべきかを解説していきます。

不動産投資は長期的に資産経営をするのに向いている投資なので、同じ考えであるバリュー投資との相性は良いのです。

1. バリュー投資とは何か|定義と背景

まずは、バリュー投資とはどのような投資か?という基本的な部分と、バリュー投資と対比されやすいグロース投資について、そしてバリュー投資を実践している著名な投資家を解説します。

バリュー=割安

バリュー投資とは、「この株は割安か」という点を重視して銘柄を選ぶ株式投資の方法です。

ここで注目したいのが「割安」という言葉です。その商品の相場がありその相場より安い金額であることから割安と呼ばれます。

たとえば、商品が野菜や電子機器など比較対象が明確であれば、その比較対象を参考に割安かどうかの判断ができます。

 

しかし、株の場合は同じ企業は2つとないので、その企業自体が割安かどうかはほかの企業との比較では判断しにくいです。そのため、株式投資でいうバリュー(割安)とは、「その企業の利益や資産に対して低い評価を受けている企業」ということになります。

平たく言うと、「本当はもっと評価されても良いのに、なぜか株価が低いまま放置されている」というような企業です。つまり、バリュー投資とは、企業の業績や資産を調べ、適正価格よりも割安な企業を狙うという投資方法になります。

具体的に言うと、企業の価値と株価との比較がバリュー投資の本質です。企業価値を、損益計算書や貸借対照表で測り、「1株当たり当期純利益」「1株当たり純資産」、そしてPER(株価収益率)PBR(株価純資産倍率)などの指標で割安かどうかを判断していきます。そして、割安株と判断した銘柄に投資をしていくのがバリュー投資です。

グロース投資

バリュー投資と良く比較される投資法として「グロース投資」というものがあります。

グロース投資とは、「成長株投資」ともいわれ、業績が右肩上がりの企業を見つけ、その企業に投資することです。「グロース(成長)」という言葉からも分かるように、その企業が成長して、成長に伴い株価も上がっていくことを見込んで行う投資です。

グロース投資は、企業の成長に目を向けるので、主に「売上」と「利益」に注目します。

基本的にこの2つの要素をチェックし、上昇しているかどうかを判断するというわけです。厳密に言うと、売上高・営業利益・経常利益・純利益など細分化されますが、とにかく増収・増益しているかどうかを重視します。

バリュー投資が生まれた背景

そもそも、バリュー投資という手法は、1934年にベンジャミン・グレアムとでデビッド・ドッドによって書かれた「証券分析」によって確立され世に広まったと言われています。

バリュー投資が生まれた背景として挙げられるのが以下の点です。

  • 数字が記録、公表されはじめた
  • 取引が簡易的になった

まず、この時期辺りから企業が業績を数字として明確に記録し公表しはじめたそうです。

その前にも記録・公表はしていたようですが、クローズドの情報という側面が強かったです。

また、以前よりも取引がしやすくなり、投資家自体が増えたことで、自分たちが今まで行ってきた投資手法を確立させようと「証券分析」が誕生しました。

有名なバリュー投資家

世界で最も有名なバリュー投資家は、アメリカのウォーレン・バフェットでしょう。

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%83%E3%83%88

ウォーレン・バフェットは、前項の「証券分析」をきっかけにバリュー投資に傾倒し、グレアムが教鞭をとる大学院に進学するほどその影響を強く受けました。そこで、さらにバリュー投資の知見を蓄えます。

ウォーレン・バフェットは2024年時点も健在であり、自身が運営するバークシャー・ハサウェイ社というファンドを設立しています。

このファンドは60年以上運営していますが、年率20%以上という驚異的な数字を叩き出していることもあり、バフェットは世界一の投資家と言われているのです。

バフェット氏は、「価値に対して安い価格で資産(株)を買う」というバリュー投資の基本を守り、そして常に利益を上げ続けることで、バリュー投資が生であることを証明しているともいえるでしょう。

2. バリュー投資を不動産投資に活かすコツ5つ

では次に、前項で解説したバリュー投資を不動産投資に活かすコツを解説します。不動産投資も投資なので、バリュー投資の考えを応用して利用することが可能です。

①バリュー投資の基本|市場暴落、価格下落時が買い時

バリュー投資は、あくまで「その企業の適正価格を見極める」ということです。不動産でいうと、「その物件の本質的価値を見極める」と同義です。

そのため、市場が暴落して価格が下がっている時こそ、いわゆる「割安」な物件(株でいう銘柄)が多くなります。

だからこそ、その絶好のタイミングを逃さずに、「本当は価値がある物件なのに、市場に飲まれて必要以上に価値が下がっている物件はないか?」という視点で物件を探す必要があります。

もし、そのような物件が存在すれば、それがバリュー投資で導き出した「割安な」物件です。

バフェット|「ミスターマーケット」とは?

ミスターマーケットとは、株式市場の変動を擬人化した人物であり、架空の人物です。たとえば、グレアムの言葉にこんな言葉があります。

彼(=ミスターマーケット)の価値価格が、企業成長やあなた自身が考える将来性に見合っており、適切なものに思えるときもあるだろう。

その反面、ミスターマーケットはしばしば理性を失い、あなたには常軌を逸した価格を提示しているように思えることもある。

いわゆる「バブル」のときにはミスターマーケットは有頂天になり、「今買わないと損するぞ!」と言ってきます。

しかし、バブルが崩壊するとミスターマーケットはふさぎ込み、誰にも話しかけなくなります。

何が言いたいかというと、要は「客観的に冷静にマーケットを見ろ」「市場の流れ(≒ミスターマーケット)に流されるな」ということです。

これは「不動産の相場」に置き換えることもできます。

②供給の少ないエリアで勝負する

次に、供給(競合)が少ないエリアで勝負することが大事です。不動産の価値は需給バランスが大きく関係します。供給が多いということは、借り手が選べる物件が多いということです。その状態では、いくら物件に魅力があっても、借り手が分散してしまいます。

そのため、供給が多い物件は「価値はあるけれども、みんなそれに気づいている物件」であり、上述した「割安」には当てはまりません。

だからこそ、「供給が少ない=まだみんなが着目していない」けれども、「価値がある=需要がある」エリアの物件を探す必要があるのです。

この考えは、株でいうバリュー投資も同じです。

割安な株ということは、本当は価値があるのに放置されているということです。つまり、それに注目する投資家(競合)が少ないからこそ、その株はまだ上昇しておらず、上昇前に株を購入することで利益を得ます。

この考えを不動産投資に応用すると「供給(競合)が少ないエリアで勝負する」となるのです。

③価値と価格の差に注目する

バリュー投資の本質は、その株の価値と市場の価格(株価)の差に着目することです。割安なときに株を取得し、割高になったら株を売却するというのがバリュー投資の鉄則になります。

不動産投資は、賃料収入を得る「インカムゲイン」が基本です。バリュー投資の場合は「割安な物件を購入する」ということになりますが、上記の考えで言うと「割高な状況のときに売る」という選択肢も持っておくと良いでしょう。

その売却益をキャピタルゲインと呼びますが、割高なときに売却して大きな利益を得て、新たな投資資金として回します。

グレアム|「安全余裕率」とは?

「価値とか格差の差」について、グレアムは安全余裕率という表現をしています。

安全余裕率とは、「自分が算出した価値よりもさらに安い株なら購入しても良い」という余裕率を、以下の計算式に基づき数値化したものです。

計算式:「1ー実際の価格÷算出した価格」

たとえば、1株1,000円の価値があると算出した株が800円なら、安全余裕率は「1-800円÷1,000円=0.2(20%)」となります。

この安全余裕率は自身で設定し、その数値に該当する株を購入していくということです。これは、不動産投資でいうと、物件選びのときにそのまま利用できる考えです。

④価格の「歪み」を利用する

価格の歪みとは、いわゆる「アービトラージ」と呼ばれる投資方法です。価格の歪みは色々な理由で発生しますがが、不動産投資の場合には以下に分類できます。

  • 業界によるもの
  • 制度によるもの
  • 活用によるもの

業界によるものとは、たとえば不動産や建築業界で不祥事があり、それによって不動産価格が下落して「本来の価値」と価格に歪みが発生することです。

制度によるものとは、法制度などが変わったことで物件の価値が上がり、まだ市場がその価値に気づいていない状態です。

活用によるものとは、たとえば相続税対策として物件を活用したい時、相続税対策には、相続税評価額と時価の差が大きい方が得になります。

一方、「物件の売買益を得る」という活用法であれば、また物件の選び方は変わってきます。

とにかく、上記3点によって生まれる、本来の価値と実際の価格の歪みを利用して投資するのが、不動産投資におけるバリュー投資です。

⑤長期保有を前提に物件を選ぶ

繰り返しますが、バリュー投資は「本来の価値と実際の価格差」に着目した投資方法です。

不動産投資においても同じ手法で物件選びができますが、それはあくまでも長期保有を前提とします。というのも、バリュー投資はその企業の本質的な価値に注目するので、その本質的な価値が市場に評価されるまでは時間がかかる場合があるからです。

いわゆる「デイトレード」のような短期売買のように、株価の一時的な上下ではなく、その企業が継続的に収益を生み出す企業であることが前提です。

そのため、基本的には長期保有を前提にした投資であり、不動産投資でも同じことが言えます。

上述した「価値と価格の差に注目する」で売却益の一例を挙げましたが、基本的にはインカムゲイン(家賃収入)を継続的に得ることができる前提で物件選びをしなければいけません。

「すぐに転売する」という目的で物件選びをすると、バリュー投資のように長期的スパンで商品を選ぶ投資法は向いていないのです。

3. バリュー投資は物件を吟味するところから始めよう

このように、バリュー投資はその商品の本質的な価値を見極めることが重要になります。

むしろ、それが全てと言っても良いくらいです。不動産投資に置き換えると、投資物件の価値を見極めるということですが、そう簡単なことではありません。

その物件のエリア・人の流れ・将来性・施設の利便性・治安・住環境・ブランド価値など、価値を測る指標はたくさんあるのです。

だからこそ、時間をかけて物件を吟味しないと、価値のある物件か?まだ本質的な価値に注目されていないか?供給は多くないか?という点を見極められません。

そのため、バリュー投資は物件を吟味するところから始めましょう。

 

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