「ローンを早めに返済したいけれど、投資に有利になるのかわからない」
このような悩みをお持ちではありませんか?
確かに投資をされている方にとってローンを繰り上げ返済してでも、早めに返したほうがいいのか、あるいは手元に現金を残すべきかは迷いどころですよね。
繰り上げ返済の仕組みとコツを知っていれば、状況によっては繰り上げ返済をしたほうがお得になることもあります。
そこでこの記事では、繰り上げ返済のシミュレーションを行いつつ繰り上げ返済の種類や注意点なども解説します。
繰り上げ返済をしようか悩んでいる方は、是非参考にしてみて下さいね。
目次
1. ローンの繰り上げ返済も資産運用の手段
憧れの投資用物件を購入するために必要なのが、ローンです。そして、ローンを毎月返済することは、資産運用を管理する上で大切なことです。
そんな中、余剰資金を投資に回してその利益で、ローンを支払おうと考えている人は多いのではないでしょうか?
確かに銀行に余剰資金を預けていても利率は今後もおそらく変わらないため、お金が増えることは期待できません。そうなると投資は必要になってきます。
しかし、投資と言っても様々な種類のものが存在しており、その中の大半は元本保証のないものです。元本保証がないため、自分の資産がいきなり全額無くなることもありうるのです。
ローンの完済に向けた投資を考えるならば、そのようなリスクを負わない最良の投資方法があります。それは繰り上げ返済です。ローンの繰り上げ返済も立派な投資方法のひとつなのです。
2. ローンを繰り上げ返済する2つのメリット
その他の投資よりもローンを繰り上げ返済を行うことには、2つのメリットがあるため、ご紹介します。
①総返済額の軽減が見込める
まずは総返済額の軽減です。繰り上げ返済はローンを毎年数百万円程度を一括で返していくというものです。あるいは、10年後に1,000 円を返済という人もいるでしょう。
これらの良い点は、毎月の返済額が減るだけでなく、ローンを仮に30年ほど組んでいた場合は、30万~80万円程度の総返済額を軽減することが可能です。
不動産投資の場合は、ある程度の余剰資金を持つことも大切のため、余剰資金とローンの残りの期間とのバランスを見る必要があります。
②金利変動リスクに備えられる
また、繰り上げ返済により金利変動リスクに備えることが可能です。現在は、平成26年に閣議決定された政策により、金利の引き下げが起こり低金利が続いています。
しかし、この低金利の時は問題ないですが、この低金利がいつまでも続くことはありません。いずれ金利の上昇する場面はやってきます。
金利が1%上昇すると最終的な返済額は50万円以上変化してしまいます。このようにリスクを回避するためにも繰り上げ返済は有効な手段と言えるでしょう。
3. 繰り上げ返済には2種類の方法がある
繰り上げ返済には、大きく分けて2種類の方法が存在します。1つは、繰り上げ返済によって返済期間を短縮する「期間短縮型」
もう1つは、月々の返済負担額を減らす「返済軽減型」です。ここでは、この2種類の方法を解説します。
返済期間を短縮する「期間短縮型」
まず、期間短縮型の場合は毎月の返済額は変化がありません。しかし、繰り上げ返済をしたことにより短縮された期間に払う予定だった利息分が軽減されます。
同じ金額を繰り上げ返済した場合は、利息の軽減効果は「返済軽減型」よりも大きくなります。早めにローンを返したい方はこちちらがおすすめです。
月々の返済額を減らす「返済額軽減型」
「返済軽減型」の場合は、返済期間は変わりませんが、毎月の返済金額が減ります。
同額の繰り上げ返済を行った際には、利息軽減効果は「期間短縮型」の方が上です。
しかし、「返済軽減型」には、毎月の返済額を下げるという効果があるため、将来的にローンの負担が大きくなることが予想される時に家計を安定させるのに効果的です。
4. 繰り上げ返済をシミュレーションしてみよう
「期間短縮型」「返済軽減型」両方にそれぞれ特色があります。どちらを選択するかは、ライフプランによるところが大きいです。
そこで、この2つの方法で返済期間や月々の返済額がどのように変化するのか候補を上げてシミュレーションしていきます。
前提条件
まず前提条件として、以下の項目を設定します。
- ローン借入残高2,500万円
- 借入金利3%固定
- 返済期間は30年
- 元利均等返済(ボーナスなし)
これらの条件を前提条件としてシミュレーションを行っていきます。
期間短縮型での繰り上げ返済
期間短縮型で100万円を繰り上げ返済した場合は、毎月の返済額は変化しませんが、総返済額は、36,536,760円になりました。
繰り上げ返済しない場合との比較
繰り上げ返済を行わない場合、毎月の返済額は、105,401円となり、総返済額は37,944,098円です。
繰り上げ返済を行わない場合と比較して、141万円の軽減効果があり、返済金額は1年11ヶ月の短縮になりました。
繰り上げ返済をしない場合 | 繰り上げ返済をした場合 | |
毎月返済額 | 105,401円 | 105,401円 |
総返済額 | 37,944,098円 | 36,536,760円 |
残存返済期間 | 30年 | 28年1ヶ月 |
返済軽減額は141万円、返済期間は、1年11ヶ月短縮されました。
返済額軽減型での繰り上げ返済
返済軽減型で100万円を繰り上げ返済した場合は、毎月の返済額は4,217円の軽減、繰り上げ返済を行った結果総返済額は、37,428,058円になりました。
繰り上げ返済しない場合との比較
繰り上げ返済を行わない場合との比較は以下の表のようになりました。
繰り上げ返済をしない場合 | 繰り上げ返済をした場合 | |
毎月返済額 | 105,401円 | 101,184円 |
総返済額 | 37,944,098円 | 37,428,058円 |
残存返済期間 | 30年 | 30年 |
返済軽減額は518,120円、毎月の返済額は4,217円の軽減効果がありました。
期間短縮型との比較
繰り上げ返済をしない場合 | 期間短縮型 | 返済軽減額型 | |
毎月返済額 | 105,401円 | 105,401円 | 101,184円 |
総返済額 | 37,944,098円 | 36,536,760円 | 37,428,058円 |
残存返済期間 | 30年 | 28年1ヶ月 | 30年 |
繰り上げ返済なし、期間短縮、返済軽減型を比較するとこのような表になります。
【結果】期間短縮型での繰り上げ返済がおすすめ
シミュレーションの結果としては、どちらの繰り上げ返済でも返済金額の圧縮には成功しています。
しかし、期間短縮型と返済軽減型には返済軽減金額に倍近く差があります。
この結果から返済金額をとにかく減らしたいという人は期間短縮型をおすすめします。
とはいえ、この結果がすべての人に当てはまるわけではありません。
返済軽減型を利用すると毎月の返済負担を軽減することができるため、直近に大きな出費がある場合にはこちらのほうがいいでしょう。
現在の手元のお金と将来的な出費見込みを照らし合わせて適切な選択を行うことが大切です。
5. 繰り上げ返済のコツと注意点
繰り上げ返済をするには、手元にあるお金と将来の出費のバランスを取ることが大切です。そこで、ここでは上手に繰り上げ返済を行うためのコツとその注意点をご紹介します。
住宅ローン控除との併用
投資物件ではなく住宅の場合には住宅ローン控除が適応がされます。
住宅ローン控除では残高の0.5%~1.0%相当の税額控除を受けることができるためその期間中は金利が低くなる計算になります。
金利が1%以上ならば、住宅ローン控除のメリットを活かすためにも控除を受けてから繰り上げ返済を行ったほうがいいでしょう。
繰り上げ返済と併用してしまうとこのメリットは受けられないため注意が必要です。
キャッシュフローをチェック
繰り上げ返済の最大の弱点とも言えるのが、現金が減少することです。当然のことながら繰り上げ返済には、まとまった大きい金額が必要になってきます。
そのため、余裕資金をすべて繰り上げ返済に回してしまうと急な出費に対応できないことがよくあります。急な出費にも耐えられるだけの現金は手元に残すのが無難でしょう。
新たな投資のための資金
余裕資金がない場合は、新たな資産運用を始めることは難しいです。ローンを完済したあとに新しい投資に挑戦するよりは、余剰資金を使い今から運用を始めるのが最適と言えます。
返済額軽減型が向く場合
返済軽減型は、前述の通りに直近で大きな出費がある場合や、一時的に収入が止まる可能性のある場合には最適です。将来的な教育費や転職により数ヶ月間収入が止まる可能性がある場合は、返済軽減型の方がいいでしょう。
期間圧縮型にして数百万円単位で現金が無くなるのは、転職前であれば厳しい状況と言えまです。
6. ローンの繰り上げ返済で効果的な投資を!
ここまで、ローンの繰り上げ返済の投資効果について解説してきました。
リスクの大きい投資をするのも資産を増やすこととしてもちろん重要です。
しかし、ローンを組んで物件を持っているのならば、繰り上げ返済を行いローンの完済を早めることは投資としても有効な手段と言えます。
その際には手元の現金と将来的な出費を考慮したうえで、期間短縮型と返済軽減型のどちらの方法で繰り上げ返済を行うかは慎重に決める必要があるでしょう。
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