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民法の改正により瑕疵担保責任は無くなる!改正ポイントと影響を簡単解説!

民法とは、日常生活の基本的なルールを定めた法律だといえます。もう100年以上前に作られた古い法律です。

法律自体が古いので時代にマッチしない部分もあるのでしょう。2017年5月に法律が改正され、2023年4月に施行されます。

新しい制度の目玉は、「瑕疵担保責任」の替わりに定められた「契約不適合責任」です。両方とも法律用語特有の難しい表現ですが、内容は売却物件に欠陥があったときの責任の取り方が定められています。

現行と新しい制度では、どこが異なるのでしょうか?

具体的には、責任の種類や質が異なります。トラブルが生じたときにペナルティーがあっても、実際に利用できるシステムでないと意味がありませんね。今回の改正は、実行に即したものといえます。

売却する側と購入する側とでは、どちらにメリットがあるのかを具体的に確認しておく必要があります。

現在、売却を検討中の人にとって新しい制度の知識を得ることは、売却を成功させるツールになるかもしれません。

1. 民法の瑕疵担保責任って何?

瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)とは、たとえば建物を買った後で床下がシロアリの被害でボロボロであれば、売主に対して契約の解除や損害賠償請求ができるという規定です。

瑕疵とは「欠陥」という意味であり、担保とは「保証」という意味になります。

買ったときに気がつかなかった「隠れた瑕疵」を対象に、修理費用を求めることができます。

修理する部分がひどくて買った目的を達成できない(住宅であれば住むことができない)くらいのレベルであれば契約を解除することもできます。

責任を負わせるためには、瑕疵に気がついたときから1年以内に実行しなければなりません。

瑕疵の存在を確定し、根拠を説明するのです。たとえば、買ってから3年目に瑕疵があることに気が付けば、4年目まで責任を負わせることができます。

2. 2017年5月26日の民法の改正によりどう変わるのか?

民法の改正により瑕疵担保責任は無くなる!改正ポイントと影響を簡単解説!

今後、取引を予定している人は、どこが変わったかを理解しているほうが有利な取引ができます。

今回の民放改正のポイントについて

民法の、「瑕疵担保」が「契約不適合」に替わります。

瑕疵担保責任は、たとえば「この家を買いたい」というように目的の建物などが特定されているときに適用されます。特定されていなければ債務不履行責任(義務を果たさない責任)が適用されます。

そもそも売買では購入する側が代金を支払い、売却する側が物件を引き渡せば、契約自体は完了しているため物件に欠陥があったとしても債務不履行責任を負わせることはできません。

そこで、欠陥があった場合には瑕疵担保責任で対応していました。

ところが、契約不適合責任は目的物が特定されているかどうかは関係ありません。

種類・品質・数量について契約に適合していなければ適用され、債務不履行責任として対応します。つまり、「契約での取り決めと異なるから責任をとる」という意味になるのです。

旧制度の「隠れた瑕疵があった」ときの責任を新制度で「契約の内容に適合しない」ときの責任に切り替えたのです。

売買契約の契約不適合責任とはどんなもの?

新しい制度では、責任の取り方が増え選ぶことのできる範囲が広まったので買主にとって有利になったといえます。

今まで認められなかった責任の取り方が認められるようになりました。

契約不適合責任について

債務不履行責任により買主保護を強めています。瑕疵担保責任では、損害賠償請求と契約解除の2つのペナルティーなので、欠陥があったときの責任の取らせ方としては多いとはいえません。

損害賠償と契約解除のほか、追完請求や代金減額請求も可能になりました。ケースバイケースのペナルティーを与えることができます。責任の取らせ方が多いと利用できる可能性が高まりますね。

契約不適合責任の内容について

売主の責任の有無を目的物が特定できるかどうかを問わず、契約内容に合っているかどうかで判断します。したがって、「隠れた瑕疵」でなくてもかまいません。

瑕疵担保責任は無過失責任(過失がなくても責任を負うこと)なので、売主に責任がなくても欠陥の存在や根拠を証明できれば責任を負わせることができました。

しかし、債務不履行責任を適用するためには、売主に責任がある場合でないと適用することができません。

契約不適合責任により買主への救済手段が増える

救済措置として4つの権利を利用することができます。

救済手段 内容
損害賠償請求 旧制度では、損害賠償の範囲が欠陥のある部分を修理する費用に限定されていたのですが、新制度では、修理期間中のアパート代なども含まれ範囲が広がっています。
追完請求 欠陥のある物件を引き渡すことは、まだ引渡しが完了していないという考え方です。別の物件の引き渡しや修理後の引き渡しを請求できます。
代金減額請求 欠陥のある物件を引き渡されたのであれば、その部分の代金を減額することもできます。
契約解除 旧制度では、契約を解除するときには、「購入した目的を達成できない」欠陥でなければ解除できません。新制度では、欠陥が軽微であると判断されるときを除いて解除することができます。

契約不適合の通知期間制限について

責任を負わせる期間は、欠陥があることに気づいたときから1年以内とし、売主に対して通知をしなければならないとしています。

売買契約時の売主の表明保証責任について

表明保証責任とは、あらかじめ目的物の条件について書面に記載しておくことです。

たとえば、取引で「地下に産業廃棄物が埋まっているのがわかっていれば買わなかった」あるいは「この金額では買わなかった」ということがあるかもしれません。

具体的には、産業廃棄物は埋まっていないと売却する側に表明させ、万が一埋まっていれば保証することを書面に記載しておけば分かりやすいでしょう。

ペナルティーを詳細に決めておくことでトラブルを回避できる可能性が高くなります。

3. 民法の改正により買主と売主にどんな影響があるのか?

取引の当事者のメリットやデメリットをご紹介します。

民法改正による買主への影響

新制度による影響としては、損害を求めやすくなるでしょう。

旧制度では欠陥を知らないことについて買主に落ち度があれば売主に責任を負わせることはできませんでした。

しかし新制度では、落ち度があっても契約に適合していなければ責任を負わすことができます。

またペナルティーの範囲も増えています。

旧制度のように修理費用の請求だけではなく、新制度では修理期間中のアパート費用なども請求できます。つまり、損害の請求がより現実的なスタイルになり利用しやすくなりました。

さらに、旧制度では損害賠償を求めるために、欠陥の存在を確定し損害賠償の根拠を説明する必要がありました。

しかし新制度では、目的物が不適合であることを取りあえず通知しておけばよいのです。「詳しくは後から」でかまいません。

利用できるペナルティーの数が増えることもメリットです。たとえば、欠陥に気がついたものの、あえて修理する必要がないと思えば代金を減額することもできます。結果として、お得な買い物になるかもしれませんね。

民法改正による売主への影響

影響としては、新制度による買主保護への対応が迫られるでしょう。契約書の作成時点で注意しなければなりません。

より詳細な取り決めが必要になります。なぜなら決めていないことについては、不適合が認められやすいのです。そうなれば多額の賠償を負うかもしれません。

責任を負う範囲を限定するなど、できる限りペナルティーを少なくする工夫をおすすめします。

賠償額の上限を定めておくことも必要かもしれません。あらかじめ、リスクを軽減するための対策を講じることが必須になるでしょう。

4. 民法の改正によりどれほど影響があるのか知った上で、売買契約を交わす時は注意が必要!

今回の改正のひとつとして、建物などに欠陥があったときの措置が変わりました。

購入する側からみるとメリットがあるのですが、売却する側からみるとデメリットになるでしょう。売却するときは、あらかじめ詳細な措置を検討しておかなければなりません。

取引には、最低限の法律知識が必要です。理解しているかどうかで取引の結果に大きな違いが生じます。特に法律の改正直後には、トラブルが起こりやすいので注意してくださいね。

 

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