今所有している住まいから新しい住まいへの転居を考えている人、または不動産投資用物件を手放し、別の物件を狙っている人にとって、「買い替え」は初めてという方が大半です。
事前に、どのような準備をするのか、資金の計画や契約相手とどのような手続きをすればよいのか不明確な部分が多く、不安になる人も少なくありません。
金額が大きく、決断に慎重になるからこそ、買い替えするあなた自身がどんな流れで不動産を売買し、新しい家を得られるのかを知る必要があります。
今回は、不動産買い替えでポイントとされている7つに焦点を当てて、押さえるべきところをピックアップしました。
目次
不動産買い替えの流れを把握しよう
自分で決めるため、決断するときのカギとなるものがあるはずです。不動産の物件と巡り合うのも、良い買い手と出会うのもタイミングが重要になります。
双方が良いタイミングで巡り合うことは難しい現実があるため、「先行売却」「先行購入」のどちらかになるのが一般的です。
ここでは、買い替え時の流れを2種類に分けて説明していきます。
①売るのが先か買うのが先かを決める
売るのが先!なら「先行売却」
先に住まいを売って、資金を確保した上で購入するスタイルです。
メリット
- 売って資金を確保しておくことは安心につながる
- 事前に売却しているため、購入する物件の金額に合わせやすい
デメリット
- 自分の理想の購入物件がすぐに見つかるとは限らず、仮住まいをするため出費が増える可能性がある
- 売却が決まっているので、購入までの時間が限られている
こんな人におすすめ
- 自己資金が心もとない人
- 資金計画を売却物件のお金で考えている人
買うのが先!なら「先行購入」
先に買って住まいを確保してから、売却をしていくスタイルです。
メリット
- 住むところを先に確保しておくことは安心につながる
- 事前に購入しているため、売るときに収益が見込める金額が把握しやすい
デメリット
- 売却する物件が買い手がすぐに見つかるとは限らず、転居する期間が限られる
- 2つの物件を重複して所有するため、ローンの支払いが2重になる
こんな方におすすめ
- 住居ローンが完済済みで自己所有物件として扱える人
- 購入にこだわりがあり、納得の行く物件でないと嫌という人
- 自己資金に余裕がある人
つなぎ融資を利用する方法も
売却する物件の資金を利用し、ローン返済することを条件に、新しい物件購入の資金を融資してもらうことです。
事前の資金計画で念入りな調整が必要になります。ですが、売却が長引いてしまったり、売却価格が下回ったりしたときにローン返済ができないと計画が破綻してしまいます。
安易につなぎ融資を利用せずに、計画と事前相談をしたうえでの対応をお勧めします。
②査定&資金シミュレーションをする
いくらで売れるのか、資金はいくら使うのかを頭の中だけで理解するのは大変です。計算もそうですが、法律関係も絡んでくるため事前に書面やデータに残し、「見える化」を図りましょう。
自己資金を計算しておく
どのくらいの金額であれば、預貯金から捻出できるのかを確認することが必要です。
生活資金まで利用してしまっては問題になります。家族で貯めた資金だからこそ、慎重になるべきです。
500万円ぐらいの預貯金であれば、目安は40%ぐらいまでを頭金にすることを意識するとよいでしょう。
査定して売却金額を決める
不動産会社を利用した査定結果を確認します。
事前の査定は基本無料の会社が多いので、計算してもらいましょう。実際の物件を見て計算するほうが正確な査定結果が出せ、今後のシミュレーションで差違が出ないためおすすめです。
ローン残高を確かめる
金融機関発行資料で必ず毎年送付される返済明細書が一番効果的です。
金額は毎月引き落おとし対応されていることがあり、金額を把握していない人は事前に確認しましょう。
ですが、書類がない場合は、電話にて連絡し、金額確認もしくは郵送を依頼しましょう。査定金額にも影響するため、査定時にあると便利です。
ローン金額を算出する
今後の支払いの確認や経済状況を見積もって事前に把握しておきます。
金額計算は素人では難しく、長期的な計画になるため現時点での金額計算を知っておくことが大切です。
収入が変わる可能性はいつでもあるため、万一の時の保険も含めて計画することが重要です。
③媒介契約を結ぶ
媒介契約は3種類
専属選任媒介契約
一社専属ですべての手続きをお願いする媒介契約です。
買い手が見つかりにくかったり、自分で見つけてきた買い手がいても不動産会社を通した仲介をする制限がかかるデメリットがありますが、不動産会社が取引出来た際に手数料を受け取ることができるため、意欲が高い情報収集や宣伝をしてくれます。
専任媒介契約
専属専任媒介契約よりは制限が緩いのが特徴。
自分で見つけた買い手の場合は、仲介手数料は支払わなくてよいところが利点です。基本不動産一社がすべての管理をするため、適切な仲介を行ってくれるメリットがあります。
一般媒介契約
様々な不動産会社が競う形の媒介契約です。
自社で契約が成立すれば、仲介手数料が手に入ります。人気のある物件情報は広範囲に宣伝してくれることが魅力的で一社専属よりも買い手が見つかる可能性が高いことも特徴です。
④売買契約を結ぶ
契約締結までの流れ
ここまで来た状態では、双方で購入と売却の意思が調整ついていると思われます。法的拘束力を持つ重大な契約となるため、確認事項の説明や、重要点の確認を双方合意の上で応対します。
事前に準備している双方の資料を基に、必要事項に署名や捺印を行い、締結手続きを行います。
早ければ1か月ほどで契約が決まりますが、あくまで目安です。多いパターンが3か月ほどのスパンを見ているため、余裕を持った契約締結をしましょう。
購入の契約に用意するもの登記済みの証書
- 本人確認証明書
- 固定資産税納付書
- 印紙代
- 実印
- 印鑑証明書
- 建築検査済証書
- 前金(購入金額の10%前後)
- 仲介手数料の半額
売却の契約に用意するもの
- 本人確認証明書
- 印紙代
- 印鑑証明書
- 実印
- 仲介手数料の半額
不動産の売買契約についてはこちらの記事を参照してください。
⑤決済と引き渡しを行う
前金として払った購入代金の一部と購入全額を差し引いた金額の精算を行います。
その後、必要な登記申請書類の作成をします。作成は一般的には個人で行わず、行政書士に依頼をすることが多いです。
その際には、購入する側が登録免許税と行政書士への報酬を渡すことになるので、
金額の見積もりを事前に出しておくことが望ましいです。その他の精算も同時に行います。
固定資産税、仲介手数料などの諸費用も決済時に対応します。
購入側に必要な手続き
- 残代金の支払い
- 登記代行をお願いする司法書士に所有権移転登記申請の対応を依頼
- 固定資産税を日割り計算で実施、支払う
- 鍵を受け取る
- 規約等が含まれている関連書類を受け取る
- 契約に至るまでの費用と、不動産会社への仲介手数料を支払う
売却に必要な手続き
- 残代金を受け取る
- 登記代行を司法書士に依頼する
- 固定資産税を日割り計算してもらい、代金を受け取る
- 鍵を渡す
- 規約等が含まれている関連書類を渡す
- 不動産会社への仲介手数料を支払う
二重ローンや仮住まいを防ぐコツ
住居がうまく決まらなかったり、売却がうまくいかず2つの物件のローンを同時に払うことがあります。
出来る限り無駄な時間も出費もせずにスムーズな手続きをするために必要なことは、計画を立てることです。
事前に買替え計画を作り、資金・ローン・期間などの試算を算出し、行き当たりばったりで行動しないように心がけることが重要です。
売るのが先か、買うのが先かも計画を立ててからの方が意識しやすいです。
⑥税金の特例を上手に利用しよう
不動産の売買契約を行うと一時的に収入が増えます。その後に新しい物件を購入したとしても譲渡所得税が加算されます。
売買の金額が大きいため、税金の額も大きくなりそうですが、実は特例措置を利用すると税金の額が減ったり、支払い自体がなくなる場合があります。
ここでは、特例の紹介とその条件を説明します。
「特定の居住用財産の買換えの特例」とは
売却した物件の金額以上に新しく購入した物件の金額が多いときには、税金はかからないというものです。
ただし、売却した利益に税金が付かないだけで購入した物件を売る時には、税金の支払いをしなければなりません。税金を繰越したと思ってもらえるとわかりやすいです。
特例を受けるための要件
売却や買い換えの期間が、それぞれの契約日から前後1年の1月1日から12月31日となっており、3年ほどの猶予があります。
また、売却時の金額が1億円を超えない範囲でないと特例の適応がないことも挙げられます。
「3,000万円特別控除の特例」とは
売却したときの金額が利益になっても、基本は買い換えに利用する人が多いです。
ですが、その都度税金が発生しては買い換えをしない人が出てきます。そこで、譲渡所得がプラスになったときに上限3000万円までは税金がかからないようにした特例が3,000万円特別控除です。
特例を受けるための要件
今住んでいる家を売却する場合や居住用として利用しなくなってから3年以内の売却では適用されます。
また、3年間特例措置を受けていないことも要件になっています。
「10年超所有軽減税率の特例」とは
売却する物件の所有期間が10年以上の場合のみ適用されます。売却益を得た金額から3,000万円特例措置を受けた後に税率を低くした計算で金額を出してくれる制度です。
税務署への確定申告は必要ですが、過去に購入した物件を今売る大きな利益になることが多いため、このような特例が出来ました。3,000万円特例措置との併用だけが可能です。
⑦事業用資産でも特例が受けられる場合がある
個人の売買契約の特例だけでなく、事業をしている人に向けての特例もあります。
「事業用資産の買換えの特例」とは
事業用資産同士でしか売買出来ない決まりや売買資産の組み合わせが決められている場合があります。
特に組み合わせは駐車場や商業ビルなど事業用だからこそ、所持している物件に対しての特約でもあるため、条件が厳しく設定されています。
特例を受けるには?
物件を購入した段階から1年以内にその物件を事業で利用することが主な条件です。
また売った際の土地の大きさを5倍した面積の土地購入でないと特例を受けられません。5倍以上で購入が不可という訳でなく、超えたものは特例措置を受けられないだけです。
譲渡取得金額の計算方法
事業用の資産の譲渡所得の計算が個人物件と違うため、事前に確認しておくことが重要です。2種類の計算方法は、それぞれ、売却額と購入額がどちらが大きいかで変化します。
譲渡資産の譲渡価額と買換え資産の取得価額が同額or取得価額の方が多い時
収入金額=譲渡資産の譲渡金×20%
必要経費=(譲渡資産を得たときの金額+掛かった諸費用)×20%
課税対象の譲渡所得金額=収入金額-必要経費
譲渡資産の譲渡価額が買換え資産の取得価額より多い時
収入金額=譲渡資産の譲渡金-買い取り資産の所得金×80%
必要経費=(収入金額÷譲渡資産の譲渡金)×(譲渡資産を得たときの金額+掛かった諸費用)
課税対象の譲渡所得金額=収入金額-必要経費
特例を受けるには確定申告が必要
個人での取引でも事業者として実施した特例制度の利用には、税務署への申告が必要です。確定申告を必ず行い、税金の確認をすることでトラブルを防げます。
更正や修正が必要な時
事業者と個人では税金の支払いを2回することになるので、適切な計算を税務署が全て行えているとは限りません。
そのために多く払いすぎたり、不足した納付をしてしまうこともあります。
税務署から連絡が来た際に、計算間違いをしている時は更正を行い、計算し直してもらいます。
修正は通知があった際に不足している金額を納付することになります。明らかに払いすぎている場合には更生対応を行い、過払いしてないかを確認することをおすすめします。
備えあれば憂いなし!十分な準備が買い替えを成功させるコツ
買い替えをする際に、物件を手に入れておくことも資金を得ておくこともどちらも重要事項です。
ですが、今の生活環境や、金銭関係とうまく相談した上で対応しなければ、不安や不満、後悔が残る売買契約になります。
「備えあれば憂いなし」という言葉があるように、まずは査定や相談をする際に、売買をすると仮定して、必要な書類の選定や資金準備の計画書を作成してみることをおすすめします。
一生のうちに何度も起きない不動産売買だからこそ、失敗することなく安心して進行する準備を事前に行うことが、成功への大きな近道になります。
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