資産価値が高い不動産物件といえば、家が挙げられます。資金を確保するための売却を考えている人もいますが、可能な限り高い金額で売れた方が良いはずです。
ですが、住居としての家から売り物としての商品に代わるため、売る時に気を付けておきたいポイントや、高い価値を残すための方法を知っておく必要があります。
リサイクルショップのような気軽さで家を売ると思ってしまうと思わぬ落とし穴が待っているため、家を売却する際の不安な点や気になる点を今回はまとめて解説していきます。
目次
1. 家を売却する前にやっておきたいこと
1-1. 売却までの流れを知っておく
家の売却は、一般的な買取店などの流れと違い、売却する金額と購入する金額が一致した場合に契約が発生します。
買取店は商品を持ち込んだ時点で買い取り査定を行いますが、家では査定の範囲が広く、金額を出すことが容易でないため、異なる流れを意識することが重要です。
また住居を購入する際には、基本土地と家をセットで購入していることが多いので、ここでもセットで売ることをベースに説明します。
①家と土地の価格相場を把握する
土地相場は不動産取引価格交渉情報検索と呼ばれる実際にその土地売却した人がいくらぐらいで取引したかの履歴を確認するサイトがあります。
国土交通省が管理しているため、信頼できる情報として扱われます。
家の方も中古住宅販売サイトなどで、所有する家と同じ間取りや状況を探していくらで売却されているかを確認することで相場を把握できます。
②家を買ってくれる人を探す
売りに出した後には、宣伝をする必要があります。2つの方法がありますが、自分で告知をして反響を待つスタイルか、不動産会社に宣伝依頼をしてもらい買う人を探してもらう方法です。
宣伝をする費用は個人で行う方がかかりませんが、時間と効果範囲を狭めてしまうため、おすすめしません。
不動産会社の場合、インターネットでの告知を利用するため、全国規模の顧客が購入を検討することになります。買ってもらう可能性が飛躍的に上がることが最大のメリットになります。
③買う人がいたら価格の調整と契約を結ぶ。
契約を結ぶときに必要な書面や価格調整を行うことが個人で契約をするときに最大のデメリットになります。
不動産会社に依頼をすれば、調整や契約の締結は任せられるため、ほとんどの人が売却するときに不動産会社を利用することになります。
しかし、仲介手数料が最大で売却価格の3%に6万円を合わせた金額になります。3%はあくまで上限の数値ですが、仲介しているほとんどの企業がこの数値にしています。
例えば、2,000万円で売却した場合は、66万円(税抜)の価格となります。
1-2. 心構えをしておこう
家や土地を売却するとき覚えておきたい心構えが一つあります。それは、余裕を持った売却期間を設定することです。
不動産の購入をしたときの他の物件候補が気になる意識した部分に似ていますが、今よりももっと良い購入条件があるかもしれないという決断を鈍らせる感情が芽生えます。
早く売りに出したいがために安易に手放してしまい、後悔することもあります。
お金が急遽必要の場合には冷静な判断が出来ずに決断する場合もあるため、余裕を持った売却期間を決めることが重要です。
査定価格で売却できない可能性もある
家や土地の売却は査定時の金額が決まったとしても、そのままの金額で売却できない場合があります。
査定時から購入検討者が確認するまでの間に問題が発生する可能性や、購入検討者が金額の交渉をしてくる可能性もあります。
査定はあくまで過去のデータから売却可能な金額として表示されているだけなので、お互いの話し合いの結果によっては高くなったり、安くなるケースも当然考えられます。
高く早く売りたい!は難しい
早く売ることと高く売ることは、商売の基本として両立できるケースが極めて少ないです。
安い商品は早く売れますし、高い商品は時間をかけて売れます。(限定品などは除きます)
人気のある土地でない限り、高く売れることはなく基本は査定価格と同じかそれ以下の金額です。
売却するからには、早めに手放し管理を放棄し、高く売り現金を回収することが求められますが、条件が厳しく希望通りに進まない可能性も考慮した準備をすることが必要です。
1-3. 売却には意外とお金が掛かることを知っておく|費用一覧
仲介手数料
物件の売買交渉のためにサポートした不動産会社に支払う金額です。
原則、売買成立時に支払が発生し、その金額は売却金額の3%に6万円をプラスした金額です。
登録免許税
新しい持ち主へ権利を移転するときの登記負担は基本購入者が持ちます。
しかし、ローンがある場合や投資目的の物件で登記と異なる住所に現住所がある場合は支払う義務が発生します。
譲渡取得税
売却で利益が出た場合に発生する税金です。
所得税と住民税が課税されるため、利益が出た場合に注意が必要です。5年を境に所持していた期間によって税率が変化することが意外に知られていないため注意が必要です。
印紙税
売買契約書を法的拘束力のあるものにするために必ず貼り付けます。
契約金額により変化しますが、数万円ぐらいかかることもあります。売る側の負担になります。
その他
所有権を移動することは書面上での対応になりますが、現実は原状回復させて土地や家を手放します。
その際に掛かった清掃や手を加えた費用は売る側の負担になります。またリフォームの費用や、アスベスト調査、耐震診断費用なども売る側が受け持ちます
固定資産税はどうなる?
固定資産税は不動産の所有者に負担があります。1月1日時点での所有者が対象です。
仮に6月1日に売却をしたとしても1月1日時点では売却した人が所有しています。その場合は、売り側が固定資産税の負担をします。
ただし、一年間所有しておらず途中で所有者が変わった場合にも費用を負担することはトラブルになります。そのため、引き渡した時から日割り計算をし、売買価格と一緒に調整します。適正な支払いをする仕組みとなっています。
確定申告は必要?
売却した際に売却金額が諸経費を引いてプラスになった人は、確定申告義務が発生します。マイナスになった人はしなくても問題ありません。
ですが、税金が還付される可能性があります。売却した金額が大きいため、申告を怠るとその分税金に上乗せされた課徴金が発生する場合があります。
1-4. 事前準備でしておきたいこと
登記内容を確認する
売買時に登記内容を必ず確認することが大切です。登記後に建物の増築をして建物の床面積を広げたり、土地の面積が地滑りや地震によりずれてしまうケースが多い為です。
現状の建物や土地の情報と登記内の情報がずれていることは法律違反になります。買う側の問題ではなく、売る側の問題としてとらえられるため、必ず登記情報は確認しておきましょう。
現行法での扱いを把握する
現在の建築基準法と建築時の法律が違う場合、建てられている建物は当時の建築基準法を適用します。
今の基準法と照らし合わせると問題ある物件が多くなってしまうからです。そのため、売買した物件が現行の基準法に触れている場合には、査定額に影響が出る可能性を考慮する必要があります。
近隣物件の相場を調査する
物件の相場を知らないと相手の提案をすべて任せてしまうことにもつながります。
その結果、適正価格よりも低い金額で売買する可能性も出てきます。悪い業者は相手が相場や知識を知らないとわかると言葉巧みに査定を下げてきます。売却する際には下調べが必要になります。
書類を準備する
売却の前に査定に必要な書類が5つあります。スムーズな査定が出来ないと売却までに時間がかかることになるため、あらかじめの準備が必要です。
- 売買契約書
- 登記簿謄本(建物や土地)
- 仕様書
- 境界確認書
- 重要事項説明書
この5点です。査定額を適切に算出するために必要な書類になります。
売買の際には必要でも査定時にないことが問題ではありません。
ですが、これから売却する家の査定金額が出ていることで、今後のプランに大きく影響することになります。準備をしておくことをお勧めします。
2. 高値で売却するための査定の効率的な方法
商品を売るからには自分が得られる金額は多い方が良いです。その際に、買ってくれる人を選ぶことが売価を高める要因の一つです。
今回は、家を売る際に査定金額を高くする方法を説明します。
2-1. 査定は複数の会社に依頼して比較する
高い査定金額にしたいと思うよりも先に、物件がどのぐらいの金額で査定されるのかを知る必要があります。
そのため、事前にいくつかの会社に依頼して、査定金額を聞くことが大切です。
安く引き取りたいために相場よりも金額を下げている場合でも比較することで把握できます。
また、ほとんどの会社が同じぐらいの金額提示をしてきた場合には、適正価格の目安になります。
一括査定サービスは便利
一回ずつ依頼をすることは時間の無駄です。だからこそ利用したいサイトが、一括査定サービスです。家の情報や土地の情報などを入力して送信するだけで簡単に査定をしてくれます。
オンライン上で行ってくれるため、時間や場所を気にせずに気軽に査定ができる魅力的なサービスです。
2-2. 不動産会社は「大手だから」で選ばない
売却の際に大手を理由に契約に踏み込む人がいます。
大手だから高い査定とは限らず、相場よりも高い金額にした場合でも、後日査定価格を引き下げてくるケースがあります。
大手とは言え家の管理や手数料などの利益を得るために行動する会社もあります。
査定の引き上げについては確認することをお勧めします。理由がない、説明が釈然としない場合は注意が必要です。
類似物件売却の実績を比較する
同じ状況の建物がどんな金額で売られているかを実績から確認することが必要です。
売買実績はその地域に根付いた小さな会社が多いケースがあります。
地域密着型だとその地域の情報を知っているため、どのような理由で売価査定したかを話してくれます。高額査定をする理由も明確な場合がおおいため、知名度だけで選ぶことは避けた方が良いです。
営業マンの対応を見る
機械的な販売ではなく、人と人での契約の仲介をしてくれるのが、「営業マン」です。
そのため、少しでも査定金額が高くなるように、あくまでもお客様視点であるかがポイントになります。
情報を集めるためのメモやデータを徹底的に集める行動を取り、不動産取引において不安になる要素を取り除いてくれる営業マンなら信頼できます。
3. 媒介契約は自分に合ったものを
売買するときに注意することは、どのような媒介を利用して契約するかがポイントです。
多額の金額が動く家の売却で相手の言葉を鵜呑みにした対応は損をすることがあります。事前に理解して置くべきポイントを解説します。
3-1. 「仲介」と「買取」は違う
不動産会社が売買契約の際に使う言葉に、「仲介」と「買取」の2種類があります。
仲介は物件を買ってくれる人を探してもらい、見つけて契約したら、探してくれたお礼として仲介手数料を払います。買取は、不動産会社がそのまま物件を買い取ります。
仲介は、買ってくれる人を探してくれることが最大のメリットですが、売るまでに時間がかかります。
買取は、不動産会社が買ってくれるため資金が早急に必要な時にはメリットですが、仲介時の売却金額よりも金額が低くなることがデメリットです。
3-2. 媒介契約には3種類ある
専属専任媒介契約
不動産会社が仲介し契約を行う為、仲介手数料が発生します。
売る側と買う側両方から手数料をもらえる「両手取引」が発生することが多いため、不動産会社が売買活動を前向きに行うようになります。
1社が専属で売買サポートをするため、売る側は状況を把握しやすいという利点もあります。
専任媒介契約
一社でしか売買活動が出来ませんが、自分で見つけてきた買い手にも不動産会社を通さずに売買するメリットがあります。
自分で買い手を見つけた場合は不動産会社の仲介手数料が発生しないこともメリットとして挙げられます。
デメリットは専属専任媒介契約よりも不動産会社が積極的な活動をしてくれないことがあります。
一般媒介契約
複数の不動産会社と契約を結びますが、仲介手数料が発生するのは成約させた1社にしかないため、競い合って早く買い手が見つかるメリットがあります。
ただし需要がある物件は買い手が見つかりやすいが、条件が厳しい物件は買い手そのものが見つからないデメリットを含んでます。
物件の需要を把握した上で3つの媒介契約を選ばないと買い手が見つからないことがあるため注意が必要です。
4. 内覧も気を抜かない
4-1. 掃除と片付けは必須
買うか買わないかを決める重要なポイントです。内覧してもらう前には、掃除と片づけは必須と言えます。
室内の管理状況でも水回りは利用頻度が高く、問題があった際に生活に影響するため、内覧者が特に注意しているポイントと言えます。
購入後に隠していたことが発覚し、修繕が必要な場合もあり、買う側が住むに値しない場合があるからです。手入れをしていることをアピールする上でも掃除、片付けの対応は重要です。
4-2. リフォームは必要?
築年数が短い場合は必要ないケースが多いですが、長い場合はリフォームをすることで現状よりも高い金額で買い取りしてくれます。
水回りや、トイレなどが生活に必須な環境のため、優先的にリフォームしておくだけでも査定金額を上げる要因になります。
瑕疵担保責任について
覚えておきたい重要な責任があります。それは瑕疵担保責任です。
売却後に売った側が把握していない重大な欠陥や問題点が出てきても売った側が責任を負うことです。
買った側が状態を把握してから1年以内なので、3年間発覚しなくてものちに分かった場合には責任が発生するため、注意が必要です。
5. 売買契約に至ったらすべきこと
買い手が決まったと連絡があった際には、契約の準備が始まります。
売り出してからすぐに準備をする人がいますが、問題ない書類と、記載期日が古いと効果がない書類があることを覚えておくことが望ましいです。
必要な書類を準備する
戸建てとマンションで共通した書類と、どちらの建物かで必要な書類は変わります。
売買契約は発行までに時間がかかる書類が多々あるため、事前に申請をして準備をすることをおすすめします。
戸建て・マンションで必要な書類
- 登記簿謄本(登記事項証明書)
- 売買契約書と重要事項説明書
- 固定資産税通知書
- 本人確認書類
- 印鑑登録証明書
- 付帯設備及び物件状況確認書
- 住宅性能評価書
は原則的に必要とされる書類です。法律やお金が絡む重要な契約のため、事前準備が鉄則です。
戸建の場合に必要な書類
- 建築確認済証
- 設計図
- 土地測量図
マンションの場合に必要な書類
- 管理規約
- マンション維持費についての書類
6. 売却決定!いよいよ引き渡し
双方と仲介業者との間で念入りなやり取りを行い、売買契約を交わしたところで後日訪れる「引き渡し」
ここでは、契約を交わしているので行うことが限られますが重要な要素があるため、準備や気を付けるポイントがあります。
6-1. 必要な書類を準備する
契約を結ぶ際には必ず双方で準備する書類がありますが、今回は売る側が準備する内容を紹介します。
- 本人確認書類
- 住民票
- 銀行振込先情報
- 実印・印鑑証明書
- ローン残高証明書(残債があれば報告するため)
6-2. 契約破棄に注意
契約が結ばれると買う側から当事者同士で決定した前金を支払います。
引き渡しまでには期間があります。その間に資金調達をして引き渡しの際に総額から前金を差し引いた金額を支払うことで契約成立となります。
ですが、売る側が途中で契約破棄をした場合は、前金としてもらった額を返還した上で、同じ金額を買う側に支払う義務が発生します。
また、買う側が契約を破棄した場合には、前金を放棄する義務が発生します。
双方にとってマイナスとなる事案のため、契約締結の前に十分考慮した決断をしましょう。
ローン特約
現金一括で買う側が準備しているケースは稀です。そのため、ローンを組んで購入することが一般的です。
ですが、売買契約時にはローンが組まれていない可能性があります。その後に審査を挟み、貸付対応された金額で残った額を支払います。
しかし、買う側がローンを組めない可能性があります。その状態で契約させても支払いができないことは明確です。
そのために、「ローン特約」と呼ばれるローンが組めないときの契約は全て白紙にする特約があります。
買う側を守るための権利なので、売る側はメリットはありません。ですが、購入するときにはつける必要があるため、把握しておくことが必要です。
7. 家を売る時の注意点まとめ
家を売る際によく相談される2つのパターンがあります。ローンがあるときの家の売却と古い家の場合どう売るのかの2つです。
その2つについての解決策をまとめました。
7-1. ローン中の家を売るには
意外に思われますが、住宅ローンがあるときでも家を売ることはできます。
しかし、抵当権などの関係があり、売却後にローンを一括で返済できなければ家を売れないデメリットがあります。
残りのローンを一括なので、家の売却資金と自己資金を十分に確保しておかなければローン中の家は売れないと思っておくとよいです。
7-2. 古い家を売るには
マンションの場合
古いマンションは実は立地が良い物件が多いです。駅周辺がまだ住居計画されていな時期に建てられていることがあるからです。
そのため、立地はそのままに公共設備や修繕対応をするだけで売却時の査定を上げることが可能です。
立地面が優秀な場合、相場よりも高く取引されることもあります。
それは、安く買い取って建て替えず、中身を新しく作り替えたり、耐震強度を上げたりして価値を上げられるからです。
また、管理体制が適切になされている場合は、修繕費や管理費用として組合などが費用を回収する仕組みが出来ている物件として扱われ資産価値を上げる要因にもなります。
一戸建ての場合
戸建てが建てられてから20年以内であれば価値は少なからずありますが、それ以降は更地にして売る方が査定は上がります。
しかし解体費用は自己負担なので把握しておきましょう。物件の住宅診断をしてもらい価値を確認してもらうことが査定をするうえで重要な要素になります。
住宅状況を100以上の項目で診断しレポートを出してもらう為、不動産会社も金額の算出がしやすくなります。
8. 流れを掴んでスムーズな売却を!
不動産会社ではなく、個人で売却する際は初めての人が多く、不安になりながら売却します。
思い入れがある物件を適切な取引をされずに売買されることは良い取引とは言えません。
不動産会社に任せていれば大丈夫と頼りすぎず、売る側も売却までの流れや、知識、手続きの詳細などを把握しておくことが納得する売却を進められます。
売る側も買う側も納得いく形で取引するために、全体の流れを掴み、事前に準備する内容を確認することで上手な売却を行えます。
不動産売却についてご不明点がある場合は弊社にお問い合わせください。
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