アパートというと「木造アパート」を思いつく人が多いと思います。
昔のアパートはほとんどが木造二階建てなので、そのイメージが抜けないという人も多いかもしれません。
しかし最近はRC造のアパートも増えています。RC造はマンションで主流の建築方式ですが、その性能の高さからアパートでも好まれています。
今回はRC造とはいったいどんなものなのかを、ご紹介したいと思います。
これからアパートを建てようと思っている方、あるいは中古アパートを購入しようと考えている方など、賃貸経営に興味をお持ちの方のために、RC造のメリット・デメリットをまとめてみました。ぜひ参考にしてみて下さい。
目次
1. そもそもRC造ってどんな造り?
RC造とは「Reinforced Concrete」の略で、「鉄筋コンクリート造」のこと。
建物の主な部分に鉄筋の入ったコンクリートを使って建築されるものをいいます。
鉄筋にコンクリートを入れることで強い建物となり、耐久性や耐火性などに優れている造りに。最近ではマンションだけでなくアパートでの活用も増えています。
2. RC造(鉄筋コンクリート)の特徴とは?
鉄筋は引っ張る力が強いですが、熱に弱く錆びやすいという弱点があります。
コンクリートは圧縮力や熱には強いのですが、引っ張る力に弱いという弱点があります。
RC(鉄筋コンクリート)にすることにより、お互いの弱点を補い合い、より頑丈な造りにできるのが特徴です。
2-1. 耐震性について
RC造のアパートは、コンクリートの中に鉄筋を入れるという構造のため、圧縮力に強いコンクリートの長所と、引っ張る力に強い鉄筋の長所が、双方の弱点を補完してくれるので、地震に強い構造となっています。
重量が重いので地震の揺れはありますが、倒壊することは少ないでしょう。
2-2. 耐火性について
RC造のアパートなら、たとえば1,000度の高温に1時間以上さらされても耐えられると言われています。木造アパートとは比較にならないほど耐火性が優れていますね。
2-3. 遮音性について
RC造が遮音性が高いのは言うまでもないでしょう。
木造と比べると約10倍、遮音効果が高いと言われています。アパートでは騒音トラブルがよくあるので、RC造なら安心できますね。
2-4. 断熱性や気密性について
RC造のアパートは木造と比べて隙間がないので、気密性が高く、熱を外に逃がしません。そのため冷暖房が効きやすく光熱費の節約に繋がります。
2-5. 耐久性や寿命について
RC造のアパートは鉄筋とコンクリートの良さを活かして、とても強い構造に。
寿命は、法定耐用年数でいえば60年。実際の使用となるとそれ以上は耐えられると言われています。
実際RC造のアパートなどで60年以上のものも存在しています。
しかし耐震性や耐火性という観点から見ると、やはり古くなったコンクリートは性能が低下。そのため寿命50年という建築士もいます。
3. RC造とSRC造の違いは?|SRC造ってどんな造り?
SRC造とは「Steel Reinforced Concrete Construction」の略で、鉄骨鉄筋コンクリート造のこと。
SRC造は鉄骨を組み、周りに鉄筋を置きます。そこにコンクリートを流して造るので、RC造の真ん中に鉄骨が入るといったイメージ。アパートでもSRC造のところはあります。
4. RC造のメリットとは?
4-1. 防音性がある
RC造のアパートのメリットは、何と言っても防音性の高さ。
アパートやマンションなどの集合住宅は、騒音トラブルがよく発生。
騒音といっても、歩く足音や、テレビの音といった生活音に関する苦情がとても多いのです。
こうした騒音トラブル防止には、RC造が効果的。頑丈な造りなので、音が周囲に漏れにくくなっています。
ただしRC造だからといって油断はできません。
木造より遮音性は高いといっても、あまり大きな音を出すと、近所に聞こえてしまいます。
また壁や床の厚さなどで、音の伝わり方は物件によって異なるので注意しましょう。
4-2. デザインがオシャレで人気がある
コンクリートの打ちっぱなしなら、見た目がオシャレですね。
テレビドラマに出てきそうなデザインに見えるので、特に若い人には魅力的ではないでしょうか。また木造と違って柱もないので、お部屋がスッキリします。
4-3. 気密性が高い
RC造のアパートは気密性が高いので、冷暖房がよく効きます。木造であれば隙間が多いので、冷暖房の効率が悪くなります。
4-4. 耐震性・耐火性が高い
RC造のアパートは、耐震性・耐火性に優れています。
強度が強く、頑丈な構造で、地震などの倒壊リスクが低くなっています。
また火災が起こった時でも、木造に比べると火のまわりが遅いので、建物が全焼しにくいでしょう。
5. RC造のデメリットとは?
5-1. 熱伝導率が高くなる
RC造のアパートは気密性の高さのおかげで冷暖房が効きやすいのですが、逆に熱を外に逃がしにくいということから、夏場は熱がこもりやすく、冷房をつけないと暑くなります。
冬場も外の寒さが室内に伝わり、とても寒くなってしまうというデメリットが。
また気密性が高いおかげで、頻繁に空気の入れ替えを行わないと、カビが発生します。
コンクリートに付着すると汚れが取りにくいので、カビにならないよう風通しをよくするなどの注意が必要です。
5-2. 床が硬いので対策が必要になる
RC造のアパートで、コンクリートの床になっていればとても硬くなっています。畳に比べると座りにくいので、足腰に負荷がかかるかもしれません。
6. 防音性重視してアパートを選ぶ時のポイント7つ
①周囲の環境に注意が必要
防音性を重視する人は、大きな道路に面したアパートは選ばないでしょう。
そうした場所に木造アパートを建てると、夜でも騒音でうるさくなります。
そういった場所ではRC造がおすすめ。RC造のアパートなら、遮音性が高いので、ある程度音をさえぎることができます。
また幹線道路などに面していなくても、人通りが多い通りに面しているアパートであれば、近隣の人の声でうるさいかも。
アパートを選ぶときは、現地へ行って周辺環境をしっかりチェックする必要がありそうです。
②騒音トラブルが起きていいないか確認する必要がある
アパート選びにおいて、入居者による騒音トラブルがないか、事前にチェックしておきましょう。
騒音トラブルは空室率に影響します。周辺環境による騒音だけでなく、建物内の騒音というのも重要です。
もしRC造のアパートで騒音トラブルが起きていれば、コンクリートの遮音性が低いということになります。今後も同様のトラブルを覚悟しておく必要があるかもしれません。
③周囲の住人の情報を確認してみる
アパートの騒音の状況は、住人に聞くのが一番わかりやすいでしょう。
そのアパートにはどんな住人が住んでいるのか、これまでどういうトラブルがあったのかなど、アパートの状況を一番知っているのは管理会社でなく住人です。
アパートを選ぶときは、聞き込みをしてみるといいでしょう。
④角部屋を選ぶと良い
アパートの角部屋というのは、隣り合う部屋数が少ないので、四方八方、周囲の家への音漏れを気にする必要はありません。
音に敏感で、静かに暮らしたい方は、角部屋がおすすめです。
⑤ゴミ捨て場や駐輪場、郵便受けを確認しておく
アパートにはゴミ捨てルールがあったり、駐輪スペースが決められているなど、何かとルールが設けられています。
また郵便受けの場所というのも、アパートによって色々なところに設置されていて、なかには不便な場所にあるところも。
こうした共用部分や施設のルールは事前にチェックするようにしましょう。
⑥家にいる時間が静かかどうか
家にいる間は、静かに過ごしたいものですよね。たとえば昼間に仕事に出かけるサラリーマンであれば、家にいるのは平日は夜、土日は終日ということになると思います。
そうした時間帯、静かに過ごせるかというのは重要なポイントですよね。
しかし昼間に静かだったとしても、夜になると騒がしいエリアもあります。昼だけでなく、夜も現地へ行ってみるといいですね。
⑦建築構造がRC造か?
最後に、アパートの建築構造についてですが、遮音性を求めるなら絶対にRC造がおすすめです。
木造や軽量鉄骨では音がすぐに伝わります。静かに生活したい人は、RC造を選ぶのが確実ですよ。
7. RCとその他の建て方と比較!
7-1. 軽量鉄骨造について
軽量鉄骨造は厚さ6ミリ未満の薄い鋼材でできています。
造り方が独特で、アパートを建てる工場で部材を組み立てておき、現場に運んで組み立てるという方法。
そのため木造やRC造に比べると、工期が短くなっています。
7-2. 木造について
木造は、壁・柱・梁・屋根などを木材で造る建築物のこと。
RC造などに比べると建築費が安く済みます。その分アパート家賃も安くなる傾向があります。通気性や吸湿性に優れているのが特徴です。
7-3. 鉄骨造について
鉄骨造は骨組に鉄骨を使った建築物のこと。
厚さ6ミリ以上の鋼材を使った「重量鉄骨ラーメン構造」で、建物の重さを柱と梁で支える工法。耐久性に優れていて、高層マンションなどで使われています。
7-4. RS造について
RS造とは「Reinforced Steel」の略。
建物の下部分がRC造で、上の部分は鉄骨造というように、上下で異なる構造で造られます。高層には向かず、低層か中層のマンション向き。
7-5. WRC造について
WRC造は「壁式構造」と呼ばれ、柱や梁を使わない造りに。
そのため室内がシンプルで広々と使えます。高層には向かず、低層マンションでよく見かけます。
8. 建物構造別による家賃相場を紹介
建物の構造によって次のように家賃相場が分かれています。
構造 | 家賃相場 |
木造 | 約7万円 |
軽量鉄骨造 | 約8万円 |
鉄骨造 | 約9万円 |
RC一部鉄骨造 | 約10万円 |
鉄筋鉄骨コンクリート造(SRC) | 約10万5千円 |
鉄筋コンクリート造(RC) | 約11万円 |
このように木造とRC造では家賃相場が大きな差があるので、アパートを建てる時には建築費と家賃相場をよく計算して、どちらの利回りがよいか検討してみて下さい。
9. RC造のアパートを建てる時はメリット・デメリットを良く比較しよう!
このようにRC造のアパートは耐久性・遮音性など、多くの性能に優れているというメリットがありました。
しかしそのメリットが、デメリットを生んでいるというのも事実。アパート構造のどれを選ぶかは、その人次第。
何に重点を置くかによって選び方が変わってきます。もしアパートを建てるのなら、エリアの環境もしっかりチェックして、何を重点におくのかを決定しましょう。
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