低金利と言われる時代が長く続いていて、金融機関もローンの貸し出しに積極的です。
しかし、そろそろ金利が上りそうな気もします。ローンを組むのであれば今がチャンスなのでしょうか?
不動産購入に銀行ローンは欠かせません。
しかし、数ある商品のなかで、変動金利か固定金利かを選ぶのは難しいでしょう。
なぜなら、これから金利が上昇するかどかが大きく影響するからです。
そこで、今回は過去から現在に至る金利の推移から、購入のタイミングをご紹介します。
金利程度とバカにするのは禁物です。金利により返済総額が大きく異なることを認識しなければなりません。
目次
1. 過去30年間の住宅ローンの金利推移状況
1990年代まではバブル景気のおかげで高い金利が続きました。
しかしバブル崩壊後はゼロ金利政策もあり、現在まで金利はほぼ最低水準で推移。とはいえここ数年の変動金利型はほぼ横ばい。
一方で固定期間は少し金利が上下しています。
1-1. 過去3年間、フラット35の金利が1%代
過去3年間については、フラット35で全期間固定金利が1%台を推移しています。
団体信用生命保険に加入した場合でも1.5%を下回る金利になることが多いです。
今年に入ってからは若干の上下がありますが低金利を維持しています。
過去30年を振り返ると1991年の変動金利がバブルの影響で8.5%と高いものでした。
しかし、バブル崩壊やリーマンショックを経て現在のような低金利になっています。
1-2. アメリカの金利制作が上昇中、日本にどんな影響があるのか?
アメリカがクシャミをすると日本が風邪をひくというのを聞いたことがあるでしょう。そのアメリカで金利上昇の動きがあります。
影響は無いのでしょうか?金利は海外金利など様々な外部要因の影響を受けます。
しかし、日本では日銀の金融政策による影響が大きく、現在のように物価が年2%近く上昇していない状況で、金利が引上げられる可能性は低いでしょう。
2. 低金利で住宅ローンを借りるメリットはあるのか?
具体的に低金利でローンを借りることによってどれほどのメリットを得られるのでしょうか?
たとえば、2,000万円を35年の全期間固定金利で借り入れた場合でシミュレーションしてみましょう。
金利は、低金利時代の1.5%とバブル期の5.5%で比べてみます。
金利1.5% | 金利5.5% | |
毎月返済分 | 61,236円 | 107,403円 |
総返済額 | 25,719,333円 | 45,108,961円 |
バブルの頃とは景気が違うとはいえ、低金利による住宅ローンのメリットは計り知れません。
今を逃すと返済額が増える可能性がある
日銀が0金利政策を打ち出している今が金利の底だといえるでしょう。
しかし、今後は景気の動向にもよりますが金利は上昇すると予想されます。
3. 低金利によるデメリットは無いのか?
固定金利よりも変動金利のほうが低い金利が設定されます。
固定金利であれば金利が変動することはないのですが、変動金利だと金利のアップダウンがあります。
ダウンであれば良いのですが、今後はアップする可能性が高いのです。
4. 金利が変動する要因は何?
金利が上下する理由は、経済の動向や物価の変動です。
また、為替レートや海外金利などにより変動することもあります。
様々な要因により日銀が金利を設定し、その影響を受けて住宅ローンの金利も変動するのです。
4-1. 今後、金利はどう推移していくのか?
今以上に下がることはないと言うのが、大方の予測です。
上昇のポイントはデフレ脱却でしょう。
物価上昇率が2%に近づくかどうかによります。
現在のところ、しばらくは低金利が続くと言われています。
4-2. 金利の動向の確認が必要になる
固定金利であれば返済額が一定なのですが、変動金利であれば金利上昇のリスクがあります。
したがって金利の動向には注意しなければなりません。
場合によっては固定金利への借り換えを検討する必要があるでしょう。
5. プロが見る現在の住宅ローンの金利の動向
2023年11月時点の住宅ローンは、変動金利が低い状態で推移しています。
長期固定金利が前月に引き続き上昇したものの、10月には市場金利の上昇が落ち着きを見せたため住宅ローンの金利についても、わずかな上昇にとどまりました。
6. 変動金利が7年間変わっていない理由
固定金利は若干の動きが見られるのですが、変動金利は動きがありません。平成21年から7年間2.475%です。
変動金利が変動しない理由に、短期プライムレート(銀行が企業融資向けに使っている金利)が動いていないことが挙げられます。
住宅ローンの変動金利は、企業融資向けの短期プライムレートの影響を受けるからです。
現状では、低金利政策により金融機関の収益環境が厳しいため、短期プライムレートを下げられません。
そのため変動金利も動かないのです。
そうはいっても変動金利の住宅ローンを選んだ人は、固定型よりは低い金利になっているため損していることにはなっていないでしょう。
今後の短プラと変動金利の動向は、しばらくはこのまま推移しそうだという見方が大半です。
しかしいずれは上昇する可能性は否定できません。
トランプ大統領の発言や動向は金利に大きい影響がある
アメリカの金利を決める連邦準備制度理事会(FRB)は、4年の任期を務めたイエレン議長が2月に退任。彼女は任期最後の2023年12月に長期金利の値上げに踏み切りました。
アメリカ経済は好調を維持しており、これまでインフレ率よりも雇用優先で金利の引き上げには慎重な姿勢を見せてきました。
ところがイエレン議長の任期最後に急ピッチで金利が上がって、世界が注目しています。
後任のパウエル氏は長年FRBの理事を務め、共和党でありながらオバマ政権時代もFRBを支えてきた人物。これからのアメリカ経済を牽引していくことが期待されています。
ところがトランプ大統領においては、強硬な人事権の行使がニュースでも取り沙汰されています。
トランプ大統領の歯に衣着せぬ発言に、FRBも少なからず影響を受けることは否定できません。
7. 今後、金利は3%を超える可能性はあるのか?
現在の金利を底だと判断している人が少なくありません。
したがって、今後は上昇していくでしょう。ポイントは、3%を超える可能性の有無になります。
しかし、グローバル化された現在では、様々な要因が影響するので予測は難しいでしょう。
7-1. 今後、低金利の圧力から脱却はできるのか?
専門家によると、しばらくは低金利が続くと言われています。
日本は日銀のマイナス金利政策導入により、低金利で推移。
アメリカの金利引き上げは少なからず日本にも影響を与えるはずですが、バブル時代のような高金利になるかというと疑問が残ります。
専門家の今後の金利予想の大半は、しばらくは大きく上昇しないという見方。なぜなら中国などによる安価な製品が世界中に出回っている中、インフレが起こりにくいというものです。
つまり世界的デフレスパイラルからの脱却は難しいということ。そう考えると国内の金利上昇はまだ描きにくいところです。
7-2. 金利上昇が許容されない日本の財政事情とは
日本では、国内事情として1,000兆円を超える財政赤字を抱えています。国民一人当たりに換算すると850万円と世界でもトップクラス。
さらに国の財政事情をみると、日本の公債残高は上昇し続けています。
現在の財政状況で金利が上昇することは考えにくいです。
7-3. 資金の需要が増加しないまま、金利だけ上げる事はできるのか?
少子高齢化のなか、住宅購入の絶対数は減少していくことになります。さらに格差社会により若年層の収入が減少すれば、住宅ローンの市場自体が縮小されるでしょう。したがって、金利を上げることにより、さらなるローン需要の悪化をもたらします。
日本の人口減少問題を考えたら、住宅ローン市場規模は小さくなっていくと思われます。新築物件に対する資金需要は減少しますが、リフォームなどのローンは需要が増えそうです。
また最近では築古の中古物件に手を加えたリノベ物件も人気で、特に収入の少ない若い年齢層から支持を得ています。
昨今のサラリーマンの年収は低い水準を推移。こうした中、金利を高く設定するというのは難しい状況にあるのではないでしょうか。
8. 金利を見極めて、不動産を購入する事はできるのか?
インターネットを検索すれば、様々な金利予測が展開されています。しかし、実際のところ金利の予測はプロでも難しいでしょう。
現在のように経済がグローバル化されると、もはや国内だけの要因では判断できないからです。
変動金利の推移はその後の金利に対する相対比較で変わってくる
たとえば、バブル期の高金利時代に、現在のような低金利になることを予測した人はいなかったでしょう。
現在の変動金利の推移が高いか低いかは、もっと長い目で見た時に初めてわかるもの。
短期で断片的な見方をすれば低い水準ではありますが、将来の金利と相対比較することで、解釈も変わってきます。
そうなると、たとえば3%の金利が高いと感じるか、低いと感じるかは、人それぞれ受け止め方も違うかもしれません。
結局は35年の住宅ローンを払い終えた後で振り返った時に、はじめて現在の金利推移について評価ができるものなのかもしれません。
9. 金利変動リスクを抑える方法とは
変動金利の低いメリットを利用して貯えにまわすことで、金利の変動リスクに備えることが効果的でしょう。
また、金利変動のリスクを最小限にするためには、固定金利という選択肢もあります。
しかし、当面は変動金利のほうが金利を抑えることが可能です。
金利の動向に注意して、金利の変動に応じた固定金利への借り換えという方法もあります。
住宅ローンの金利は任せっきりは危険!自分で決断するのも大事
今回ご説明したように、住宅ローンの金利が決まる背景には、日本国内から世界情勢まで、さまざまな要素が絡んでいます。
そのためプロでも今後の社会経済の予測は不可能。そうなると住宅ローンを借りようとする人は、銀行や不動産屋など他人の意見を鵜呑みにするのはとても危険になります。
他人任せでなく、自分で判断していかなければ、後で大きな損失を出してしまうかもしれません。
何事においても最後は自己責任。また自分のことを最も考えてくれるのも自分です。
楽観的な意見や、「今がチャンス」といった軽々な謳い文句の宣伝には、懐疑的な見方をするくらいでちょうどいいかもしれませんね。
住宅ローンの金利推移は読みにくいものですが、目先の利益ばかりに目を向けず、長期的な視点を持って金利を選びましょう。
10. 金利上昇のタイミングの見極めが重要になる
不動産を購入するには、タイミングが大切です。特に金利については、借り入れの時期や商品を誤ると支払い総額で大きな損失を受けることにもなりかねません。
しっかりと見極めてください。しかし、実際のところ金利を予測することは難しいでしょう。
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