2024年2月の国会において、政府が日本銀行の黒田総裁の再任を決めたことで、引き続き強力な金融緩和を続けていくことを決定しており、低金利政策も継続。
マイナス金利政策を実施以来、金融機関の預金金利はほとんどつかない状態が続いており、資金の運用先として株式投資や不動産投資といった「投資」に注目が集まっています。
不動産投資を行うにあたっては収益物件の購入が必要となり、金融機関から不動産投資ローンを借りて購入することになります。
今は、低金利時代ですから当然不動産投資ローンの金利も以前と比べると非常に低く設定されていますが、米国は段階的に利上げを行っているので将来的には日本も金利上昇は避けられないと思われます。
そういった状況を踏まえて今は不動産投資をするべきなのでしょうか。
今回は、不動産投資における不動産投資ローンについてお話したいと思います。
目次
1. 不動産投資ローンは低金利の今がおすすめ
不動産投資で成功する為には、いかに条件の良い融資を受けることが出来るかが重要。
収入はより多く、返済はより少なくすることで安全な投資ができます。
条件の良いローンと言えば住宅ローンがあり、金利も安く、融資期間も長期で30年~35年の選択が可能。
住宅ローンが不動産投資に使えれば非常に有利だと思いますが、住宅ローンはあくまで居住用。
そのため、金融機関は、不動産投資に特化した不動産投資ローンを用意しています。
不動産投資ローンを利用するにあたってはどういった点に注意すればいいのでしょうか?
1-1. 不動産投資ローンと住宅ローンの違いには何があるのか?
住宅ローンは、国民の住環境を守るため、居住用の住宅購入資金として条件の良いローンを提供しています。
2024年3月現在の住宅ローンの金利は、変動で0.4%台、5年固定で0.8%となっており、融資期間も最長35年。
この条件で不動産投資をすれば非常に有利な投資ができそうですが、居住用のみで不動産投資には利用できません。
住宅ローンの審査は、居住用のため、物件の評価と借り手の年収や勤務先などの属性を重視。
不動産投資ローンは投資用なので、審査においては物件の評価、借り手の属性に加えて物件の収益性が重視されます。
不動産投資は、金融機関からすると賃貸事業への融資となるので、その物件が収益を上げて返済が問題ないかを見る訳です。
そのため、その不動産投資がリスクが低いと判断すれば金利は安くなり、リスクが高いと判断すれば金利は高くなります。
1-2. 不動産投資をするなら低金利の今がおすすめ?
同じ不動産投資をするなら当然低金利で融資条件の良い方がいいですよね。
金利については、日本銀行の黒田総裁が続投になったことで当面低金利政策は継続が予想されます。
物件価格は高騰していますが、低金利下の状況にあります。
不動産投資ローンであれば融資期間もある程度長く組めるので、毎月の返済額も抑えることができるので安全性の高い不動産投資が可能。
当面は続く低金利時代の今こそだからこそ不動産投資を始めることをおすすめします。
1-3. 金利が低いと実質利回りはどうなるのか?
では、金利が低いと実質の利回りにはどういった影響があるのでしょうか。
実質利回りは、物件の利回りから銀行の金利、運営費などの経費を引いて計算します。
例えば、表面利回り8%の物件があり、銀行の金利が3%だと5%になりますので、そこから運営費などの経費を引くと実質利回りは3%程度。
実質利回りは、銀行の金利の上下によって変わりますので、例えば、銀行金利が2%下がれば実質利回りは4%程度に上がり、銀行金利が4%に上がれば実質利回りは2%に下がることになります。
1-4. 不動産投資ローンを利用するにあたっての注意点
不動産投資ローンを利用する際はどういった点に注意すればいいのでしょうか。
現在は、低金利で融資環境も良く、不動産投資ローンは借りやすい環境にあると言えます。
しかし、いくら借りやすいとは言え、とにかく不動産を買えばいいという訳ではありません。不動産投資は投資とついていますが、実際には貸家業という事業です。
そのため、事業として収益を上げられないような不動産を買ってしまうと事業は成り立ちません。
不動産投資ローンは、事業として金利や借入金額は適正か、きちんと運営はできるのかを分析した上で借入するかどうかを検討しましょう。
2. 不動産の金利上昇によるリスクについて
不動産投資は、株式投資やFX投資のようなハイリスクハイリターンの投資と比べると、比較的リスクの低いミドルリスクミドルリターンの投資と言われています。
しかし、いくらリスクが低いと言っても投資ですからリスクはあります。
特に、滞納や空室リスクは収入が入ってこなくなるので即運営に影響を及ぼしますが、それと同じくらい怖いのが金利上昇のリスクです。
2-1. 不動産の利回りによるリスクについて
不動産の評価鑑定基準における利回りの算出方法のひとつに、10年物国債利回りに不動産のリスクプレミアムを加える方法があります。
「不動産の利回り」=「10年物国債利回り」+「不動産のリスクプレミアム」
10年物国債は国が発行する債券なので、基本的にはデフォルトすることはないだろうということで長期金利の代表的な指標として使われます。
不動産のリスクプレミアムについては、金利が上昇する元利変動リスク、すぐに売却出来ないといった流動性のリスク、天変地異による倒壊リスクなどがあります。
2-2. J-REIT投資法人や私募ファンド、機関投資家が借り入れをする時のリスクについて
J-REIT投資法人・私募ファンド・機関投資家は、不動産投資ファンドの運営を行うにあたって金融機関から借入をします。
借入にあたっては、万が一融資の返済が滞ったときには、対象不動産と賃貸収入のみに限定されるノンリコースローンを使います。
会社が事業で利用するようなコーポレートローンであれば、会社が保証人となるのと同じなので会社の資産にも影響を及ぼしますが、ノンリコースローンを使うことでファンド以外の資産等に影響が及ぼすリスクを回避しています。
そのため、金融機関としては、物件が地震などで倒壊した際に資産価値がゼロになってしまうリスクがあり、金利はコーポレートローンに比べて高く設定されています。
2-3. レバレッジ効果のリスクを知っておこう!
不動産投資において、レバレッジ効果を使うと自己資金の収益性を高めることができます。
金融機関から借り入れをして大きな不動産を買うことで、少ない自己資金で大きな収入を得ることが。
これをテコの原理=レバレッジ効果と言います。
自己資金が少ないほど収益性は高めることができますが、その分借り入れが増え、毎月の返済が増えるためキャッシュフローが少なくなってしまうのでリスクは高まります。
3. 不動産投資は金利があがるとどうなるのか
実際に不動産投資において、不動産投資ローンの金利が上がるとどうなるのでしょうか。
現在は、低金利なので、アパートだと年利1~2%台、区分マンションで2~3%台。
しかし、低金利政策はいつまでも続けることはできませんのでいずれは金利は上がることが予想されます。
金利が上がると返済が増えますので、不動産投資の収益を圧迫する要因に。
3-1. 金利が上昇すると不動産投資はどうなる?
不動産投資では、空室リスクや滞納リスクなどリスクが多くありますが、金利の上昇もリスクのひとつ。
金利が上昇した場合は、毎月の返済金額が増えてしまうので投資のリスクが上がることに。
逆に、賃貸物件を購入することを考えると、金利が上がると物件価格が下がるので、利回りがいい優良な物件を手に入れるチャンスになります。
3-2. 金利が上がった時の不動産賃貸の経営のデメリットについて
不動産賃貸の経営において、金利が上がった場合は返済金額が増えるため収益を圧迫することになります。
例えば、5,000万円の融資を30年借りた場合、金利を2%とすると年間の返済は約221万円になります。
金利が3%になると年間の返済は約253万円となり、2%の時と比べると32万円返済が増えます。
利回りの低い物件であれば、最悪の場合は収益がマイナスになることも。
3-3. 金利が上がった時の不動産賃貸の経営のメリットについて
金利が上がると賃貸物件を持っていると収入が減り、デメリットとなりますが、賃貸物件を購入するとなるとメリットに変わります。
金利が上がると賃貸物件の所有者は収益が悪化するので売却したいと人が増え、売却物件が多くなります。
しかし、金利が高くなると借り手が減るので物件価格は下げるしかありません。
不動産賃貸の経営において、金利が上がった時は賃貸物件の価格が下がり、利回りの高いお宝物件を購入するチャンスと言えます。
3-4. 金利の上昇に備えるにはどうすればいいのか?
金利が上昇すると収益が減ることになりますので、金利の上昇に備えるには頭金を入れるなどして返済金額を調整できれば安心です。
そうすれば、毎月のキャッシュフローも増えますし、金利が上昇しても収益を確保できます。
しかし、資産拡大したい際には自己資金をできるだけ使わずに借り入れをして物件を購入したいと思います。
その場合は、金利上昇に備えて、繰り上げ返済できる資金を積み立ててておく、利回りの高い収益力のある物件を購入する等しておく必要があります。
4. 不動産投資の金利の相場について
住宅ローンと比較して不動産投資ローンの方が金利は高く設定されています。
金融機関からすると、不動産投資ローンは賃貸事業への投資となるので、自宅を購入する住宅ローンに比べてリスクが高いので金利も高くなります。
金利については、金融機関の規模や対象不動産の規模や構造、融資を受ける人の資産背景や年収などの属性によって変わります。
不動産投資ローンの金利の相場はどれくらいなのでしょうか。
4-1. 不動産投資の金利の相場はどれくらいか?
不動産投資ローンの対象物件は、数百万円~数千万円の投資用ワンルームマンションと数千万円~数億円の一棟アパート、マンションに分けられます。
ワンルームマンションと一棟アパート、マンションでは金利は大きく違います。
不動産投資ローンの相場としては、ワンルームマンションで2%~4%台、一棟アパート、マンションだと1%~3%台となっていますが、大手銀行や信用金庫など銀行の規模に金融機関の規模によって開きがあります。
4-2. 大手銀行と信用金庫の現在の金利について
都市銀行の場合は不動産投資ローンはほとんど取扱いがなく、資産や現金を持っている地主や年収数千万のいわゆる「高属性」と言われる人でないとまず融資を受けられません。
不動産投資ローンを得意としている大手銀行では、ワンルームマンションは、2%台、一棟アパート、マンションであれば、1%~2%台です。
地方銀行は、ワンルームマンション、一棟アパート、マンション共に2%台~3%台、信用金庫の場合は3%~4%台となっています。
4-3. 不動産投資ローンの金利のタイプには2種類ある
不動産投資ローンで利用できる金利には、固定金利と変動金利の2種類があります。
固定金利は、一定期間同じ金利で融資を受けることができます。
金融機関にとっては金利変動時にリスクとなるので、長期融資となる不動産投資ローンについてはほとんどの場合が変動金利となります。
固定金利が利用できるのは一棟アパートなど金額の高い物件で、その場合3年・5年・10年の固定金利を選択できるケースも。
変動金利は、金融機関によって変わりますが年2回程度、金利の見直しを行うので変動を伴います。
一般的には固定金利よりも金利が安く設定されていますので、 低金利制作の今であれば、変動金利で投資する方が不動産投資は有利ですね。
4-4. 不動産投資ローンの審査基準はどんなものか?
不動産投資ローンでは、購入する物件とローン申込者の審査をします。
購入する物件の審査については、土地と建物を積算した積算価格で物件を評価する積算法と物件の収益性を重視する収益還元法で物件の評価を行います。
どちらかというと収益還元法で見てくれる銀行の方が物件の評価は高くなる傾向にあります。
ローン申込の審査については、勤務先や年収といった属性・自己資金・株式や所有不動産などの資産内容を元に、返済与信がどれくらいあるかを審査します。
最終的な金利や融資金額などの条件については、物件とローン申込者を総合的に見て判断します。
4-5. 日本政策金融公庫で資金を借りる方法もある
大手銀行や信用金庫で不動産投資ローンを借りたいと思っても、審査が通らず融資を受けられないケースも。
その場合は、日本政策金融公庫で資金を借りる方法もあります。
日本政策金融公庫は、事業支援目的で融資をしてくれますので、融資を受けるには賃貸事業として認めてもらう必要があります。
融資条件は、融資金額によって上下しますが固定金利で1%台、最大4,800万円の借入が可能です。
しかし、融資期間が10年、年齢や性別などの条件によっては最長20年と期間が短いので、毎月の返済金額が多くなる為、ある程度頭金を入れないと収支はマイナスになるのであまり大きな物件の購入は難しいと思います。
5. マンション価格について
マイホームの購入するにあたって、以前は戸建てを希望する人が多かったのですが、最近では車を持たない人が増えて駅から近い中古マンションが人気。
中古マンションを購入する場合に住宅ローンを使用しますが最近は上昇傾向にあります。
次は、中古マンションと金利の関係についてお話ししたいと思います。
5-1. 金利下がると中古マンションの価格はどうなるのか?
金利が下がった場合、中古マンションの価格は上がります。
金利が下がるとローンの支払総額が減り、その分価格が上昇しても購入した方が得になので、購入希望者が増えるため価格は上昇する訳です。
例えば、5,000万円の融資を受けて期間30年で金利1.5%のローンを組んだ場合、年間の返済は約200万円となり総額で約6,000万円の支払、金利が0.5%は年間の返済は約180万円となり、総額で約5,400万円と600万円の差となります。
600万円程度なら上昇しても買ってもいいということになります。
5-2. 金利が変化する事により中古マンションの価格が大きく変動する
中古マンションの価格は、金利が下がれば返済総額が減るのでその分上がり、金利が上がれば返済総額が増えるのでその分下がります。
金利が変化することで中古マンションの価格は大きく変動しますので、購入時の金利は非常に重要です。
5-3. 中古マンションの価格に影響するのは在庫の推移と株価?
金利以外で中古マンションの価格に影響するのは、在庫の推移と株価。
中古マンションの在庫は、在庫が多いと早く売らないといけないという心理が働くので価格は下がり、在庫が減ると購入できない人が出るので取り合いになり価格は上がります。
日経平均株価については、株価が上がると生活に余裕ができる、景気が良いというイメージを持ちやすいので購入する余裕ができます。
すると購入者が増え価格は上がり、株価が下がると景気が悪くなり収入も減るので購入者が減り価格は下がります。
5-4. アメリカ大統領の政策で金利の変動がある場合もある
現在のアメリカの大統領はトランプ大統領ですが、アメリカの中央銀行であるFRB(連邦準備制度理事会)には急激な政策金利の引き上げは景気に影響が出るので緩やかな上昇を要求しています。
しかし、今後段階的にFRBが政策金利を引き上げると円安が進み貿易摩擦を生む恐れもありますので、日本もある程度の利上げをしないケースも考えられます。
6. 不動産投資は金利の上昇に弱いので、今後の投資は見極めが必要になる!
不動産投資のリスクのひとつである金利の上昇。
滞納リスクや空室リスクはある程度努力でカバーできますが、金利については日銀が決めることなので個人ではどうすることもできません。
今後不動産投資をするにあたっては、金利上昇リスクを踏まえた上で投資しましょう。
頭金を入れ毎月の返済を抑えておく、資金を準備しておく、利回りの高い優良物件を購入するなど、金利が上昇しても運営できるかどうか見極めが必要になります。
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