不動産経営や会社経営において、バランスシート(貸借対照表)は避けて通れないものですが、同時に敬遠しがちの分野でもあるのではないでしょうか。
今回はバランスシートについて知りたいという人だけでなく、
初めて経理に触れる方や、個人で資産を管理しようと思っている人、これから不動産経営、アパート経営を考えている人にもわかりやすく解説していきます。
貸借対照表は英語でBalance sheetと言い、BSと略記することもあります。
ちなみに、損益計算書はProfit and Loss statementをPLと略記します。
バランスシート(貸借対照表)が貸し借り状況をまとめたものであるのに対して、
損益計算書は利益と損害をまとめたものです。
特に不動産経営においては、バランスシートをマスターすると、経営状況やリスクなどが一目で感覚的にわかるようになりますので、ぜひこの機会に身に着けてください。
目次
経営状況をバランスシートから分析
バランスシート(貸借対照表)とは?
バランスシートとは、ある時点での財務状態を表したものです。
したがって、作成時点の日付が明記されます。
バランスシートに記すものは「資産」「負債」「純資産」の3種類です。
- 資産・・・保有しているお金の財産のことを指し、現金に限りません。売掛金や土地・建物など固定資産も含まれます。
不動産投資では、保有している物件の評価額や、家賃収入による現金などが資産に入ります。 - 負債・・・銀行へ返済する必要がある融資など、借りているものが当てはまります。
借入金や未払金、物件を建設した際のローンが負債にあたります。 - 純資産・・・返さなくてよい資金(自己資金)です。
バランスシートでは左側(借方・かりかた)に資産、右側(貸方・かしかた)に負債・純資産を記します。
このとき、必ず貸方・借方の金額が等しくなります。「資産=負債+純資産」の関係です。
バランスシートと不動産投資の関係性|見えてくる資産状況
ではここで、不動産投資の状態をバランスシートに記したとしましょう。
まず資産の部を見れば、保有している不動産の価値や規模がわかります。
これとあわせて、現金預金額や売掛金額から、不動産や会社のおおよその経営状態も見えてきます。
貸方に記される負債と純資産は、資金の出どころ(調達方法)を意味しています。
ここから、保有している不動産が自己資金で建てたものなのか、ローンを組んで建てたものなのか、わかります。
このように、バランスシートを見ることで、自己資本と借入金のバランス、不動産の規模に対する収入のバランス、借入金とのバランスなど、多くの情報を一目で確認できます。
資産と負債がはっきり見えてくる
バランスシートの見方を学ぶと「負債を小さく、資産を大きくすべきである」ということが、わかってくるのではないでしょうか。
しかし多くの人は負債と資産の違いもわからないものです。
バランスシートを実際につけてみると、それらがはっきり見えてくる、という大きなメリットがあります。
特に資産は「お金を生むもの」と言われます。
持っているだけで価値が上がったり、お金を増やしてくれるものです。
具体的には金・プラチナ、債券、不動産、著作権、特許権などです。
負債とは、逆に「お金を奪うもの」です。
ローンを組むと返済するばかりでなく、金利が積み重なっていき、返済すべき金額がどんどん増えていきます。
不動産投資家に必要な損益計算書(P/L)の読み方
損益計算書|年間の純利を見る
バランスシートと同様に、重要な財務諸表のひとつが「損益計算書(P/L)」です。
バランスシートが、ある時点での状況を表すのに対して、損益計算書はある期間での収益と費用を表したものです。
年度初め(期首)から、年度末(期末)までの一年間の期間で区切って決算書として用いられることが多いです。
一年間に得た利益と、その利益を得るためにどれだけの費用を要したか。そして利益から費用を引いた残りが「純利益」です。
損益計算書を活用して不動産投資を成功させよう
不動産業は、特に営業利益率が高い業界と言われています。
人件費が安いことが大きな原因ですが、損益計算書を活用すると、さらに利益率を上げることができます。
不動産投資においては、毎月の融資返済額は一定ですが、家賃収入は必ずしも一定ではありません。
また、どんなに営業努力をしたとしても、満室の状態が最大収入となります。
したがって、不動産業においては、利益を増やすためには、費用を削減することが重要です。
損益計算書を使うと、どの費用を削ればよいか、一目で理解できます。
バランスシートに見える不動産投資のリスク
純資産を意識することが重要なポイント
不動産投資には様々なリスクがあります。
保有している物件は、年数が経過するごとに資産価値が減少してしまいますし、入居率低下も大きなリスクのひとつです。
このようなリスクも、バランスシートを用いることで、この先の経営を見通したり、方針を定める際の指標とすることができます。
不動産投資のリスクを明確に知るには、純資産を意識することが重要です。
純資産とは、返済の必要がない資産のこと。不動産投資では、自己資金がそれにあたります。
不動産投資をバランスシートの視点で見た場合の例
ここで一つ例を挙げます。500万円の自己資金があったとして、
- 2,000万円のアパートを建設した場合
- 5,000万円のマンションを建設した場合
の2つの場合を比べてみましょう。
どちらの純資産は500万円で同じですが、
資産が2,000万円となる例では、負債が1,500万円
資産が5,000万円となる例では、負債が4,500万円
資産が大きいと、その分家賃収入なども多く見込めますが、負債も大きくなります。これは当然のことですが、負債と純資産(自己資産)を比べた時、バランスが悪いと感じるのはどちらでしょうか。
不動産投資のコツ|積み重ねがポイント
バランスシートで不動産投資のリスクを理解できたら、次は具体的な対策を考えましょう。
資産・負債・純資産それぞれのバランスが崩れると、倒産、破産、といったリスクが迫ってきます。
これを避けるには、やはり積み重ねがポイントです。初めから大きなリスクを背負わずに、まずは少しずつでも純資産を増やしていくことを心がけましょう。
純資産が増えると、徐々に大きな負債にも耐えられるようになっていきます。
すでにバランスが崩れ始めているという場合は、できるだけ負債を減らし、純資産を増やしていくために何をすべきか考えてみましょう。
その際にもバランスシートが活躍するのは間違いありません。
バランスシートの分かりやすい書き方について
不動産投資を始める上で必要になるバランスシート
不動産投資を始めて家賃収入を得るようになったら、多くの方は確定申告が必要になります。
バランスシートおよび損益計算書は、確定申告にも用いられる財務諸表です。規定の要件を満たすことで青色申告が可能になり、納める税金額が減ります。
会社を設立して不動産業をやっている場合は、バランスシートは必須です。ほとんどの企業は、財務諸表を提出することが義務付けられています。
バランスシートで経営状態を確認し不動産投資を成功させよう!
バランスシートの読み方を覚えると、不動産投資だけでなく、会社経営の状況や、資産の管理方法が一目でわかるようになります。
収入の少ない不動産は、負債と割り切って売却したり、それで得た収入を別の不動産に投資するなどすれば、さらなる収入が見込める場合もあります。
読み方を覚えたら、次はぜひ実践に移していただきたいです。バランスシートを活用して不動産投資を成功させましょう!
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