日本銀行が2月8日に発表したデータによると、平成29年の不動産融資が前年に比べて減少したことがわかりました。
これは日銀が平成25年に大規模な金融緩和策を導入して以来、初めてのことです。
「不動産投資ブームは落ち着いた」と言われますが、不動産投資セミナーが活発に催されるなど、一方では「むしろこれから」という見方もあります。
日銀から発表されたデータを通して、不動産市場の現状と今後について見ていきましょう。
不動産融資減少の背景
株式市場や経済環境が不安定な中、不動産投資は比較的安定して収益を得られる分野とされ、注目が集まりました。
加えて、アパートローンの登場で不動産ブームは一気に加速、多くの関連業者が乱立し、市場は急速に発展しました。
しかし、ブームを利用した悪質な業者も登場し、社会問題として課題が浮き彫りになりました。過剰な銀行融資がその一因という見方も強まり、昨年夏ころから不動産分野への新規参入者に対する融資が厳しくなっています。
こうした背景を踏まえ、特に地方の銀行での不動産融資が減少しているようです。
日銀が8日発表した1月の貸出預金動向(速報)によると、全国の銀行(都市銀行、地方銀行、第二地方銀行)の貸出平均残高は前年同月比2.3%増の454兆9111億円だった。76カ月連続で前年実績を上回った。M&A(合併・買収)や不動産関連の貸し出しが引き続き堅調だった。
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL08H8B_Y8A200C1000000/
日本経済新聞ー2021/2/8 9:28 1月の銀行貸出残高、前年比2.3%増 M&A向けなど伸びる
アパートローンとは使途限定ローンの一種です。
通常、ローンを組んだり融資を受ける際は、返済能力を一定の基準で審査されることになりますが、アパートローンの場合、アパート経営による収入を返済に充てることがほぼ前提になっています。
収入を基にした判断よりも物件の価値に焦点が当てられるので、年収が低くとも審査が通りやすいという特徴があります。
不動産市場のこれから
確実に不動産投資ブームは沈静化している様子ですが、過熱しすぎたブームが終わりを迎えただけであって、不動産市場がこのまま一方的に縮小してしまう、ということではありません。
一方で、年間ベースで見ると不動産融資は減少していますが、月間ベースで見ると不動産融資が堅調だったという結果になりました。
日銀は8日、全国の銀行による平成29年の不動産業向け新規貸出額が前年比5・2%減の11兆7143億円と発表した。前年を下回ったのは11年以来6年ぶりで、日銀が25年に大規模な金融緩和策を導入後、初めて。
過剰な貸し付けが問題視された銀行カードローンは、29年12月末時点の貸出残高は5・6%増の5兆7460億円だった。
日銀が都市銀行や地方銀行などを調査した。
http://www.sankei.com/economy/news/180208/ecn1802080026-n1.html産経ニュースー2021.2.8 11:01 不動産融資、前年下回る 平成29年、日銀緩和後初めて
不動産商品はフルローンで始められて、高レバレッジをかけることができるなど、強い魅力を持っています。
しかし2023年問題や人口減少問題なども目前に控えており、今後は都市部や資産価値を持つ不動産商品に人気が集中する一方で、地方や利便性の悪い物件は一向に売れない、といった二極化現象になると言われています。
一見すると沈静化したかのような不動産市場ですが、水面下で活発になっているのが不動産投資セミナーです。
開催件数の増加は著しく、この6年間で10倍に増加したというデータもあります。
どんな物件でも投資さえすれば儲かる時期は終わり、市場は新たな局面を迎えました。
不動産市場は次の段階へ移行しました。
現在はすでにその前触れで、嵐の前の静けさなのかもしれません。
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