「不動産投資を始めたいけど、自然災害の被害が心配」という方もいるのではないでしょうか。
台風や地震など、災害大国とも呼ばれる日本では、災害リスクは常につきまといます。
しかし、最近よく耳にするようになった「ハザードマップ」や保険を利用することで、そうしたリスクを最小限に抑えることは可能なのです。
この記事では、不動産投資における自然災害のリスク、そのリスク回避のために活用したいハザードマップについて詳しくお伝えします。
目次
1. 不動産投資をする上で自然災害のリスクを把握する
不動産投資では物件購入後にできるだけ資産価値を維持することが大切ですが、その資産価値に影響を与える要因の一つとして環境的な要因が挙げられます。
災害大国ともいえるこの国で不動産投資を行うなら、物件がどのような場所に位置し、
どういった自然災害のリスクが予想されるのかをしっかりと把握する必要があるといえます。
不動産投資を始めるにあたり、すでに物件を購入していてすぐには売却できない方もいるでしょうし、
これから購入しようという方でも「絶対に自然災害の被害を受けることがない場所」を見つけるのは不可能に近いでしょう。
しかし、リスクをきちんと把握し、それに対する対策を講じておけば損害を最小限に抑えることもできます。
まずは自然災害の種類やそれぞれのリスクを知ることから始めましょう。
近年自然災害による被害が増えている
海に囲まれた島国である日本は、もともと地震や台風といった自然災害が多い国。
近年では2024年の西日本豪雨や北海道胆振東部地震、2024年の台風15号や台風19号をはじめとする自然災害による被害が目立ちます。
今まで自然災害の被害が少なかった地域でも、近年の災害で大きな被害に遭い、今後も地球温暖化による気候変動で、大雨や台風などの自然災害は増えていくと予想されます。
いまや日本の中で「ここなら絶対に安心」といえる地域はないと考えたほうがいいでしょう。
自然災害によるリスクを把握する
自然災害にも大雨による洪水や地震など、いくつかの種類があります。
それぞれ不動産投資物件にどんなリスクがあるのかを把握しておきましょう。
水災によるリスク
台風などによる大雨で降水量がかなりの量になったときには河川の氾濫や崖崩れが起こります。
河川の氾濫で洪水が起こると、床上・床下浸水で住宅は大きな損害を被ります。
浸水した場合、
- 水の排水
- 部屋の乾燥や消毒
- 建物が損壊した場合はリフォーム
が必要になり、労力もお金も大きな負担となってのしかかってくることに。
日本の広い範囲で大きな被害をもたらした2024年の台風19号では、
- 床上浸水が16都県29,982棟
- 床下浸水が21都県23,103棟
と計53,000棟を超える住宅が浸水被害を受けています。
参考:日本経済新聞 台風19号の住宅被害5.6万棟西日本豪雨を上回る
地震によるリスク
世界的に見ても地震が多い国である日本は、地震によって起こる津波のリスクも見逃せません。
1981年に新耐震基準が定められてからより地震に強い建物が建てられるようになり、
2011年の東日本大震災では自身に直接起因する建物の全半壊は1万棟ほどにとどまりました(1995年の阪神淡路大震災では約25万棟)。
しかし、津波の被害は建物の丈夫さでカバーできるものではないため、物件が津波の被害を受ける可能性が高い場所にあるかどうかを確認することが重要になってきます。
自然災害後に起きる二次災害のリスク
自然災害では、所有する物件が被害を受けるだけでなく、その後の二次災害で被害を被るリスクもあります。
不動産投資における二次災害とは、被害が出た地域近辺の土地・建物の価格の下落です。
大きな自然災害の後には、被害を受けた土地およびその土地にある建物の資産価値が下がる傾向に。
資産価値が下がると、売却しようと思ったときにもなかなか売れない・希望する価格で売れないといったことが起こりえます。
2. 自然災害に備えるためにハザードマップを上手く活用する
近年自然災害が増えてきたことから、注目されるようになってきたハザードマップ。
過去の災害データをもとに、洪水や津波などの自然災害が起こった場合の避難場所、被害予想区域や被害の程度を地図に表し、わかりやすく色分けしたものです。
ハザードマップは各自治体ごとに作成されており、自治体の窓口でも入手可能ですが、
各自治体のホームページや後ほど紹介する国土交通省運営のハザードマップポータルサイトでも閲覧可能です。
ハザードマップを上手く活用する
不動産投資を行うにあたり、自分の土地勘のある場所以外で物件を購入することもあるでしょう。
そうしたときには、ハザードマップを活用してできる限り災害リスクの低い場所の物件を探すのがおすすめです。
残念ながら100%安全な場所は存在しませんが、ハザードマップは高い精度で作られているため、参考にすればリスク回避に役立ってくれるはずです。
ハザードマップの種類を知っておこう
ハザードマップは以下に示すように複数の種類に分かれています。
- 洪水ハザードマップ
- 内水ハザードマップ
- 高潮ハザードマップ
- 土砂災害ハザードマップ
- 地震災害ハザードマップ
- 火山防災ハザードマップ
- 津波ハザードマップ など
火山防災ハザードマップと津波ハザードマップは、
国でそれぞれ火山災害警戒地域・津波災害警戒地域に指定された自治体が作成・公表することになっています。
また、土砂災害警戒区域(イエローゾーン)に物件が建っている場合、
宅地建物取引業者は警戒区域に関する書類を依頼主に渡し、説明する義務があります。
不動産投資をする上で、ハザードマップを確認する必要性
物件購入時には、築年数や利便性、周辺の環境を重視しがちですが、災害リスクもしっかりと確認しておきたいポイントの一つです。
わざわざ災害リスクが高いところに住みたいという人はいないはずですし、
不動産投資をする上でもわざわざ災害リスクが高いところの物件を購入したいとは思わないですよね。
過去頻繁に災害が起きているエリアの物件は、思うように売却できないというデメリットも出てきてしまいます。
地震のように突発的に起こる災害は予測が難しいですが、洪水や土砂災害などの被害程度が予測されている災害に関しては、ハザードマップを十分に活用したいものです。
ハザードマップによる不動産投資の影響
「できる限り安全な場所にある物件を買いたい」というのは、誰しもが望むことです。
しかし、ハザードマップ上で災害リスクが低いと想定されるエリアの土地や物件は高い傾向にあり、予算オーバーとなる可能性も考えられます。
3. ハザードマップによる自然災害の確認
前述のとおり、ハザードマップは各自治体で作成されています。
一般的なハザードマップは災害別になっているものがほとんどであるため、すべてに目を通すのは少々面倒。
そんなときに活用したいのが、国土交通省が運営するハザードマップです。
国土交通省が運営しているハザードマップ
国土交通省が運営するハザードマップポータルサイトでは、
各自治体が発行するハザードマップが閲覧可能なだけでなく、洪水や土砂災害など複数の災害のリスク情報を地図上に重ねて表示可能。
これなら、複数のハザードマップに目を通すことなく効率的に災害リスク情報が得られます。
スマホからもアクセス可能なので、物件探しに出かけた先でもすぐにチェックできます。
ハザードマップは定期的に更新されるので、こまめに確認するとよいでしょう。
4. ハザードマップを上手に活用して、安全なエリアで不動産投資をしよう
気候変動などの影響により、今後も自然災害は増えていくと予想されます。
自然災害で大事な物件が損害を受けるといったことは考えたくはないですが、誰が被災してもおかしくない時代です。
「自分は大丈夫」など過信せず、ハザードマップも上手に活用して不動産投資の物件においてもできる限りの防災対策を講じていくようにしましょう。
MIRAIMOでも災害に強い街についての記事をまとめています。
併せて参考にしてください。
また、MIRAIMOでは、不動産投資に関する勉強会や個別の相談会を無料で実施しています。
ハザードマップの活用の仕方など、不安や疑問があればそちらでぜひご相談ください。